2025春闘継続中
――医療・介護職場の労働組合からの報告 2/3――
最低賃金額に張り付く仲間急増中
理事側は借金を重ねて設備投資をしたものの、医療・介護報酬制度の改変や利用者減で見込んだ収入が得られず、事業規模は拡大したが、それを支えてきた職員には「我慢」を押し付けてきた。労組の力不足もあった。賃上げ額が時給7円~10円アップで17年続き、ここ数年の最低賃金急増額(愛媛県では2021年に821円で前年+28円、22年853円で同+32円、23年897円で同+44円、24年956円で同+59円、25年1033円で同+77円)によって追いつかれた。
理事側は最賃に抵触した職員には法違反を避けるべく最賃額との差額を支給、基本給が最賃を1円でも上回る職員には相変わらず時給7円昇給で済ますという賃金政策をとってきた。労組側にはそれを跳ね返す力がなかったということである。
春闘回答書では賃上げ原資220万円(平均時給換算7円)とあった。団体交渉で昨年38名の職員が最低賃金を下回っており賃上げしたと理事側は答えたが、この38名は昨年10月に時給が960円に引き上げられており、今年2025年の最賃改訂で前年並み60円アップだと仮定すれば(実際は77円だった)一人月10320円(60円×172時間)で半年分(10月から3月)61920円の昇給原資が必要で、38名なら235万円(61920×38)必要となる。賃上げ費用は回答書の220万円で賄えるのか?と理事側に質問したところ、賃上げ原資220万円以外に最賃対策で640万円予算計上しているとの返答であった。労組には賃上げ原資220万円(時給7円)が精いっぱいと文書回答しながら、団交で質問して初めて最賃対策にはその3倍を予定していたことが判明した。
個別労使交渉での力関係とは別の最低賃金審議会(中小資本家・労働組合・公益の三者で
構成、本質は秩序維持装置)の強制力には従うということであり、理事側の対応は少数派労組の非力を感じた。
38名で235万円なら最賃対策の640万円は2.7倍分であり、対象人数は100名(38名×2.7)ということか。人数は月172時間労働の職員と仮定しての計算であり、全職員の6割を占めるパート者を考慮すれば、理事側は最賃制度で100名以上の賃金改定を予想していたことになる。それは現在100名以上の職員が時給1033円以下で労働していることを示している。