労働の解放をめざす労働者党ブログ

2017年4月結成された『労働の解放をめざす労働者党』のブログです。

2025春闘継続中 ――医療・介護職場からの報告 2/3

2025春闘継続中

――医療・介護職場の労働組合からの報告 2/3――

 

最低賃金額に張り付く仲間急増中

 

 理事側は借金を重ねて設備投資をしたものの、医療・介護報酬制度の改変や利用者減で見込んだ収入が得られず、事業規模は拡大したが、それを支えてきた職員には「我慢」を押し付けてきた。労組の力不足もあった。賃上げ額が時給7円~10円アップで17年続き、ここ数年の最低賃金急増額(愛媛県では2021年に821円で前年+28円、22年853円で同+32円、23年897円で同+44円、24年956円で同+59円、25年1033円で同+77円)によって追いつかれた。

 

 理事側は最賃に抵触した職員には法違反を避けるべく最賃額との差額を支給、基本給が最賃を1円でも上回る職員には相変わらず時給7円昇給で済ますという賃金政策をとってきた。労組側にはそれを跳ね返す力がなかったということである。

 

 春闘回答書では賃上げ原資220万円(平均時給換算7円)とあった。団体交渉で昨年38名の職員が最低賃金を下回っており賃上げしたと理事側は答えたが、この38名は昨年10月に時給が960円に引き上げられており、今年2025年の最賃改訂で前年並み60円アップだと仮定すれば(実際は77円だった)一人月10320円(60円×172時間)で半年分(10月から3月)61920円の昇給原資が必要で、38名なら235万円(61920×38)必要となる。賃上げ費用は回答書の220万円で賄えるのか?と理事側に質問したところ、賃上げ原資220万円以外に最賃対策で640万円予算計上しているとの返答であった。労組には賃上げ原資220万円(時給7円)が精いっぱいと文書回答しながら、団交で質問して初めて最賃対策にはその3倍を予定していたことが判明した。

 

 個別労使交渉での力関係とは別の最低賃金審議会(中小資本家・労働組合・公益の三者で

構成、本質は秩序維持装置)の強制力には従うということであり、理事側の対応は少数派労組の非力を感じた。

 

 38名で235万円なら最賃対策の640万円は2.7倍分であり、対象人数は100名(38名×2.7)ということか。人数は月172時間労働の職員と仮定しての計算であり、全職員の6割を占めるパート者を考慮すれば、理事側は最賃制度で100名以上の賃金改定を予想していたことになる。それは現在100名以上の職員が時給1033円以下で労働していることを示している。

(3/3に続く)

2025春闘継続中 ――医療・介護職場からの報告 3/3

2025春闘継続中


 
――医療・介護職場の労働組合からの報告 3/3

 

賃金表の破綻(法違反状態の賃金表)

 

 2008年6月作成(現行)の職種別賃金表では、一番対象人数の多い介護職賃金表は、1号俸132,500円~142,500円で、時給でいえば義務的月労働時間172で割ると、770円~828円。2008年の最低賃金は631円で生協介護職は139円多く、介護職初任給は最低賃金を約24,000円上回っていた。

 

 当時300人を超す職員がいる職場で「最低賃金」など労働条件としては無関係であると私は迂闊にも思っていた。ところが先の1号俸132,500円~142,500円、2号俸133,500円~149,500円、3号俸134,500円~156,500円・・・と続き、幅のある賃金表額は最低評価なら1000円ずつしか昇給せず、25号156,500円~210,500円となっている。 

 

 初任給最低額132,500円(時給770円)は11年後の2019年最賃額790円を下回り、労組は経営側に指摘した。それに対して「介護職員処遇改善手当分」を基本給に足すことで問題なし」の態度をとったのだった(介護職員から問い合わせがあったらそう答えよとの介護職場長あての文書の存在あり)。 

 

 事実、最近ネット上では社労士事務所等が介護事業者に「厚労省は介護職員処遇改善手当の本来の趣旨は基本給の底上げに使うべきで好ましくない と言っているが禁止だとはいっていない」として「算入」を勧めている。「最低賃金抵触部分への算入は禁止されていない」に飛びつく介護業者は存在するだろう。  

 

 生協は、処遇改善手当の最賃対策への「算入」を現在止めているが、昇給に処遇改善手当の9割を流用、それも累計で年1000円昇給が10年あったら10年累計で10×1000=10000円、その9割である9000円を毎月の処遇改善手当から基本給増額に流用している。春闘では以前から「流用を止めて全額を介護職員処遇改善手当として支給せよ」との労組要求を理事側は拒否している。

 

 愛媛県の最賃時給1033円(昨年は956円)が報道された。最賃による昇給職員(昨年最賃クリアのため時給で960円(生協は最賃そのままでは求人募集に差し障ると考えて956に4円足した)に引き上げとなった職員38名は今年時給73円(最賃クリアのため)アップとなる(1033円-960円)。月12556円(73×月義務的労働時間172時間)昇給することになる。

 

ここ10年毎年月1200円の賃上げが続いており、新人は10年先輩の賃金に一年で追いつくことになる。自公政権が最賃1500円を目指すと言っている、また7月の参院選では多くの政党が最賃アップをかかげた。物価上昇が続く中で、最賃引き上げの傾向は今後も続くだろう。最賃対策に昇給原資を割いて、ベテランには時給7円アップで対応する低昇給路線が続くとすれば、来年には新人が20年先輩の賃金に追いつく。結果として職員の多くが「最低賃金」に限りなく張り付く職場となる。こんな職場はごめんだ。

 

 2025春闘アンケートの自由記入欄には「長年働いてきた職員の給与は大きな見直しがなされず、新人との差がなくなってきている、今まで働いてきたのがなんだったのか」と書かれていた。

 

 医療・介護は資本の政府の福祉政策として、保険制度で運営されているが、日本資本主義の衰退とともにその破綻が顕著になっている。保険料値上げと負担率の引き上げはセットで実行されてきた。「負担」を懸念して「医療受診」「介護利用」の「手控え」が新型コロナ流行期から増えている。

 

利用者「手控え」は医療生協のように、低賃金による人件費圧縮で設備投資を繰り返してきた経営を赤字転落させた。介護報酬の増額が経営危機の決め手になるか。介護報酬の大幅増は利用料金の増額であり、利用者の負担増となる。それでは「利用手控え」増となり経営が上向くか疑問である。また、介護報酬の増額をするより軍事費増強に費やす現実があり、その傾向は自公政権のもとで拍車がかかっている。

 

 そもそも介護は生産部門(新たな富を生産)ではなく消費部門である。資本家にとって本質的には介護は空費(むだづかい)である。ただ、人口的には多数派の労働者階級を慰撫する政策として採用されている。人類の特性として「老いていく」仲間への介護は、利潤目的でなく自然な相互扶助として行なわれる、原始共同体時代のごとく。そんな時代を見据えて、

働き甲斐のある将来に希望のもてる労働条件を提供せよと!と訴えよう!そして、労働条件改善のための闘いと結び付けて、賃金制度を克服する労働者の階級的な団結をうち固めることを意識的に追求して、労働の解放を勝ち取ろう。 (愛媛 FY)
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ラジオ深夜便 『絶望明言』を聴いて

神奈川で『資本論』やマルクス主義の学習会を行っている「横浜労働者くらぶ」の会報「労働者くらぶ」第53号で、ラジオ深夜便 『絶望明言』を聴いて樋口一葉の「貧困との闘い」を紹介しつつ、「私利私欲の世界」を批判して、個人主義や利己主義で個人個人がバラバラな私利私欲の世界に対して、マルクス主義の立場で論じているので、紹介します。(担当)

 

ラジオ深夜便 『絶望明言』を聴いて

 

★樋口一葉―—貧困との闘い 

 

昨日は明け方4時ころに目が覚めて、しかたなくラジオをかけたところ「絶望名言」というのをやっていたので、つい聴いてしまった。この番組は以前にも聞いたことがあり面白かったのである。様々な書籍から絶望に関する文章を集めて紹介し、悩んだり行きづまっている人を勇気づけようというのである。昨日取り上げられた樋口一葉の一生は、貧困との闘いであった。幼いころから短歌の塾に通い、そのプロになりたかった一葉が、女性の職業小説家(日本で初めてという)をめざしたのも、その収入で一家を養いたかったからだという。彼女が少女時代(まだ金銭の苦労を知らない時代)に作った歌の中にお金にまつわる歌があるが、彼女の24年の短い人生は、金に苦しめられた一生であった。今では、一葉は五千円札の表紙になっているが、彼女の人生を考えると、まことに皮肉である、というのが解説者の結論であった。 

 

★貨幣は万能 ! 

 

近代の小説家で、金に苦しめられた作家は多い。戦前の葛西善蔵や嘉村礒多などはその最たるものであろう。彼らは自身の貧困やどん底生活を“売り物”にして、赤裸々に作品にした。一方、生活の困窮を逆に作品に昇華し、優れた作品を書いたものも少なくない。人類の長い歴史にとって生きることの困難からの脱出は、最大の課題であったといってよい。生きるためには何よりも食料の確保である。次いで雨風、寒さを防ぐ住居や衣類である。生きようとすることにおいて人間も動物も変わりはない。それは動物において本能として、意識のある人間は欲望を満たす意志として、私利私欲として現れる。

 

マルクスは、人間の私利私欲について、またその根源の私的所有や貨幣を分析したのである。私的所有と分業が貨幣を生み出す。貨幣は万能である。マルクスは、コロンブスやシェイクスピアを引用して貨幣の物神性を見事に描いている。「金は素晴らしいものだ!これを持っている人は、彼の願うこと何一つかなわぬものはない。金によって、霊魂さえ天の楽園に達せしめることができる」(コロンブス、ジャマイカからの手紙、1503年)。この貨幣の出現の必然性をマルクスは価値形態論の中で詳細に展開すると同時に、その物神性を解明するのである。人間の私利私欲が物質化したのが貨幣である。 

 

私利私欲の世界―—動物界 

 

マルクスは『資本論』第1巻の序文で次のように述べている。「経済学の取り扱う特有の性質は、最も激しい最も狭量なそして最も憎悪に満ちた人間胸奥の激情である、私利という復習の女神を挑発する。例えば、高教会派は、その39か条のうち38に対する攻撃には我慢するが、その貨幣収入の39分の1に対するそれには我慢できない。今日では、無神論は、受け継がれた所有関係の批判と比較すれば、一つの軽い罪であるといってよい。」(岩波p17                                            

 

マルクスは、個人主義や利己主義で個人個人がバラバラな私利私欲の世界を「必然の世界」、「動物の世界」とし、私的所有を廃止した世界、共同世界を「自由の世界」「共産世界」とするのである。

 

★「必然の世界」から「自由の世界」へ 

 

エンゲルスは次のように述べている、「社会が生産手段を掌握するとともに、… 社会的生産内部の無政府状態に代わって、計画的、意識的な組織が現れる。個人間の生存闘争は終わりを告げる。これによってはじめて、人間は、ある意味で決定的に動物界から分離し、動物的な生存条件からぬけだして、ほんとうに人間的な生存条件のなかに踏み入る。いままで人間を支配してきた、人間を取り巻く生活諸条件の全範囲が、いまや人間の支配と統制に服する。これは、必然の国から自由の国への人類の飛躍である。」(「空想から科学へ」岩波文庫p89 

 

彼が述べていることは単純である。「生きること」に必死になり、盲目的に行動している状態は、人間も動物と同じなのであり、「動物的な生存条件」、自然的な法則に支配されている「自然界」の中にある。人間がその状態を脱して、自分の生存条件を自分の支配と統制に置いたときに、初めて真の人間(動物と区別された)の世界、「自由の国」が始まるというのである。そのためには生産手段の私的所有を廃止し、社会全体のものにしなければならないのである。エンゲルスが「必然の国」から「自由の国」への飛躍というのは、何か深刻に聞こえるが、これは一種のレトリックであり、彼が述べていることは、以上の単純なことにすぎない。つまり社会主義、共産主義の実現である。人類の目標はこれ以外にないのであり、生産手段の私有を許している限り、人類は永遠に動物と同じ生活、無政府的な状態を続けなければならない。生産手段を社会全体のものにするまでは、人類は「必然の世界」「動物の世界」に生きることを強いられることになるのである。 (K

 

横浜労働者くらぶの学習会案内 ― 7月の予定

『資本論』第1巻学習会

  時:7月23日(水)1830分~2030  

  所:県民センター703号室

学習範囲:第1章第2節「商品に現れた労働の二重性」

 

『資本論』第3巻学習会

  時:79日(水)1830分~2030  

  所:県民センター703号室

学習範囲:第2篇「利潤の平均利潤への転化」第8章・第9章

 

マルクス主義学習会

― マルクス『共産党宣言』

  時:716日(水)1830分~2030  

  所:県民センター703号室

学習範囲:『共産党宣言』第1章「ブルジョアとプロレタリア」

 

連絡先(会場や日程の変更もありますので、事前に連絡してください。)

Tel080-4406-1941(菊池)

Mailkikuchi.satoshi@jcom.home.ne.jp 

 

★ 自民党と反動の改憲策動、軍国主義路線を断固粉砕しよう!
★「搾取の廃絶」と「労働の解
  放」の旗を高く掲げよう!
★労働者の闘いを発展させ、
  労働者の代表を国会へ!
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