労働の解放をめざす労働者党ブログ

2017年4月結成された『労働の解放をめざす労働者党』のブログです。

何が人々を維新政治に向かわせたかーー「財政ポピュリズム」の正体

兵庫で闘う党員からの投稿を紹介します。どのように維新がその政治を大阪から拡大させてきたのか、吉弘憲介氏の『検証 大阪維新の会――「財政ポピュリズム」の正体』を参考に考察しています。

 

何が人々を維新政治に向かわせたか

 

 日本維新の会は、党勢衰退、数々の不祥事、党内の混乱、分裂を抱かえながらも自民党との連立政権入りを果たし、大阪で二度否決された副首都構想、議員定数削減を自民党につきつけ暗躍している。そんな中、吉弘憲介氏の『検証 大阪維新の会――「財政ポピュリズム」の正体』の著書を読んで、どのように大阪から維新がその政治を拡大させてきたのかを見てみようと思った。

 

 大阪維新の会は、2010年に当時大阪府知事だった橋下徹と、大阪府府会議員だった松井一郎が、府議会の自民党会派の一部とともに会派離脱をして立ち上げた政党だった。

 

 この本で著者は、これまでの分析や研究では、維新の政策内容が人々の意識・評価とどのように関係するのか明らかにするものは少なかったように思えると、維新の会の財政を分析する。

 

 維新の会の主張は、中間組織を既得権益層と攻撃し、その財源を解体して多数の人々に頭割りで配り直す(高校無償化・給食費補助など)ことである。こうした現象を財政ポピュリズムと吉弘氏は位置付ける。

 

 結党以来、維新の会の政治的波及力の強さは、大阪府知事選、大阪市長選、政令市の堺市を筆頭に、府内の首長選挙でも維新候補の勝利が急増したことに表される。22年以降、三つの首長選挙で維新候補が当選。23年統一地方選挙後には大阪府議会79議席に占める維新の会所属議員の数は55(前回より9議席増)となる。

 

では大阪の人たちの意識にどのような政策がどのように響いたのか。

 

 24年5月に著者が行ったインターネット調査で、大阪府民1,000人と、大阪府民以外の全国の人々1,000人に、ガソリン税の増税、法人税の増税、財政赤字の削減等、各14の政策評価を5段階「好ましい」「わからない」「好ましくない」等で回答してもらった結果、評価が異なるのは回答項目の「生活保護を増やす」と、「貧困世帯の児童に限って公的支援を行う」という項目についてで、いずれも大阪の方が評価の度合いが「好ましくない」と低くなっている。「財政赤字の削減」と「金融所得課税の増税」についても、大阪と全国とで評価の構成が異なっていて、大阪の方が「好ましくない」と回答する割合が多かった。

 

 大阪府民は日本全国の人々と同じように、消費税、ガソリン税の増税を嫌い、公務員を減らすべきだと考え、高齢者向け社会保障の増加は問題だと感じているということであると、筆者は言う。回答項目の多くで大阪府民の政策選好は全国の人々と重なっている。大阪維新の主導政策は大阪以外でも受け入れられる可能性があるということだという。

 

 調査において、支持政党に関する質問では、全国では日本維新の会、大阪維新の会と回答したのは5・8%、大阪府内に限ると26・3%が維新の会を支持している。支持層は著者の調査によると、高所得者や低所得者に偏っているわけではなく普通の人々だと結論づけている。

 

 維新の政策の「身を切る改革」の最初の標的となったのは大阪市の公務員組織で、もう一つの矛先は外郭団体への予算である。

 

 たとえば、大阪府の「政治的中立を求める組織的活動の制限に関する」条例、「労使関係の職員団体との交渉」の条例、「職員の政治活動の制限に関する」条例が2014年4月に施行されている。(大阪市でも同様の条例が2012年に制定される)その中で組合活動に関する実名記載でのアンケート調査の命令、団体交渉の拒否など、当然の紛糾を招き、市職員組合が不当労働行為として提訴した。2016年には、大阪高裁判決で市職労組が勝利を勝ち取っている。

 

 また、教育でいえば日の丸・君が代統制。(これについては私たちの仲間も闘ってきた)また、高校の統廃合が進み、高校のない市町が出てきた。そして12の大阪市立特別支援学校を府に移管し、教材費の削減や肢体不自由生徒の補助として特別措置していたスタッフの数が削減されるなど、市が行ってきた予算措置が府の水準にあわせる形で削減される。マジョリティ向けの教育は投資価値の側面から拡充し、歴史的に形成されてきたマイノリティに対する措置はひっそりと削減されていく。

 

 維新のような政党が出てきた背景について、つぎのように吉弘氏は述べている。

 

 過去の大阪市政ではたとえば13代市長、中馬馨(1963~71年)は、周辺の田園地域を市域に編入し都市開発を行い、その利益をテコに公共サービスを拡充していった。しかしバブル崩壊後、自治体主導の土地開発が市財政の桎梏となり、都市経営が破綻していった。関市長(2003年~07年)の時代には、それまでの、累積公債問題、市役所の不正入札、公務員不祥事など数々の問題を受け、都市経営は、財政健全化と行政改革指向へと変わっていく。以降、平松市長(2007年~11年)、大阪維新の会にも一定ひきつがれてきたのだ、とそしてバブル崩壊後の傷を修復すべく小さな政府指向へとつながっていった。

 

 大阪維新の会の財政運営について、吉弘氏は五つの論点からの検証でこのようにまとめている。①公務員改革による人件費と公務員数の大幅削減。②外郭団体の削減、委託事業の民間部門への割り当て。③地方債の返済、新規の市債発行の抑制、債務総額の減少。④教育費における頭割りの普遍主義(マジョリティに配分する)、社会保障の緩やかな削減。⑤都市中心部開発による投資経費の増大(コロナ禍においても同傾向)。

 

 しかし維新の進める「身を切る改革」は、「小さな政府」には結びつかず、債務の縮小を急速に進める均衡財政主義的な性格を持った。大阪維新の会が行う都市経営の効果は、外国人観光客の増加や都市中心部の地価上昇に象徴されたのだが、中長期的な観光需要の掘り起こしの、万博、IR事業では既に大規模な財政支出がなされている。

 

 既存の公共サービスを解体しその原資を配り直す財政ポピュリズムは、自己利益の最大化を望む人々には響いたのだが、しかしたとえば教育で言えば、自分の子供に対する教育だけを望んで、公的な教育サービスに対する負担を渋れば、それは回り回って全体で得られたはずの利益を損なってしまう。個人の利益を乗り越えて、社会全体の価値を実現しようとする行為、そのためにこそ財政があるのだ、と吉弘氏は強調する。そして社会で価値を共有して、共同の利益を共同の負担で実現する必要性を強調したい、と言っている。

 

 吉弘氏の考え方は体制内理論かも知れないが、私はその通りだと思う(富裕者への累進課税が必要になるし、階級的な政策として労働者の闘いでこそ勝ち取れるのであるが)。

 

 兵庫の再選・斎藤県政も構図は維新政治と同じだと思う。高校無償化、天下り規制、自らの給与削減など、根本的な財政再建ではない政策で人々を幻惑し、今や自らの数々の罪悪を払拭すべく自己保身に汲々とする斎藤知事はN党立花のような悪党と結び付くしかないのだと思う。 (兵庫・A)

労働者党理論誌『プロメテウス』64号発行

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労働者党理論誌『プロメテウス』64号発行さる!

 

2025年の年末ギリギリに本誌を発行することができたのは、〝災いを転じて福となす〟と言うべきか。発行遅延の間に生じた新事態――高市新政権の発足とその策動、トランプ政権の行き詰まりと〝社会民主主義者〟を公言するニューヨーク市長の登場等々――の分析を織り込むことができたからである。

 

10月初めにポピュリズム批判と柄谷批判を特集とした第一次原稿が提出されて以来、執筆者と編集者は、分析と批判をより鋭く、深く、根底的なものへと高めるために、努力を積み重ねてきた。国から給与を貰い、テレビに出まくり好き勝手な発言をしているどこかの大学の先生とは違って、執筆者は全員が無給で、「海つばめ」の月2回発行、『資本論』学習会の月例開催、組織活動に明け暮れている。

 

おかげで(?)、誰におもねることも遠慮することもなく、ひたすら批判の刃を研ぎ澄ませ、事の本質をえぐり出し、闘いの道を指し示すことができたのではないかと考えている。

 

参院選で浮上した右翼ポピュリズム――参政党に代表される――のデマ政治に対し、田口論文は事実によってその嘘を暴き、どんな逃げ道も許さず、批判し尽くしている。

 

 

古川論文は、トランプ登場の背景にあるアメリカ資本主義の矛盾と頽廃を抉り出し、生まれつつある大衆的な反撃の動きをも分析している。

 

渡辺論文は朝日新聞連載で蘇ったかの柄谷行人の理論が空虚で無内容な空論であることを立証し、。「海つばめ」掲載の記事はその批判を補っている。

 

書評は、連合赤軍・森恒夫の足跡を追いながら、著者が解明できなかった同志殺しに至る過程の根底――観念的で独りよがりの急進主義、一揆主義の行き詰まりと破産――を摘出している。

 

宮本論文は、本誌63号の特集に触発されて宮本氏が長年感じていた斎藤〝理論〟への疑問と批判をまとめ、投稿されたものである。マルクス批判家たちの潮流の分析を含め、斎藤〝理論〟のまやかしと欺瞞を暴いている。末尾の〝決意表明〟にある通り、宮本氏は今、立派に党員として活動していることをつけ加えておきたい。  (S)  【プロメ64号編集後記より】

 

『プロメテウス』64号紹介記事はこちらから

 
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最低賃金制度は経営を守る制度になっている――『海つばめ』読者の声

「海つばめ」1508号(1012日発行)2面の「低賃金・極少賃上げに呻吟する医療・介護労働者」の記事について、読者からの声が送られてきましたので紹介します。(担当)

 

最低賃金制度は経営を守る制度に

 

 「海つばめ」1508号で紹介された愛媛県の医療・介護職場の賃金が、国から賃金への上乗せ分として支給される「介護職員処遇改善手当」があるにもかかわらず最低賃金レベルである現状と、中小労働組合の闘いの困難さが伝わる貴重な報告だと思いました。

 

最低賃金制度は、生活保護制度とともに国民の生活を保障する公的扶助制度=セーフティネットとなっています。その意味では「福祉政策」と言えなくもありませんが、最低賃金は雇用者が支払う賃金の最低限を定めたもので、国や地方が生活困窮者や弱者に提供する福祉政策とは違う。

 

非正規労働者の現状は、週5日8時間働いても年収2百万円をわずかに上回る程度で、生活保護支給額を下回っています。これでは非正規労働者の生活を保障する制度ではなく、報告にもあるように、労働者を雇う経営側を守る制度になっています。

 

政府(自公政権)はこの5年で平均1500円を目指すと言い、与野党とも「手取りを増やす」「年収2百万円増」とか言っているので、「闘う」までもなく降ってくるかの雰囲気もありますが、労働組合に結集する労働者が増え、物価に負けない賃上げを要求する闘いがなければ、看板倒れに終わってしまうでしょう。 (東京・S)

 

【担当から】

 『海つばめ』の購読、意見に感謝いたします。

 記事では、経営者の「最低賃金制度悪用」を弾劾し、実態を暴露していますが、最低賃金制度は最低賃金を公的に規定したもので、労働条件を規制するものです。「8時間労働制」の規定と同類のものと言えるでしょう。

 ご意見のように、「労働組合に結集する労働者が増え」闘うことによってこそ、労働条件の改善は進みます。労働者の階級的な団結を強固にしていくことが課題です。共に闘いましょう。

★ 自民党と反動の改憲策動、軍国主義路線を断固粉砕しよう!
★「搾取の廃絶」と「労働の解
  放」の旗を高く掲げよう!
★労働者の闘いを発展させ、
  労働者の代表を国会へ!
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