介護職場で看護師が上司から2年間パワハラ
 労組に加入し、団交にて謝罪させ、処分も検討させる

 

 

この夏、労組分会長に介護事業所でのパワハラについて相談があった。看護師3人が「2年前から、上司(看護師)が気分の変動激しく、機嫌の悪い時はスムースな業務ができない程である。暴言や自己中心的態度で多大なストレスを受けている、何度も所長に訴えたが改善されない。なんとかしてほしい」と訴えてきたとのこと。

 

3人中労組員は1人だけであり、対応するには是非とも当事者の2人も労組員になってもらう必要があると伝えた。

 

後日、2人が労組加入をするとの連絡があり、3人が受けたパワハラについて日時と内容を文書にして持参してもらうことを伝え、労組役員で勤務後の夜ファミレスにて話を聞き対応を相談することになった。

 「今日は○○(看護師)が休みじゃからつまらん、いじめるやつがおらん」「利用者さんに看護師が挨拶中、うしろで“ばかじゃないん”と独り言を装って大声を出す」「介護スタッフに対し、他の看護師の言うことは信じるな、私の言うことだけを信じたらいい」「腹をたててカルテファイルを看護師に投げつける」「機嫌が悪いとイスを蹴る、ドアを乱暴に閉める」「スタッフに何の相談もなく、仕事の段取りを自分一人で決め、また変更する」等々、一人につき10項目以上もの具体例が語られた。積年の思いを聞き終えた頃は日付が替わっていた。

 

 労組設立直後の団体交渉で暫定労働協約を取り交わしており、全体に関わる賃上げや労働協約関連以外の個別事業所に関する労使問題は、当該事業所を管轄する労組分会が団体交渉を申し込めると明記されている。職員が個人として今回のような問題を訴えても経営側にとって対応は義務ではなく、だからこそ今回のように2年間も放置されることも違法ではない。

しかし労組からの交渉申込となれば労組法により経営側は拒否することができない。苦情処理委員会制度も労組交渉で設置を勝ち取っているが、委員会は経営側、労組側、労組員以外の代表者の三者で構成され委員長は経営側トップの理事長である、やるなら団交だと説明。分会として「職場環境の健全化」を議題として団交を申し込むこととした。

 

 事前の労使協議で経営側は「人間関係のもつれであり、相方の話合いで修復できないか」と団交を回避したい態度であった。しかし、2年も放置されたのは単なる話合いでは解決できないことを示している、問題ありと指摘された当人からの謝罪もなく、3人に対する無視が続いている、また今の気持ちを伝えたいと当人が書いた「文書」は言い訳に終始している内容でそもそも「謝罪」がない。

一方、この2年間、移動したり退職したりした看護師に3人が連絡をとり、少なくとも3人がパワハラを受けていたことが判明した。自宅に伺って「机上に積み上げた利用者のおたよりノートに記載中、無言でノートを払って床に全部落とされた、何が起きたか直ぐには理解できなかったが、いまでも鮮明に覚えている」とお聞きした。

 

 パワハラによる被害を一刻も早く止めさせるため団交をもった。労組側交渉団には訴えた3人が同席、経営側も当人を出席させた。常務理事と職場長は冒頭に2年間放置してきたことを謝罪するも、当人はなかなか謝罪しない。具体的に3人からパワハラの実態を述べてもらい、最終的には「すいません」の発言を引き出した。

「“今後気を付けます”では過去の2年間のパワハラは水に流せということなのか」との労組側発言に対しては、「経営側として処分を含め対応する」と常務理事が答える場面もあった。この間2時間30分の長丁場。

確認書として①常務理事、所属長、当人は謝罪した。②経営側はいままでのパワハラについては処分も含め対応を検討する、③今後双方はコミュニケーションを深め職場環境の健全化に努める を取り交わした。(吉)