インフルエンザ罹患に特別休暇獲得!

 感染症リスクは経営側が負担すべきだ

 

公務職場の正職員には病気休暇制度があり、当局との力関係によっては「今日は体調が悪く業務を正常に行えないので病気休暇をとる」と電話一本で有給休暇を取得できる。もちろん通常の有給休暇とは別枠で全額有給での休暇である。

医療機関では典型的な労災として肝炎ウイルス患者への注射後に看護師等が誤って自分の腕に刺してしまう「針刺し事故」がある。医療労働者の闘いによって免疫がつくようにワクチン接種を勝ち取っているところも多い。我々の職場でも管理職の医師も対象者であるので看護師には、免疫がついたかどうかの検査を含め事業所負担で行っている。

 


 

 

我々の介護職場では規模によって10数名から50人まで利用者さんが毎日集団生活する。通常のアルコール消毒では防げないノロウィルスは汚物、おう吐物から感染し複数者が罹患すれば集団感染を避けるため閉鎖することもある。インフルエンザも空気感染で罹患者の隔離が第一である。職員は家族が罹患すれば、職場に来る前に感染の有無を検査し陰性が判明して出勤が許される。陽性ならタミフル等で熱は下がっても、解熱後2日経過後再検査して陰性確定後出勤となる。通常5日の休業となる。冒頭の公務職場ではない民間では有給の病気休暇は交渉で勝ち取る必要がある。

 

春闘時の賃上げ、一時金要求以外に労働協約関連要求として「感染症による病気休暇制度新設」を追加することが執行委員会で提案され、職場委員会(組合員3人に1人の割合で選出された職場委員で構成)の承認を得て要求することになった。

 

団体交渉では「業種の特殊性から感染症リスクは高い、全ての感染症に対し、医師が必要とする日数を特別有給休暇にせよ」との労組。「仕事か家庭か感染理由が区別できないのですべて対象にはできない」との経営側。結局「インフルエンザ・ノロウィルスで出勤停止と医師が判断した職員に、医師の診断により病気が確定した日から連続する5日間(公休日を含む)の有給休暇を与える」「取得の場合は、賞与・年次有給休暇の出勤率においては出勤したものとみなす」との確認書を勝ち取った。就業規則にも明記されることとなった。ただし、最初の3日は全額有給、残り2日は平均賃金の6割と譲歩せざるを得なかった。残念だがこれが現在の労組の力量である。(吉)