第2回福山働くもののセミナーの報告
長時間労働と若者の死を考える
――搾取労働と差別労働の一掃こそ急務――
1月15日(日)福山市市民参画センターにて、第2回福山働く者のセミナーが「長時間労働と若者の死を考える――搾取労働と差別労働の一掃こそ急務――」をテーマに開催されました。
まず報告者よりテーマについての報告がありました。
現在、多くの労働者が長時間労働にさらされ過労死にまで及ぶような資本の厳しい搾取労働が常態化している。そんな中電通資本の下では新卒の若い労働者が月150時間にも及ぶ残業や連続35時間もの拘束労働があり、うつ病に追い込まれ自殺した。これは資本による殺人というべきことだ。これほどに酷い搾取労働の実態を検証していくととともに自民党政権がこれに対してどのような対策を取ろうとしているのか、あるいは野党、民進党や共産党はどのような手立てを考えているのか?それは果たしてまともな解決手段たりうるかについて検証していきたい。またこうした搾取労働を検証する中で、そもそも人間社会の基礎である労働とはどうあるべきかについても考えていきたい。
労働実態について厚労省の統計等では月間総労働時間が148.7時間、所定外労働時間が12.9時間となっているが、実際には36協定違犯や無届けの残業、あるいは残業代未払いの所定外労働がこの何倍もある。統計では実態は把握できないが、参考資料にもあるように月80時間を超える超過勤務はかなりあるのが実情。
こうした実態の中で自民党はどのような対策をあげているのか見てみると「ワークライフバランス」で長時間労働を是正するというがその中身としては有給休暇の取得を促すということぐらい。しかし、人員配置を見直し労働者の数を増やすことが担保されるような対策であったり、また違法な残業を厳しく処罰する法的規制が強化されない限り実行性があるとはいえない。
では共産党はどうか?共産党は8時間労働を守らせることが重要だといって、これにより長時間労働を阻止するといっている。しかし、8時間労働は19世紀前半に提唱され20世紀前半には確立された過去のスローガンにすぎない。いまさらこのようなスローガンをもちだしそれを守らせることが重要だというのは時代錯誤でしかない。これでは労働者の前衛政党だとはお世辞にもえいない。民進党は、自民党に追随するような主張ばかりで到底労働者が期待できるようなものはない。
資本主義の下では、労働者は本質的に資本の搾取の対象として存在しており、その必然的帰結として低賃金、労働強化、長時間労働から免れることは困難である。唯一、労働者は労働組合に自らを組織し、団結して闘うことにより反撃することができ、多少なりとも資本の横暴を和らげることができる。しかし、それは資本からの解放、すなわち搾取労働からの解放を意味するわけではない。ただそれを少し緩和することができるのみである。
だが労働者が労働組合を組織し反撃することは、それが労働者の将来の来るべき大きな闘い――資本の支配を打倒し、自らの搾取される身分からの解放――の為に、労働者を階級的に成長させ鍛えさせるために重要な意味をもっているといえる。
報告を受け様々な意見が参加者から出されました。
「自民党などいっていることがダブルスタンダードだ。長時間労働を是正しなければいけないといいながら、一方でホワイトカラーエグゼンプションで事実上労働時間を無制限に延長しようとしている。」という自民党の主張の矛盾を指摘する意見が出されました。
また明らかに労働基準法違反や完全無視といえるようなブラック企業等がのさばっている状況のいまの社会を見ていると「労働基準法は、雇用主が最低限守らなければいけない義務としてあるが、なかなかそのようなことが十分知られていない。」という意見や「いま学校では、労働三権とか、労働者の権利について教えようとしない。だからいまの若い人は労働者に団結権とかスト権があることを本当に知らない人が多い。」との元教育労働者の方からの発言がありました。職場での組合闘争を進めるうえでも、若い労働者への教育の必要性が欠かせないようです。
また元介護関係の労働者から、介護関係の労働現場の劣悪な労働条件が紹介されました。「ニュースでは介護施設での虐待等がとりあげられるが、現場の労働者の労働は過酷。虐待等をなくしてケアを改善しようと思えば、まずこうした介護現場の労働者の労働条件を改善するべきなのに、そういう方向には全くなっていない。おかしい。」との意見が出されました。
「やはり労働者は黙っていたらダメだと思う。声を出してき、それを組織して、要求していくことが必要だと思う。」これに対しては「ただ組合で闘うだけでは限界があると思う。やはり根本は資本の下の搾取労働だと思うので、資本主義そのものを変革する闘いの展望も必要。」と意見が出ました。
また「資本主義のもとでは人間である労働者が、労働力商品として売買される。資本の下で、賃金奴隷として生きていくしか労働者にはすべがないのだと思うが、そのことが非人間的な労働や労働者の様々な困難の原因ではないかと思う。」との意見も出されました。