トランプの就任演説

資本の世界は頽廃の末期症状を呈し始めた

 

トランプの就任演説では、「米国第一」、「国内」、「米国から買う」、「国内に投資する」、「国内の雇用を増やす」、「米国人を雇用する」、「米国を偉大にする」、等々の言葉が乱れ飛んだ。世界は「米国」だけであって、それ以外の世界はまるで存在しないかである。過半数の米国人から見ても異様な世界なのだから、まして外国人から見れば、トランプや、それに喝采する米国は正気を失っているとしか見えない。

ある人が、世界は自分だけで存在しているとか、自分のためにのみ、自分の利益のためにのみ存在しているなどと言えば、そんな人をまともに相手にする人はいなくなるだけである。企業もまた、自分の企業だけが存在するなど考えれば、企業活動などできるはずもない。

一体アメリカは、世界はどうなったのか、否、安倍政権がのさばる日本もまた同じようなものではないのか。アメリカが分裂したのではなく、世界もまた分裂するが、それは労働者の階級としての自立等々と違って、個人としての、まさに無政府的な分裂、歴史に対しても、社会に対しても、積極的な契機の何もない、不毛で、空っぽの分裂、というより、単なる無に向かっての分解である。

資本の世界は今や頽廃の末期的症状を示し始めたのだ。資本の社会は、より高度の共同体的社会に止揚されないなら、退化し、滅びるしかない歴史的段階に達したのだ。