選挙奮戦記 【3】
――かく闘いたり、一闘争委員の報告
公示前の駅頭街宣が始まった。時刻は朝8時前。初日は、乗降客の最も多い京急横須賀中央駅西口。圷候補を先頭に、Iさん、Kさん、Tさん(共に神奈川)、Hさん(闘争委)、Mさん(静岡)、Sさん(闘争委)、そして筆者と多数揃った。
それぞれゼッケンを付け、労働者党と「海つばめ」の赤旗を各所に取り付けて開始。まずIさんがハンドマイクを手に演説し、続いて圷候補が演説を始める。我々は、「新しくできた労働者党です」と声を出しながらビラ(宅配ビラ)を撒く。ビラの受け取りは余り良くない。おそらくこの自民党王国で、駅頭にて街宣が行われるのは久しくなかったのではないかと思われ、ビラの受け取りに慣れていない感がある。
駅頭街宣は、神奈川支部と代表委によって、既に9月13日から始められてきたが(党のブログ参照)、かなり目立ち、注目を引いた。早速、二十歳の若い労働者が「革マルや中核の急進派と違うのか」と質問してきた。「我々は新しくできた労働者の政党で、急進派とは違う。労働者党員を国会へ送ろうと活動している」と説明した。また、病院への送迎バスを待っていた高齢者にビラを渡すと、「安倍は良くない。公明党もずるくて嫌いだ。選挙になるとバスで(期日前)投票所に連れて行かされる。しかし、小泉はいいよお。」と話していた。安倍は悪いが、進次郎はいい、と考える有権者が多いことだろう。
夕方も5時半頃から街宣を行った。こうして、これから毎日朝夕の街宣が始まった。後に、ハンドマイクが小さいということで、Fさん(名古屋)から愛知の性能の良いものを送ってもらい使用した。また旗の数も少なかったので後に補充された。
翌日は、北久里浜駅頭で行ったが、Tさん(京都)やIさん(福山)も新たに加わった。
翌々日の朝は激しい雨のため中止したが、夕方は追浜駅頭で実施した。駅前の歩道橋の上でのぼりを立て演説した。強風と雨のためビラの受け取りは芳しくなかった。
追浜駅で何回か街宣をすると、この駅を利用する労働者と横須賀中央駅利用者との違いに気づく。中央駅は官庁や商店街があったり、横浜や東京への通勤客が多いせいか、スーツ姿やそれなりの服装をした労働者が多い。一方追浜駅の方は、日産やその下請け等の工業地域にあるので、現場労働者風の服装をした労働者がほとんどである。ビラを横目に無表情で通り抜けていく労働者が多いが、これらの労働者が連合の締め付けから解放されて、労働者党神奈川支部に結集してくることを切に願う。
「長時間労働に象徴される搾取労働の廃絶、労働者の代表を国会へ!」 「非正規労働に代表される差別労働の一掃、安倍政権を打倒しよう!」 と書かれた宣伝カーのスローガンこそ、日本の全国の労働者に届けたい我々の当面の目標である。
こうして朝夕の街宣は始まったが、¨ビラ折機¨が事務所に導入されるまで、圷候補と闘争委の多忙な日々が続いた。早朝に起床し、朝食の後に朝街宣に出かけ、そのまま平均二千~三千枚のビラを車に積んで宅配、四時近くまでビラを入れ、夕街宣の五時にはその日の駅頭へ集合、一時間半程街宣をした後に 事務所に戻り夕食をとる。夕食後は、圷候補は翌日の演説の原稿を考え、Sさんは明日の宅配の計画を練り、住宅図を明日の人数分だけコピー作成し、我々はIさん(闘争委長)が印刷してくれた五千枚のビラ折りを始める。
筆者は、このビラ折りが正直辛かった。五百枚ずつに分けられたビラを半折りにするに一時間程かかり、それらを梱包する。全て終了すると夜中の一時をとうに回っている。それから、風呂に入り、テーブルを片付け、押し入れから布団を引っ張り出してきて、布団に潜り込む。五分としないうちに眠りに着く。もしビラを四つ折りにしていたら、おそらく三時過ぎまでかかっていたに違いない。
だから、闘争委がなんでも参加せさぜるを得ず、また夜のビラ折りが優先されて、闘争委の毎日の会議が全くとれなかった。このことは、全体的な活動の当初の「無計画性、その場主義、場当たり的な対応、分担の不明確さ等」 に少なからず影響したと考えられる。(闘争委の筆者なりの総括は、後に述べたいが、とりあえず、一ヶ月という準備期間の短さ、不慣れな選挙闘争や選挙法の未知、代表委との連携問題、少ない闘争委メンバー、明確な分担制と責任者の不明瞭さ、演説内容やビラ内容等の吟味の時間の無さ等々がある)。〝ビラ折機〟の導入は、やっと我々に会議の時間を与えてくれた。五百枚の半折りをわずか七、八分でやってくれるのである。文明の器機とはすごいものだ。
十月に入り、日中は相変わらず活動に励み、夜に少し時間がもてて、筆者はようやくポスターやタスキ、あくつ旗、ポスター掲示計画等に着手することができた。(しかし、それはとんでもない遅さだった!)。他の闘争委の人たちも、それぞれ仕事をする時間が生まれた。我々は、「長時間労働から解放された(少し)」 のである! 続く