――ブルジョア民族主義に加担する共産党
在沖海兵隊は防衛に専念すべしなどと言うトンマな主張を始めた党がいる。
こんなトンマなことをいうのは、共産党以外いない。
彼らは最近、突然に、「在日米軍は日本を守るか」と問い、守ることに専念しないで、あるいはそんなことにはほとんど関心をもたないで、ベトナム戦争とか、中東や西アジアやインド洋界隈や」、要するに世界中の紛争や戦争に「世界の憲兵」として振る舞い、あるいは帝国主義的作戦や活動に出動しているからよくない、と批判するのである。
それが仮に正しいとしても、帝国主義的策動の道具として、世界の憲兵として振舞うのを止めろというならまだしも、日本の防衛にもっと力を注げ、専念せよなど云う主張は全くナンセンスだ、見当外れであるだけでなく、反動的ではないのか。というのはそんな主張は労働者の国際主義に反し、日本のブルジョアたちの民族主義に加担するも同然だからである。
「1978年、……当時のカーター米政権は自衛隊の軍事分担を大幅に拡大し、在沖縄海兵隊を『日本防衛』から除外する方針を決定した」と非難するが、それのどこが共産党のお気に召さないのか。
海兵隊を日本の「防衛」のために使用するか、世界中のアメリカの利益と「国防」のために動かすか、あるいはその両方の目的に活用するかといったことはアメリカの判断に属することであって、日本の労働者にとってどうでもいいことである。
しかし共産党は、海兵隊に日本の「防衛」のためにいてもらいたいのか、日本の「防衛」などにかかわりを持たず、どこかよそに行ってもらいたいのか。
日本の「防衛」など共産党はどうでもいい、かつての社会党のように、日本は憲法のいうように「戦力」などなしで、世界の「善意」に頼って生き延びていくべきとでもいうのか。
とにかくそのどの立場を取るにしても、日本独自の「戦力」を持たないというなら、そして絶対平和主義でやるというのでなければ、アメリカの軍隊に頼るか、日本の責任で軍事力を整備して、仮に外国の侵略があったとしたら――それが絶対にないといえないのは、帝国主義が跋扈し、ヨーロッパを蹂躙したドイツのファシズムや、天皇制ファシズム国家日本によるアジア侵略が横行し、最後には世界を二分して戦ったような第二次帝国主義世界大戦の時代を想起するだけで充分である――、労働者がそんな現実に対して命をかけても戦うしかないのは自明である。
ブルジョア帝国主義がはびこる現代に、プチブル党派の本性を発揮し、そんな現実から目をそらし、対話だ、交渉で解決すればいいといった幻想に溺れるだけではない、あまつさえ民族主義的迷妄を唱えて、ブルジョアや安倍政権を側面から助けるような政党は、腐敗したブルジョア的政党ではあり得ても、〝共産主義〟の政党では断じてないし、あり得るはずもないのである。(林紘義)