安倍により全国に「緊急事態宣言」が発せられ、「三密」防止や「濃厚接触80%減」「県外移動の禁止」などが叫ばれる中、都知事の小池をはじめ各首長たちが「営業自粛」を声高に訴えている――最近では、自粛に従わない店舗の公表も――。世の話題は、その自粛に伴う観光、小売り、飲食業者等への休業補償が20万円だの、50万円だのと、まるで争うのごときだ――財政豊富な小池は鼻が高い、その金は我々の税だということを知っているのだろうか?――。しかし、その「自粛」によって最も苦しんでいる人々--労働者、とりわけ非正規労働者--のことは彼らの眼中にはないかのようだ、それとも、安倍のばらまく10万円で十分だと思っているのだろうか。
連合の緊急相談窓口によると、3月に入ってから――「いきなり派遣を切ると言われた」「業績が悪いので解雇すると言われた」「自宅待機を命じられたが、その間の補償はないと言われた」「非正規の人はテレワークはできないと言われた」「解雇され住居を追われ、住む所がない」「日雇いもなくなり、ネットカフェも閉鎖され路上で寝るしかなくなった」――等々の悲痛な相談が急増し、厚労省調査でも、解雇や雇い止めは4月に入って3月の5倍強の二千人を上回っている(おそらくそれはほんの一部にすぎない)。コロナ禍がこのままずるずると長引いていくに従って、その数は何倍、何十倍へと増大していくだろう。今は、観光、小売り、飲食業等の小規模経営に多く見られるが、そのうち経済全体に不況が蔓延して製造、流通業へと広がり、大企業を含む生産全体へと――リーマンショックを超えて--及ぶに違いない。まさに資本主義の危機、労働者は団結して資本と闘わねばならない。
いつの世も最初に苦しめられるのは社会的弱者である。解雇、雇い止め、首切りはまず外国人労働者を含むパート、アルバイト、派遣労働者、期間契約労働者等の非正規労働者から始まっている。日本の非正規労働者は労働者全体の約38%2千万人を遙かに超える数となっているが、資本によって真っ先にお払い箱になるのはこうした労働者である。4月に入って、大手の自動車資本も国内の工場の一時閉鎖を決めた。期間契約労働者の一時帰休が始まっている。
資本金10億円以上の大資本の内部保留は460兆円もあると言われ、「経済の先行き不透明のための資金」と言いつつ、不況になれば真っ先に何万、何十万の正規を含む労働者を解雇、首切りするのである。そうした日が近づいている。(義)