労働の解放をめざす労働者党ブログ

2017年4月結成された『労働の解放をめざす労働者党』のブログです。

2021年04月

『まん延防止等重点措置』と「緊急事態宣言」は何ら役立たず!

『まん延防止等重点措置』と「緊急事態宣言」は何ら役立たず!

-東京五輪を直ちに中止し、5、6、7月に徹底した感染防止策を施せ-

 

 大阪で感染者が連日1200人を超え、医療崩壊が始まっている。コロナ重症患者でベッドが埋まり(110%)、救急患者を受け入れる病院が見つからず一般患者が搬送中に亡くなったり、手術ができずに死亡したりするケースも出てきた。慌てた吉村府知事が三度目の「緊急事態宣言」を菅首相に要請した。東京の小池知事らもそれに続く予想だ。再び緊急事態を広く宣言すれば、東京五輪が危ぶまれると菅らは躊躇しているが、間もなく「宣言」が出されるだろう。

 

 大阪の急激な感染拡大には幾つかの理由が考えられる。一つはパフォーマンスが得意な吉村知事が前回の「宣言」の解除要請を見誤って、その先を考えずに早期に出し、人的交流を一気に拡大させたこと。

 

二つ目は、府民に高まっていた「自粛疲れ」「自粛マヒ」(それは当然のことだ)が、解除要請と同時に一時的に解放され、人々がどっと繁華街へ繰り出したこと。

 

三つ目は3月末から4月初めが年度の変わり目で、新入社員や新入生、転勤者や一般の会社員らが(オンラインの者も含めて)登校したり出勤せざるを得なかったこと。

 

四つ目はイギリス型の変異ウイルスが蔓延し、感染率を高めたり(旧来より35~75%増)、死亡率を高めたり(30%増)したこと、間もなく東京も蔓延するだろう。

 

そして最大の理由は、「まん防」や「宣言」を過大評価し、過度に期待した結果、何ら有効な手段では無かったということである。

 

 この二法を発令すれば感染防止の有効な手段たり得ると考える菅や吉村や小池らの浅はかさが見て取れる。「まん防」は各首長が特定地域を指定し、飲食店の時短(夜9時を8時まての営業に)やマスク会食等を要請でき、罰則に20万円以下の過料が課せられる。これらで感染防止が出来るとは誰しも考えないであろう。

 

実際、大阪では期間中に感染が増えているのである。感染防止は人的交流を抑え、接触密度を低めることが肝心なのだが、飲食店の営業時間を1時間縮めても、店内への出入りが頻繁で客同士の密度が高ければ何の効果も無いのである。かえって「路上飲み」という形で密度を高めた。

 

 では「宣言」の方はどうかと言えば、こちらは対象が都道府県内全域に及び、百貨店や映画館、テーマパーク、レジャー施設、学校など広範囲に休業要請ができ、スポーツ観戦やイベントなどの中止を要請できる。

 

これらを徹底してやれば多少なりの効果が出るが、これらの資本や業界と結びついている自民党政府や首長たちは強く要請されたり陳情されればその業種を免除したり、強制を弱めたりして、徹底させることができない。

 

過去二度の「宣言」が示しているように、宣言下は人々の「自粛協力」で一時的には感染数が減るが、解除されればまた増加するといことを繰り返している。徹底した営業停止や外出規制が出来ないからだ。

 

 ところで、ワクチン接種が最も進んでいると言われるイスラエルやイギリスはその接種率が人口の50%を超え(日本は1%以下)、感染者が急速に減少している。その理由として考えられるのが、ワクチン接種前の徹底した外出規制と店舗閉鎖(広義のロックダウン)だ。これとワクチン接種が組み合って相乗効果を生んでいる。ここにヒントがあるように思われる。

 

 何かと桎梏となっている東京五輪を直ちに中止し、「国民の命と生活を守る」()なら、5、6、7月の3ヶ月を徹底した感染対策にあてること、そして五輪にかかる追加費用3000億円余をコロナ対策費に追加流用すること、また晴海の選手村21棟、3900戸・18000ベッドを軽中等患者の隔離施設に転用すること、新国立競技場をはじめ、各地の空いている五輪予定会場に仮設の隔離施設を設けたり、ワクチン接種会場等にすること、五輪開催の宣伝や衆議院選のためのワクチンの「やってる感」を醸し出す接種(河野のわけのわからぬ説明や菅の9月までにはワクチン確保の発表、少数ワクチンの無計画な全国的ばら撒き)をやめ、広く公開された「真実」の計画にそって合理的に大胆にワクチン接種を推し進めるよう要求する。 ()

ブルジョア民主主義は手段だ! ――「国会召集せず違憲」訴訟の東京地裁判決に思う

ブルジョア民主主義は手段だ!

――「国会召集せず違憲」訴訟の東京地裁判決に思う

 

 先月、あまり目立たなかったが、看過できない判決が出た。事実は、2017年の安倍内閣の時、森友・加計学園事件が発覚し、野党は臨時国会の召集を要求したが、安倍内閣は3か月間も召集せず9月になってようやく招集した途端、冒頭で国会を解散してしまったことである。野党4党は、これを憲法違反だとして提訴した。

 

憲法第53条には、「内閣は、国会の臨時会の招集を決定することができる。いずれかの議院総数の四分の一以上の要求があれば、内閣はその召集を決定することができる。」とある。安倍内閣の憲法違反は、子どもにも分かることだ。

 

ところが東京地裁は、憲法判断もせずに野党の要求を退けたのである。その地裁の判断がまたふるっている。地裁は、臨時国会を要求できるのは、議員という職務上の権限であり個人の権限でないから4党の要求は認められない、というのである。

 

個人の権利と仕事の権利を区別できるのか?八百屋の主人が、窃盗を働いた犯人を訴えたとき、仕事と個人を区別できるのか?こんな憲法違反を見過ごすようでは、「法の番人」もあったものではない。

 

 確かに最近は、いくつか前向きの判決―水戸地裁の東海第二原発の再稼働の差し止めや、札幌地裁の同性婚を認めないことを違憲とした判決など―も出ている。しかしこれらは全く少数である。こうした判決を書く判事も“冷や飯”覚悟なのだ。

 

何よりも、国民の権利のためにある裁判(所)が、働く者にとってほとんど無縁なものになっている。膨大な時間と費用の無駄、少ない利益、「疑わしきは罰せず」の反故、冤罪の多発など、こうしたことから普通の人間は、裁判所などに救済を求めないのである。

 

 三権分立などは、小学校でも教わるが、そんなものは絵に描いた餅である。そもそも最高裁の判事が内閣によって任命されるのである。どこに裁判所の独立があるというのか?

 

裁判闘争には、膨大なエネルギーと費用がかかる。裁判闘争が無意味であるというのではない。ブルジョア民主主義は、少なくとも口先では、公正な裁判や司法の独立を宣言しているし、これまでにも、松川裁判を始め輝かしい歴史的な裁判闘争があった。

 

ブルジョア民主主義を利用しなければ、労働者の団結も国会への進出も不可能である。しかし、ブルジョア階級は、口先では立派なことをいうものの、手を変え品を変えて国民の権利の実行を妨げるのである。

 

そうして国民があきらめ、権力に屈服するのを待つのである。そもそも、ブルジョア民主主義を完全に実行するなど、ブルジョアジーはやる気もないし、やったとしたら自分が支配階級の座から引きずり降ろされるのが分かっているのである。

 

 中国共産党による香港からの民主主義の剝奪、中国国内の自由な言論の封殺、ロシアの反体制派への弾圧等を見ると、ブルジョア民主主義の価値が、いやが上に高まり、ブルジョア民主主義に対する幻想が一層広がるのである。

 

もちろん我々は、中国共産党にもプーチンにも反対し、香港や中国、ロシアにもブルジョア民主主義が保障されることを強く要求するが、しかし我々は、ブルジョア民主主義が、ブルジョアジーの、支配階級の民主主義であることを、かた時も忘れてはならない。

 

かって進歩的であったブルジョア民主主義は、今日では、プロレタリアートを支配する道具に成り下がっている。もういい加減に、我々はブルジョア民主主義に対する幻想を捨てるべきなのだ。日本共産党と同じになってしまってはいけないのである。

 

我々が望むのは、労働者人民のための、被抑圧階級のためのプロレタリア民主主義である。ブルジョア民主主義は、労働者階級にとっては目的でも理想でもなく、労働者国家(半国家)を実現するための手段に過ぎないのである。

(s)

 

《『資本論』を読む会 横浜》の「学習会便り」より一部修正

トヨタは今どうなっているのか?――加速する労資一体化!

トヨタは今どうなっているのか?

――加速する労資一体化!

 

 

1、様変わりしたトヨタの「春闘」

デジタル化・カーボンニュートラル経営の課題を背負う労働組合

 

愛知県の産業を支えるのは、言わずと知れたトヨタ自動車を中心とする自動車産業の集積にある。今回の労働者党支部ビラ4月号は、100年に一度の変革期の只中にある自動車産業の中で、トヨタと労組の現状について明らかにし、搾取の廃絶=労働の解放を訴える海つばめ号外発行しました。

 

日本の春闘相場をリードしてきたトヨタ(トヨタでは春闘とは言わず、春交渉と呼ぶ)は2019年以降ベアを非公表とし、春闘からこっそりと姿を隠した。2021年のトヨタの「春闘」の結果は賃上げ月額9200円アップ、賞与は年間6.5ヶ月と、組合の要求に対して満額回答で会社側は応じた。

 

トヨタの春闘で何が論じられたのかを紹介します。

 

トヨタの春闘は今年の場合は、2月に一回目の労使交渉が行われ、組合から「トヨタの持続的成長に向けて、下記観点で議論をしていく。①働きがいや能力の、最大発揮を阻害する全社的課題②自動車産業のさらなる発展に貢献するため、オールトヨタの力を最大化し、さらに取り組むべきこと」、「本年の労使協議会では、厳しい環境下でも働き続けられていることへの感謝を労使で共有」、そして賃金、賞与の要求書が会社に渡された。会社側は「賃金・賞与について、会社と労働組合が対立軸で闘うことが目的ではない。組合員一人ひとりの能力を最大限に活かし、オールトヨタの競争力を最大化するため、賃金・賞与に限らず本音で話し合うという特徴がある。」

 

昨今のトヨタにおいては、賃上げや賞与、リストラなどをめぐって労使が対立することはほとんどない。トヨタの経営陣が強調するように、賃金や賞与で対立し争わないのは、トヨタがケタ違いの儲けを上げているからである。20年度の利益は2.07兆円。21年度もコロナ禍で、操業停止や世界的な需要の後退で未曾有の危機に見舞われたが、当初予想をはるかに上回る2.0兆円の利益が予想されている。トヨタの内部留保は24兆円と他の企業をはるかに凌駕している。豊富な資本と強固な競争力が、賃金や賞与で組合の要求を受け入れる背景である。

 

今年の春闘において労使交渉で「家族の会話」が繰り返され、「『豊田綱領』『労使宣言』『円錐形』というトヨタの原点を確認し、現場の声に耳を傾け、労使ともに、悩み、苦しみながら今日という日にたどり着いたと思います。労使双方が、『会社は従業員の幸せを願い、組合は会社の発展を考える』この共通の基盤に立ち、『幸せとは何か』、『誰かのためにとはどういうことか』を真摯に、真剣に議論していただいたことに対し、改めて感謝申し上げます」(豊田章男)と組合の労使協調の立場を持ち上げている。

 

そして、「上下一致、至誠業務に服し、産業報国の実を挙(あ)ぐべし」、「神仏を尊崇し、報恩感謝の生活をなすべし」を謳う「豊田綱領」や「生産の向上を通じて企業の繁栄と、労働条件の維持改善を図る」を明記する「労使宣言」を繰り返す社長の豊田章男から、「『デジタル化』と『カーボンニュートラル』の2本柱において、トヨタの労使が『自動車産業のリード役』を務める」とか、「550万人の自動車産業の仲間」や「日本の未来」「生まれてくる子供たちのため」、労使一体となって「デジタル化」「カーボンニュートラル」「日本の未来」に向けて、「成り行きの10年後と、戦い続けて迎える10年後は、全く違う」という〝過激〟な「戦闘継続宣言」で、トヨタの21春闘は幕を閉じた。

 

2、トヨタを取り巻く自動車業界の状況

 

完成車メーカー相関図 自動車産業は「100年に一度の変革期」の荒波の中で「生きるか死ぬかの戦い」に明け暮れている。豊田社長が言うように「デジタル化(自動運転やネットワーク化)や「カーボンニュートラル」をめぐって、各国が熾烈な競争を行っている。菅は2050年カーボンニュートラル社会実現を公約した。このような脱炭素社会への急激な変化に各国が舵を切った理由は、地球温暖化=環境問題が人類が安定的に生存していく上で無視できない問題になってきたということ。そして、環境問題を解決していく技術開発やエネルギー開発が資本にとって資本の発展を阻害するのではなく逆に、100年に一度の変革期に象徴されるような技術的なブレークスルーを生み出し、競争に勝ち残った者が独占的に利益を占有することができるからである。


自動車産業では電気自動車の勝者を決める下克上の戦いが、各国政府を巻き込みながら業界の再編=資本提携、業務提携を繰り返しながら昼夜戦われている。

 

自動車産業のEV化を巡る競争はとりわけ激烈。なぜならエンジンやHV車など内燃機関を動力源とする車両の部品点数は3万点であるのに対して、EV車の場合は十分の一の3千点と言われている。自動車生産の技術的蓄積がなくても部品を仕入れて組み立てれば容易に自動車を生産することができる(テスラを見れば一目瞭然)。最も重要なコアな技術をなすのは、自動車の全てを制御するソフトウエアでありソフトウエアを処理する半導体と各種センサーである。

そしてEV車を究極的に規定するのはエネルギー=電池である。主流のリチウムイオン電池は当面のEV車のエネルギー源であり、VWGMや中国は電池の開発、生産に多額の資金を投入し一気に主導権を握りトヨタや日本の電池メーカーを引き離そうとしている。しかしリチウム電池は、充電時間や安全性、使用する原材料の価格と供給源の問題から、新しい電池の開発をめぐっても激しい開発競争が進められている。特に全個体電池は充電時間、航続距離、安全性を大きく向上させることが確実で実用化されると、EV車のゲームチェンジになる技術と言われているし、燃料電池車=ミライがトヨタから発売されたように電動車の主導権争いは苛烈である。

 

3、成果主義賃金制度に自民党支持。労組であることを放棄し、会社に従属することで存在を許されるトヨタ労組!労組幹部は豊田章男の宣教師だ!!

 

 トヨタでは今年から成果賃金制度が全面的に導入されようとしている。これまでの職能基準給+職能個人給の賃金体系から全面的に職能個人給に一本化し、評価も事技職(事務、技術職)はこれまでの4段階からA,B,C,D1,D2,Eまでの6段階に評価を細分化し、工場現場はADまでの4段階に変わりはないが、D2D評価は昇給ゼロで配置転換やリストラ対象者扱いに等しい。

 

トヨタイムズに盲従し会社に全面的に協力し、QCサークルをはじめとする会社行事や、カイゼン活動に自発的、積極的に取り組むことがA評価を受ける踏み絵である。

 

成果賃金制度を導入したトヨタ労組は昨年の11月に、選挙での推薦候補に政権与党である自民党と公明党の候補者を新たに追加する方針であることを発表した。

 

組合は賃金制度で組合員の間に差別と分断を持ち込むことによって、会社側の労務管理に屈服したが、政治においては自民党や公明党の候補者を推薦することによって、自民党政権との闘いも放棄したのである。

 

リーマンショックや大規模リコール、東日本大震災、そしてコロナ禍を乗り越えて世界最強の自動車メーカーに上り詰めた社長の豊田章男は、トヨタイズムの教祖として君臨し、豊田章男に追従する労組幹部はトヨタイズムを拡散し実践する宣教師の役割を果たそうとしている。

 

日本から労働運動の息吹が消えかかってから長い年月が経過した。労使協調の連合が発足し、会社と馴れ合うことが組合運動であるかの状況を呈している。ストライキは一部の組合を除いてほとんど行われることはなく。ストライキを通告したJR東日本の労働組合は、逆に会社側から労組解体の攻撃を受け組合員数が激減した。

 

資本が容認するのは労使協調で資本に忠実なトヨタ労組のような労働組合である。トヨタが賃上げや賞与で対立することなく満額回答を行うのは、好調な業績を支えるトヨタイズムに絡め取られた宣教師=労組幹部を養育するためである。イズムや精神的結びつきによる関係は、金銭的な関係よりも強固でさえある。

 

資本家が繰り返す「家族の話し合い」や「共通の立場」は、会社に滅私奉仕を強要する、都合の良い言葉でしかなく断固拒否し、搾取の廃絶=労働の解放を掲げて共に闘おう!

 

(労働の解放をめざす労働者党愛知支部の4月ビラでの訴えを一部修正)

 

『海つばめ』1400号本紙の訂正とお詫び

『海つばめ』1400号本紙の訂正とお詫び

 

1400号 の『海つばめ』本紙2面の「長野参院補選」の記事では立候補者は4名と紹介しましたが、立候補を表明していた荒井氏が立候補しませんでした。告示日の8日が、『海つばめ』編集締め切りで校了し、印刷・発送に回されており、修正出来ず申し訳ありませんでした。本紙読者の皆様には荒井氏の立候補の箇所(「3月末に立候補を表明した「信州義人の会」の荒井も立候補している」)の削除訂正をお願いいたします。本紙次号に訂正を掲示いたします。よろしくお願いいたします。

(立候補しなかった荒井久登氏については、8日当日の『信濃毎日新聞』で、「荒井氏は午前10時に安曇野市の穂高神社を参拝。長野市街地で夜に街頭演説をする予定という」、このような記事が掲載されていました。)


★ 自民党と反動の改憲策動、軍国主義路線を断固粉砕しよう!
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