労働の解放をめざす労働者党ブログ

2017年4月結成された『労働の解放をめざす労働者党』のブログです。

2021年09月

安倍・菅政権の戦犯者の権力争い──始まった自民党総裁選

安倍・菅政権の戦犯者の権力争い

──始まった自民党総裁選

 

自民党総裁選の立補者が決まった。立候補者に名乗りを上げたのは、河野行政改革、ワクチン接種担当相、岸田前政調会長、高市前総務相、野田幹事長代行の4人である。いずれも安部・菅政権の閣僚として政権を支えてきたメンバーである。

 

河野は「実行力・突破力」を看板にアピールしているが、菅政権の下での新型コロナ準備・接種の立ち遅れ、混乱についての責任については口を閉ざしている。かつて、「脱原発」や「女性天皇制」容認など「改革」派を名乗ったことはあるが、保守派の反発を意識してか、「女性天皇」については封印、「日本の一番の礎になっているものが、長い伝統と歴史と文化に裏付けられている皇室」と天皇の意義を強調、原発についても「安全が確認された原発を当面は再稼働させていく」と方向転換した。その一方では、安倍への批判派である石破の協力をとりつけるなど、自民党の〝新しい顔〟をアピール、総裁の座を獲得しようとしている。

 

こうした河野の行動は、小泉純一郎(小泉進次郎の父親)を思い起させる。

 

 かつて金権腐敗で自民党が世論の激しい批判にあっている中、小泉は「自民党をぶっ壊す」と言って首相となったが、「自民党をぶっ壊す」どころか、非正規労働者の容認など新自由主義政策の導入、日米安保体制を強化し、米国の中東への軍事介入への協力などを行ったのである。

 

 河野は、防衛相の時には沖縄辺野古基地建設を推進したし、岸田、高市も軍拡路線では皆同じだ。岸田は、自衛隊の憲法への明文化、緊急事態事条項など4項目の憲法改定、敵地攻撃能力の保持を掲げ、高市に至ってはミサイル攻撃などを受ける前に敵地攻撃を無力化する能力を持つことは必要と先制攻撃のための軍事力整備を謳っている。

 

 安倍政権の下で内閣人事局がつくられ、官僚の人事権を官邸が一手に握るなど権力の集中が行われたが、森友・加計学園問題、「桜を見る会」問題など権力の私物化、それにかかわる公文書の改竄など安倍・菅による権力犯罪の未解決問題については、いずれの候補も「再調査」は不要とのとの態度だ。

 

 安倍・菅政権よる強権政治の下で、政治腐敗、軍備増強が進んだ。そしてまた労働者・働く者の生活もますます酷くなった。「格差社会」と言われるように、富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなった。新型コロナが「格差」をもたらしたのではなく、それをさらに拡大したのである。

 

 いま問われているのは、破綻した自民党政治を根底から打倒していく労働者の階級的な闘いである。  
  (T)

読者からの質問に答える ――二酸化炭素温暖化説について

読者からの質問に答える

――二酸化炭素温暖化説について

 

 

『海つばめ』(1409号)の記事<「資本新世」の告発と闘いを――IPCCは早急なCO2排出削減を要請>に関連して、読者から労働者党は二酸化炭素温暖化説についてどのように考えるのかという質問がきている。

 

この読者は、広瀬隆や池田清彦氏の著書(いわゆる二酸化炭素温暖化説に対する「懐疑論」「否定論」の立場からする議論)を読んでそれに共鳴し、二酸化炭素温暖化説には疑問を持っているという観点からの質問である。

 

9月発行予定の『プロメテウス』(60号)では温暖化問題を特集にしており、二酸化炭素温暖化「懐疑論」「否定論」に関してもそれを主なテーマとした論文を掲載する予定なので詳しくはそちらを参照していただきたいが、当面読者の疑問に沿って簡単に答えておきたい。

 

まず、産業革命以後(特に19世紀後半以後)の地球平均気温の上昇やこのまま二酸化炭素の排出が続けば将来の気温がどうなるか、そしてその結果としての異常気象や氷河・海氷の融解、海面上昇、等々についてのIPCCの見解については、我々は基本的に科学的な諸研究を総括した正しい見解であると考えていることを表明しておきたい。

 

いわゆる二酸化炭素温暖化「懐疑論」「否定論」者が必ずといっていいほど取り上げるのが、ホッケースティック・グラフ(IPCCの主要な執筆者でもある米気候学者マイケル・マンらが1998年と1999年に発表した最近1000年間の地球気温のグラフ)とクライメート・ゲート事件(英国気象庁が設けた英イースト・アングリア大学気象研究ユニットCRUのコンピュータがハッキングされメールを含む文書が流出し、データの捏造が行われていたことが明らかになったとして「懐疑論」「否定論」者が攻撃した事件)である。

 

前者については特に1900年以後の温暖化が際立ったグラフになっているが、特段歪曲が行われているわけではなく基本的には正しく、最近のより詳細な研究によってもグラフの誤差範囲内に収まっているといわれている。また、後者では特にこのグラフの作成に関するメールが問題視され「トリック」が行われたかのように喧伝されているが、英下院や王立協会、イースト・アングリア大学等々の調査で「不正」はなかったことがすでに立証されている事件であること強調しておきたい(むしろ、「懐疑論」「否定論」を流布している側が不法にハッキングし「トリック」をでっちあげるのに使ったと考える方が自然だ)。

 

広瀬隆もこの両出来事を取り上げて「中世温暖期」が意図的に塗りつぶされているなどと騒ぎ立てているが、とうの昔に決着がついている出来事なのだ。

 

 

読者氏は「世界的にはまともな学者は二酸化炭素温暖化説はIPCCによるインチキであるとわかっていて、米国では3万人の学者が京都議定書への署名に反対した」という、これも「懐疑論」「否定論」者が好んで取り上げる論点をあげている。

 

これは、1998年に米国のOregon Institute of Science and Medicine (OISM)が行った「オレゴン嘆願書」のことだと思われるが、これについては明日香壽川、他が編纂した『地球温暖化懐疑論批判』(IR3S/TIGS叢書No.1)に、この嘆願書の信頼性についてのかなり詳しい分析が載っている。

 

署名者には同姓同名の人が含まれているとか、姓がなく名前だけとか偽名らしい名前が含まれている、等々の他に、この署名の主導者フレデリック・ザイツという人物は大手たばこ会社から献金を受けて「間接喫煙の健康被害はない」と主張し続け、またエクソンモービル社との関係が強いなどとても「まともな学者」とは言えない人物のようだ。

 

『地球温暖化懐疑論批判』はネット上から無料でダウンロードできるので是非読んでみていただきたい。

 

読者氏は、さらに「地球の気温変化の第一の要因は太陽の黒点の状態であると言います。確かに大気中のわずか0.003%程度から0.004%に上がったからと言って二酸化炭素が気温にそれほど大きな影響を与えるというのは、不可解な気がします」として、気候変動に影響を与えるものとして二酸化炭素より黒点活動(太陽活動)の方が大きいのではないかと疑問を呈している。

 

太陽の黒点活動はほぼ11年周期で大小を繰り返しているが、1800年代初めころの「ダルトン極小期」のように活動が低調なサイクルの時期もあり、現在はそれに近い状態に入っているという説もある。

 

また、1600年代後半から1700年代の初め頃にかけてのように黒点活動がほとんどなかった時期が70年余りも続いた時期(マウンダー極小期)もあり、こうした数百年規模の変動もあるのではないかとも言われている。

 

これらの説によれば、地球は今後寒冷化していくということになるが、黒点活動の100年規模あるいは数百年規模の変動については明確な根拠があってそう言われているわけではないし、現在の実際の温暖化傾向とも全然マッチしていない。

 

また、もっと大規模で確かなものとしては太陽と地球との軌道関係の変動から起こる10万年周期の氷期・間氷期の変動がある(ミランコビッチ・サイクル)。

 

このサイクルからすると、現在の間氷期はまもなく(あと1,2万年?)終わり、氷期に入っていくことになるが、現在のような二酸化炭素濃度(現在は約410ppm)が続く限りあと5万年は間氷期が続くといわれている。

 

まさに「人新世」といわれる(我々の立場からすると「資本新世」)所以である。つまり、黒点活動の低下傾向や軌道条件の変動からする地球気温の変動(寒冷化)をも攪乱する形で、二酸化炭素(その他の温室効果ガスも含めて)排出による温暖化が進行しているのが現代なのである。 
(長野 YS)

国境炭素税導入が加速 ――対立激化と秩序再編の導火線に

国境炭素税導入が加速

――世界の対立激化と秩序再編の導火線になりかねない

 

 CO2に値段を付ける国境炭素税導入の動きが活発になってきた。これは、CO2排出量に課金する仕組みを作り、CO2削減を急ぐためだとされる。

 

 EU欧州委員会は7月、温室効果ガスの削減策の一つとして国境炭素税を26年に導入する方針を明らかにし、その具体案を公表した。

 

「まず、CO2の排出量が多い鉄鋼、アルミニュウム、セメント、肥料、電力の5分野で、環境規制が不十分な国・地域からの輸入品に課税する。金額は、企業が温室効果ガスの排出枠を取引する際の価格をもとに決める。23年から準備に入り、26年から始める方針だ」(『朝日』21.8.25)。

 

この国境炭素税導入の理由は、単にCO2削減規制が緩い国や遅れている企業の尻を叩くだけではなく、EUの環境規制を避ける目的で、生産拠点を規制の緩い国に移すことを防ぐことにあると報道されている。

 

だが、それだけでは無いだろう。EUは既に自動車のEV化や再生可能エネルギー電力や水素還元製鉄などで世界を一歩も二歩もリードしているのであり、EUはこれを前提に、進捗が遅れている国家の企業製品に国境炭素税を課し、一段と優位な地位を確保し、経済的な大きな利益を狙っているのだ。

 

米国でも、バイデンが昨年の大統領選で公約したに国境炭素税を導入する方向で動き出し、民主党は去る7月に「炭素集約的で貿易上の競争にさらされた業種」に適用すると、具体的な法案を提出した。

 

このEUや米国の動きに対して、日本政府は国内のCO2課金には一応前向きであるが、国境炭素税については、世界の過去の環境税導入の経緯(フロン税や化学物質税など)を研究しはじめている段階であり、「諸外国の検討状況を注視しながら対応を検討する」と様子眺めのようだ。

 

しかし、政府も資本も内心は穏やかではない。日本製鉄の橋本社長はEUの「保護主義」だと反発し、経団連も「慎重な検討を求める」緊急提言を出したことがそれを物語っている。

 

気候温暖化の対策が急務になっているとは言え、EUや米国が環境炭素税を導入するなら、対中国を念頭に置いた経済戦争は、進捗の遅れた日本や非先進国にも飛び火することが必至である。

 

なぜなら、EUへ鉄やアルミなど多くの製品輸出を行っている中国は、対EU〝優位〟が脅かされることになり、日本も自動車や鉄や電力などに課税されるなら、その痛手は計り知れない。さらに、東南アジアや中南米などの非先進国にとっては、新たな危機に直面しかねない。その結果、国境炭素税は、かつて関税戦争が現実の戦争に転化したように、世界の対立激化と秩序再編成に向けた帝国主義的対立の導火線になりかねない。

 

資本主義と帝国主義は、世界共通な課題であり協働して解決しなければならない気候温暖化問題さえ、国家間を競合させ対立させずにおかないのだ。その結果が現実となれば、労働者が一番の犠牲者になるのは明らか。  (W)

政府の棄民策──アフガン、日本の現地スタッフ置き去り

  政府の棄民策、今も昔と変わらず

──アフガン、日本の現地スタッフ置き去り

 

8月31日、米国政府はタリバンとの約束通り、アフガンからの米軍の撤退が完了したと発表した。しかし、タリバンの野蛮な〝報復〟を恐れ、国外に移住を望む多くのアフガン現地スタッフや住民が取り残されたままである。

 

  とりわけ、日本の〝救出〟行動の立ち遅れが目立つ。政府が自衛隊機派遣を決めたのは8月23日、アフガン政権が崩壊してから8日もたってからである。バイデンは、アフガン政府があっという間に崩壊、政府軍も何の抵抗もなくカブール空港周辺はタリバンに占領され、思うような救出が出来なかったと言い訳したが、日本政府はすべて米国任せで自主的になにも主体的に準備していなかったのである。

 

結果、31日に岸防衛相は自衛隊機の撤収を発表し、自衛隊機が運んだのは、日本人1人と、米国から要請を受けたアフガン人14人、僅か15人にとどまり、日本大使館や国際協力機構の現地スタッフとその家族約500人は取り残されることとなった。

 

  一方、日本大使館員12人は全員、政権崩壊後2日、英軍機で脱出しているのである。大使館員が早々と国外に脱出したということは、大使館が危機を察知していた証拠である。にも拘わらず自分たちの安全さえ確保できれば、これまで協力していた現地のスタッフのことなどどうなっても構わないということか。恐るべき無責任というしかない。

 

  こうした政府の態度は、戦前から一向に変わっていない。戦前には、満州に100万戸の移住計画を立て、27万人の満蒙開拓団が送り込まれた。現地に行けば農地も家もあると言われたが、実際には中国人から軍が収奪したものであった。

 

開拓団は日本がでっちあげた「満州国」へ送られ、食糧増産、農業建て直し、さらには満州防衛の役割を担わせた。そして、彼らは敗戦時には「居留民はできる限り定着の方針を執る」とされ、また「満鮮に土着する者は日本国籍を離るるも支障なきものとする」とされたのである。

 

国策として満州に送り込まれた開拓団民は、敗戦によって余計者として国から見放され、「棄民」とされた。国から見放された開拓団員たちがいかに悲惨な状況に貶められたかは、敗戦による逃避行で8万人が命を失い、数多くの幼子たちが中国に置き去りにされたことにも示されている。(以上、寺沢秀文、「満蒙開拓の『真実』」、朝日8・31参照)

 

 アフガンに取り残された500人もの現地スタッフも「棄民」そのものである。彼らは、「民主的」国家を建設するという日本政府の呼びかけで、教育や保健、生活指導などの分野で活動してきた。現地に取り残された彼らは、米国を中心とするアフガン駐留軍への積極的協力者として、報復を受ける可能性は大きい。

 

既に、駐留軍の通訳であった者とその家族は〝裏切者〟として惨殺されたという報道もある。身の危険を感じて出国を望むアフガンのスタッフに対して、政府は責任をもって対応すべきである。

 

 アフガン政府崩壊後の状況を予測して、韓国のように素早く何百人もの国外移住希望者を外国に送ることに成功した国もある。しかし、日本の政府は、大使館員だけは早々と国外に脱出させておきながら、現地スタッフのことはまじめに考えていなかったのだ。さんざん協力させておきながら、後は置き去りとは満州開拓団と同じではないか。今の政府のやり方は、戦時中の政府と何も変わってはいない。

 (T) 

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