労働の解放をめざす労働者党ブログ

2017年4月結成された『労働の解放をめざす労働者党』のブログです。

2022年02月

なぜ批判が必要か 《学習会の議論の中で》

なぜ批判が必要か

《学習会の議論の中で》

―神奈川の『資本論』学習会会報より(一部削除・修正)


 学習会の議論の中で、斎藤幸平の著書(「人新世の資本論」)はわかり易く、『資本論』を広めるのに貢献したとか、マルクス主義は批判が多すぎる、団結すべきだ、といった意見が出されました。

 斎藤氏や白井聡氏(「武器としての『資本論』」の著者)が『資本論』の普及にある意味で貢献したというのは確かでしょう。しかしここに陥穽があります。読み易いがゆえに一層警戒しなければならないのです。

 マルクスの『資本論』やその他の著作は、資本主義社会の歴史的進歩性を認めると同時に、その没落の必然性とそのための労働者階級の闘いの必要性を明らかにしたものです。

 『資本論』は難解な書だけにどうしても解説書に頼ってしまうのです。この解説書がマルクスの意図を正しく伝えていればいいのですが、このブルジョア社会では、解説者自身が、大学の先生やジャーナリストなどの小ブルジョアインテリであるので、多くの解説書が階級的な視点を故意に隠蔽したり、欠落させたりしているのです。

 マルクスが一貫して訴えていることは、資本主義社会を支え維持しているのは労働者であり、その労働であること、労働者の解放(それは全ての階級の解放につながる)は労働者階級自らの力で成し遂げなければならないこと、そのために労働者は団結し、資本の支配(賃金奴隷制)の廃絶に向けて労働者の階級闘争を発展させることです。

労働者の階級闘争を発展させよう

 こういうマルクスの根本思想から見て、今、市中に出回っている『資本論』やマルクスについての解説書はどうでしょうか? 残念ながら、殆どの解説書が失格ということです。読者に、資本の支配の廃止や労働者の階級闘争を、真剣に訴えている解説者は全くないと言っていいでしょう。

 レーニンがマルクスの思想を解説した論文『カール・マルクス』を見てみますと、初めに「マルクスの学説」として、唯物論や唯物史観などの解説があり、最後に来るのは、階級闘争です。次いで「マルクスの経済学説」と「社会主義」が説明された後、最後に再び「プロレタリアートの階級闘争の戦術」を説いて終わっています。

 レーニンが、マルクスと共に終始一貫して強調していることは、プロレタリアートだけが、真に革命的な階級であり、ブルジョアジーだけでなく小ブルジョアジー(大学のインテリ先生もこれです)も革命的でなく保守的であること、そして労働者は、資本の支配の廃絶に向けて階級闘争を発展させていかねばならないということです。

 翻って、斎藤幸平氏やその他の解説者が述べていることを読んでください。なるほど彼らは、資本主義が時代遅れになったことやその矛盾や弊害らしきことを述べています。しかし一体、この資本主義をどうしようと彼らは言っているのでしょうか?

 彼らは労働者の階級闘争も、資本の支配(賃金奴隷制)の廃止のことも、一言も述べていません。その代わりに、例えば斎藤幸平氏は、労働者が共同出資して生産手段を共同管理する協同組合を提唱しています。しかし資本主義的な環境をそのままにした協同組合運動は、結局は企業との競争に敗れるか、あるいは資本主義的な経営に変質していくしかないのです。

 あるいは、「武器としての『資本論』」の著者の白井聡氏が述べているように、労働者は贅沢を目指して経済闘争を闘えばいいのでしょうか? これについてもマルクスは、賃上げ闘争に満足してはいけない、労働者は賃金奴隷制の廃絶に向って闘わねばならない、と檄を飛ばしているのです。

マルクスを平凡な改良主義者にするな

 このマルクスやレーニンが絶えず労働者に説き続けた肝腎かなめのことが、ブルジョア出版物の解説書からは抜け落ちているのです。これらの解説書から浮かんでくるマルクスのイメージは、単なる資本主義の改良主義者に過ぎません。彼らは革命家マルクスを、単なる市民主義者にしてしまうのです。ここにこそ私たちが、斎藤氏や白井氏などの著書やブルジョア出版物を批判する理由があります。

 彼らの描くマルクス像に囚われていては、労働者の団結は解体され、労働者の階級的闘いは、単なる市民運動に解消されてしまいます。これこそブルジョア階級が、狙っていることなのです。

 労働者の階級的闘い、資本の支配を廃絶する闘い、労働の解放をめざす闘いを捻じ曲げ、単なる改良的な闘い、物取り主義の闘いへと導くこと、これこそブルジョア階級の、そしてその意を受けた小ブルインテリたち(彼らは意識しなくても客観的には)の狙いです。

 資本家階級は、あらゆる手段を使ってブルジョアイデオロギーを労働者に注ぎ込もうとしています。ブルジョア出版物のマルクス解説書もその一環です。彼らの著作が労働者の革命的な闘いに害毒を流すことを警告し、批判する必要があるのです。

 資本主義社会においては、二つのイデオロギー、つまりブルジョアイデオロギーと労働者の階級的イデオロギーしかありません(勿論、その中間にはブルジョアイデオロギーの変種である様々な小ブル思想がありますが)。

 ブルジョアイデオロギーを批判せずに放置しておくことは、労働者階級をブルジョアイデオロギーに、思いのままに染めさせることになるのです(「支配階級の思想は、支配的な思想である。」マルクス)。ここに私たちがインテリ教授たちのマルクス本を批判する意義があるのです。(K)

神奈川の『資本論』学習会参加者からの便り

神奈川で『資本論』学習会を行っている「横浜労働者くらぶ」の会報に、参加者の声が掲載されています。「労働者くらぶ通信第1 4 号」から紹介します。

 

学習会に大いに期待します

学習会参加者からの便り

 

レジュメのご手配有難うございます。当学習会で作成された資本論他レジュメは、手元にファイルして保管しており読み返しています。

 

図書館にはマルクスの解説書、入門書が沢山並んでおりますが、何れも学者の言葉での解説であるが故にマルクスの難解度を咀嚼するまでに至っていないというのが私の感想です。

 

私のような初心者には少し回りくどくなっても、より平易な言い方での説明が必要です。当学習会でのレジュメはその点でよくできていると思います(平家物語のような古典を現代文に翻訳するように)。

 

その点では先日も話題になった斎藤教授(大阪市大)の資本論の解説が今話題になるのは理解できます。解説が平易で分かりやすいです。然しながら あの考え方で社会を変えられるかは甚だ疑問です。

 

逆に安易に貧困とか格差を論じるが為に、マルクスが資本論の最初であんなにクドクドと商品の特性を説き続けた要因は何なのかと云った肝心な処がどこかに置き去りにされて行くのを危惧します。

 

耳ざわりが良い説明であるがゆえに逆に軽く、薄っぺらなのです。更には斎藤氏(自称マルクス学者)が言う処のコモンという考えは、今から20年ほど前に宇沢教授(ひげを生やした学者)が日経新聞の経済教室でよく云っていた社会的共通資本の考えの焼き直しでしかないと思います。何も斬新な考えではないのです。

 

斎藤氏が、マルクスもすでに当時エコロジーを唱えていたといったりして、現代的なテーマに結び付けるが為、人はますます引き付けられるのです。その結果として段々とマルクス思想の本質からかけ離れていくという訳です。 そんな中でのマルクス・エンゲルスの学習会に大いに期待しております。(Tg)

 

横浜労働者くらぶの学習会 ―― 3月の予定

◆「資本論」1巻前半学習会

・3月9日(水)1830分~2030

・県民センター702号室

・商品の物神性、交換過程

◆「反デューリング論」学習会

・3月16日(水)1830分~2030

・県民センター702号室

・哲学篇(続き)

◆「資本論」1巻後半学習会

・3月23日(水)1830分~2030

・県民センター703号室

・労賃(続き)、資本の蓄積過程(その1)

◆「資本論」3巻学習会

・3月23日(水)1810分~2030

・県民センター705号室

・利子生み資本(続き)

メール: yokorouclub@gmail.com

『資本論』を読む会ブログ:https://yokorou.blog.fc2.com

 

http://yokorou.blog.fc2.com/blog-entry-264.html

愛知支部発行〝春闘〟特集の『海つばめ』号外2月号紹介

労働の解放をめざす労働者党愛知支部発行〝春闘〟特集の『海つばめ』号外2月号の記事を紹介します。

愛知支部ロゴ

★ 岸田・経団連・連合は22春闘をどう闘おうとしているのか?

 

★資本家団体・経団連は賃上げと引き換えに労働者に何を押し付けようとしているのか?!

 

★それは、生産性向上=労働強化であり、成果主義賃金であり、ジョブ型雇用であり、同一労働同一賃金を名目とした手当削減だ!

 

〝官製春闘〟の旗を振る岸田、絶望的な格差と貧困を生み出す非正規雇用の一掃が先決だ!

スト件数と損失日推移

 以前ほど大きな関心を惹かなくなったとは言え今年も春闘の季節が巡ってきた。年配者であればストライキで電車やバスが止まり、大規模な集会が各地で開催されたことを覚えているでしょう。今ではストライキで電車やバスが止まることもなければ、大規模な集会や労働歌、シュプレヒコールが街頭にこだますることもなくなった。

安倍政権から〝官製春闘〟に姿を変え〝賃上げ要求〟の旗振り役が労組から自民党政府にとって変わった。安倍が、賃上げ要求の旗振りを買って出たのは、安倍が労働者の労働条件改善を真剣に考えたからではない。

 

再び問題となっている政府統計の改ざんや集計方法を変えてまで、アベノミクスの成果として達成したかったGDP600兆円の「需要喚起策」のためである。安倍は賃上げを行った会社の税金を安くするアメを用意したが、賃上げ率は減少した。

 

岸田は、規制緩和の新自由主義に変わる「成長と分配の好循環」という全く無概念な「新しい資本主義」を説いて回り、「賃上げ3%超」を訴え、保育や介護労働者の賃上げ9千円の実現を約束したーー僅か9千円の賃上げで、しかも予算措置を行っても払うか払わないかは経営者しだいのいい加減なものーー。安倍に習って岸田も、賃上げを行った企業には税金を安くするおまけを付けたが、そもそも赤字で法人税を払っていない企業は法人企業全体の65.4%もある。

 

好業績を上げ、人手不足によって利潤確保の機会を逃している企業にとっては、3%程度の賃金上げで資本が必要とする人材を確保することができれば、安いコスト負担でしかない。

非正規割合の推移

 最近になって突然、日本の労働者の低賃金がクローズアップされているが、岸田が規制緩和の新自由主義(その最たるものが低賃金非正規労働者の激増)を否定するのであれば、非正規労働者を大量に生み出している労働者派遣法を直ちに廃止し、派遣労働者の雇用を保証するなら、我々も名前を呼び捨てすることなく、岸田総理大臣と肩書き付きで呼んでも良い。

「新しい資本主義の起動に相応しい賃上げを望む」経団連の本当の狙いは、3%賃上げを叫ぶ岸田も、息を吐くように嘘をついた安倍と何一つ変わるところはないが、資本家団体=経団連の春闘方針はいかなるものなのだろうか?

 

岸田からのパスを受けた資本家団体=経団連の十倉雅和会長は、「収益・成果を働き手に適切に分配すべく、企業の責務として、賃金引き上げと総合的な処遇改善に取り組むことが非常に重要であると考えています」(1/25フォーラム)、「新しい資本主義の起動にふさわしい賃金引き上げが望まれる」と宣言し岸田にエールを送った。

 

要するに、経団連をはじめ経営者は、なによりもDX(デジタル変革)、つまりAIやIoTや半導体等の先端技術分野の『敗戦』から立ち直るためにと、賃上げや岸田の言う『人への投資』(『海つばめ』1418号参照)を行い、それらによって技術を持つ人材を確保しつつ賃上げによる個人消費拡大を期待するのである。(略)つまり、経団連にとっては、労働者の賃上げに配慮するが、なによりも世界に伍して闘える日本資本主義(共産党の志位がいう「強い経済」)の再構築こそが必要だと強調するのである。これを達成するためにと、経団連は国内投資や賃上げのための財政的支援(22年度政府予算案を見よ)を要求し、かつ賃上げが消費に回るための方策ーー『将来の暮らしの不安を解消するための社会保障制度の構築も急務であり、それが出来なければ成長は成し遂げられない』(十倉会長)ーーを注文するのだ。(『海つばめ』1419号「資本の春闘方針を打ち破れ」から)

 

彼らが賃上げを容認する理由を先の「海つばめ」の引用で明らかにしたが、更に見逃してはならないのは、賃上げ容認と同時に「働き方改革や社員のスキルアップが国際的に低迷している日本の生産性向上につながる」と強調していることからも明らかなように、「働き方改革」や「社員のスキルアップ」で「国際的に低い(OECD加盟38カ国中23位「日本生産性本部」)生産性を向上」させることを狙っている。

 

賃上げで労働者に譲歩し減少した利潤を、労働密度を高めて〝脇目を振らずに働け〟と、生産性向上によって、賃上げで減った利潤以上むしり取ろうというのである。


主要企業ジョブ型導入状況
 「働き方改革」の看板のもと「ジョブ型雇用」=『職種や仕事内容、必要な資格等を会社が事細かに規定する賃金体系』によって賃金を決定する方向に舵を切ろうとしている。

資本は労働者個人に達成すべき目標や仕事内容を明示化することによって労働者間の競争を煽り団結を切り崩し、労働者が孤立した個人として経営側に対抗することを余儀なくさせる。抵抗の手段を奪われ手放した労働者は、自ら資本の軍門に降るか〝戦力外〟の通告を受けるかの選択しか用意されてはいない。

 

現在〝ジョブ型雇用〟は大企業やITベンチャー企業が中心でまだ一部にとどまっている。しかし表にあるように今後急速に導入が進もうとしている「ジョブ型雇用」を都合よく解釈し、支払う賃金総額を変えることなく〝分配〟を変えて労働者の分断を図り、トヨタに習って「成果主義賃金」制度に移行すると、うそぶく資本家が出てくるのは確実である。

 

既に「同一労働同一賃金」を逆手にとって、資本は各種手当の廃止を行い賃金総額の引き下げ、労働条件を非正規労働者の労働条件に近づける悪巧みを画策している。

 

「同じ資本家団体でも経済同友会の櫻田代表幹事は〝官製春闘〟に対して「いつまでやるのかと正直感じる。『官製』によって『新しい資本主義』が出てくるものではない」と経団連の立場と違う見解を表明した。

 

これは経団連が大企業を中心に組織され国家との一体化を求められているのに対して、同友会が経営者個人によって組織されているという違いで、正直な〝本音〟が語られている。

 

労働者にとっては、経団連だろうが同友会だろうが、労働者に対する搾取労働を企業活動の基礎とする独占資本や経営者の意見の違いなどどうでもいいことである。

 

我々が要求するのは、搾取労働の廃絶・労働の解放である。

 

資本に屈服し岸田にすり寄る連合や立憲・共産党に替わる闘いを準備しよう!
春闘の平均賃上げ率推移


 岸田や経団連が春闘に向けて新しい資本主義に相応しい賃上げを叫んでいるが、肝心の労働組合=連合の動きはどうなっているのだろうか?労働組合の組織率は17%程度で、組合に組織されていない多くの労働者は賃上げはおろか、賃下げすら当たり前である。

とりわけコロナ禍の中で運輸交通、宿泊観光業や商業では多くの労働者が首を切られた。好調な自動車産業も半導体不足や部品の供給が滞り、EV化に向けた再編と相まって、二次・三次の下請け会社を中心にリストラが進んでいる。

 

 VWを上回って世界最大の自動車メーカーになったトヨタの労働組合は、今年の春闘(春季労使交渉と呼ぶ)において、平均賃上げ要求を行わず「職種」「職位」毎に要求するようになったという。

 

トヨタ労組は、19年以降ベアを非公開とし春闘の表舞台から姿を消し、成果主義賃金制度が昨年から本格的に導入された。衆院選挙では組織内候補で現職の議員の立候補を取りやめ自民党に議席を譲り渡した。同じ自動車総連のホンダ、日産、マツダ労組は賃上げ要求金額を公表しているが、公表したからと言って、会社側と慣れあう労資協調は揺るがない。連合が開催した「2022年新年交歓会」で、岸田、後藤厚労相、十倉経団連会長ら政府・資本家団体から挨拶を受けたが、立憲の挨拶を求めず波紋を呼んだ。

 

700万の組合員を組織する連合は、自民党・資本家団体との協調と連携を新年早々鮮明にした。労働者は、連合の様に自民党や資本家団体と慣れあうことをきっぱりと拒否しなければならない。

 

【長い間、労組の御用幹部共や共産党は、大幅賃上げで不況脱出や経済回復を叫び、さらには地域経済の活性化を実現するかに幻想を振りまいてきた。彼らは資本主義経済の不況脱出に協力するのであり、実際に経済回復に片棒を担ぎ協力してきたのだ。 

そして、彼らは労働者の資本との闘いを経済回復の枠内に導き、逸らせ、資本との協調を促し、労働者の賃金闘争をぶち壊してきたのである。】(『海つばめ』1419号「資本の春闘方針を打ち破れ」から)

 

労働者の闘いは困難な中にある。コロナ禍が暴いたように、資本主義の中で格差と貧困は恐るべき状態になった。資本主義は歴史的役割を終え、新しい社会への転換は必然である。それは岸田が唱える「新しい資本主義社会」という弥縫策とは真逆である。資本主義体制の根本的な変革(人はそれを〝革命〟と呼ぶ。)資本家階級の支配を一掃し、搾取労働を廃絶し生産手段を共有する労働の解放された社会である。

 

愛知支部主催 第21回「資本論を読む会」のご案内

★2月20日(日)13時15分~15時

★会場 昭和生涯学習センター
★地下鉄「御器所」桜通線・鶴舞線、下車6分

★連絡先 070-8959-1147 古川

★ 自民党と反動の改憲策動、軍国主義路線を断固粉砕しよう!
★「搾取の廃絶」と「労働の解
  放」の旗を高く掲げよう!
★労働者の闘いを発展させ、
  労働者の代表を国会へ!
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