労働の解放をめざす労働者党ブログ

2017年4月結成された『労働の解放をめざす労働者党』のブログです。

2023年02月

的場氏の「プルードン擁護」に反対する

神奈川でマルクス主義の学習会を行っている「横浜労働者くらぶ」の発行している「労働者くらぶ」第26号から、的場昭弘氏に対する批判を紹介します。(一部書き直しています)

 

的場氏の「プルードン擁護」に反対する

 

★『哲学の貧困』はなぜ難しいか

 

『哲学の貧困』の学習会もようやく2回目に入ろうとしています。参加者の皆さんは、私同様、難解な本書の理解にご苦労していることと思いますが、その原因には、本書がマルクスの思想形成の途上に書かれた著作であることもありますが、また私たちが、プルードンの主張をマルクスの要約を通して理解せねばならず、その要約もマルクス独特の皮肉を含んだもので、なかなか理解できないからです。要するに、プルードンの主張とマルクスの批判がともにすっきりと把握できないからです。そこで私がお勧めしたいのは、どの文庫本の翻訳にも付録としてついている「マルクスからアンネンコフへの手紙」(1846年12月28日)です。この手紙は、マルクスがプルードンの『貧困の哲学』をわずか二日間で読んで、直ちにロシア人の友人にその感想を送ったものですが、マルクスは、この手紙でプルードンの小ブルジョア的、空想的な思想を完膚なきまでに批判しており、これを読めば『哲学の貧困』を読む必要がない、とまで感じるほどです。

 

ところで、「労働者くらぶ」24号で、Aさんが神奈川大学の的場さんの「プルードン擁護」を紹介してくれています。的場さんはマルクスの翻訳や紹介で有名ですが、その分、氏の影響も少なくないと思います。氏のプルードン擁護を批判する必要があると考えました。

 

★経済こそ人間社会を解明するカギである

 

Aさんの的場論文の要約を読みますと、的場さんはマルクスの唯物史観や経済理論を評価しながらも、「マルクスは、経済学の延長線上で、プルードンの論理の矛盾を指摘し、(プルードンの)経済学への無理解がプルードンによる貧困の経済的解決を不可能にしていると(マルクスは)批判する。マルクスのその点の指摘は、けっしてまちがっているわけではない。むしろマルクスは、きわめてシャープであり、論理の一貫性もある。そしてそれは『資本論』にまでつながっている側面を持っている」と、論じています。しかし、的場さんの論じ方(評価の仕方)では、経済学が他の学問と同列になり、人間や社会にとって経済がもつ本質的な重要性が見失われてしまいます。

 

的場さんは、マルクスが「経済学の延長線上」でプルードンを批判するのは、「けっしてまちがっていない」と述べています。わたくしは、的場さんが、マルクス研究者として唯物史観つまり人間にとって経済のもつ意義を十分に理解していると思いましたが、マルクスが間違っていないというのなら、プルードンの方が間違っていることにならないでしょうか。的場さんは、「プルードンは、価値や、競争、分業といった経済的カテゴリーは、歴史的に廃棄されるものではなく、ただ調節されるものである」と主張した、と述べています。しかしこれこそ、マルクスがプルードンを批判する、その小ブル性、非歴史性ではないでしょうか。マルクスは、商品経済の基礎である価値、競争、分業といった概念が、永遠のものではなく歴史的なものであること、そんなものが長く存在しなかった時代があったこと等を述べて、プルードンを批判しているのです。

 

★「人間の意志」は社会の生産関係から独立したものではない

 

さらに的場さんは、「プルードンが見つけた新たな視点」として「資本主義の矛盾が生産力の発展と生産関係の矛盾によってたとえ起こるとしても、それを乗り越えるために、人間の意志と社会に対する組織化の問題を解決できない限り、新しい社会の展望はないという視点」を挙げています。「資本主義の矛盾」(その必然性を「たとえ」などと言ってごまかしていますが)を「人間の意志と社会の組織化によって乗り越える」と言っています。しかし、これこそマルクスがあまたの空想的社会主義者たちを批判してきた点です。人間の意志はその人間が属する社会、その生産関係から独立したものではありません。その社会の矛盾の中から矛盾を解決する人間の意志も方便も成長してくるのです。「社会の組織化」も同様です。社会の組織化も、自由にその社会を組織できるのではなく、その社会の矛盾の中から新しい社会の組織化の方向や手段も成長してくるのです。

 

的場さんは「マルクスとプルードンのこのすれ違いのなかに、新たなる未来社会の可能性があるように思える。」と言っていますが、これは、すれ違い(すれ違いではなく対立です)と言ったものではなく、マルクスとプルードンのどっちも否定したくない、評価したいという的場さんの折衷主義的立場が表れています。そんな折衷主義は、この両者の論争では通用しません。マルクスが正しいか、プルードンが正しいか、どちらかです。的場さんともあろうものが、「人間の意志」を「新しい視点」などと評価するのは驚きです。彼は唯物史観を本当に理解しているのでしょうか。

 

★プルードンの小ブル性―人間主義、その他

 

以前、私はプルードンを読まないでプルードンを批判するのはよくないということで、彼の思想をよく表しているという『19 世紀における革命思想の一般的理念』(「世界の名著」53)を読んでみましたが、その中でプルードンは革命と反動について次のように述べています。

 

「反動の本能がすべての社会制度にとって固有のものであるように、革命の必要もまた同様に不可抗的である。これら二つの事態、つまり反動と革命は、両者間の対立関係にもかかわらず、人類にとって必要不可欠であること、したがって、社会を左右から脅威する暗礁を回避するための唯一の手段は、…反動を革命と永久に妥協せしむることである。」(p82)

 

 見られるように、プルードンの立場は、革命と反動との妥協主義、協調主義です。また同書の中でプルードンは、「私は、人間の意図の善良性を常に信じていることを誇りにしている。この善良性がなければ、政治家の無罪はどうゆうことになるだろうか?」(p95)などと述べています。ここにはプルードンの人間観―性善説や小ブル的な人間主義が表れています。またプルードンは、所有(財産)権に対する攻撃で有名ですが、その財産に対する攻撃(「所有とはなにか」「それは窃盗である」)自体が、私的な所有権に対する全面否定ではなく、大きな所有、巨額な財産に対する攻撃であって、小さな所有、生産手段の小所有はむしろ人間にとって不可欠であり、自立した人間にとって必要であるとして擁護し、むしろ社会改革の目標としているのです。

 

★マルクスとプルードンの決裂は必然

 

このような小ブル的思想家のプルードンとマルクスが決裂するのは、当然すぎるほど当然と言わねばなりません。プルードンは、ヘーゲルや経済学者たち(アダム・スミスをはじめとする古典派経済学者)を批判し、あたかも自分を彼らに比肩する思想家を気取っていますが、ヘーゲルのような壮大な観念弁証法の体系も作れず、またブルジョア社会の経済を徹底的に解剖することもできなかったプルードンのやったことと言えば、両者の成果の切れ切れをとってきて、折衷的、空想的な体系(?)を作ったにすぎません。

 

また的場氏は、プルードンは、「当時は明確に存在していなかった社会学という分野を切りひらきつつあったのに対し、マルクスは、従来の経済学という土俵の上から批判していた。」として、社会学を経済学の上におき、プルードンを社会学の先駆者として、マルクスより優れていたと評価するのです。しかし社会学は、社会現象を深く掘り下げもせず、その表面を“這いずり回る”だけのブルジョア的学問であり、マルクスの経済学に代わるような学問ではありません。このような学問を評価するところに的場氏のブルジョア性が表れています。

 

★唯物史観に立ち、労働者の階級闘争を発展させよう

 

最後に、Aさんも指摘していましたが、的場氏は、大方の学者やマスコミ同様、旧ソ連邦などを社会主義国家と規定していること、また最近はやりの“アソシアシオン”論などについても言及していますが、ここでは省略します。

 

マルクスは、プルードンの様々な側面を徹底的に批判し、プルードンが、資本主義的生産様式をそのままにして、彼の平等社会を実現しようという空想的試みを嘲笑しています。しかし現代の資本主義社会には、さまざまに形を変えて第二、第三のプルードンが次々と登場し、また的場氏のようにその擁護を買ってでるインテリも少なくありません。彼らに共通するのは、資本主義を廃絶することではなく、資本主義の様々な改良を提案していることです。唯物史観を基礎に剰余価値説を中心にしたマルクスの経済理論を武器に、労働者の階級闘争を発展させていくこと、これこそ労働者派、社会主義派の使命ではないでしょうか。(K)

 

「横浜労働者くらぶ」学習会案内

 ― 3月の予定—

◆「資本論」第1巻学習会

3 月8日(水)18 30 分~20 30

・県民センター 703 号室

・相対的剰余価値の生産

― 第13 章「機械設備と大工業」(続き)

 

◆「哲学の貧困」学習会

3 15 日(水)18 30 分~20 30

・県民センター 703 号室

・第2章「経済学の形而上学」2節以下全部(付録含む)

 

◆「経済学批判」学習会

3 22日(水)18 30 分~20 30

・県民センター 701 号室

・「経済学批判序説」

 

◆「資本論」第3巻学習会

3 22 日(水)18 10 分~20 30

・県民センター 704 号室

・第 7 篇「諸収入とその源泉」50 章から終わりまで(エンゲルスの補足含む)

 

連絡先

Tel080-4406-1941(菊池)

Mailkikuchi.satoshi@jcom.home.ne.jp

 

大軍拡策動に反撃しよう!労働者党の宣伝戦に協力を!

労働者党の宣伝戦に協力を!

 

 岸田政権による大軍拡策動が強まっています。労働者は断固として反撃しよう。労働者党は全国で【反軍拡ビラ】の配布に取り組んでいます。協力していただける方は、党員や党本部(tel:03-6795-2822mail:webmaster@wpll-j.org)に、ご連絡ください。

2023冬季ビラブログ用表面

 
『海つばめ』号外(2023年2月号)
    
労働の解放をめざす労働者党

 

【表面】

軍事大国化策す岸田政権を倒そう

大資本の利益のための軍拡を許すな!

 

 岸田首相は今国会の施政方針演説で、「外交には、裏付けとなる防衛力が必要」と、防衛力=軍事力なしには外交は出来ないという立場を押し出しました。

 しかし、これは軍事力を背景に自国の利益を押し通そうとする帝国主義的な反動的主張そのものに他なりません。

 「抜本的な軍事力強化」を掲げる岸田政権による軍事費の大増額の企みを断じて許してはなりません。

 昨年12月、岸田政権は「安保3文書」を閣議決定し、23年度から27年度までの5年間の防衛費を43兆円程度にするとしました。この「安保3文書」では、中国、ロシア、北朝鮮を日本および国際社会にとって安全保障上の「重大な脅威」とし、軍事費をGDP1%から2%に引き上げること、自国「防衛」のために「反撃能力」としての敵基地への攻撃能力(「先制攻撃」を意味します)の保持を臆面もなく明記しました。

 

「安全保障政策の大きな転換」という大軍拡の動き

 

 これまで戦後歴代の日本政府は、近隣諸国に対して軍事大国にならないこと、「専守防衛」、自衛のための「最小限の軍備」を唱えてきました。軍事費GDP1%はそのための〝証〟でした。今や、これまでの〝公約〟をかなぐり捨て、「防衛」という名で相手基地への先制攻撃までも含めた攻撃能力を保有する大規模な軍備拡大に乗り出すというのです。戦後日本における反動的な「安全保障政策の大きな転換」です。

 中国、ロシア、北朝鮮の軍事的な圧迫が強まり、自国の「防衛」のためには軍備を拡大し、米国など〝自由主義〟国家との軍事協力を強化することで、日本の「安全と平和」を守ると言っていますが、資本の利益のための「安全と平和」を守るだけです。

 

帝国主義的な対立激化をもたらすブルジョアの利害

 

 ロシアのウクライナ侵攻や米・中の対立の激化に象徴されるように世界は激動の時代を迎えています。ロシアのウクライナ侵攻は、汎ユーラシア主義を唱え、旧ソ連邦の版図回復を目指すプーチン・ロシアの大国主義の表れであり、米・中対立の激化は、軍事的・経済的に急速な発展を遂げた中国の資本主義(国家資本主義)と欧米の資本主義(国家独占資本主義)との覇権争いです。

 そうした中で、岸田政権は、米軍との共同軍事行動への道を開いた安倍政治を引き継ぎ、更なる軍備を増強して、軍事強国への道を突き進もうとしています。

 安倍ら自民党のブルジョア政治家が軍事拡大に血道を上げてきたのは、中国の軍事力増強に対抗するためですが、同時に、日本資本主義が5百万人もの海外の労働者を搾取する帝国主義国家になり、海外に巨額な資本権益を築いてきたからです。岸田政権が軍備増強に走るのも、日本の国家の利権や大資本の利益を守るためなのです。

 

労働者の闘いを発展させ、岸田政権打倒を勝ち取ろう!

 

 台湾は日本の国益だと安倍政権以来、ずっと自民党は言ってきました。そして「安保3文書」の中では、米国と並んで台湾を防衛する責務がある国であるかに述べました。

 岸田政権は、中国による台湾有事の危機感を煽り、防衛力増強の必要性を正当化し、軍事大国化を進めようとしています。それは中国との帝国主義的対立を激化させます。

 だからこそ、労働者は有事を煽る政府に反撃して、帝国主義の根底である資本主義を変革するため、労働者の国際的、階級的な闘いを発展させなければならないのです。

 軍事費増大を図る岸田政権ですが、軍事費増額を賄う財源はどこにもありません。国内経済は停滞し、「アベノミクス」によって政府は一千兆円を超える莫大な借金をかかえています。コロナ対策や「不況脱出」のため、国債発行額は2022年度の3年で211兆円にのぼります。軍事費増額優先によって財政が増々悪化することは必至です。

 悪政で「後は野となれ山となれ」の無責任な岸田政権は打倒するしかありません。

 

 2023冬季ビラブログ用裏面

【裏面】

労働者の階級的闘いを発展させよう!

帝国主義国家としての自立化を強める動きとの闘いを構築しよう

 

 労働者にとって、現在の焦眉の課題は日本の軍事大国化・軍国主義化と闘うことです。

 政府与党側が「安全保障環境の悪化」を大騒ぎして大幅な軍備拡張を推し進めようとしていることに対して、野党側は国民民主党がすでに与党化し、立憲民主党や日本維新の会にしても、軍国主義強化への危機意識など微塵もありません。

 防衛費の財源問題をめぐって与野党の攻防が繰り広げられていますが、「歳出削減や法人税・所得税引上げが必要だ」といったことは、すでに政府や政府が世論操作のためにでっち上げた「有識者会議」が言ってきたことです。立憲民主党や日本維新の会も国民民主党と同じく軍備増強に賛成しており、翼賛化した立場で政府に対して注文しているにすぎません。

 共産党やれいわ新選組などは、防衛費増強に対して反対の立場ですが、軍拡は「アメリカの言いなりだ」と非難しています。果たしてそれは正しいでしょうか。

 特に共産党は、今なお、日本を米国の「従属国」に位置付けており、日本が自立した帝国主義大国になった現実に対して、目を覆い、逸らしています。共産党は米国からの独立や自立を要求する「民族主義」の立場に立ち、労働者の国際主義を放棄しています。

 大軍拡に対して「憲法を守れ」という平和主義的な立場からの反対運動もあります。共産党などはそうした運動と共闘して運動を広げようとしています(リベラル派や新左翼急進派の一部も同様です)。

 

平和主義的な闘いでは、資本の支配による攻撃と闘えない

 

 しかし、平和主義者の憲法や法律を盾にした形式的な、本質を衝かない批判は、世界の帝国主義的な対立が激化する今日、全く通用しません。

 かつて第一次安倍政権時代、国家による教育現場に対する「日の丸・君が代」強制の嵐が吹き荒れました。 共産党や日教組と共に市民主義者らは「(「日の丸・君が代」の)法律が無く憲法違反」と批判しました、その後、「国旗・国歌法(日の丸・君が代法)」が国会を通過するや、彼らの論理は破綻し、彼らの〝闘い〟は大幅に後退してしまいました。

 彼らは自民党政治のブルジョア的本性を理解せず、資本主義の本質も理解していません。

 安倍元首相がそうであったように、岸田首相や自民党の反動的な議員らは、トランプやバイデンと一緒になって経済的に中国と競い、そして軍事的に対峙するように策動するのです。

 例えば、世界への資本輸出と資本の権益獲得競争、市場囲い込み競争、関税引上げによる中国輸入製品の制限、先端技術の中国への流出防止などです。これらの対立の激化が軍事的対立になるのです。

 それゆえに、岸田らは「台湾有事は日本の有事」と考えるのです。つまり、台湾にも日本の権益がたくさんあるのです。

 平和主義を美化する共産党は、安倍や岸田らを突き動かす帝国主義的な動機を理解できず、上っ面の批判しかできません。そんな対米従属論と平和主義運動に依存しても、最後まで闘うことはできないのです。

 挙げ句には、共産党の志位委員長が「自衛隊活用論」を打ち出したように、岸田や資本の反動的な立場に、犯罪的に急接近して行くのです。

 

自民党政権の軍拡政治と断固闘おう

 

 岸田政権が策動する軍事体制は、確実に徴税や国家の借金を増やし経済的困難を招くこと、労働者(将来の労働者も)の犠牲において行われること、国家間の対立の拡大と愛国主義や国家主義を醸成すること、ひいては労働者同士を敵対させることに繋がるのです(「国家安全保障戦略」でも愛国心を強調しています)。

 労働者は、野党や平和主義の無力な政治ではなく、岸田政権の大軍拡の策動とその背後にある〝真実〟を見抜き、岸田政権の軍拡政治と断固闘うのみです。

 帝国主義化を強める資本の支配に反対して、欺瞞的な「平和」ではなく、真実の平和を勝ち取ると共に、労働の解放に向かって、労働者党と共に闘いましょう。

 

労働の解放をめざす労働者党

連絡先:〒179-0074 東京都練馬区春日町1-11-12-409「全国社研社」気付

 TEL/FAX 03(6795)2822

 

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