労働の解放をめざす労働者党ブログ

2017年4月結成された『労働の解放をめざす労働者党』のブログです。

2023年04月

『海つばめ』2023年メーデー号配布に協力を

メーデーに結集する労働者の仲間への宣伝活動を行います。多くの皆さんの協力をお願いします。地域での配布に取り組んでいただける方は、党員や党本部(tel:03-6795-2822mail:webmaster@wpll-j.org)に、ご連絡ください。
【労働者党2023メーデー闘争報告はこちら

 

『海つばめ』号外 2023年メーデー号

労働の解放をめざす労働者党(労働者党)HP=https://wpll-j.org/


2023メーデービラHP用表小

 

(表面)

大軍備増強の岸田政権糾弾

団結して岸田政権打倒に立ち上がろう!

 

軍事費2倍化へ、大規模軍備謳う「安保3文書」

 

 「安保3文書」は、中国、ロシア、北朝鮮について日本および国際社会にとって安全保障上「重大な脅威」と批判。ロシアのウクライナ侵攻や台湾をめぐる米・中緊張の激化を口実に、軍事費をGDP1%からNATO並みに2%に引き上げること、自国「防衛」のために「反撃能力」として敵基地(含む指揮系統機能)への攻撃能力を保持することを明記。「安保3文書」は日本が武器輸出国家となることも謳っている。

 岸田政権は、軍事費を今後5年間に43兆円の増額を企んでいる。今年度当初予算の軍事費は6・8兆円で22年度の5・4兆円から一気に1・4兆円も増加。軍事費の一部4千億円は建設国債で賄う。軍事費のための国債発行は「禁じ手」だったにもかかわらず、岸田政権はこれを破り、借金による軍拡を推し進めようとしている。

 政府は軍事費増額の財源確保において増税については、与野党の反対にあって実施時期を曖昧にし、防衛力強化基金については、継続性の無い「税外収入」を当てにし、さらに予算を恣意的に増やして決算で〝余剰を創造〟するという(「決算剰余金」)与太話まで披露している。

歳出改革にしても、1兆円程を確保すると言うが、毎年1兆円を弾き出すことができるのか、岸田は何一つ国会で説明できなかった。

 軍事費の財源の見通しもないままに岸田政権が軍備増強に走るのは、日本の国家の利権、大資本の利益のためである。

 

国家の利権、大資本の利益のための岸田大軍拡は問題だらけ

 

 日本は海外に資本を投下し、工場を進出させ、数百万の労働者を搾取している帝国主義国家だ。海外における市場、利権を維持、確保するため、ブルジョア〝自由主義的〟な国際秩序を維持するため、米国と同盟を強化して軍備増強をめざしている。共産党やれいわ新選組らが言うような米国の圧力に屈したからでも、米国の犬になり下がったからでもない。総資本の利益(国家利益)のために、軍事費2倍化という数字ありきを優先させてでも、先制攻撃用ミサイルを含む高度軍事力を早期に手にしたいのである。

 しかし、財政がひっ迫している(財源が見つからない)となれば、増税出来ないなら国債発行に頼るしかない。しかし普通国債残高は1000兆円を超え対GDP比で約260%である。

 超低金利政策は金融機関の体力を弱め、国債や社債が売れ残る事態を発生させるなど混乱を引き起こしてきた。それに、国内物価上昇も相まって、市場における金利上昇圧力が高まっている。金利が上がると政府の国債償還費(元金と利子の返済)が増え、国債残高の半分を保有する日銀も国債価格低落で財務が悪化する。  さらに日銀の持つ国債を償還する段階になれば、発行価格より高く買った損失を計上することになる。つまりインフレに対処するために金利を上げることが難しくなっているのだ。

 政府は市場の金利上昇圧力をかわし、かつ物価上昇もインフレ発生も抑えなければならないという、矛盾した事態に突入しようとしている。日本資本主義の退廃は極まっている。

 

岸田政権に追随する野党は無力、労働者の国際主義的闘いを

 

 闇雲に軍備大拡張を進める岸田政権に対して野党は追随するか免罪府を与えている!

 維新は「他国がたくさんの装備を持っていたらこちらも持たないと安全にならない。日本の比較優位を保つことが必要」と岸田政権に同調。国民民主も、「必要な防衛装備は準備する必要がある。増額もやむを得ない」と、破滅への道である軍備増強を認め、自民同様の悪党だ。

 立憲民主も「必要な防衛装備は準備する必要がある。増額もやむを得ない」と言い、れいわも「必要な防衛装備ならば増額が必要というのは分かる」としつつ、「一方でこれまで装備が適正価格で購入されてきたかというチェックは必要」と、立憲民主と同様な立場だ。

 立憲民主はじめ野党が自民党に追随する中で共産党は、日本の軍備増強は「対米従属」のためで、米国の引き起こす戦争に巻き込まれる危険があると主張する。日本は米国の「従属国」であり、岸田政権が軍備増強を進めるのは米国の言いなりだからだと言うのだ。

 共産党は、日本がれっきとした帝国主義国家であるという事実を見ようとせず、岸田政権と正面から闘うことを避けている。また、「話し合いで世界平和」を願っているが、帝国主義が世界に存在する限り「世界平和」は訪れない。

 岸田政権が軍事強国化を進め日中覇権争いに勝利せんとするのは、資本の権益と国家の利益のためである。

 岸田政権は、破綻状態の国家財政をさらに膨張させようとしている。だが、そのツケは、戦前と同様に、大増税やインフレの爆発となって労働者を襲い、生活を破壊することに帰着する。

 岸田政権と正面から闘うこと無しに、労働者の生活と未来は守れない。まして「世界平和」も勝ち取れない。労働者は団結し、岸田政権打倒のために断固として立ち上がろう。


2023メーデービラHP用裏小

 

(裏面)

「満額回答」は物価高騰で吹き飛ぶ

 

 今春闘は、高騰する物価に追いつかず、全く不十分な結果であった。大手企業では「満額回答で早期妥結」や「初任給や時給の大幅な引き上げ」が「続出」し、〝異例〟と報道はされた。しかしそれは、これまでが低賃金だったからであるにすぎない。さらに人手不足でもあり、外国との賃金比較で日本の賃金の低さもあったし、賃上げ要求も低かったからではなかったか。

 総務省が4月に発表した今年3月分の消費者物価の総合指数は前年同月比で3・2%とはいえ、10大費目指数の「食料」では7・8%、「家具・家事用品」は9・4%などであり、生活実感では二ケタの物価上昇ではないか。賃上げされても生活を切り縮めているのが現実だろうし、未組織の仲間の困窮は一層深刻である。

 世界的にインフレや物価高が労働者の生活を苦しめている中で、フランスでは年金受給の先送りに抗議する闘いが、ドイツやイギリスでは大幅な賃上げを要求するストライキが闘われている。日本でも断固とした闘いで、「管理春闘」を打ち破り、経営側から譲歩を引き出していこう。

 現在も闘争中の仲間もいる。未組織の働く仲間にも団結した闘いを呼びかけ、労働組合に結集して共に闘い、生活を守ることで、労働者の階級的な団結の輪を広げられるし、労働者の更なる前進を勝ち取れるのである。

 

おためごかしの「構造的賃上げ」の岸田に心酔する連合芳野

 

 大企業での第1回賃上げ交渉結果発表のその日に、8年ぶりという政労使会議がもたれた。関係閣僚、経団連会長、商工会議所会頭、そして連合芳野会長らが参加し、マスコミは「出席者は中小企業の賃上げへ労務費の取引価格転嫁ができる環境を整えると基本合意した」と伝えた。労働者の賃上げのために政労使で協力するという「有難いことだ」と考えたら、まんまと策にハマったのである。

 政労使会議で岸田首相が最賃全国加重平均を2023年に1000円へ上げる目標を示したり、非正規雇用も含めた幅広い賃上げを訴えたりと、労働者の味方を装ったのは、統一地方選や衆参補欠選に向けて点数を稼ごうとしたのである。岸田は「構造的な賃上げ」実現のため、労務費の取引価格への転嫁について「業界ごとに実態調査したうえで指針をまとめていく。業界団体にも自主行動計画の改定・徹底を求める」と語ったが、これは、産業構造における中小企業の実態、大企業の支配的な状況にはメスを入れず、「自主行動計画改定」でお茶を濁すということだ。

 芳野連合会長は岸田に心酔して、全国中小企業団体中央会という経営者団体との懇談会で、「政労使会議の中で総理から労務費を含めた価格転嫁の話があった。今後は労務費を含めた価格転嫁という言葉で発信したい」と、労働者の立場を投げ出し、中小企業の経営者になったかの発言をして、岸田政権への追随姿勢を露わにした。

 政労使会議での議論は、中小企業が大企業に売る製品価格を「適正」にしようというもので、とりわけ中小企業労働者の賃金上昇分を製品に価格転嫁できるようにすれば、労働者のためになるという主観的な理屈でしかない。

 経営者は生産手段(工場機械や原材料など)と一緒に労働者から労働力商品を買い、労働過程に労働力を投げ入れ、労働力の価値以上に働かせることで剰余労働を生み出す。剰余労働分は企業に搾取されて製品価格にのせられて販売されるというのが、つまり、経営者が利潤のために生産するというのが資本主義経済の現実である。

 賃金を経営者が賃上げした結果、企業が自分の利潤を確保するために製品価格を上昇させるなら、物価上昇に繋がり労働者の賃金は目減りする。反対に、価格に転嫁しないならば、企業の利潤は減ることになる。

 つまり、労働者の賃上げと企業=資本の利潤確保は一致しないということこそ真実である。資本と賃労働の対立的な関係こそ資本主義の根底である。

 

労働者の生活向上のために真剣に闘う態勢を構築しよう

 

 こうした資本と賃労働の対立的な現実を労働者の指導者を気取っている芳野は何も分かっておらず、それゆえ、労働者を常に裏切り続けるしかない。経営者やその政府におもねって、奴隷根性丸出しの階級協調主義では労働者に未来はない。資本によって搾り取られ、ボロ雑巾のように捨てられるだけだ。ブルジョア的な指導部を刷新して、労働者の生活向上のために真剣に闘う態勢を構築していこう。

 労働者の社会的な生産的労働が正当に評価される社会、資本による搾取のない社会の建設は労働者の理想である。労働者の共同した事業として、その達成を目指して団結を固めていこうではありませんか。

 私たち労働の解放をめざす労働者党は、闘う仲間の労働者の皆さんに依拠して、資本の支配に断固反対して労働者の闘いを発展させていく決意です。共に闘いましょう。

 

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技能実習制度が廃止される!?

技能実習制度について政府有識者会議での検討の中間発表がありました。

『海つばめ』1449号でそれを批判する記事を掲載しましたが、紙面の都合で一部省略した編集でしたので、このブログに全文掲載します。

 

技能実習制度が廃止される!

再び三度〝欺瞞〟を重ねるのか

――政府有識者会議の中間発表を批判する――

 

はじめに

 

 「技能実習制度」(1993)が始まって30年、ここにきて漸く「見直し検討」するとして、政府有識者会議が中間報告を出した。果たしてこれは見直しとなるであろうか?

 

 かつての「研修制度」を見直すとしてできた「技能実習制度」は、さらに劣悪な労働環境を生み出し、今や大きな社会問題となっている。

 

 最低賃金以下の賃金、ぶっ続けの長時間労働、逃亡防止と称したパスポートや貯金通帳の取り上げ、 相次ぐ賃金の未払い、粗末な住居への詰め込み、怪我など労災補償の無視、日常的な暴力・パワハラ、果ては〝強制帰国〟、そして相次ぐ〝失踪〟、「送り出し機関」への多額の借金、管理団体による中間搾取と不正、その例は数えきれぬ。

 

 欧米からは「人身売買」「奴隷労働」と揶揄され、資本側からも強い要請―さらに長期に渡り雇用(搾取)したいもあり、漸く腰を上げた。以下、中間報告を見る。

 

1 「人材確保と人材育成」、まだ「育成」にこだわり続け理由は何か

 

「技能実習制度」は『発展途上国への人材育成を通じた国際貢献』を名目としながらも、実質は人手不足の企業への安価な労働力の提供(5年間の期限付き)であったのだが、政府は一貫して「人材育成、国際貢献」だとしてそのことを認めてこなかった。ここにきて漸く、新たな制度の目的として「人材確保と人材育成」を打ち出した。誰が見ても明らかな労働力の確保(人材確保)を認めたわけだが、それならただそれだけを目的とすればよいものを、再び三度「人材育成」と付け足した。そこにこだわる理由は何か?

 

 それは、資本側からの強い要請―「転職の自由」を認めさせない―のためだ。それを認めると、技能実習生は当然より賃金の高い職を求めて転職していく。そうなると最大の受け入れ側である中小零細製造企業、農業、建設土木、裁縫、清掃、介護、小売り業などは、「管理団体」に高い金を払ってせっかく手にした貴重な労働力を手放すことになる。また、最低賃金の高い都市部ヘと労働力は移っていくであろう。

 

  「人材育成」と言うことにすれば、名目上だが、一定の技術・技能を学び身につけるためにはある程度長期の期間(例えば3年とか4年とか)雇うことができる。そして期限が来たら、また新たに同様の労働力を雇い入れれば良いのだ。

 

 雇われた技能実習生も、これまた名目上だが、身につけた技術・技能を母国へ持ち帰るために長期に渡って日本に滞在するわけにはいかない。妻子を帯同したり、永住などもってのほかだ。例えば現「技能実習制度」も、3年働いたら一旦帰国し、さらに来日して同職場に2年働けるとなっている。これは資本の雇用延長の要請に応えたものだが、3年で身につけた技能・技術を母国へ持ち帰り活かす、さらにそれらを高めるために希望すれば同じ職場でもう2年学ぶという面倒くさい仕組みだ。現場を知らない官僚達が知恵を絞って考え出しそうなことだ。

 

 筆者は、空港の清掃やスーパーのレジ打ち、野菜の箱詰め、卵焼き作り、ゴミ収集などに従事する技能実習生を知ってるが、一体そこでどんな技術・技能を学べというのか。彼らのほとんどは単純労働に従事しているのである。

 

 中間報告では「転職の自由」ではなく、「転籍の自由」を認めるとしているが、それが人事異動のことか出向のことか、その具体的内容についてはまだ明らかになにっていない。また「転職の自由を緩和する」とだけ言ってるが、様々な制限を付けて実質それを阻止する答申が出るに違いない。

                                         

2 さらなる長期雇用のために「特定技能制度」と連結させる?

 

 「特定技能制度」は、「技能実習制度」(68業種)の後で出されたものだ(2019)。仕組みは複雑だ。「技能実習制度」が「発展途上国への人材育成や国際貢献」を謳うのに対し、「特定技能制度」は「人材を確保することが困難な産業分野に置いて、一定の専門性・技能を有し、戦力となる外国人を受け入れて人手不足を解消する」として、初めて〝公に〟外国人労働力の受け入れを認めた。

 

そして1号と2号とに分け、1号は〝連続して〟5年、2号は上限なし、それぞれ〝同一の業種であれば〟転職も認めた。また2号は配偶者とその子との家族帯同も可能となった。但し「一定の専門性・技能を有し」とあるように、技能試験と日本語能力試験(4)に合格する必要がある。

 

 「特定技能制度」では、職種がぐんと少なくなる。1号は人手不足がより深刻とされる特定産業分野12業種(介護、ビルクリーニング、建設、自動車整備等々)で、2号は建設業と造船・船用工業のみである。

 

  しかし、「特定技能制度」は遅々として進んでいない。技能実習生が約37万人いるのに対し、特定技能の方は僅か38万人(282021)である。日本語検定がネックなのだ。N4(15の下から2番目)は基本的な日本語を理解する程度の試験だが、漢字を含む文章を読め、日常会話ができることか条件だ。来日前に母国で日本語を学んできたとはいえ、ひらがなを読むのが精一杯で、漢字などは全く書けない。中には五十音さえ正確に書けない者もいる。

 

 特定技能生の8割は技能実習生から移ってきている。働きながら相当努力した者たちだ。「特定技能制度」は技能実習を終了した労働者をさらに長期にわたって雇用するために(さらに5年、計10年間)考え出されたが、政府の思うようには進まなかった(政府目標345万人)。謂わば失敗作!である。

 

 資本側からは「せっかく5年働かせて戦力となったのに、5年で帰国させなければならない」「もっと長期にわたって働かせたい」という強い要請がある。

 

 有識者会議はこの要請にどう応えるであろうか。「技能実習制度」と失敗した「特定技能制度」とをどう調整するか、職種の差異をどうするか、労働期限をどこまで延長させるか、転職は?おそらく新制度はそれらを折衷することになるだろう。

 

 例えば、「技能実習制度」と「特定技能制度1号」を結びつけ、68業種に拡大し、後者の検定をもっと容易なものにすれば、最低10年は雇うことが出来る。しかし、そんなことをしたら、問題だらけの「技能実習制度」をさらに長期にわたって引き延ばすと言うだけのことである。

 

 こんな面倒くさいことはやめにして、一層自由に自由なだけ働けるようにしたらどうか。そして妻子帯同も永住も可能にしたらどうか。

 

 すると政府は驚き顔で言うであろう。「そんなことをしたら莫大な社会保障費や教育費、住宅が必要になる」「日本の労働者の職が失われる」「日本人との軋轢が起きる」等々。そして旧安倍派の反動的連中も「古来より続く、天皇を頂く単一の大和民族の伝統や文化が失われる。〝血統主義〟は守らねばならぬ」と叫ぶのである。

 

3 暴利を貪る「管理団体」制度は廃止すべきだ

 

 中間報告は、「管理団体」については現状のまま維持する。但し「厳しく適正化する」とした。これはひどいことだ!

 

 先に述べた実習生への様々な仕打ちは、政府認可の「管理団体」こそがそれを防ぎ、指導し、実習生の労働環境や人権を守るべきものである。しかし、それをしている「管理団体」はひとつも無い。「非営利団体」でもある「管理団体」はまさに暴利を貪っている。なので大小含めて全国で32百も乱立するのだ。

 

 各国の「送り出し機関」の彼等への過剰接待、リベート、紹介した企業からの前貸金(1人当たり約50万円)、義務づけられた1ヶ月の日本語研修費及び住居費(1人当たり約10万円)、管理費と称した紹介料(1人当たり月約3万円×5)、一体どこが「非営利」なのか。しかも、斡旋した企業を「管理指導」すべき立場にありながら、企業の不正を見過ごすどころか、一緒になって〝強制帰国〟に手を貸すなど完全に企業側の出先機関である。

 

 愛知県一宮市に本部を置くA「管理団体」は、今まで4000人以上の実習生を斡旋したが、実習生にありとあらゆる暴挙を働き、裁判沙汰にもなり、果ては2億円の脱税を告発され、政府認可取り消しとなった。

 

 彼等の「もうけ」は全て斡旋した企業から支払われる。つまり、技能実習生から搾取した利潤の一部だ。なので企業主たちは「最低賃金(或いはそれ以下)で給与を支払うのは当たり前のことだ。そうでなければ技能実習生を雇う意味が無い。何も文句を言われる筋合いはない」と平然と言うのである。ある「管理団体」のボスも、「殴ってでも蹴ってでも、彼等に言うことをきかせろ」と暴言を吐く(これは筆者が実際に耳にした言葉だ)

 

  有識者会議はこうしたことを知りながら、「管理団体」制度の廃止を謳わない。有識者たちは政府や資本の要請に如何に応えるかの「見直し」に従事しているのであって、決して技能実習生の立場に立って見直しをしているわけではない。

 

4 「技能実習制度」や「特定技能制度」は直ちに廃止せよ

 

 政府有識者会議の「見直し」はまだ中間報告の段階で、その一部の骨組みだけが発表されたに過ぎない。「技能実習制度」に代わる新たな制度の名称も全体像も明らかになっていない。

 

 ただ言えることは、「技能実習制度」は日本の非正規労働者以下の賃金と劣悪な労働条件の下に、母国の「送り出し機関」に多額な借金(100万円、日本の約2千万円に相当する)を背負って来日し働いていることだ。しかも転職は許されないので、借金を返済し、残してきた家族に十分な仕送りが出来るまで、その企業や雇い主の下で働かねばならない。どんなに無理難題なことでも、どんなに劣悪な労働環境であっても、文句を言わずに従わねばならない。文句を言えば、〝強制帰国〟の脅しがかけられる。借金を残したまま帰国させられることを彼らは最も恐れる。近年の〝失踪〟の増大(昨年度たげで7千人)はやむにやまれない事情がそうさせるのである。

 

  「技能実習制度」や「特定技能制度」は、直ちに廃止すべきである。資本が労働力を必要とするならば、国境の壁を取り払い、自国労働者と同等の権利と雇用条件で採用すべきである。外国人労働者ということで差別されることは許されない。

 

  しかし、そうなったからと言って問題が解決するわけではない。外国人労働者の問題は日本の労働者の問題であって、例えば低賃金や長時間労働、過労死、男女差別、首切りや失業、そして益々増え続ける非権利状態の非正規労働者の生活苦、これらは日本の労働者にも襲いかかっている問題である。外国人労働者が日本の労働者と同等の権利を得たとしても、彼らはまたこれらの問題に直面するであろう。

 

 労働力を商品として資本に売る以外に生活のすべがない、それ以外生きていけないのは外国人労働者も日本の労働者も同じである。同じ労働者同士、互いに連帯し、連合し、大きなうねりとなって資本に立ち向かっていかねばならない。  

(是)

★ 自民党と反動の改憲策動、軍国主義路線を断固粉砕しよう!
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