神奈川県で『資本論』の学習会を行っている仲間の「横浜労働者くらぶ36号」で、日本の軍事企業について調べレポートしており、軍事強国化と闘う材料になると思いますので紹介します。(担当)

 

イスラエルの軍事企業と「武器の生産・販売取引」を契約した日本の軍事企業

 

日本は197年、当時の佐藤総理が「武器輸出三原則」を表明し、武器輸出を全面禁止してきた。

 

その内容は、(1)共産国、(2)国連決議により武器等の輸出が禁止されている国、(3)国際紛争当事国又はそのおそれのある国に対しては、武器輸出を認めないというものだった。

 

しかし、日本の武器等の輸出を巡る方針は第二次安倍政権の発足以降、大きな転換を見せた。

 

2014 年に安倍政権が 「武器輸出三原則」を撤廃し、武器の輸出入を基本的に容認する「防衛装備移転三原則」を閣議決定してから、武器輸出の動きは加速した。

 

この背景は大学での軍事研究と武器輸出の国策化に対して、一貫して財界から強い要請があった。20159月、経団連は大学に対して「安全保障に貢献する研究開発に積極的に取り組むことを求め」、政府に対しては「防衛装備品の海外移転は国家戦略として推進すべきである」と主張して、軍事費の拡大と東アジア諸国などへの武器輸出の推進を強く要求した。

 

政府にはこうした輸出の促進を通じて、日本の防衛産業を強化するねらいがあった。防衛装備品の輸出が厳しく制限されるなかで、受注先が自衛隊にほぼ絞られて頻度も少なく防衛産業から撤退する企業が相次いでいる中、自衛隊の装備品の安定的な調達や整備にも支障が出かねないという危機感が政府にある。そこで海外への輸出拡大を進めて、市場を広げることによって防衛産業の衰退を防ぎたい思惑がある。

 

はじめての防衛白書第3には、「日本の防衛装備品の研究開発・生産・調達を安定的に確保し、新しい戦い方に必要な先端技術を防衛装備品に取り込むためには、日本の防衛生産・技術の基礎を確立することが大切です。/民間企業が積極的に防衛の仕事に携わってくれるよう、防衛事業が魅力的なものとなるよう防衛省も様々な取組をおこなっています。」と書いてある。

 

こうした中、世界最大級の防衛装備品の見本市「DSEIジャパン2023」が2023315日から17日まで、幕張メッセで堂々と開催された。

 

開催前には学者や市民らが反対の共同声明を発表していた。また「平和国家」を標榜する国で繰り返される武器見本市に批判が上がり、会場入り口には約四百十人の市民らが集まり「武器はいらない」と訴えた。

 

もともとは英国で2年ごとに開かれてきたが、日本では2019年以来2回目となる。今回は、米国やドイツ、イスラエルなど65カ国から250社以上が参加した。防衛省や外務省、経済産業省などが後援し、会場内には日本、英国、イタリアが共同開発する次期戦闘機の模型なども飾られた。

 

この見本市で、日本エヤークラフトサプライと伊藤忠アビエーションはイスラエル軍事企業エルビット・システムズ社と<武器部品の生産・販売に関する協力覚書>を締結した。

 

日本エヤークラフトサプライが生産や保守管理を担い、伊藤忠アビエーションが販売促進を行うという。

 

【エルビット・システムズ社とは】

エルビット・システムズ社は、国際的なハイテク企業で、幅広く、防衛、自国の安全保障、および世界中の商業プログラムに携わっている。同社は、空中、地上、および海中での無人システムのリーダー的企業で、Hermes 900 MALE UAV、先端的 ROOK 無人ロボット車両、および Seagull 無人軍艦プラットフォームを含むシステム・ポートフォリオを擁している。

 

モデルHermes 900 UAS は、さまざまな高性能センサーを装備しており、広いスペクトル域で地上や海の標的を検知できる。Hermes 900 は、地平線や水平線のかなたまで持続してマルチペイロード機能を提供しており、イスラエル国防軍(IDF)のみならず世界中で数十カ国が調達している。Skystrikerは完全に自律した徘徊型兵器(LM)で、操作者が指定した標的を特定、捕捉し、機体内部に装着した最大10キロの弾頭で攻撃できるため、高精度の成果が可能である。

 

エルビット・システムズ社は、ガザへのジェノサイドを強行しているイスラエル軍に武器を供給し、パレスチナとの戦いで、パレスチナ人を実験台にして武器を開発してきた企業である。

 

【日本エヤークラフトサプライとは】

  防衛・航空宇宙機器の輸出入及び、製造、修理を事業としている会社であり、以下の様な挨拶文がホームページに掲載されている。

 

「日本エヤークラフトサプライ株式会社は、日本の防衛・航空宇宙産業の発展に寄与することを使命として1958年(昭和33年)3月の創業以来、社是「誠実・信頼・感謝」の基に、防衛・航空宇宙業界における専門商社として、お客様の様々なご要望にお応えすべく取組んで参りました。」

 

エルビット・システムズ社と業務提携を結ぶことによって、同社がエルビット・システムズ社のシステムをローカライズを含めて、提供することによって整備や改修も容易にできるという契約である。主要取引先は防衛省である。

 

【伊藤忠アビエーションとは】

伊藤忠アビエーションは100%伊藤忠商事の子会社であり、主に海上自衛隊が運用する航空機に搭載される機体部品・電子製品に関するプログラムを担当している。 具体的には、海外メーカー製防衛装備品についての提案、輸入販売、修理・整備に関する支援をしている。

 

防衛部門の紹介(同社ホームページより)

 2010年度より運用を開始した、ボーイングKC-767空中給油・輸送機の後方支援を実施しています。KC-767空中給油・輸送機は、航空自衛隊の戦闘機や輸送機などに空中給油を行うのみならず、輸送機として人道支援等我が国の国際貢献にも大きく寄与しています。/2000年度より運用を開始したE-767早期警戒管制機の後方支援を行っています。E-767早期警戒管制機は空から常時警戒を行い、日本の空を守るかなめとして活躍しています。/川崎重工業がライセンス国産を行うボーイングCH-47J/JAヘリコプターに使われるボーイング社製品の輸入販売及びサポートを行っています。CH-47J/JAヘリコプターは、陸上自衛隊及び航空自衛隊で運用されている大型輸送ヘリコプターで国内外における災害救助で活躍した実績を持ちます。/F-15J/DJ戦闘機をはじめとする防衛省が運用する多数の航空機用装備品を製造しているHoneywell International Inc.の輸入販売を行っています。〉

 

伊藤忠アビエーションは以下の表に見る様に政府・防衛省と深く結びついている。
伊藤忠防衛費

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1日に、イスラエルを代表する新聞ハアレツが「ロシア侵攻の初期の勝者、イスラエルの防衛産業」というタイトルの分析記事を出した。副題は、「ウクライナ戦争でドイツは国防予算を倍増し、他の欧州諸国も武器の調達に躍起になっている。大勝利を収めたのはエルビット・システムズ(Elbit Systems)で、株価は2日間で18%急騰している」というもの。 

31日に、イスラエルを代表する新聞ハアレツが「ロシア侵攻の初期の勝者、イスラエルの防衛産業」というタイトルの分析記事を出した。副題は、「ウクライナ戦争でドイツは国防予算を倍増し、他の欧州諸国も武器の調達に躍起になっている。大勝利を収めたのはエルビット・システムズ(Elbit Systems

で、株価は 2 日間で 18%急騰している」というもの。

 

 「ウクライナ紛争によって恩恵を受ける軍需産業の株価は軒並み10.20%上昇! 大儲けで笑いが止まらない!」とイスラエルの防衛産業がウクライナ戦争から初期に得た利益に特化して報道している。

 

ハアレツの記事は「イスラエルの防衛産業関係者」の言葉として「ウクライナでの一連の出来事」により、「目が覚めた。我々は未曾有のチャンスを手にしており、その可能性は狂おしいほどだ」と、率直な「歓喜」の声を伝えている。

 

多くのウクライナ人、ロシア人が命を失い、土地を追われて難民化している状況に、これほどまで歓んでいる者たちがいる。

 

彼らはこの紛争が即時停戦に終わるのは望まず、ウクライナとロシアの早期の和解を望まず、逆に戦線の拡大を望んでいることだろう。その分だけ「兵器市場」が爆発的に拡大するのだから。

 

パレスチナとの戦いでもイスラエル政府に武器を収め大きな利益を得たことだろう。

 

イスラエルの代表的な防衛産業のエルビット・システムズは、米国子会社であるエルビット・システムズ・オブ・アメリカ(ESA)を通じ多数の米国の軍事企業を傘下に収めているのを始め、英国、ドイツ、オーストリア、ルーマニア、ハンガリー、スウェーデンなど、NATO各国に多くの子会社を所有している。

 

その株式はテルアビブ株式市場や米国ナスダック、フランクフルト株式市場、シュトゥットガルト株式市場、ミュンヘン株式市場などに上場され、世界中から資金を集めている。

 

エルビット・システムズ社との契約は日本の企業がイスラエルの戦争犯罪企業の共犯者となるということである。いま目の前で行われているガザ虐殺への加担そのものである。

 

 パレスチナ労働組合が、全世界の労働者に向けて、イスラエルへの武器輸出を阻むために闘うことを必死に訴えている。世界各地では軍事企業をストライキやデモで実力包囲する闘い、武器運搬のための荷役積み込みを阻止する闘いが展開されている。

 

 日本では戦争の準備が急速に進められている。中国が攻撃してくるとの口実で南西諸島での要塞化が進んでいる。「反撃能力」に活用するミサイルの配備を急ぎ、日米合同訓練が定例化する中、大規模な弾薬庫の増設や港湾整備に向けたボーリング調査が近く本格化し、ハード・ソフト両面で整備が急ピッチで行われている。

 

 日米間で協力を決めた民間施設の利用も広がる。地元が反発する中、新石垣空港(沖縄県石垣島)を使用し、訓練期間中、大分や奄美、徳之島の空港には米オスプレイが相次いで緊急着陸した。

 

政府は23年度から5年間の防衛費を総額43兆円程度とする方針で、見本市にも力が入っているようだ。防衛相は314日の記者会見で「諸外国との防衛装備・技術協力をより一層推進したい」と述べた。

 

戦争を食い物にする資本家と結託するブルジョア政治家は許せない。資本の支配は絶対イヤだ。 (Y) (一部加筆)

 

「横浜労働者くらぶ」学習会案内

1月の予定:いよいよ『資本論』第2巻の学習会が始まります。奮ってご参加ください!

◆「資本論」第1巻前半学習会

 (1月3日は会場の都合で中止です。)

124日(水)19.21 / 県民センター703号室

*第7章「剰余価値率」を学習します。

◆「資本論」第2巻学習会

110日(水)1830.2030  /  県民センター703号室

*第1章「貨幣資本の循環」(エンゲルスの序文も含む。)

◆レーニン「カール・マルクス他18篇」(岩波文庫) 学習会

117日(水)1830.2030  / 県民センター703号室

*論文「マルクス主義の歴史的発展」他2篇をやります。

会場都合などで日程変更することもありますので、事前にご連絡ください。

連絡先

Mailkikuchi.satoshi@jcom.home.ne.jp

Tel 080-4406-1941(菊池)