労働の解放をめざす労働者党ブログ

2017年4月結成された『労働の解放をめざす労働者党』のブログです。

2025年10月

最低賃金制度は経営を守る制度になっている――『海つばめ』読者の声

「海つばめ」1508号(1012日発行)2面の「低賃金・極少賃上げに呻吟する医療・介護労働者」の記事について、読者からの声が送られてきましたので紹介します。(担当)

 

最低賃金制度は経営を守る制度に

 

 「海つばめ」1508号で紹介された愛媛県の医療・介護職場の賃金が、国から賃金への上乗せ分として支給される「介護職員処遇改善手当」があるにもかかわらず最低賃金レベルである現状と、中小労働組合の闘いの困難さが伝わる貴重な報告だと思いました。

 

最低賃金制度は、生活保護制度とともに国民の生活を保障する公的扶助制度=セーフティネットとなっています。その意味では「福祉政策」と言えなくもありませんが、最低賃金は雇用者が支払う賃金の最低限を定めたもので、国や地方が生活困窮者や弱者に提供する福祉政策とは違う。

 

非正規労働者の現状は、週5日8時間働いても年収2百万円をわずかに上回る程度で、生活保護支給額を下回っています。これでは非正規労働者の生活を保障する制度ではなく、報告にもあるように、労働者を雇う経営側を守る制度になっています。

 

政府(自公政権)はこの5年で平均1500円を目指すと言い、与野党とも「手取りを増やす」「年収2百万円増」とか言っているので、「闘う」までもなく降ってくるかの雰囲気もありますが、労働組合に結集する労働者が増え、物価に負けない賃上げを要求する闘いがなければ、看板倒れに終わってしまうでしょう。 (東京・S)

 

【担当から】

 『海つばめ』の購読、意見に感謝いたします。

 記事では、経営者の「最低賃金制度悪用」を弾劾し、実態を暴露していますが、最低賃金制度は最低賃金を公的に規定したもので、労働条件を規制するものです。「8時間労働制」の規定と同類のものと言えるでしょう。

 ご意見のように、「労働組合に結集する労働者が増え」闘うことによってこそ、労働条件の改善は進みます。労働者の階級的な団結を強固にしていくことが課題です。共に闘いましょう。

10・21国際反戦デーに向けてビラ配布

労働者党は各地で取り組まれている10・21国際反戦デーに向けてビラ配布の活動を行います。現在の政治状況を踏まえて、軍国主義を深め、帝国主義的な戦争準備を押し進める自民党政治と闘うために、一緒に宣伝活動して、闘いを前進させていきましょう。

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激震走る高市自民党にノー!

 

労働者は戦争準備に反対し闘おう!

 

 自民党新総裁に高市早苗が選出されました。そして、重鎮麻生と右派政治家によって発足した新執行部の「カネと政治」の問題への対応に反発して、公明党が連立を離脱しました。公明党は「カネと政治」を批判していますが、裏金議員を選挙で応援し、指定席になった国交省大臣や与党の利権に26年間ドップリ浸かってきました。公明党の平和主義や親中国の立場は、自民党が主導する〝戦争する国〟への転換と矛盾を深め、右翼的国家主義を鮮明にする高市総裁誕生で、連立離脱を決定づけました。高市自民党には、スパイ防止法制定や軍備増強で中国に対峙するには公明党は邪魔という〝暗黙の了解〟が、執行部の底流に流れているのです。

 

◇高市の積極財政主義は格差を拡大し借金を拡大する

 

 高市の積極財政主義は、自治体への交付金拡大、ガソリン暫定税率廃止、所得基礎控除引上げ、給付付き税額控除と巨額な財政支出が不可避な政策を並べ立てています。日銀の利上げについて高市は〝アホか〟と、昨年の総裁選で牽制し、金融緩和の立場を明確にしました。高市総裁誕生直後は「高市トレード」で株価は上昇し、利上げナシと判断したブルジョア連中は円売りで153円迄円安が進みました。公明の政権離脱やトランプ大統領の「関税攻勢」で、株や円相場は不安定に動揺しています。

 

 借金拡大による国家財政破綻の危機を警戒し、国債金利は上昇(価格は下落)しています。軍事費の更なる拡大が進むことは確実視され、財源を国債の発行によって賄うことが確実です。

 

 株価の高騰や円の乱高下によって財を増やす富裕層、資本家階級と日々の生活に追われる労働者大衆との生活の格差は拡大する一方です。

 

 22年時点で、所得上位10%が全所得の4424%を占める格差社会です。株などの不労所得は、上位10億円以上の富裕層(人口の0・003%)が全体の20%を保有しています。保有する資産を運用することで巨額な金を稼ぎ(20年から2510月までに株価は1・75倍)、資産を増やし、富裕層は豪奢な生活にふけっています。

 

 大企業は労働者から搾り取った利潤をため込み(24年度の内部留保は過去最高の636兆円)、一方、労働分配率は大企業でも36・8%と前年より1・3ポイント下がり、20年からの実質賃金は横ばい、大勢はマイナスという現状です。

 

◇軍備増強に驀進し戦争できる軍隊へ変貌させる日本政府

 

 労働者の生活苦を横目で見ながら、ブルジョア政府は軍備増強に血道を上げ、中国脅威を叫び軍事力増強を圧倒的スピードで進めています。軍需産業は軍需品の売上を拡大しており、8月時点の納入金額は三菱重1兆4千億円、川重6・4千億円、三菱電5千億円になっています。

 

 26年度の軍事予算概算は8兆8千億の巨費です。従来の重工業品から、生成AIなどのIT、電子・通信、ドローンなどに比重が高まるのを見越して、軍需部門に参入する企業が増加しています。「防衛力整備計画」では、長射程の12式地対艦誘導弾、島嶼(とうしょ)防衛用の高速滑空弾など各種ミサイルの開発・実戦配備、英伊両国と共同開発中の次期戦闘機などが計画され、航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」に改編して強化したり、那覇市に拠点を置く陸上自衛隊の第15旅団を「師団」に格上げして南西防衛を強化しています。帝国主義化を深める中国との実戦を想定した、帝国主義戦争を行うための軍隊への変貌は、南西方面での基地建設と軍隊の展開を見れば、誰にも了解されると思います。

 

 一方、全国で自衛隊基地の抗堪性(敵の攻撃に耐えてその機能を維持する能力)を高めるために改修が行われています。陸上自衛隊祝園(ほうその)分屯地(京都府精華町、京田辺市)では地元の反対を踏みにじり、全国最大規模の火薬庫の増設工事に三百億をかけ着手しました。

 

 広島県呉の日鉄跡地130haでは燃料、弾薬庫や研究施設、無人機の製造・整備施設、大型船舶接岸の岸壁を整備する準備が進んでいます。隣接する海上自衛隊呉基地には陸海空自衛隊の共同部隊「自衛隊海上輸送群」が3月に発足しており、瀬戸内海を特別な地域として聖域化して、南西有事には部隊を派遣し、軍需物資の保管輸送を迅速に行うための極めて実戦的なものです。戦争準備を直ちに止めさせましょう。

 

◇混乱する政治状況に労働者が取るべき立場は何か!

 

 公明党の連立離脱は、〝組合せ次第〟では政権交代すらもたらす状況を引き起こしています。逆に、自民が国民民主や維新、参政、保守などの右派ポピュリズム政党と連携した何らかの連立政権が誕生するかもしれません。

 

 どのような政党の組合せであろうと、現在の国家が、資本による労働者の搾取で成り立つ、資本の支配する国家であることを忘れてはなりません。労働者は、連立の組合せに惑わされることなく、階級的な闘いの隊列を固めましょう。労働の解放の歴史的事業を前進させるために、労働者党と共に闘うことを呼び掛けます。

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軍事力強化に拍車──防衛省有識者会議の提言

 

 22年末策定された戦略3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)に基づく「防衛政策」立案のために設置(24年2月)された、経団連名誉会長・榊原定征を座長とし、元防衛大臣や元自衛隊幹部、学者らをメンバーとする、「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」の提言が919日発表されました。提言は、世界的軍拡競争の激化を理由に、軍事費の大幅な増加、攻撃的兵器の充実・整備、兵器製造の国営化、武器輸出の制限撤廃など軍事力を一新させるような危険な内容を盛り込んでいます。

 

◆攻撃的な軍事力の強化・推進、攻撃兵器・原潜導入も

 

 提言は、ロシアによるウクライナ侵攻、ロシアと北朝鮮との軍事同盟、中国とロシアの連携、トランプ政権の登場、AIなど新技術利用した軍備拡大競争・覇権争いの「激化」などを挙げて、現在の状況を「戦略3文書策定時とは次元が異なる様相を呈している」と特徴づけています。

 

 提言は、ロシアとウクライナの戦争などを挙げてAIを活用したドローンなど無人兵器の開発が強調されています。提言は「抑止」のための無人兵器の開発と言います。しかし、実際には相手が攻撃を思い留まるような兵器が必要と言っているように、「抑止力」「反撃力」の名で「攻撃的」な兵器開発・整備の充実が謳われているのです。

 

 見逃せないのは、帝国主義化を強め海洋進出が著しい中国への対抗を理由に、垂直発射装置(VSL)=長距離ミサイルを搭載し、隠密裏に長距離・長期間の移動や潜航できる潜水艦の建造です。「従来の例に捉われることなく、次世代の動力の検討も含め、必要な研究を進め、技術開発を行っていくべきだ」として、「次世代型動力」について、原子力も含まれるという話もでたと言います。これまで歴代の政府が「原子力の平和利用」と言ってきた「建前」も捨て去り、原子力の軍事利用も視野に入れているのです。

 

◆偽りの「軍事力強化と経済の好循環」論

 

 提言は、軍事技術・生産基盤とサプライチェーンの強化については、企業の集約化を促すとともに、「国営の工廠の導入」も検討すべきだとしています。かつて明治政府は兵器の「外国への依存からの独立」として、国営の軍需工場(「工廠」)を設立し、国家が自ら兵器の開発・製造を行いましが、再び戦前のように国家の軍需工場を作ろうと言うのです。軍事装備品の移転拡大は、現在、外国に輸出できるのは、救難や輸送などの5類型に該当する場合に制限されていますが、提言は「他国の脅威を受ける同盟国・同志国」については「制限を取り払うのも一案だ」として、兵器の輸出解禁を謳い、軍需生産を増やそうとしており、実際上「死の商人」への道を薦めていると言えます。

 

 軍事技術・生産基盤の強化及びサプライチェーンの強化のための国直轄の軍事工場の設立、軍事装備品の海外輸出の拡大など、全般的な軍事力増強について、提言は「大砲かバターか」と二者択一的ではないとか、「負担増・コストと考えるべきではなく」、民生用技術の開発・発展、貿易輸出の増加、雇用創出など経済発展をもたらす契機となり、生活の安定と向上に役立つ、「軍事と経済の好循環」になると言います。しかし破壊と人間の殺傷をもたらす戦争用軍事力の強化は浪費以外のなにものでもありません。

 

 提言はインターネット技術は軍事的な必要から生まれたと言って「軍事と経済の好循環」論を正当化していますが、戦争がなくても、人々の生活改善と向上に向けた技術開発は行えます。むしろ現在の資本主義社会のように個人や企業の金儲けや戦争のために技術開発を行うよりも、搾取を廃止し、諸個人が社会全体のために協働し、それぞれの能力を発揮することが可能となる社会こそが、より豊かで高度な生活をもたらす革新的な技術が発展するだろうことは誰でも容易に想像できるのではないでしょうか。

 

◆深化する日本帝国主義の頽廃と反動化に抗して闘おう

 

 提言は、「現在の国際社会では、過去にもまれなスピードで、政治、経済、軍事の面で大きな変化が同時に多発的に起こりつつある……歴史的な節目」にあるとし、日本は日米同盟を基軸としながらも、米国依存ではなく、日本が主体的に、EU諸国やアジア諸国と連携を強化し、軍事力の拡大・強化に邁進していかなくてはならないと述べています。軍事力の飛躍的強化は、権益の維持・拡大のための帝国主義日本の国家と大資本の要求なのです。

 

 軍拡は米国の押し付けで、日本が米国の戦争に巻き込まれる危険が増すという共産党の主張は、帝国主義国家日本の反動化・頽廃から目をそらさせ、日本の国家、大資本を免罪し、労働者の階級闘争を解体させる民族主義的、日和見主義的議論です。一切の民族主義・日和見主義と手を切り、大資本とその国家に反対して、闘いを発展させましょう!

 

労働の解放をめざす労働者党

連絡先:〒179-0074 東京都練馬区春日町1-11-12-409「全国社研社」気付

       TEL/FAX 03(6795)2822

★ 自民党と反動の改憲策動、軍国主義路線を断固粉砕しよう!
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