労働の解放をめざす労働者党ブログ

2017年4月結成された『労働の解放をめざす労働者党』のブログです。

労働の生産性とは何か

労働の生産性とは何かーー安倍政権と闘うためにも正しい概念を

 安倍政権のもとで急増したヤクザ議員の1人、杉田水脈(みお)が、子供を産めない男女、あるいは生もうとしないカップルを「生産性がない」と攻撃し、多くの世論の顰蹙を買った。
 もちろん杉田の観念は余りに愚劣だが、しかしブルジョアや安倍たちの「生産性」の観念も杉田と大同小異であって、彼らもまた一貫して正しい観念に立つことはない。

 現代のブルジョアたちの労働生産性についての〝公認の〟理論は、GDP(国内総生産)を総労働者数で除したもの(国民もしくは労働者1人当たりのGDP)といったものである。
 あるいは彼らにとっては、生産性とは資本家活動が生み出した「付加価値」を労働者数で割った数字である。

 そこで直ちに混乱と矛盾が起こる。ブルジョアにとっては、企業の付加価値の全体は、大きくいって利潤と労賃に別れるが、そもそも付加価値の全体は労働者の労働による以外に、いかにして生み出されるのか。資本もまた、付加価値に「貢献する」といっても、「貢献」と付加価値形成とはまた別である。

 そもそも労働生産性の概念は、抽象的な人間労働──これは〝近代の〟概念である──と個々の生産物(使用価値)とその量に関する関係であって、例えば同じ労働で、これまで米が10キログラム生産されていたのが、労働生産性の上昇の結果、20キロ生産されるようになったということ以上を、本来的には意味しないのである。

 異なった生産物を持ってきて、こちらのコストは、他の生産物のコストより小さいから、生産性が上だといっても意味がないのは、1台の自動車と1キロの米の価格は大きく違うから、自動車を生産する労働の方が米を生産する労働より生産性が大きいとか小さいとかいっても無意味なと同様である。
 そして結局ブルジョアには、生産性とは、労働者が1時間なら1時間あたりに上げた「成果」である。
「日本生産性本部によると、16年時点の日本の時間あたりの労働生産性は46ドル。米独の3分の2程度に留まる。長く働いても成果が出ていたわけではない」云々(日経新聞6・30)。 この「成果」とはもちろん価値で表される付加価値やGDP等々であり、ある場合は企業(資本)の利潤である(つまりブルジョアは自分たちの都合のいいように、二重にこの言葉を用いる)。

 したがってまた、ブルジョアたちが生産性上昇でいうのは、労働者の「働き方改革」(利潤を最大にする労働の能率の向上、つまり労働時間の延長とか、残業代なき残業つまり労働強化による実質的な労賃の引き下げ)であって、他のコスト要因について何もいわない──少なくも、重視しない──のだが、それこそまさに安倍の「働き方改革」の核心でもある。

 安倍政権やブルジョアは、労働時間を短くしても、労働者に競争を強要して「効率的に」働かせることが、労働者の幸福を高め、生活も改善・向上し、資本も「成長」し、繁栄していいことずくめだというのだが、一体利潤を至上視し、搾取労働を根底とする、この資本主義社会で、そんなことがいかにして可能なのか。

 そんなものは、つまりアベノミクスなるものは、ブルジョアたちの世迷い言もしくは白昼夢であるか、さもなければ労働者をペテンにかける偽善もしくは幻想である。
 
 労働者はブルジョアや安倍政権との闘いをより有効に、徹底的に闘い抜くためにも、労働の生産性についての正しい、〝科学的な〟概念を持つべきある。

(以上は、『海つばめ』1336号の2面・「主張」欄からの転載です。その他の論文・記事はHPに掲載されています。是非、読んでみてください。)

 コメント一覧 (2)

    • 1. 労働者
    • 2018年09月24日 23:30
    • 5 支持します
    • 2. 通行人
    • 2018年09月26日 02:22
    • 参考に

      ・中国共産党はマルクス主義がお嫌い?
       http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/09/post-855b.html

      > フィナンシャルタイムズに「北京大学がマルクス
      >主義研究会の閉鎖を恫喝」(Peking University
      >threatens to close down Marxism society)という
      >興味深い記事を載せています。

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