17総選挙の二の舞にーー野党が賛美する「オール沖縄」戦術は災いの元
沖縄知事選で圧勝した野党は、野党共闘戦術は成功した、参院選でも勝利の展望が見えたと浮かれている(とりわけ共産党が)。しかし沖縄知事選と国政選挙とでは問題が全く別である。
そもそも「オール沖縄」の課題は階級対立の問題ではなく、それ以上に「オール沖縄」の利害関係であり、その限りでは〝超階級的な〟課題であって、それと厳しい階級的政治的闘いである国政選挙と混同することは基本的に間違いである。
普天間基地を辺野古に移す云々の問題は、沖縄の市街地に腰を据えていて、その限り危険な普天間基地をよそに移すという、22年前の日米合意に基づく政治の枠内の話であって、辺野古案が否定されたとしても、その課題は残るのである。
共産党をふくめたオール沖縄の勢力は辺野古移転を避けたいのなら、県外もしくは国外移転を要求して闘うべきであろう。
そしてそもそも民主党(現在の立憲や国民)や市民派やリベラルは、09年に成立した民主党政権において、市民主義者の鳩山首相の口を借りて、普天間基地を「少なくとも県外に移す」と公約したのではなかったのか。
政権を握った野党や市民派が、あの時「県外移転」を実現していれば、9年も前に〝解決〟したはずの問題である。
そんな連中が、かつての自分たちの裏切りを忘れたかに、今さら辺野古移転反対をわめくのは笑止千万である (鳩山政権のこの時の裏切りについては、民主党政権を暴露した『まさに《民主党らしさ》そのものだった──鳩山政権の9ヶ月』234頁以下参照)。
かつての民主政権の裏切りを反省するなら、沖縄の基地問題もまた、国政の段階でのみ、そして民主政権といったえせ政権──共産党のいう野党共闘政権等々──を勝ち取ることによってではなく、労働者・働く者の政権を獲得することによってのみ、いくらかでも根本的な解決が可能になるという真実を教えている。
しかし共産党などはオール沖縄の勝利に浮かれ、参院選でも同じやり方でやれば勝つと大浮かれである。
要するに社民党や立憲民主党だけでなく、国民民主党や保守勢力や自民党の一部を取り込んで、あるいは取り込めれば勝利は確実だというのである。玉城デニー自身、保守を自称する政治家であり、ただ「オール沖縄」──沖縄と〝本土〟の対立──という図式で行動する政治家にすぎない。つまり〝沖縄民族主義〟の限界内の活動家である。
「米国の血を引く僕の意見を米国は聞かない訳はない」と本気で思っているとするなら、安倍並みの甘ったるい、独りよがりの玉城の挫折は最初から明らかである。
もちろん「オール沖縄」の路線が、国政での闘いの「モデル」などと志位らがはやし立てるのは、彼らの愚鈍を暴露するだけである。階級的立場が貫徹する国政では、国民の玉木が仮に野党共闘を重視するとしても、それはただ「単に今の野党にとどまらない無党派・保守層」をどう結集するかという立場からに過ぎない。
さらに共産党の頼みとする立憲の立場も、共産党との〝本物の〟共闘で得票を減らすことを恐れ、共産党が勝手に、表に出ないで立憲民主党のために働くなら、共闘に反対しないという程度の手前味噌にすぎない。
共産党の小池晃は沖縄知事選の勝利の後、「旗印を明確に本気の共闘をやれば、自民党を追い詰めることができる結果だ」などと語っているが、そんな観点で参院選に臨むなら、昨年の総選挙と同様のみじめな敗北を喫するだけだろう。(『海つばめ』1337号の「主張」欄より)