広島・泉予定候補の記者会見――

マスコミに対して、「権力と闘うからこそのジャーナリズム、権力のためのスピーカーではいけない」と要請

20190115広島記者会見

1月15日、比例区予定候補の吉村さんに司会をお願いして、泉候補が広島県庁記者クラブ内で記者会見を行いました。

通信社(共同、時事)2、新聞社(朝日、毎日、読売、中国、山陽)5、テレビ(NHK、RCC、広テレ、ホーム、TSS)5、の計12社全社が参加。

結構興味があったのか、会見は1時間以上。新聞は翌日、産経を含め、6紙で掲載を確認しました。テレビは当日NHKの1社のみを確認。

県内で一番影響をもつ中国新聞の記事が内容も不適切で一番良くなかったが、朝日は「労働者党」と大きな見出しで入れ、内容的には毎日が比較的良かった。

記者会見での質問としては、「どのような政治を目ざすのか」、「なぜ今選挙に参加するのか」などがありました。(『海つばめ』本紙に報告記事を掲載しています。ご参照ください。)

(以下は記者会見で配布した会見要旨です。)


会見要旨

参議院広島選挙区に「労働の解放をめざす労働者党」、略称「労働者党」から立候補を予定しています泉安政です。

73年に私はこの広島の地で社会人として働き始めましたが、当時はまだ市内のほとんどの家々の軒先に世界平和を祈念する言葉が書かれた瀬戸物などが飾られており、感銘を受けたことをいまだに覚えております。その後、本当に世界に平和をもたらすためには、なによりもまずこの日本の軍国主義と闘うことで、世界中の働く人々の軍国主義反対の闘いと連帯することが必要だと信じて前の職を辞して、80年に広島に帰ってきました。それ以来この40年近く、毎年欠かすことなく8・6の原水禁大会やメーデーで、軍国主義に反対する闘いや労働者の団結をビラやマイクで訴えてまいりました。

歴史問題一つとりましても、何ひとつ歴史を反省することなく、真実を自分勝手に改ざんできるかに振る舞う安倍政権には、心底から怒りが湧き起こります。私が今回立候補する決意をしましたのは、今こそ安倍政権との闘いの時だと思うからです。

安倍政権を倒すためには野党共闘しかないと既成の野党や労働組合の幹部は語ります。しかしながら、それでは闘う前から白旗を上げているのと同じではないでしょうか。かつて自民党政権を打ち破った細川連合政権にしても鳩山民主党政権にしても、野党共闘から生まれたというわけではありません。

大事なことは、すべての政党、団体がそれぞれに自らの力を全力で出し切って、自民党の候補と闘うことではないでしょうか。そうしてはじめて、これまで選挙など他人ごとのように思って棄権してきた人々の心を引きつけ、投票率を大幅にアップさせることで安倍政権を本当に追い詰めることができると私たちは考えます。

私たちは「別個に進んで一緒に撃て」という言葉を使っていますが、官僚の人事権を握ることで今や国家ぐるみで反動的な政治へと突き進んでいる安倍政権にたいして、まるで党首同士の“談合”で事を済まそうというような既成の野党はお粗末すぎます。

参院選に向けての私たち労働者党の主張は、その骨子を6つにまとめて、既にお送りしています資料に載せている通りです。

私は選挙戦では、次の三つの点を中心に訴えたいと思っています。


 まずは、長時間労働や低賃金などの搾取労働や、正規・非正規や男女間の差別労働を一掃して、働く意欲のある人々すべてが働くことに喜びを見出せるような社会へと、社会を変革して行こうという呼びかけです。

搾取労働や差別労働の一掃というと、なにか途方もないことを言っているように聞こえるかもしれません。しかしそれは安倍首相自身が3年前に「働き方改革」を謳い、「同一労働・同一賃金」の実現を唱えたときに、差別労働の廃止は「待ったなしの重要課題だ」と言い、あるいは「この日本から非正規労働という言葉を一掃する」と、あるいはまた長時間労働の一掃は「躊躇なしに行なう」と約束したことに他ならないのです。

ところが、安倍首相は自分が約束したことをサボってばかりです。たとえば差別労働の温床である派遣労働ひとつとっても、その待遇改善はザル法の下でなおざりにされたまま、今なお「雇止め」が止むことはありません。

安倍首相は首相として、つまり日本の最高責任者として約束したのですから、新しい法律を作るなり、法令違反の監視を強めるなり、あるいは国家のテコ入れで450兆円にまで膨らんだ企業の内部留保を利用するなり、どんな方法を用いるのかは約束した安倍首相の自由ですが、とにかく、ただちに長時間労働や低賃金あるいは差別労働の一掃のための方策を実行せよと、私たちはまず安倍政権に要求します。

他方、私たちの掲げる低賃金・長時間労働や差別労働の一掃という要求は、より大きな、働く者が主人公である社会への、あるいは働く者にとって働くことが喜びでもある社会への、社会変革の第一歩としての要求でもあります。

ここ20年、30年もの間、労働運動の低迷や労働者政党の不在、あるいは派遣労働の解禁といった状況の中で、働く者は分断され、劣悪な労働が押しつけられっぱなしです。そのなかで働く者の闘いやその目標は社会の片隅の方に追いやられてしまいました。それではいけません。

言うまでもなく、働く者こそが人々の社会生活を支えるあらゆる富を生みだしている基盤であり根底です。私たちは、搾取や差別を一掃して、人々が本当に平等に暮らし支え合う社会を作りあげるという、大きな目標を今こそ高く掲げようと訴えます。

この問題に関連して、外国人労働者の問題に少し触れさせていただきます。

昨年末の国会で、安倍政権は外国人労働者の単純労働への参入への道を開きました。安倍政権は「人手不足」ならば安い外国人を雇えばいいではないかと言って、民族主義丸出しで劣悪な労働条件を外国人労働者に押しつけようとするのですが、それでは差別を助長し社会の歪みをいっそう拡大するだけです。

安倍政権は外国人労働者の受け入れ拡大について、「人手不足」だから「少子高齢化」だから必要だと言い放します。しかし、なぜ少子高齢化や人手不足が起こっているのでしょうか。それは今では「きつい・汚い・危険」の3K職場どころか、さらに「給料が安い、結婚できない、心を病む」などを加えた7K職場とか9K職場とすら言われるような劣悪な労働条件がまかり通り、若者たちが結婚相手を見つける時間も無く、見つけても子供を育てる余裕すらなくしてしまっているからに他なりません。

だからもし人手不足だ、少子高齢化だと言うならば、安倍政権が真っ先にしなければならないことは、自分が約束した通りに、低賃金や長時間の労働、また差別労働といった劣悪な労働をこの日本から一掃してしまうことなのであって、劣悪な労働を外国人におしつけることではないのです。

二番目に、これも大きな問題なのですが、社会保障をどうするのかとりわけ介護の問題をどう解決していくのかという問題があります。

2025年問題と言われますように、あと6、7年もすれば介護を要する世代が極大化する反面、それを支える現役世代の所得が極小化して、現在の社会保障制度が立ち行かなくなる時代がやって来ます。破綻が迫っている社会保障をどうするのか、これは避けて通れない大問題です。

ところが安倍政権は「全世代型の社会保障」などを持ち出して、社会保障の問題を幼児教育の無償化といったバラまき政策にすりかえてしまうのです。それは高齢者の生活保障のためにカネを使うよりも、全世代に向けてカネをバラまくほうが自分の人気取りになるといった無責任なものです。しかもその財源は、自民党自身がかつて財政再建と社会保障のためだけに使うと約束していた消費税の増税分で賄うというのですから、空いた口がふさがりません。

社会保障制度が崩壊すれば、何百万人、何千万人もの弱い立場の人々の生活が恐るべき危機に直面するというのに、そんなことは知ったことではないかにふるまう安倍政権を、私たちは許すわけにはいきません。

そもそも社会保障とは、働くことの出来なくなった高齢者を社会でどう面倒を見ていくのか、という問題であり、働く者の相互扶助、共同支援の問題です。私たちはこの問題に対しては、介護・看護の無償化とともに介護の共同支援化で対応すべきだと考えます。

介護の共同支援化と言いますのは、義務教育をイメージしていただくと分かりやすいと思います。国会議員をはじめ社会のすべての成員が2年とか3年の間、公費のもとで介護の活動に従事するというやり方で、人手と費用のかかる介護の問題を解決しようということです。

介護というのは、動物たちは行なうことのない、本来もっとも人間らしい活動の一つだと思います。しかし、だからこそ私たちは、介護を労働として、つまり対価を求めたりカネ儲けの手段として行なうのではなくて、人が本当に人として支え合う共同の支援活動に置き替えるべきだと考えます。

そんなことをしたら今介護の仕事をしている人たちはどうなるのか、という疑問が出ると思います。介護という分野は、労働としては介護技術の指導といった範囲に縮小されます。だから今介護を仕事としている人の多くは別の労働分野に移動しなければなりませんから、そのための支援が行われなければならないことは当然です。しかしながら、一番大事なことは、先ほど述べましたように、すべての労働分野、すべての職場において、働く者がそこで働くことが喜びとなるような社会へと、この社会を変革することです。その場合には、どういう職場で働くかは働く者の選択にまかされることになるのです。

さきほど外国人労働者の問題でも触れましたが、安倍政権は介護という人手のかかる困難な活動なんか外国人にまかせればいいと言って恥じません。あれほどヤレ「道徳」だ「倫理」だと言いながら、安倍政権は高齢者の介護など、カネまかせ、他人まかせで構わないと言うのです。まこと安倍政権ほど「人の道」から外れた政権はありません。

三番目に、これは好むと好まざるとにかかわらず今回の参院選の争点となる、憲法改定の問題です。

安倍政権はすでに第9条に「自衛隊は合憲である」という一項を付け加えるという改憲案を発表していますが、これに対して既成の野党は今のところ対案を出しておりません。

私たちは、第9条を変える必要はないと考えます。しかしながら、安倍政権が現行憲法に軍国主義を持ち込もうとしている今、私たちは安倍政権の改憲案にたいして、まずもって第1条に「国民主権」を明確に示す改憲案を出して、安倍政権の軍国主義と闘わなければならないと考えます。既成の野党のように「9条を守れ」と言っているだけでは、安倍政権の軍国主義に飲みこまれてしまうのです。

今や安倍政権は、戦後憲法が前提としていた「国民主権」を曖昧にし、否定することで、復古的な天皇主権にすり替え、戦後の日本の国家を変質させようとしています。私たちは、憲法の第1条に「国民主権」を明記し、その上で現在の天皇制は同じ人間であることを認めたうえでの天皇制である事を明記することで、安倍政権のような軍国主義者たちが再び天皇制を神格化し、戦争のために利用することができないようにすることが必要だと考えます。

以上が私がこの選挙戦で訴えたいことの大まかな内容です。皆さんも一人の有権者として、私たちの提案をご検討願いたいと思います。

最後にこれはマスコミの皆さんへのお願いです。40年ばかり前に私がNHKで働いていた頃、これはちょうどロッキード事件で田中角栄が5億円の収賄罪で逮捕された時期に当たります。私は技術職でしたので直接には報道内容にかかわることはありませんでしたが、ニュースの送出などで権力犯罪を告発しようという報道陣の熱気は感じておりました。今はどうでしょうか。権力と闘うからこそのジャーナリズムであって、そうでなければただの権力のためのスピーカーにすぎないということ、このことを今一度心にとめていただければと思います。

もう一つ、私たち労働者党はきちんと政党として届け出ており、また巨額の供託金を支払って確認団体として参院選に参加いたします。ミニ政党だからと差別をしないで、他の既成政党と平等に取扱っていただきますように要請致します。