中国の民族浄化作戦を糾弾する!
新疆ウイグル自治区の実態
新疆ウイグル自治区における中国政府の野蛮な〝民族浄化作戦〟、政治弾圧、宗教抑圧の実態が次第に明るみに出ている。それは現代の〝ジェノサイド(民族抹殺)〟とも言えるおぞましく、えげつないものである。 欧米のメディアや調査機関が近年ようやく報じるようになった情報(その中には現地のウィグル人が命がけで欧米の知人に提供したものも含まれる)まとめてみよう。
オーストラリアの戦略政策研究所が衛星写真を分析したところ、ウィグル人収容施設(中国は「職業訓練所」と称している)が2017年以降380カ所が建設あるいは拡大された。また、同じく17年以降、8500のモスクが破壊され、7500のモスクが損傷された。
「収容所」には100万人を超えるウィグル人が収監され、思想改造や自己批判を強要される。虐待、拷問、レイプは日常茶飯事で、死者も出ている。数少ない生還者の証言によれば、殴る蹴るの暴行、電気ショック、水責め、心理的ないじめ、中身不明の注射を打つなどの蛮行がまかり通っている。ウィグル人を肉体的精神的に追い込み、屈服させるためだ。
新疆ウィグル自治区はもともとトルコ系でイスラム教を信仰するウィグル人の居住地域である。胡錦濤政権以来、「西部大開発」の名の下に漢人が大挙送り込まれてきたが、それでもなお新疆の全体人口の50%を超える1270万人はウィグル人だ(この人口数に照らすと、人口の約一割が収容されているのだ!)。
中国政府の民族同化政策や漢人優位体制、宗教弾圧に反発してしばしば抗議行動が起こり、90年代にはソ連邦の崩壊と少数民族の独立運動に刺激されて、独立志向も高まった。2009年にはウルムチ市でウィグル族と漢族が衝突して2000人近くが死傷、13年にはウィグル人が乗ったとされる車が北京の天安門前に突っ込んだ事件、14年にはウルムチ駅爆破事件などが起きている。
これに対し、習近平は「対テロ撲滅」作戦により徹底的な弾圧を推進するとともに、15年の党会議で「宗教の中国化」方針を打ち出し、ウィグル族の信仰や習俗も過激思想の温床になっているとして宗教弾圧も強化してきた。モスク破壊や収容所送り(単に外国に親類がいる、パスポートを持っているイスラム教の宗教儀式に忠実だといった些細な理由でも収容される)は、こうした習近平政権の政策の一環である。
さらに、17年には自治区政府は「産児制限違反ゼロ」を達成せよと号令をかけ、出産適齢期の女性の80%超に不妊手術を施すか子宮内避妊具(IUD)を装着させる作戦を展開してきた。「組織的な断種キャンペーン」である。
19年と20年に公費で数十万人の女性に不妊手術が実施され、その結果、ウィグル人地域では人口増加率が84%も減少、19年には出産適齢期の既婚女性のうち出産した人は約3%にとどまった。習近平政権は、男性は収容所送り、女性は不妊手術によりウィグル族を根絶やしにしようとしているかである。
習近平政権が新疆ウイグ地域〝平定〟に躍起となっているのは、大東亜共栄圏の中国版「一帯一路」構想の実現には中国からユーラシア大陸の出入り口となるこの地域の安定が不可欠だからでもある。
中国の国家資本主義の利益を体現し、野蛮な民族浄化作戦を強行する習近平政権に断固抗議し、糾弾しよう。(鈴木)
「人民の反乱は通商のじゃまになります。そこで外国人と一部の中国人は手を結んでそれを抑圧することをせまられます。こうして外国による支配は避けがたいものになります。外国列強はたがいに競争しますが、一定の目的のためには一致団結します。このようにして西方の文明は優位に立って、力づくで自己を押しつけていくことになります。」(『マルクス 中国論』刀江書院P.24,但しこの文章はマルクスのものではなく、編者ドナ・トーのまえがき)。
世界覇権の現領有者としての共通の利害の下に一応は纏まっている英米系アングロ・サクソン帝国主義(者)ですが、右派(いわば領土派)は人権問題をテコに中国(北京政府)の国際的声望を貶めて新興帝国主義国としての強大化をできるだけ妨害・抑止したいし、左派(いわば金権派)は陰に陽に「一帯一路」のスポンサーになって大儲けしたい、そして中国は五中全会で現指導者を盛り立てて行く事を内外に宣明した-つまり、帝国主義(者)の白組と青組と紅組が、(ウイグル人の一部買弁屋も含めて)虚実綯い交ぜになりながらかの地で己の欲を充たそうと諍い合ったり凭れ合ったりしているという訳でしょう。マルクス主義者の一員として、どれかの勢力に体よく踊らされて「善意の悪人」になってしまわないように、どの情報にも注意力と批判精神を持って接するよう心がけたいと思います。