労働者党理論誌『プロメテウス』59号発刊 

《MMT派経済学批判を特集》

厳しい状況の中で発刊できずにいた理論誌『プロメテウス』の59号がようやく出版されました。MMT派の経済学と政策を真っ向から批判した特集は、マルクス主義の観点からの一貫したMMT派批判であり、日本において――否、恐らくは世界でも――初登場であり、歴史的意義を持つと確信しています。特集以外に、時局論集や書評も掲載されています。

purome59表紙

時局論集は、アメリカ大統領選結果についての「危機深めるアメリカ」と、安倍から総理を交代した菅政権を暴く「安倍政治継承うたう菅の所信表明」、それと、来日した中国王毅外相発言を非難した共産志位発言を論じた「愛国共産党・志位の中国外相非難」の3本。

 書評は、白井聡著「武器としての『資本論』」と斎藤幸平著「人新世の『資本論』」の2冊が取り上げられています。時局論や書評は『海つばめ』や労働者党のホームページ及びブログで掲載されたものの中から厳選しました。

次に、59号の編集後記を紹介して、プロメテウス59号購読を呼びかけるものです。

《編集後記》

本号は、当初、MMT派批判を第一部、2019年参院選における労働者党の闘いを第二部とする企画でスタートしました。しかし、最終的に第一部の分量が多くなり、選挙闘争の部分と合わせると頁数が増えすぎるところから、選挙闘争については別の冊子にまとめることにし、MMT派批判特集に絞りました。但し、それだけでは単調になるので、時局論集と書評を載せ、最近の情勢や研究を反映させています。

選挙闘争をまとめた冊子は、年明けには発行となります。選挙冊子をご覧になっていただければ、労働者党が安倍政権(当時)の「全世代型社会保障」という美名に隠れたバラまき政策の批判を通じて、事実上MMT派批判を選挙闘争の中で展開してきたことがお分かりいただけるでしょう。是非、選挙闘争冊子も購読されるよう呼びかけます。

MMT派の批判は、正直、決して簡単でも楽しいものでもありませんでした。彼らは荒唐無稽の反動的ドグマ――政府が自国通貨建てで支出する能力に制約はなく、財政赤字や国債残高は気にしなくてよい等々――をあれこれの衒学的知識をちりばめ、もったいぶって説くことにより、読者をたぶらかしているのであり、その嘘っぱちを一つ一つ摘発し化けの皮を剥がしていくことは決して容易ではなかったのです。しかし、執筆者たちはマルクス主義の観点からその嘘、妄想、虚妄性、反動性を暴くことに真剣に取り組み、何とかまとめることができました。もとより、私たちはこれで十分と言うつもりは毛頭なく、さらに批判を深めていくつもりです。

最後に、論文の中でしばしば、労働者の目指すべき方向として社会主義(共産主義)社会が提起されていますが、労働者党の文献を初めて読んだ方は、プロメ59裏トリミング社会主義と聞くと、すぐかつてのソ連や現在の中国を思い浮かべ、眉をひそめるかもしれません。しかし、私たちは既に1960年代半ば過ぎからいち早く、ソ連・中国の体制を特殊な資本主義(国家資本主義)と規定し、マルクスが『資本論』などの中で提起した共産主義社会とは全く別物であること、商品生産は社会主義でも残るといった市場社会主義論は国家資本主義の現実の追認にすぎないことを明確にしてきました。興味ある方は本誌広告に出ている関連文献を是非お読みください。「目から鱗が落ちる」こと、請け合いです。(S

申し込みは全国社研社でも労働者党でも結構です。

プロメテウス59号の定価は800円、送料200円です。

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   ISBN978-4-9904618-7-4
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   プロメテウス59号紹介 (wpll-j.org)