愛知支部発行『海つばめ』(号外)のアピールを紹介します。

 

コロナ禍と介護問題——介護問題解決に共同体原理を導入すべき

 

★コロナ禍で相次いだ高齢者介護施設のクラスター

 

 65歳以上の高齢者に対する新型コロナワクチン接種は7月31日で2回目接種が75.5%と終了の目処が立ったと言われている。

 

 コロナ禍では当初は高齢者施設や介護施設においてクラスターの発生が相次いだ。名古屋でも介護施設やデイサービスを通じて感染の拡大が進み医療・介護の危機が叫ばれた。医療用マスクや防護服、フェイスシールド、消毒液が不足し感染対策の専門スタッフも存在せず研修も満足に受けることが出来ずに、人手不足の中で差別や中傷を浴びながら劣悪な条件で働く多くの労働者がいる。

 

 介護施設の労働者をエッセンシャルワーカー(生活維持に欠かせない職業)と横文字の呼び名に変えるようになったが、劣悪な実態は何ら変わってはいない。

 

★進む高齢化と困難を極める介護問題

人口構造の変化 

 日本の高齢者は2020年で3617万人!高齢者が人口に占める割合は、28.7%と世界有数の高齢社会。2025年には戦後ベビーブームで生まれた世代が後期高齢者75歳以上になるために、介護問題が大きくクローズアップされてきた=増大する社会保障費、保険料値上げ、不足する介護労働者、介護離職等々。人間が老いていくのは自然なことであり、老いに応じて身体の自由が効かなくなり、何らかの介助や介護が必要になり、死に至る。

 

 高齢化や介護がことさら特別な問題であるかに、クローズアップされてきたのは、日本が1960年代以降高度成長の中で、三大工業地帯への人口の集中が進み(戦後団塊の世代と言われる若年青年層)大都市圏に住む地方出身者が家庭を築き、子供らが独立し年老いた親世代が残された。

 

 少子化が進み現役世代が減少し税収が不足し、その結果社会保障や高齢者問題がクローズアップされ日本政府は、2000年に「介護の社会化」を掲げて「介護保険制度」を導入した。

 

★民営化や介護労働者に介護を押し付ける仕組みでは介護問題は解決しない

 

 しかし、介護の社会化という立派な政策を掲げながら、実態は40歳以上の国民全てから介護保険料を徴収し介護保険の運用は自治体が行うというものであり、社会化と言いながら真逆の介護の民営化を促進した。

 

 財政力ある自治体と弱小自治体で保険料や介護サービスに違いが出る、介護報酬の上限が決められている中で民営化を進めた結果、介護労働者の賃金と労働条件は劣悪なまま推移してきた。

 

 介護の民営化は、介護人手不足の中、ネットの人材紹介サイトや人材派遣業など“手配業者”が介護報酬に群がるビジネスチャンスを作り出し、紹介手数料の名目で介護施設から金を巻き上げている。

 

 夜間2人の介護職員で80名の入所者を介護したり、要介護者一人一人のタイムスケジュールを決めて流れ作業のように食事、排泄、入浴などをこなしていくことが介護と言えるだろうか。

 

 介護労働者の離職が相次ぎ介護業界は、慢性的人手不足が続いている。このまま高齢化が進むと要介護者が増え、介護職員が何十万人も不足する!大変だ、保険料を引き上げ、施設に入所ではなく在宅介護に切り替える、介護サービスを質・量とも削減しなければならない。海外から介護人材を6万人特定技能実習生として受け入れる。介護職員の待遇を引き上げなければならない(嘘ではないが、介護労働者全体に及ぶものではない)。

 

 政府は様々な報告書を作成し、2025年問題や2040年問題を煽りたて負担増とサービス減を国民に“洗脳”してきた。

 

★介護を全員が担う仕組み作り上げよう!

 

労働者党は皆さんに、介護問題に対する解決策を提案します。

 

 人間である以上、人は誰でも老いるのは当然なことです。とするならば、介護を利益を追求する経営原理によって運営される私的施設や、そこに雇用される介護労働者にもっぱら介護を押し付ける現在の仕組みはおかしくないだろうか。

 

 介護は人類のみが行う崇高な文化です。動物の世界では、年老いて群れについていくことが出来なくなった個体は群れから離れて死んでいきます。ところが人類は年老いて生産的労働や社会的労働に参加できなくなれば、共同体の成員によって支えられ生涯を終える文化を育んできました。

 

 我々は、現代においてこの共同体原理を現代の解決困難な介護問題の解決に導入すべきであると提案します。

 

 すなわち、介護の社会化を掲げながら利益追求と資本の論理で運用するような会社と、非生産的で劣悪な労働条件の介護労働者に介護を押し付けるのではなく、 全ての人々が一定期間、介護に従事する、共同体原理の適用が介護問題を解決する方法であると、呼び掛けます。
(愛知支部発行『海つばめ』(号外)より)

 
労働者党の介護パンフレットを紹介します。ぜひ、ご検討ください。

労働の解放をめざす労働者党の出版物

参院選勝利のための小パンフシリーズ①

『困難な介護問題の解決に向けて』

【目次】

一、困難な介護問題の解決──共同体原理の適用以外にない

二、問題だらけの見切り発車──2004年実施の介護保険制度

三、カネと賃労働で解決可能か──資本の下での〝高齢者介護〟の限界

四、破綻する現行介護制度──苦悩する介護労働者たち

五、介護問題の真の解決のために──〝介護の社会化〟を超えて

六、社会保障制度の真の解決の前提──労働の解放とその合理的、全般的な再組織、再編成

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