高橋洋一の荒唐無稽な主張
――「埋蔵金」でバラまき加速せよと
先日、休みにテレビの木下容子ワイドスクランブルをたまたま見ていたら、イギリスのトラス政権は、大幅減税の財源を国債に求め、国債の暴落,叩き売りことなどにあって崩壊した、今回の補正予算もその財源のほとんどを国債に頼っている、日本は大丈夫かとの問いかけから始まっていた。
その番組出演の自民党安倍派ご用達のブルジョア経済学者の高橋洋一は、日本は大丈夫だと請け負い、日本には「埋蔵金」が今の円安で生じている、補正予算の財源はそれをあてるべきだなどと述べていた。
高橋は2019年の参院選さなかに、私が通勤する電車の宙吊りのポスターで高橋の本の広告で、大きく「安倍首相の経済政策は私の見るところ90点」とか書いて半ば選挙違反まがいなことまでして安倍を支援していた人物である。
高橋のいう「埋蔵金」とは円安で「外為特会で外債を持っているのだから、含み益だけで40兆円近くある」との趣旨をテレビで説明していた。この高橋と同じことを国民民主代表の玉木は10月6日の衆院代表質問で、「円安メリットを生かすのなら、外国為替資金特別会計(外為特会)の円建ての含み益を経済対策の財源に充ててはどうか」と提案している。
外国為替資金特別会計とは、外国為替相場の安定(為替相場の急激な変動の際の為替介入など)のために設けられているものである。高橋、玉木らはこの手段をなくせと言っているのに等しい (為替相場に介入してもその「効果」は一時的だが)。
この玉木の提案に対して、岸田は「財源確保のために外貨を円貨に替えるのは実質的にドル売り円買いの為替介入そのもの」とかわしている。高橋らは、「財務省の入れ知恵か」、それは違うなどと岸田に反論しているが。高橋、玉木のいう「埋蔵金」なるものが仮にあったとしても、円高に戻れば消えるものであり、あぶくのようなものであり、一時的なものである。
1000兆円を超える巨額の国債残高に比べれば、まさに雀の涙である。今では「円安メリット」より「円安デメリット」の方が大きいことが基本的事実、現実であることを彼らは忘れている。
彼らは現実と物語の区別がつかず風車に立ち向かったドン・キホーテにそっくりである。政権をとる前の民主党も2000年代には予算を組みかえればいくらでも「埋蔵金」がある、小沢一郎も「権力を握れば、カネはいくらでも出てくる」と言っていたが。それは現実としては破綻した。
高橋、玉木が言うことは、財政破綻をもたらすバラまきをもっともっと加速せよということにつきる。高橋はネットのYahooニュースでも「埋蔵金」の主張を大きく詳しく述べていました。
真偽も不確かな、些細なこと、小さなことがあたかも現実の問題を解決するかのごとく語り、問題の本質から目をそらし、バラまきに危機感も持たず「埋蔵金」なる荒唐無稽なナンセンスな主張がもっともらしく昼間からのテレビ、またネットでも語られる今の社会の現状に少し危機意識を覚えました。
(M)