労働の解放をめざす労働者党は、イスラエルのガザ侵攻を糾弾し、イスラエル労働者とガザ侵攻に抗して戦うパレスチナ人民に連帯して、イスラエルによる虐殺をやめさせるため、情宣活動を行っています。2023年11月号の『海つばめ』号外配布にご協力ください。
イスラエルのガザ侵攻糾弾
イスラエルはただちに虐殺をやめよ
イスラエルはただちにガザ侵攻をやめよ
10月26日からイスラエル軍によるガザ地上侵攻が開始された(31日現在、本格的地上侵攻は宣言されていない)。10月7日ハマスのイスラエルに対する奇襲攻撃に対して、イスラエル軍は空爆と地上からの攻撃を繰り返し虐殺を遂行し、万単位の犠牲者が出ていると想像される。
地下に張り巡らされたハマスの地下通路を破壊するために地下深くまで貫通する爆弾が使われ、下水道設備や病院、避難所に対する無差別な爆撃が繰り返され、子供も容赦なく爆弾で吹き飛ばされている。ガザを瓦礫の山で覆いつくし、ハマスを一人残さず抹殺することを目的とするイスラエル国家の〝ガザ虐殺〟の決意は強固である。
29日にはハマスの軍事拠点が置かれているとされ、多数の患者、避難民を収容するアルクッズ赤十字病院周辺をイスラエルは爆撃し、退避か人間の盾として死ぬかの選択を迫っている。
ネタニヤフ首相はハマスとの戦いをナチスとの戦いと同列にとらえ、ヒトラーによるユダヤ人迫害、虐殺とハマスのテロを〝ホロコースト〟(第二次大戦中ナチスによる6百万を超すユダヤ人を虐殺した)と同列に置くことによって、ハマスとパレスチナ人民を抹殺することに一片の呵責の念すら感じていない。
10月29日にネタニヤフは「我々にとって第2の独立戦争だ」と強調し、1948年建国時の第1次中東戦争になぞらえ、国の存亡をかけた戦闘だと主張することで、国内外で広がるガザ侵攻非難をかわそうとしている。
〝フェイク〟でナチスとハマスを同列に置くネタニヤフ
ネタニヤフは、2015年10月20日のエルサレムでの世界シオニスト機構の会議で、「ナチス・ドイツのヒットラー総統はユダヤ人を欧州から追放しようとしていただけで、民族虐殺をヒットラーに提唱したのは当時のエルサレムのイスラム教宗教指導者ハジ・アミン・アル・フセイニ師だった」と発言し、世界中から批判を浴びた。ネタニヤフは、ユダヤ人の抹殺を国家の政策として組織的計画的に実施したナチスーー人種的優劣の考えに基づいたファシストーーに虐殺を提唱したのはイスラム教指導者だとウソをつき、ナチスとイスラム・ハマスを同一視することで、ハマスを根絶やし、パレスチナ人民をガザ南部に封じ込め抹殺しようとしているのである。
ハマスがイスラエルに対する「軍事テロ」を行った根源は、歯まで武装した軍事帝国主義=イスラエルのパレスチナ人民に対する差別と抑圧である。
「天井無き牢獄」の異名をもつガザに220万ものパレスチナ人を閉じ込め、水も電気も食料も燃料もすべてがイスラエルの統制下に置かれ、高い壁で囲い込み移動の自由も無く、満足な仕事もない(10~20代の失業率は50%を超えている)。通信は盗聴され上空からドローンで監視され一切の希望が奪われた絶望的な状況こそが、「10・7軍事テロ」をハマスに強いたのである。イスラエルのパレスチナ人民に対する差別と迫害、抑圧こそファシスト・ナチスと何ら変わらないではないか。
パレスチナ難民とハマスを生み出したイスラエル建国
ハマス(名称「イスラム抵抗運動」)は、1970年代からイスラム教に基づく貧困救済などの社会事業を行っていた福祉団体を母体に、1987年パレスチナ人民の間に広がった反イスラエル闘争(インティファーダ)を機に結成された。ハマスは武力によるイスラエルの打倒とイスラム国家の樹立を掲げ、イスラエルとの和平を掲げるPLO(パレスチナ解放機構)に反対し、パレスチナ最大の軍事組織として、「イスラエル打倒」を目指し、テロや武装闘争を繰り返してきた。
パレスチナ人民のイスラエルとその後ろ盾となってきた米国に対する〝怨念〟にも似た怒りを生み出したのは、1948年5月の国連総会でイスラエル建国を決議し、その結果パレスチナに居住していたパレスチナ人は暴力的に故郷を追われ世界中に離散し、難民生活を送ることとなったからである。
パレスチナ人を襲ったこの離散の悲劇を表す言葉を「ナクバ」(アラビア語で「大破局」の意)と言う。「突然襲いかかってきた暴力により、生活が中断され、故郷に帰れなくなった悲しみ。混乱の中で家族は引き裂かれ、共同体は崩壊させられた。当時80万~100万人とされる人々が、ヨルダン川西岸地区やガザ地区、周辺アラブ諸国などへ逃げたが、帰還を許されることもなく現在に至っている」(「ナクバから60年―パレスチナと東アジアの記憶と歴史」より)。「ナクバ」はイスラエル・パレスチナ紛争の出発点と言われる。
展望なき絶望的闘いではなく、大衆的組織的闘いを!
独立した国家をもたず、居住地を暴力的に簒奪されたパレスチナ人に、労働者階級が形成されることはなかった。労働者階級が形成されなければ、労働者の階級的立場に立ちマルクス主義と結びついた、国際主義的な労働者階級の革命政党が誕生することはなかった。
ハマスの武装闘争やテロの、展望なき絶望的闘いが行き着いた「10・7軍事テロ」は、労働者階級の階級闘争やマルクス主義と結合することなく闘われる。宗教的紐帯を色濃く残した「イスラム抵抗運動」であり、その限界を自ら悲劇的な形で暴露した。
ハマスの「軍事テロ」を「10・7蜂起」などと評価し〝美化〟する中核派など急進派は、ハマスと〝展望なき絶望的闘い〟を共有するだけで、深刻な問題の解決に無力である。大衆的闘いの意義を理解できないのである。
労働者党はパレスチナ、イスラエル問題の基本的立場を以下のように考える。イスラエルは、パレスチナ人民への一切の抑圧を撤廃し、パレスチナ人の国家を認めなければならない、パレスチナ人民のイスラエルからの解放は、ハマスのようなイスラム国家樹立のための「軍事テロ」闘争ではなく、「国民国家」をめざす大衆的・組織的な闘いと、その発展にかかっている。そして、パレスチナ「国民国家」の形成と発展の中で、パレスチナの労働者階級が形成され、イスラエルの労働者との連帯もまた始まるのであり、問題解決に前進できるのだ。
ガザ侵攻を支援する岸田政権打倒!
イスラエルの労働者はガザ侵攻中止を要求し共に闘おう!
米国大統領バイデンはアラブ諸国に広がるハマス支持、イスラエル批判の矛先が米国に向かうことを恐れて、イスラエルに対して「国際人権法に合致した形で」ガザ攻撃を行うように〝要請〟し、虐殺に荷担した。
イスラエルと米国は中東における米帝国主義の覇権を守る「特別な関係の国」であり、軍事力で他国を蹂躙してきた米国にイスラエルを止める意志はないし、ハマスのテロを批判する資格もない。
ネタニヤフは自らの汚職疑惑と、司法改革反対運動の高まりの最中に起きた軍事テロを受け、10月11日に挙国一致政権を樹立し戦争体制を作り上げた。
戦争とガザ虐殺――ロシア軍のウクライナ侵攻直後の〝ブチャ虐殺〟に勝る虐殺行為がガザで行われている――を止めることが出来るのは、イスラエル労働者の闘いにかかっている。挙国一致に抗い、ネタニヤフ政権を打倒することがイスラエルとパレスチナの対決に終止符を打つ第一歩である。
岸田政権はイスラエルが自衛権を持つと表明し、イスラエルへの支援をイスラエル駐日大使に伝えた。岸田政権は、イスラエルがハマスを根絶しパレスチナ人を瓦礫のガザに閉じ込めようとしていることを知りながら、ガザ侵攻を容認し、共犯者になり下ったのだ。
我々は、岸田政権打倒のために闘う!イスラエルの労働者に自らの名誉とすべての被抑圧者との連帯を掲げてネタニヤフ政権と闘うことを呼び掛け、イスラエル労働者と ガザ侵攻に抗して戦うパレスチナ人民に連帯する。
ガザ侵攻が広げる世界の分割・対立
それは、自国の利益のための帝国主義国同士の争いでしかない
10月27日、国連総会緊急特別総会はガザに「人道的休戦」を求める決議案を賛成121ヵ国で採択した。中国、ロシア、フランスなどが賛成し、米国やイスラエルなどは反対し、日、英、独など44ヵ国は棄権した。
ロシアや中国はイスラエルを批判しない欧米に反対している。しかし、ロシアはウクライナへ軍事侵攻を行っているし、中国も自国でウイグル人民を抑圧している。
ロシアや中国は、自国では、イスラエルと同じように人々の差別・弾圧という非人道的行為を行いながら、パレスチナ問題ではイスラエルを批判し、イスラエルの味方をする欧米を非難している。それは、アラブ諸国やアフリカ、南米など新興諸国を味方につけ国際的に有利な地位を占めようとするためである。
欧米とロシア、中国との対立は、自国の利益のための帝国主義国同士の争いでしかない。労働者は欧米や日本、そしてロシア、中国のいずれの帝国主義にも反対である。万国の労働者は団結して闘おう。