介護の事業所で働く仲間から、介護問題について投稿がありましたので掲載します。(担当)

 

介護保険の改悪に反対する集会に参加して

 

今年度の介護報酬は、特養など施設系の基本報酬は引き上げられましたが、訪問介護は約2・2%引き下げられました。報酬の引き下げにより、事業所がさらに廃業や休業になると、経済的に施設にも入れず、在宅介護もあきらめざるを得ない高齢者が増え、家族の介護をしながら働いている労働者が離職せざるを得ない状況になります。

 

兵庫では、介護保険の改悪(保険料の引き上げ、二割負担の基準の改悪等)をくいとめようと、7団体で組織し、「史上最悪の介護保険改定に反対する兵庫の会」が、昨年10月結成されました。今年の4月21日には、元非正規労働者の、社民党参議院議員大椿ゆう子氏を招いて集会がもたれ、50人の労働者、支援者が集まりました。私も参加してみました。

 

大椿氏の国会報告では、厚労委員会で武見大臣にぶつけた「訪問介護だけ基本報酬が下がり、在宅介護は崩壊寸前だ、国は在宅強化の方針を変えたのか」との質問には、「赤字業者が4割いることは把握している。高い加算の改定率、手続き簡略化等、加算を通して財源を確保してほしい」といった答弁だったとのこと。

 

集会の参加者からは、「高齢者が圧迫骨折で困っているのに介護を受けられなかった」また、「困難ケース(障害者、疾病など家族に複数の人がいる等)の多い地域のケアマネージャーがそうでない地域へと流出してしまい、残されたケアマネ―ジャーにさらに負担がのしかかっている」、また、「近隣の事業所廃業で、利用者とヘルパーを引き受け、新規利用者の受け入れがストップしてしまい、パニックだ」と怒るサービス提供責任者(指導的ヘルパー)のIさんなどの訴えでした。

 

「兵庫の会」では厚労省や神戸市議会に、要請署名の提出や陳情(高齢者の負担にならないよう全額国庫負担による賃金引き上げや、訪問介護の報酬引き下げの撤回等)を行ない、問題提起をしてきました(市議会は二回とも不採択)。

 

「兵庫の会ニュース」を見ると(23・11・8)講師に招かれたK氏は「19年の消費税10%引き上げで、低所得者の保険料軽減のために消費税財源を充当したが、今回は高所得者(年収410万円以上の高齢者)の引き上げ分をこの軽減に充てる。浮いた消費税財源は軍拡予算に充当されるのではないか」と言う。また、介護保険にもっと、公費、税金を使うべきだ、と「兵庫の会」の尼崎・INさんの意見がのせられています。

 

介護職は有効求人倍率15倍を超えているのに、介護職員の賃金は全産業平均より5~6万円低い。一方、介護保険料は、2000年度の開始当初の2・1倍となっています。訪問介護事業所は36%が赤字で、23年度の倒産件数は67件といいます。神戸市の調査では(23年度)特養待機者は、4,481人になっています。施設側の68・6%の職員が不足と回答しているそうです。

 

 私が働く事業所(訪問)でも、60~70歳代のヘルパーたちが、「私たちが介護を必要とするころには、ヘルパーさんたちが来なくなるだろう」と不安をかくせません。

 

いつでも誰でもどこでも、安心して介護が受けられる==「兵庫の会」に結集する人たちの理念ではありますが、介護保険には全額国庫負担、あるいは東京都のように、都財政からの介護職員への月額一万円補助などといっても、結局は介護を必要とする高齢者の増加、ヘルパーの絶対数の不足の対応には、働く者、生活困窮者にとっての増税の痛みがつきまといます。

 

「介護の社会化」を言うなら、介護職員の搾取によらない介護(援助)、インフラのように全労働者がなんらかの形で介護に携わり、そこここで、介護を必要としている人たちの所へ出向いていけるようなそんな体制の構築が必要なのではないかと感じます。  (兵庫・A)