沖縄で闘う党員から先の沖縄県議選についての投稿がありましたので掲載します。(担当)

沖縄県議選で何が起きたのか?

 

「オール沖縄」は何故敗北したか?

 

6月17日に投開票が行われた県議選は、玉城県政の与党のオール沖縄(社大・社民・立憲・共産・無所属革新)が過半数の24議席から4議席を減らして、野党の自公派(自民・公明・維新・無所属保守)に敗北した。投票率は過去最低の45.26%だった。

 

17日、自民党本部では、16年ぶりの過半数奪還の報告に沸き「知事選での県政奪還に繋げていきたい」と盛り上がったという。

 

早速、選挙直後の18日に沖縄防衛局は、軟弱地番の改良工事について、事実上県との事前協議を打ち切り8月1日に本格着工することを県に通告している。自公政権の軍拡主義の強い意志であり、基地の共同使用を通じ、いずれ自衛隊基地化を謀る意図が透けて見える。

 

全国的に、裏金問題が自民党にとって逆風だと思われたにもかかわらず自民党が議席を伸ばしたのは何故か?

 

普天間基地の辺野古への県内移設に反対した当初の熱気が失われたこともあろう。

 

これまで国政選挙や知事選挙・県議選挙等で基地の県内移設反対派が勝利を重ねてきたのも関わらず、自公政府はそれを無視して基地建設をゴリ押しする一方、裁判闘争においても反動的司法は政府の施策の後押しをするばかりだ!それを目にして政治的アパシーが広がったのか?

 

米軍再編計画に同意するか否かで、自治体への再編交付金が有る無しとなる「アメとムチ」を振るう、卑劣な政府の切り崩し策が効いてきたのだろうか?

 

資本の抑圧を背景に若年層の組合離れがあり、それが労働運動の後退となって活動家の減少につながり、組織力・行動力が落ちていることもあるだろう。

 

こうしたことが選挙戦に影響を及ぼしたことは否めないがそれだけではない。

 

自公派に多数を許したセクト争い

 

自民党が自民・公明・維新で過半数の25議席を目標に戦略的に取り組んだのに対し、オール沖縄側は立憲と社民のセクト争いなどで候補者の絞り込みのための「選挙区内調整」に失敗し共倒れが生じた。このセクト争いが、自公派に予想以上の28議席を提供することになったのである。

 

沖縄では、これまで社民党が多数だったが、全国的な発言力が限られるなどといったブルジョア現実主義の前に分裂し2名が立憲に移行した。そのため、これまで米軍支配とそれを利用した政府と有効に闘ってきた「革新共闘方式」が投げ捨てられ、妥協のないセクト争いが生じたのである。

 

立憲と社民のセクト争いが無ければ宜野湾市区や那覇市・南部離島区での負けはなかったといえる。糸満市区においても共産党の現職に与党系無所属が立候補して共倒れとなった。共産党はあおりを受けたともいえるが、7議席から3議席を減らしたのは影響力が低下しているという事であろう。

 

 そして、最も大きい敗因と思われるのは、自民党県連が公言している「企業ぐるみ選挙」であろう。自民党は候補者を絞り込み、弱いと思われた四つの重点選挙区を決め、自民を支持する電力や建設業など大手県内企業30社の幹部らを前に発破をかけた。その主力は土建屋政治の基の建設業である。また、県内外70社に接触、選挙区内にある関連会社を通じて支援するよう要請したともいう。かくしてこれら選挙区(特に新人を擁立した中頭郡-なかがみぐんー区)で勝利を収めたのだと自慢している。

 

 土建屋政治は復帰直後から自民党国会議員も出すなど沖縄の選挙を左右してきた。革新政党は戦後続いてきた談合を見逃し、土建屋政治と闘うことが出来ていないのである。

 

それにしても、電力は県内最大の公益企業であり、特定の政党(自民党)を支持するのはおかしいではないか!と執拗に抗議してその姿勢を挫くべきであろう。

 

 また、県内では非正規労働者が約4割を占め、労働基本権が踏みにじられ組合もない企業がほとんどだ。労働者が資本(企業)の支配の下に呻吟している現状は、企業ぐるみ選挙がまかり通る状況にあるのである。

 

 社民党(立憲民主党)は、公務員労組や全駐労などの政党支持の上に胡坐をかいてきたが、組合を超えて労働者の利益を守り発展させていくという意識に欠け、セクト争いを優先させる姿が大衆的に暴露され明らかになったのである。それは労働者の階級的な利益を守る運動の発展の契機になり、歓迎すべきことである。新しい労働者政党の建設が必要だという事を労働者は理解していくであろうし、また、そうしていかなければならない!

 

玉城県政のお粗末な選挙支援

 

「貧困の子供」(それは大人の貧困に他ならない)を支援するはずが、「政争の具」になったのが「給食費の無償化」問題だ。「中学生がいる世帯の給食費を無償とする市町村へ、費用の半額を補助する」、との定例記者会見での玉城知事の問題含みの発表は自公派に上げ足を取られることになったのである。

 

那覇市や沖縄市など自公派の首長らは、「なぜ中学生だけか」、「小学生は置き去りか」、全市町村でないと格差が生じるなどと言い、「全額県負担で実現するよう」要求した。

 

だが、給食費は国の補助無くして地方自治体が無償化するのは財政的に大きな負担となり困難を招く事となろう。財政力のある一部の自治体とそうでない自治体との格差は歴然だ。政府は、軍事費を2倍にしている場合ではないのである。

 

県は25年度から段階的に進める方針だったようだが、選挙戦の中で与党候補者のためにとしたことが、非難材料を提供することになったのである。

 

こうした非難を受けて玉城知事は全市町村の小中学生の給食費の半額補助することを改めて表明するというお粗末ぶりとなった。

 

非難の先頭に立った那覇市長のチネンであるが、「オール沖縄」那覇市政の中で副市長にしてもらったのだが、自公派から市長候補にすると誘われ裏切った人間性の疑われる人物である。そのチネンも市長選挙で「給食費の無償化」を掲げ、国に対して無償化の陳情も出していたのだから話にならない。

 

米軍()犯罪の選挙前の隠蔽を謀った政府

 

昨年12月24日、本島中部で米空軍兵が16歳未満の少女を拉致して性的暴行を加えたことが明らかになった。

 

沖縄県警は事件当日被害関係者からの通報を受け、凶悪事件であるにもかかわらず米軍に身柄の引き渡しの要求もせず、米軍管理下にある犯人を任意で取り調べ、3月11日に那覇地検に書類送検して、起訴後に米軍側から犯人の身柄が引き渡されたというが、犯人は保釈金を支払って現在は基地内にいるという。

 

また、外務省は3月27日に米側へ抗議したというが、この一連の蛮行を県警・地検・外務省・防衛省は口をつぐみ、公判の予定を掴んだマスコミの6月25日の報道により県知事も県民大衆も初めて事件を知ることになった。

 

 また、5月26日にも米海兵隊員が不同意性交等致傷で同日逮捕され、6月17日(選挙投票日の翌日)に起訴されていたことも明らかになった。

 

昨年12月には辺野古新基地を巡る代執行訴訟があり、4月には日米首脳会談、6月16日には県議選があった。

 

 この蛮行が発生時点で明らかになっていれば当然抗議行動が起こり、投票率の上がる県議選はもちろんこれらのことにも影響が出たことは明らかであろう。

 

 県警・地検・外務省は事件を隠したことを問われて、「被害者のプライバシー保護」のためだとうそぶいている。プライバシー保護を徹底して、軍事基地の重圧に呻吟している県知事はじめ身を守らねばならない沖縄の大衆に明らかにすることは当然の責務であろう。

 

彼らはプライバシー保護を都合よく使ってこれら蛮行の隠蔽を謀ったのである。特に地検の態度は高飛車である(今後は不起訴もあり得るのか?検察審査会はどうなる?)。県警や地検がこの間政治的に行動してきたことは知られたことだ。辺野古ゲート前の抗議行動の中心的人物を逮捕して(病気があったにもかかわらず)長期拘留の弾圧をしたのだ。彼は保釈後入院し前面から退かなければならなかった。

 

1995年に起きた少女集団暴行事件が、米軍基地の存在を動揺させたことを教訓として、卑劣にも事件の隠蔽を日本政府の方針としたのだ!

 

5月に日米同盟の強化に向けて在沖米軍トップの四軍調整官と共に米軍機で与那国・石垣島を訪問したエマニュエル駐日米大使と、6月23日の「慰霊の日」の追悼式に出席した岸田首相も当然この凶悪事件を知りながら、何もない素振りをした彼らの歪んだ人間性こそまさに異常である。

 

 隠蔽だとの非難を受けて政府は情報の秘匿を見直すそぶりを見せている。林官房長官は「関係省庁で連携の上、可能な範囲で自治体に情報伝達する」と述べる一方、「情報が不適切に扱われた場合は伝達を取りやめざるを得ない」と言っている。

 

その意味は、情報の伝達は政府が許す「可能な範囲」であり、県や市町村は共に事実を隠蔽せよということにほかならない。

 

帝国主義者というのは何と陰険で卑劣な連中か!?

 

 働く仲間の皆さん!日米両政府を厳しく糾弾し、軍拡路線に反対して共に闘おう!  (沖縄発)