2025春闘継続中


 
――医療・介護職場の労働組合からの報告 3/3

 

賃金表の破綻(法違反状態の賃金表)

 

 2008年6月作成(現行)の職種別賃金表では、一番対象人数の多い介護職賃金表は、1号俸132,500円~142,500円で、時給でいえば義務的月労働時間172で割ると、770円~828円。2008年の最低賃金は631円で生協介護職は139円多く、介護職初任給は最低賃金を約24,000円上回っていた。

 

 当時300人を超す職員がいる職場で「最低賃金」など労働条件としては無関係であると私は迂闊にも思っていた。ところが先の1号俸132,500円~142,500円、2号俸133,500円~149,500円、3号俸134,500円~156,500円・・・と続き、幅のある賃金表額は最低評価なら1000円ずつしか昇給せず、25号156,500円~210,500円となっている。 

 

 初任給最低額132,500円(時給770円)は11年後の2019年最賃額790円を下回り、労組は経営側に指摘した。それに対して「介護職員処遇改善手当分」を基本給に足すことで問題なし」の態度をとったのだった(介護職員から問い合わせがあったらそう答えよとの介護職場長あての文書の存在あり)。 

 

 事実、最近ネット上では社労士事務所等が介護事業者に「厚労省は介護職員処遇改善手当の本来の趣旨は基本給の底上げに使うべきで好ましくない と言っているが禁止だとはいっていない」として「算入」を勧めている。「最低賃金抵触部分への算入は禁止されていない」に飛びつく介護業者は存在するだろう。  

 

 生協は、処遇改善手当の最賃対策への「算入」を現在止めているが、昇給に処遇改善手当の9割を流用、それも累計で年1000円昇給が10年あったら10年累計で10×1000=10000円、その9割である9000円を毎月の処遇改善手当から基本給増額に流用している。春闘では以前から「流用を止めて全額を介護職員処遇改善手当として支給せよ」との労組要求を理事側は拒否している。

 

 愛媛県の最賃時給1033円(昨年は956円)が報道された。最賃による昇給職員(昨年最賃クリアのため時給で960円(生協は最賃そのままでは求人募集に差し障ると考えて956に4円足した)に引き上げとなった職員38名は今年時給73円(最賃クリアのため)アップとなる(1033円-960円)。月12556円(73×月義務的労働時間172時間)昇給することになる。

 

ここ10年毎年月1200円の賃上げが続いており、新人は10年先輩の賃金に一年で追いつくことになる。自公政権が最賃1500円を目指すと言っている、また7月の参院選では多くの政党が最賃アップをかかげた。物価上昇が続く中で、最賃引き上げの傾向は今後も続くだろう。最賃対策に昇給原資を割いて、ベテランには時給7円アップで対応する低昇給路線が続くとすれば、来年には新人が20年先輩の賃金に追いつく。結果として職員の多くが「最低賃金」に限りなく張り付く職場となる。こんな職場はごめんだ。

 

 2025春闘アンケートの自由記入欄には「長年働いてきた職員の給与は大きな見直しがなされず、新人との差がなくなってきている、今まで働いてきたのがなんだったのか」と書かれていた。

 

 医療・介護は資本の政府の福祉政策として、保険制度で運営されているが、日本資本主義の衰退とともにその破綻が顕著になっている。保険料値上げと負担率の引き上げはセットで実行されてきた。「負担」を懸念して「医療受診」「介護利用」の「手控え」が新型コロナ流行期から増えている。

 

利用者「手控え」は医療生協のように、低賃金による人件費圧縮で設備投資を繰り返してきた経営を赤字転落させた。介護報酬の増額が経営危機の決め手になるか。介護報酬の大幅増は利用料金の増額であり、利用者の負担増となる。それでは「利用手控え」増となり経営が上向くか疑問である。また、介護報酬の増額をするより軍事費増強に費やす現実があり、その傾向は自公政権のもとで拍車がかかっている。

 

 そもそも介護は生産部門(新たな富を生産)ではなく消費部門である。資本家にとって本質的には介護は空費(むだづかい)である。ただ、人口的には多数派の労働者階級を慰撫する政策として採用されている。人類の特性として「老いていく」仲間への介護は、利潤目的でなく自然な相互扶助として行なわれる、原始共同体時代のごとく。そんな時代を見据えて、

働き甲斐のある将来に希望のもてる労働条件を提供せよと!と訴えよう!そして、労働条件改善のための闘いと結び付けて、賃金制度を克服する労働者の階級的な団結をうち固めることを意識的に追求して、労働の解放を勝ち取ろう。 (愛媛 FY)
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