『働く者のカフェ』の報告
7月31日に東大阪市にて『参議院選挙結果と働く者の課題』をテーマに『働く者のカフェ』を開催し、6人が参集しました。
主催者からの報告の後、参加者全員で話し合いを行い、参加者からは「いろんな人の意見が聞けてよかった」、「資本主義の問題を深く話合うことができた」等々の意見が寄せられました。
以下はその報告です。
7月31日に東大阪市にて『参議院選挙結果と働く者の課題』をテーマに『働く者のカフェ』を開催し、6人が参集しました。
主催者からの報告の後、参加者全員で話し合いを行い、参加者からは「いろんな人の意見が聞けてよかった」、「資本主義の問題を深く話合うことができた」等々の意見が寄せられました。
以下はその報告です。
まず報告者より以下のような趣旨の報告がありました。
参院選は政権与党である自民党・公明党の完勝に終りました。改憲勢力が参議院で三分の二を得、今後、安倍政権は改憲へ動き出そうとしています。この選挙で民共は、「安保法制廃止、立憲主義回復」を一致する課題として、野党共闘を進めました。野党共闘は、一人区では一定の″成果″を上げました。しかし、大阪など大都市では何ら共闘は出来ず、むしろ維新など改憲勢力を利しました。民進党や共産党などの野党の闘いは不甲斐なかったと云わざるを得ません。
安倍首相は、経済問題を争点化し、大衆も自分たちの喫緊の課題であると関心を寄せていたのです。しかし安倍政治がすすめるアベノミクスは、その本質として、国家とその経済的な力と機能を動員し、カネをバラまくことで、一時的にインフレ景気やバブル景気を引きおこし、まるで、「景気回復」や「経済成長」がやってきたかに幻想させる邪道の政治であり政策です。その効果が出ていないということは、安倍が自ら「まだ道半ば」と言っていることからも明らかでした。しかし民共は、アベノミクスと正面から立ち向かうことなく、大衆の期待に答えるような闘いができなかったのです。
自民党は選挙後「アベノミクスをしっかり加速せよということだ」といって、事業費二十八兆円規模の経済対策、日銀の追加緩和を打ち出しています。しかしアベノミクスの金融緩和は、日銀による国債引き受けといえるもので、安倍政治の無責任な財政バラマキ政策を支える財政ファイナンス(借金の肩代わり)になっています。一千二百兆円もの国の借金は、かならず国民の犠牲に転化されるものです。
資本は行き詰って、成長できなくなっており、生産現場で搾取を強化しています。これに対して民共のように平和主義や憲法を守れでは、安倍政治と闘えません。資本が労働者を搾取する社会であることを踏まえ、資本を追い詰める労働者の階級闘争を発展させることが必要で、それによって改良も勝ち取ることもできます。
行き詰まっている資本を廃絶し、労働者の権力を確立する社会主義を目指して闘うには、核となる自らの政党を持ことが必要です。現在のブルジョア民主主義体制においては、国会に労働者の代表を送り、労働者を啓蒙することが必要です。
以上の報告を踏まえて参加者で話し合いを行いました。
参加者からは以下のような意見・問題意識が出され、議論になりました。
Aさん「野党はなぜアベノミクスと正面から闘えなかったのか。それは景気回復が必要という点では一致していたから、与野党ともに同じ基盤の上に立っていたからではないか」
これについては、民進党が先に消費増税の凍結について提案し、安倍政権がそれに乗った形となったために対立点がなくなったし、野党も結局安倍政権と同じような政策であり、景気回復について財源をどうするのかと問われると答えられないために、経済の争点化を避けたかったのではないか、という指摘がありました。
Bさん「戦後の日本は密約の存在で実証されて来たように、アメリカの言いなりでやってきた。それを変えないと、どうしようもいないのではないか」
これについては、アメリカとの関係については、アメリカの利害から、憲法9条の改憲と言われている面があり、それに同調する形で日本の支配階級が動いていることも事実だが、支配階級の中には憲法を変えなくても現行法でやれる、変えないほうがいいという勢力がいる、支配階級といっても一枚岩ではない。その他、反動派は現行憲法はアメリカの押し付けだ、だから自主憲法と言っている。改憲がアメリカの意向とはいえないのではないか。また、改憲といっても9条だけが焦点ではない、家族条項・緊急事態条項なども言われているし、安倍政権を支える日本会議などは明治憲法の復活を言っている。改憲策動においてアメリカの意向や利害が一定程度、反映している面はあるにしても、より日本の主体的な側面を見る必要があるのではないかと、いう議論がありました。
Bさん「実際に働いている人の現実を見ると、ずるさや金に汚いエゴなどの個人の退廃した現実があり、働く人の階級意識や連帯はないに等しい。働く人を美化できるのか疑問である。社会主義を目指すといっても、中国・北朝鮮・キューバなどどこの国を目標(モデル)にするのか」
これについては、確かに個人の退廃した現実はあるが、労働者が社会の根底を支える階級であることを、抑えておく必要があるのではないか。そういう働く人たちに、いろんな機会をとらえて階級意識を持てる働きかけが必要である。また、人間の意識は固定すると考えのはまずいだろう。思想的・理論的な契機であれ変わる。それが歴史のうねりとなっている、などの議論がありました。
また社会主義のモデルとする国はない。中国等が本当に社会主義だったかを問う必要がある。社会主義と名乗ることと、体制として本当にそうかは別の話。現実は一種の資本主義「国家資本主義」であり、旧「社会主義国」の革命はブルジョア革命であったと言えるのではないかと、いう説明があり、Bさんからは、モデルがないのに(労働者を説得するのは)難しい、と発言がありました。
Cさん「若い人の意識がまずい方向に行っている。投票率が少ない。アメリカのパレスチナでの悪行が知らされていない。東京都知事選では、ヘイトスピーチで悪名高い在特会の元会長の桜井誠が、若い人から支持を得ている。資本主義の問題、若い人を低賃金でこき使うブラック企業の問題も資本主義が末期であるということを言わないとダメ。資本は本当に死滅するのか」
これについては、国政選挙に出れば我々の主張が広がりやすい。労働者が生活できないほどに搾取を強めている。そのことによって公費支出(生活保護等)が増え、国家の重荷になるという矛盾に陥ることになる。アベノミクスを見てもわかるように、資本の側も打つ手がないことを示している。資本の枠内ではなく、資本の体制を変える闘いが必要である。資本は死滅していくということを前提に今の課題を考えていく必要がある、などの発言があり、Cさんから、ブラック企業の原点は資本主義。それを若者に訴えない、と力強い発言がありました。
参加者からいただいたアンケートでは「いろんな人の意見が聞けてよかった」、「資本主義の問題を深く話合うことができた」という嬉しい言葉をいただけた半面、「参加者が少ない」、「若者へのアピールが足りない」という厳しい指摘がありました。今後の課題としたいと思います。少人数ではありましたが、参加者からの率直で活発な発言が多く、重要な論点が出され、中身の濃い労働者カフェになりました。
参院選は政権与党である自民党・公明党の完勝に終りました。改憲勢力が参議院で三分の二を得、今後、安倍政権は改憲へ動き出そうとしています。この選挙で民共は、「安保法制廃止、立憲主義回復」を一致する課題として、野党共闘を進めました。野党共闘は、一人区では一定の″成果″を上げました。しかし、大阪など大都市では何ら共闘は出来ず、むしろ維新など改憲勢力を利しました。民進党や共産党などの野党の闘いは不甲斐なかったと云わざるを得ません。
安倍首相は、経済問題を争点化し、大衆も自分たちの喫緊の課題であると関心を寄せていたのです。しかし安倍政治がすすめるアベノミクスは、その本質として、国家とその経済的な力と機能を動員し、カネをバラまくことで、一時的にインフレ景気やバブル景気を引きおこし、まるで、「景気回復」や「経済成長」がやってきたかに幻想させる邪道の政治であり政策です。その効果が出ていないということは、安倍が自ら「まだ道半ば」と言っていることからも明らかでした。しかし民共は、アベノミクスと正面から立ち向かうことなく、大衆の期待に答えるような闘いができなかったのです。
自民党は選挙後「アベノミクスをしっかり加速せよということだ」といって、事業費二十八兆円規模の経済対策、日銀の追加緩和を打ち出しています。しかしアベノミクスの金融緩和は、日銀による国債引き受けといえるもので、安倍政治の無責任な財政バラマキ政策を支える財政ファイナンス(借金の肩代わり)になっています。一千二百兆円もの国の借金は、かならず国民の犠牲に転化されるものです。
資本は行き詰って、成長できなくなっており、生産現場で搾取を強化しています。これに対して民共のように平和主義や憲法を守れでは、安倍政治と闘えません。資本が労働者を搾取する社会であることを踏まえ、資本を追い詰める労働者の階級闘争を発展させることが必要で、それによって改良も勝ち取ることもできます。
行き詰まっている資本を廃絶し、労働者の権力を確立する社会主義を目指して闘うには、核となる自らの政党を持ことが必要です。現在のブルジョア民主主義体制においては、国会に労働者の代表を送り、労働者を啓蒙することが必要です。
以上の報告を踏まえて参加者で話し合いを行いました。
参加者からは以下のような意見・問題意識が出され、議論になりました。
Aさん「野党はなぜアベノミクスと正面から闘えなかったのか。それは景気回復が必要という点では一致していたから、与野党ともに同じ基盤の上に立っていたからではないか」
これについては、民進党が先に消費増税の凍結について提案し、安倍政権がそれに乗った形となったために対立点がなくなったし、野党も結局安倍政権と同じような政策であり、景気回復について財源をどうするのかと問われると答えられないために、経済の争点化を避けたかったのではないか、という指摘がありました。
Bさん「戦後の日本は密約の存在で実証されて来たように、アメリカの言いなりでやってきた。それを変えないと、どうしようもいないのではないか」
これについては、アメリカとの関係については、アメリカの利害から、憲法9条の改憲と言われている面があり、それに同調する形で日本の支配階級が動いていることも事実だが、支配階級の中には憲法を変えなくても現行法でやれる、変えないほうがいいという勢力がいる、支配階級といっても一枚岩ではない。その他、反動派は現行憲法はアメリカの押し付けだ、だから自主憲法と言っている。改憲がアメリカの意向とはいえないのではないか。また、改憲といっても9条だけが焦点ではない、家族条項・緊急事態条項なども言われているし、安倍政権を支える日本会議などは明治憲法の復活を言っている。改憲策動においてアメリカの意向や利害が一定程度、反映している面はあるにしても、より日本の主体的な側面を見る必要があるのではないかと、いう議論がありました。
Bさん「実際に働いている人の現実を見ると、ずるさや金に汚いエゴなどの個人の退廃した現実があり、働く人の階級意識や連帯はないに等しい。働く人を美化できるのか疑問である。社会主義を目指すといっても、中国・北朝鮮・キューバなどどこの国を目標(モデル)にするのか」
これについては、確かに個人の退廃した現実はあるが、労働者が社会の根底を支える階級であることを、抑えておく必要があるのではないか。そういう働く人たちに、いろんな機会をとらえて階級意識を持てる働きかけが必要である。また、人間の意識は固定すると考えのはまずいだろう。思想的・理論的な契機であれ変わる。それが歴史のうねりとなっている、などの議論がありました。
また社会主義のモデルとする国はない。中国等が本当に社会主義だったかを問う必要がある。社会主義と名乗ることと、体制として本当にそうかは別の話。現実は一種の資本主義「国家資本主義」であり、旧「社会主義国」の革命はブルジョア革命であったと言えるのではないかと、いう説明があり、Bさんからは、モデルがないのに(労働者を説得するのは)難しい、と発言がありました。
Cさん「若い人の意識がまずい方向に行っている。投票率が少ない。アメリカのパレスチナでの悪行が知らされていない。東京都知事選では、ヘイトスピーチで悪名高い在特会の元会長の桜井誠が、若い人から支持を得ている。資本主義の問題、若い人を低賃金でこき使うブラック企業の問題も資本主義が末期であるということを言わないとダメ。資本は本当に死滅するのか」
これについては、国政選挙に出れば我々の主張が広がりやすい。労働者が生活できないほどに搾取を強めている。そのことによって公費支出(生活保護等)が増え、国家の重荷になるという矛盾に陥ることになる。アベノミクスを見てもわかるように、資本の側も打つ手がないことを示している。資本の枠内ではなく、資本の体制を変える闘いが必要である。資本は死滅していくということを前提に今の課題を考えていく必要がある、などの発言があり、Cさんから、ブラック企業の原点は資本主義。それを若者に訴えない、と力強い発言がありました。
参加者からいただいたアンケートでは「いろんな人の意見が聞けてよかった」、「資本主義の問題を深く話合うことができた」という嬉しい言葉をいただけた半面、「参加者が少ない」、「若者へのアピールが足りない」という厳しい指摘がありました。今後の課題としたいと思います。少人数ではありましたが、参加者からの率直で活発な発言が多く、重要な論点が出され、中身の濃い労働者カフェになりました。