労働の解放をめざす労働者党ブログ

2017年4月結成された『労働の解放をめざす労働者党』のブログです。

苦悩し闘う労働者

日米軍事訓練に対する与那国島住民の反発

728日~87日に実施された日米軍事訓練「レゾリュート・ドラゴン(不屈の龍)24について、沖縄で闘う仲間から投稿がありました。紹介します。

 

日米軍事訓練に対する与那国島住民の反発

 

南西諸島で実施されている日米軍事訓練は、年ごとに濃密に密接にどこまでも高まる気配を見せつつある。海つばめ(第1480号)は「加速する日米軍事同盟の一体化」、2+2「統合軍司令部」を新設という一面トップを掲げた。その内容は新たに「統合軍司令部」を新設し、米軍・自衛隊の連携強化を図り、米の核に依存した「拡大抑止」を推進することを明らかにした。

 

そのことの一端が離島防衛を想定した訓練「レゾリュート・ドラゴン(RD24」であり、728日~87日に実施された。89日の沖縄タイムス記事(「だまされた」 住民反発 与那国 軍備増強 目の当たり)で示された、人口約1700人の与那国町での訓練に対する住民大衆の反発から、いかなる教訓を得ることができるかを確認していこう。

 

どこまで行くか日米訓練 

 

報道の記事では、陸海空の従来領域に宇宙、サイバー、電磁波の新領域を加えた陸自の「領域横断作戦(CDO)」と小規模部隊を島嶼部に分散させる海兵隊の「遠征前方基地作戦(EABO)」との連携が確認されたとしている。

 

大分県の日出生台(ひじゅうだい)演習場では、日米の共同調整所を開設した机上訓練、輸送機からの物資投下などの訓練、対着上陸作戦では、島嶼部への侵攻を試みる敵に対処する想定で、敵の航空機、艦艇を撃破する訓練を行ったとしている。

 

沖縄県内の訓練では、各駐屯地などでのミサイル発射機の展開、物資や患者の輸送訓練を実施し、与那国町に初めて海兵隊の最新型の対空レーダーを空自のC輸送機で搬入し、台湾に近い関係上、中国軍の無人偵察機にたいする警戒・監視体制の強化を図る訓練を行った。

 

 それらの訓練に留まらず、これからも米陸軍のミサイル部隊や電子戦能力を統合した「マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)」を前線に機動展開して、ミサイルで戦う作戦構想であり、22年に奄美大島での日米共同訓練で使用した高機動ロケット砲システム「ハイマース」も、南西諸島でも展開されるとタイムスは予想している。

 

 日米訓練から見えてくるものは、巨大な軍事力を持つ中国軍隊に対し最大限の抑止力を持つとするならば、日本国家・自衛隊が米国等の同盟国との連携を謳うとしても、さらなる日米の連携とともに、日本独自の軍事力を強める方向に突き進むことは避けられないであろう。

 

そのことは、日本において巨大な軍需産業を育成することに繋がり、それは軍需独占企業の利益に繋がり、それはまた戦争体制の維持強化に繫がり、まさに軍事体制の国家に成り上がるかも知れない。とするなら、沖縄の元大学教授の知識階級が好む「素晴らしき憲法」「素晴らしき民主主義」の説教も現実の動きによって、木っ端みじんに砕かれるということになるであろう。

 

住民の「だまされた思いだ」という言葉から導かれることは何か

 

 沖縄タイムス記事での与那国の住民が発した「だまされた」との声を紹介しよう(前掲の沖縄タイムス記事参照)。沖縄の方言で言う「わじわじ」(恐怖や怒りで震えるさま)しながら、「信じられない」という言葉として発せられたのだ。

 

 最初に米軍・自衛隊の訓練に対する〝考え〟を明らかにしておこう。

 

米軍広報担当に対する記者の「訓練は中国の現状を踏まえたものか」の問いに対する回答を自衛隊側はさえぎり、「共同連携の要領を確立するためで、特定の事態を念頭に実施しているものではない」と述べた。

 

しかし、そのあとの日米幹部の会見で在沖海兵隊トップのロジャー・ターナー中将は、中国は尖閣諸島の領有権の主張を強めていると非難し、「日本や他の地域の同盟国に対する侵略に迅速に対応する準備ができている」と、言明したとのことである。

 

それはまさにすべての離島住民を九州各県に避難させる計画の意味が、中国に対する戦争を想定し、日米軍隊は奄美を含めた南西諸島の住民の犠牲を完璧に防ぐためということになり、縦横無尽に南西諸島で攻撃防御に動き回り、焼け野原にしたあとに住民は返って来ることを想像することを余儀なくさせられる、「偽りの夢か」「本当の夢か」と、うなされるようなものである。住民は想像力なく盲従する「ふりむん」(「愚か者」のこと)ではないのだ。

 

 今度の共同訓練に与那国の住民は何と答えたか。与那国防衛教会会員の76歳の女性は、「いくら中国が乱暴でも、刺激して住民にいいことは一つもない」。彼女は、「災害時のことも考えて配備に賛成した。まさか台湾有事と騒ぎ立て、ミサイル部隊や米軍が入ってくることになるとは思っていなかった。だまされた思いだ」と話した。町民有志の会見では、「軍備があるから安心というのは大間違いで迷惑だ」、「想定外のことばかり起きている」との声が出た。

 

先の米軍広報担当の回答を自衛隊側がさえぎったのは、ここに原因があるのではないか。住民が与那国に米軍までやってくるとは思っていないこと、自衛隊はそのことを熟知していて、米軍が本当のこと、与那国も含めて南西諸島での展開訓練をするという真実を語ることを恐れたのだ。

 

自衛隊が災害救助を餌に宣伝するのは今に始まったことではないが、日米軍隊が何故そこまで訓練するのかを住民が理解することができないのは、立憲民主党・社民党・社大党・共産党などの、民族主義的だったり、観念的な平和主義的な闘いしか提起してこなかったこと、そして狭い視野に留まる市民主義者・市民運動家たちの責任でもあるのだ。

 

さきの女性は言った、「いくら中国が乱暴でも」と。単に聞けば誰でも言うことであると思うかもしれないが、だが「習近平」権力はまさに「乱暴」ではないのか。

 

国境の島に生きる住民の知識の中に、いくらかの「中間項」を広げて理解して行けば、中国が経済的に急速に発展したこと、その結果として強大な国家・軍事国家であることを知るだろう。そうなら、中国は「国家資本主義」という、日中労働者が連帯して闘うべき体制という認識に行きつくだろう。

 

だが、既成政党・市民主義者は何一つ科学的に説明することはないのであり、軍事情勢に対する正しい認識を与えていない。住民の「いくら中国が乱暴でも」という素朴な認識のままである。既成政党の住民啓発における無能さは明らかである。

 

 同じ記事のなかに、防衛ジャーナリストの半田滋は、有事回避を「例えば中国と大臣級同士での話し合いの場をより多くつくるべきだ。信頼関係を構築し、万が一にも有事に発展することがないよう最大限の努力をしないといけない」と、腹黒い国家、腹黒い大臣同士が対話するのは相手を出し抜き、誰が世界を支配するかを競っている時に、このような言葉を吐くとは、「いくら中国が乱暴でも」と、記者に語った素朴な彼女にも劣っている。

 

世論調査からは自民党支持率が20数%に下がるのに、野党は全く上がらないのはどうしてか、それは労働者階級から見放されたことを如実に物語るのである。

 

階級的な立場を省みない既成の政党に期待するのでなく、中国が国家資本主義であることを知り、日中ともに帝国主義であることを知り、資本主義を克服した将来の社会のことを知り、これから伸びしろのある「労働の解放をめざす労働者党」とともに、闘いの道に参加しよう。 (K

 

 

《参照》

沖縄タイムス記事 202489

「だまされた」 住民反発 与那国 軍備増強 目の当たり

 

 【与那国】大規模実動訓練「レゾリュート・ドラゴン24」で、与那国町には民間港や空港から自衛隊と米軍が次々に物資などを運び込んだ。米軍は最新型の対空レーダーを島内で初めて展開。「台湾有事」や「抑止力」を名目に進む軍備増強を目の当たりにし、自衛隊誘致に賛成した住民からも「だまされた」との声が上がっている。

 

 陸自与那国駐屯地で訓練を報道関係者に公開した4日、1人の記者が米軍の広報担当者に「訓練は中国の現状を踏まえたものか」と質問した。すかさず「それはこちらから回答します」と自衛隊側の担当者がさえぎり、「共同連携の要領を確立するためで、特定の事態を念頭に実施しているものではない」と続けた。

 

 その直後にあった日米幹部の共同会見では米側の本音が透けた。在沖海兵隊トップのロジャー・ターナー中将は中国を4回名指しし、尖閣諸島で領有権の主張を強めていることを非難。与那国での訓練の意義を強調した上で「日本や他の地域の同盟国に対する侵略に迅速に対応する準備ができている」と、台湾有事などを念頭に中国をけん制した。

 

 これには、かつて自衛隊誘致に携わった住民も反発する。与那国防衛協会会員の前楚美津子さん(76)は「いくら中国が乱暴でも、刺激して住民にいいことは一つもない」と考える。

 

 与那国に配備の自衛隊は沿岸監視隊だから実際に戦闘することはないと聞いたという前楚さん。「災害時のことも考えて配備に賛成した。まさか台湾有事と騒ぎ立て、ミサイル部隊や米軍が入ってくることになるとは思っていなかった。だまされた思いだ」と憤る。

 

 4日に町民有志が開いた会見では「軍備があるから安心というのは大間違いで迷惑だ」「想定外のことばかり起きている」と抗議や懸念が広がった。

 

 安全保障政策に詳しい防衛ジャーナリストの半田滋氏は「米側からすれば東洋の島国の、さらに最西端の島を足がかりにして中国に圧力をかけたい狙いがある。でもそこには住民がいる。いざ抑止が破れた場合、戦場になるのは沖縄の島々だ」と問題視する。

 

 有事を回避するための本質は外交と指摘し、「例えば中国と大臣級同士での話し合いの場をより多くつくるべきだ。信頼関係を構築し、万が一にも有事に発展することがないよう最大限の努力をしないといけない」と話した。(八重山支局・矢野悠希)

パレスチナ・イスラエル問題について《Ⅰ》

『海つばめ』読者から「パレスチナ・イスラエル問題について」の投稿がありました。パレスチナにおけるイスラエルの残虐な軍事行動が続く中で、この問題を考えるのに意義のあるものと評価し、労働者党の考えとは必ずしも一致しないところはありますが紹介します。なお、ブログ掲載直前に投稿者から「一致しないところ」についての連絡があり、ほぼ指摘通りですので、それも最後に紹介します。(担当)(改行、頁分けは担当が編集)

 

(読者からの投稿)パレスチナ・イスラエル問題について宮本  

 

僕のパレスチナ・イスラエル問題に対する基本的な考え方を述べることにする

イスラエル国は19485月の建国以来すでに76年近く経っており、およそ950万人(74%がユダヤ人、21%が二級国民とされているパレスチナ系アラブ人、他キリスト教徒の白人・黒人・アラブ人など)が住んでいる。一部のパレスチナ過激派(ここで言う「過激派」とはハマス【注】のことではない)は「ユダヤ人国家であるイスラエルを地中海に叩き出せ!」と主張しているがまったく現実的ではなく、ユダヤ人とパレスチナ系のアラブ人との共存・共生、さらにはより一層の交わり融合を目指して国会(クネセト)に議席を持っている政党やそういった考えを持っている多くの市民も存在している状況――ユダヤ人とパレスチナ人との婚姻も最近は珍しい事例ではなくなってきているという――にあってはまったく現状を見ていない極論であって首肯し難い。【注:イスラム抵抗運動の意。20061月に行われたパレスチナ立法評議会選挙で、それまで13年間パレスチナ自治政府を担っていたファタハに代わりハマスが大勝利を収めた。イスラエルによる占領の下請け機関と化し、腐敗したファタハに対する住民の失望の現われだった。07年に、ハマスはファタハのメンバーも入れて組閣し、統一政府の承認と引き換えに、1993年のオスロ合意のラインに沿って、ガザとヨルダン川西岸に主権を持ったパレスチナ独立国家を設立し、イスラエルと長期にわたる休戦条約を結ぶ用意があると申し出たが、アメリカがカザのファタハの治安部門に武器を提供しクーデターを画策、内戦になったが機先を制したハマスが勝利し、以後、カザを統治することとなった。ハマスがイスラエルの殲滅を企画し、二国家案を受け入れていないと日本も含めた欧米の政府が言い、大手メディもそのように報道しているが、現実はその真逆で、イスラエルがパレスチナ独立国家の樹立およびパレスチナとの共存を否定し、ヨルダン川西岸から地中海までユダヤ人至上主義のアパルトヘイトを維持しようとしているのである。】

 

現在のイスラエル政府は202212月にこの間3年半に5回もの選挙をやり直すという混乱を経て成立した連立内閣で、首相のネタニヤフは右派政党「リクード」の党首で、彼が選んだ連立相手は、イスラエルが紀元前1000年頃のヘブライ王国のダビデ王の時代のように運営されることを掲げ極右の宗教政党と言われる「宗教シオニスト党」や同じく極右政党で超民族主義と反アラブ主義を掲げパレスチナ全土をイスラエルに併合すること(「エレツ・イスラエル」)をスローガンにしている「ユダヤの力」であり、イスラエル史上最右翼の政権だと言われている。

 

1967年の第3次中東戦争で占領したヨルダン川西岸やガザ地区の民生を担当する第2国防相、あるいはヨルダン川西岸の治安・警察業務担当の国家安全保相という重要な閣僚をこうした極右・宗教政党の党首が就任している。それ以来、ヨルダン川西岸でのユダヤ人の入植者によるパレスチナ人に対する暴行・殺傷や彼らの所有地から追放後に入植地を政府公認の下に拡大したり――ほとんど国際的な政治的記事を掲載しない職業上僕が購読している『日本農業新聞』にも暴行され住居を壊されオリーブの木も重機で引き抜かれて生活ができなくなったパレスチナ人が難民キャンプに身を寄せざるを得なくなっている事例が数多く報告されていた――、ゲットー化されているガザ地区への締め付けのより一層の強化が行われている。これを、「国家テロ」と言わずして何と言えばいいのか。

 

イスラエル出身のユダヤ人の反シオニスト歴史家で、イスラエルにいると命の危険があるのでイギリスに出国し現在はエクセター大学パレスチナ研究所長をしているイラン・パペ(『イスラエルに関する十の神話』や『パレスチナの民族浄化』などの日本語訳がある)は107日のハマスによるイスラエルへの越境攻撃後に言う、「イスラエルの政治体制が変わらない限り、今後も流血の連鎖は終わらないだろう」、と。彼が言っている、現在の「イスラエルの政治体制」とは一体どういった体制なのか。

 

昨年1024日、グテーレス国連事務総長の発言がイスラエルの鋭い反発を招いた。国連安全保障理事会で演説した彼は、107日にハマスが行った“虐殺”を最も強い言葉で非難する一方で、それが何の文脈もなく突然に起きたのではないことを世界に思い起こさせようと、1967以来56年間にわたるガザとヨルダン川西岸の占領と、あの日起きた悲劇との関わりを切り離すことはできないと説明したのである。

 

すると即座にイスラエル政府はこの発言を非難した。グテーレスがハマスを支持し彼らの実行した“虐殺”を正当化していると主張し、事務総長の辞任を要求し、イスラエルのメディアもこの流れに乗っかり事務総長が「驚くほどの道徳的破綻を示した」などと主張した。

 

「イスラエルの変わらなければならない政治体制」とは、こうした反発が反ユダヤ主義の定義を拡大し、イスラエル国家を批判すること――イスラエル国家が人種差別的でアパルトヘイト国家だという言説やBDS運動(ボイコットBoycott、イスラエル国内からの投資撤収Divestment,制裁Sanction)【注】など――によって「ユダヤ人の民族自決を否定しようとする」ことはすべてナチスによるユダヤ人へのホロコーストの受難を疑いまったく無視する反ユダヤ主義なのだ、という言説がイスラエル国内に大手を通って流布されており、そうしたことを先頭に立って扇動する現在の「イスラエルの政治体制」である。【注:この運動は南アフリカでの黒人へのアパルトヘイトを止めさせる大きな武器となった。】

(読者からの投稿)パレスチナ・イスラエル問題について(宮本   博)

      Ⅰ        

介護問題に関する投稿の紹介

介護問題に関する2つの投稿がありましたので紹介します。ひとつは介護の現場が非常に厳しいという生々しい現実を暴露するもので、もうひとつは医療・介護職場での労組の闘いの報告です。労働者党は介護問題について、2019年の参院選で「困難な介護問題の解決には共同体原理の適用以外にない」と訴えて闘いました。投稿紹介の後、労働者党の介護問題のパンフレットを紹介します。

 

投稿1)どうなる?介護保険制度

 

2023830日の、厚労省の社会保障審議会・介護給付費分科会は、「2040年には訪問介護事業所を約5000増やし、訪問介護員(ホームヘルパー)を約32000人追加確保する必要かある」といった試算を示しました。20年には約114万人だった在宅介護利用者は、40年には152万人に増加するといわれています。

 

ヘルパー不足は深刻で有効求人倍率は全職業の平均が21年、103 倍だったのに対し、介護の求人は364倍になっています。

 

高齢者の在宅生活を支えるヘルパーは減少を続け「最期まで在宅一といったケアが続けていけなくなっているのが現状です。

 

これまで1%前後のプラスを維持してきた介護労働者の入職超過率(常用労働者で割った入職率と離職率の差を示す)が23年の秋、初めてマイナスを記録(マイナス16%)したのです。——548000人が介護分野の仕事に就いたが61700人が離職。離職者が増加する原因は、何と言っても3K職場で、賃金は低く、雇用が不安定といったところにあるのではないでしょうか。

 

神戸市のkWユニオンでは、介護関連の労働者の交流会を定期的に行なっていますが、そこへ参加してみると、大変な状況の中で働いているヘルパーたちの声が上がっていました。グループホームで働く20代の男性は、「人手不足で、8日連勤や月12回の夜勤がしんどい。」また別の訪問介護の20代の男性は「9時、17時の基本勤務だが、早朝や夜の訪問の仕事を入れてかろうじて生活費を維持している。平均すると一日10時間ぐらい働いている。」と話していました。

 

交流会では、大阪市の特養で、組合を失敗も経て結成したという、頼もしい報告もありました。 (42年間の国労書記を経て、母親の介護の経験から、67歳で特養に就職)総職員300名中、パートと正社員計 9名で労組結成。地道に交渉を重ねているということです。私は登録ヘルバーで、移動時の困難さを報告しました。

 

2024年度の介護報酬は159%引き上げられました。(6年に一度の診療報酬と司時改定)2000年度の制度発足時から、1割負担の原則だった介護保険の利用料は、2015年には一定以上の所得の人は2割負担になり、2018年には、単身で年収340万円以上の人には3割負担も導入され、今後2割、3割の対象者が増やされようとしています。介護の社会化がうたわれた介護保険制度のもとで、介護難民といわれる人たちはさらに増えていきそうです。金持ちしか介護を受けられなくなるといったことが、現実のものとなろうとしています。

(兵庫・A)

 

投稿2医療・介護職場の2023年末の闘い

労組無視の賃金表改訂策動を阻止、勝負はこれから

 

医療・介護事業所を市内外に 30 数か所運営、パートを含む総職員 500 名を抱える職場の昨年末一時金交渉はクリスマス前の 12/22 に妥結、支給は正月目前の 12/28。一方、月 172時間労働の職員(2016 年までは一年契約の非正規だったが、労使交渉で無期雇用となる)138 名の受け取る一時金は基本給の 1.01 倍、平均 20 万円にも届かない。コロナ対策補助金がなくなる一方、新型コロナ感染は依然収まらず事業所閉鎖も相次ぎ上半期は赤字決算だ、「原資がない」との経営側を突き崩しての大幅譲歩は勝ち取れなかった。

 

マスコミ報道でご存知のとおり、介護職の低賃金は他の職種と比べ平均月7万円少ないと言われており、当職場でもそれが裏付けられる。138名には看護師も含まれるので介護職に限れば月給はもっと少ない。

 

現在の介護職給与表の一部を紹介する。

1号棒「132,500 円~142,500円」、2号棒「133,500 円~149,500円」・・・・25号棒「156,500円~210,500円」。なお入職1年目の賃金は1号棒、2年目の賃金は2号棒が適用される。公務員なら3か月で号棒がひとつ上がり、一年後は5号棒から始まる。

 

202310月から適用された県最低賃金は時給897円で、事業所の義務的月労働時間172 を乗ずれば月額154,284円。この額は22号棒「153,500 円~208,500 円」適用者でも最低賃金を下回る労働者が出る。2008 年作成の賃金表は 2019 年には最賃額に追いつかれている、と労組は指摘してきたが、ここ数年の最低賃金増額(労働者にとっては小幅だが)で全くの違法(最低賃金法)状態になった。

 

額の低さも問題だが、同じ号棒に〝幅〟があり、号棒が増すごとにその幅は大きくなり、1号棒で10,000円、25号棒では実に54,000円の差がある。そしてその差に関する客観的な根拠は明示されていない。

 

団交ではこの点について「他の事業所からベテランさんに来てもらうために入所一年目でも差をつけたいため」と口頭説明があった。労組側は、「前歴換算表を作成して、号棒適用を上げればよいだけだ、ただし、一つの号棒には一つの賃金額が対応する〝当たり前〟の賃金表に戻す必要がある」と指摘してきた。

 

賃金は労働条件の最も重要な要件であり、労資の敵対的利害を反映する。労働基準法第2条では「労働条件は労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」とあるが、実際は「絵にかいた餅」である。資本の支配する体制では資本側(経営側)が圧倒的に優位であり、労働者は「合法的」に不利な条件を飲まされることになる。賃金額決定についても、この第2条の「労使対等」は労働者の組織力や団結力、実力行使(ストライキ)の闘う態勢があって初めて「同じリング」に上がれる、そして初めて譲歩を勝ち取ることができる。

 

現行法上、就業規則の一部である賃金規定は労働者の意見を聞いたうえで、それが「賛成でも反対でも」に関わらず、労働基準監督署に届けられて受理されれば、職場の法律としてまかり通ることになる。

 

2008年の賃金規定は当時の経営側に「してやられた」のであり、まんまと監督署に受理され、その低賃金のもとで15年にわたり職員は呻吟を強いられてきた。

 

昨年12/13の団体交渉にて、最低賃金に抵触する賃金表改訂にむけて経営側具体案が配布された。介護職賃金表は1号棒「154,800 円~206,400 円」(時給900円~1200円)・・・40号棒「162,000 円~409,400円」(時給942円~2380円)。最賃を3円上回る低賃金、幅のある体系は相変わらず、16号棒「154,800円~311,400円」まで同一号俸での最低額は同じ、つまり最賃額を僅か3円!上回る時給900円を16年続けるのか!?

 

当然、労組が問題点を指摘すると、経営側は改定案を回収し、再検討を匂わせた。ところが後日、経営側が各職場(事業所)に改定案を配布し労働者代表の意見を集約しようとしていたことが判明。労組は職場委員会で検討し、12/19に「抗議及び申し入れ」(労組無視の対応は不当労働行為であり厳重に抗議、謝罪と労組との誠実な協議を求める。無視の場合は県労働委員会に不当労働行為として救済申し立てする旨)を行った。そして、冒頭の12/22団交席上経営側から「謝罪と回収」の言質をとるに至る。

 

労組の執行委員連絡網より、12/31A職場2120○○理事より回覧している賃金表を中止するよう指示あり」、B職場2123賃金表中止、再検討、新たな賃金表だすと事務者から言われた」、2127C職場「回覧はもともと中止を所長に求め、待ってもらっていた」、私 2327「事務、運転、調理、清掃の職種を一つの賃金表で済ませている、賃金額の低さをはじめ、2008年の賃金表の体系は変わっていない、つっこみどころ満載だ、一年後に改訂必至の短命賃金表だ、理事の方は、もし自分の子や孫が、こんな賃金表のもとで働いていたならどんな思いをもつのでしょうか?出入り業者に納入額を買い叩くのと同じ感覚で賃金を抑え、かつ恣意的に(基準や決まりに拘束されず、つまり説明できず、好き勝手に)賃金額を決めることができるように〝幅〟を大きくしておきたいと考えているように思います。それでは透明性も客観性も保証されず、認める訳にはいきません」、委員長「皆さん、来年も力を合わせて頑張っていきましょう」。資本の労組無視の賃金表改訂策動を阻止し、生活改善のために労働者の闘いは続く。 団結を固めて労働者の階級的な闘いを前進させていこう。(愛媛 FY)

 

 

労働者党「困難な介護問題の解決に向けて」パンフレットの紹介

(序文から抜粋)

https://wpll-j.org/japan/books/books1.html#senkyopannhu1

 

 現在、社会保障の問題、その中でもとりわけ「介護」の問題は今後10年、20年の日本の国家、国民にとって最大の、そして最重要な困難な課題の一つになっています。この問題を賢明に、そしていくらかでも正しく解決できるかどうかは、日本の近い将来の経済、社会、さらには国民の生活を大きく左右するといって決して過言ではありません。

 

この小パンフは、まさにそうした課題に応えるために、19参院選を前にして提出されるものです。私が、介護保険制度が発足した2000年以降、20年足らずの間に、時に応じて、また我々のなかでの議論中で執筆し6つの小論文を収めてあります。

 

しかし執筆された時は前後しています。冒頭の文章は、病を得て病院に入院していた昨年の暮、難しい介護問題に対する解決の道を明らかにしようとして記した、いわば我が党の基本的考えを、綱領的観念を素描したもので、その後の5つの小論は、その観念を一層具体的に、あるいは深めて展開したものです。基本的な観念を擁護しつつ、その上に立って、内容はそれぞれ別個の課題に応えるもので区別されます。

 

「介護の担い手を家族から社会全体へ」の合言葉と共に発足した2000年の介護保険制度から20年、介護問題の現実は解決に向かうどころか、一層の難しい状況に直面しており、少子高齢化のさらなる進行の中で、財政の面からも、それを担う“人材”の面からも崩壊に瀕しているのが現状です。

 

発足時の介護制度の総費用は3・6兆円でしたが昨18年には11兆円を越え、要介護認定者は約20年で、218万人から644万人の3倍に急増し、さらに敗戦後の三年間に、数百万の規模で生まれたいわゆる「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者になる25年以降には介護問題は危機の頂点を迎え、費用の点でも担い手の面でも崩壊に瀕します。

 

何と25年には認知症の高齢者は700万(高齢者の5人に1人)という、空恐ろしい数字に跳ね上がると想定されています。介護の担い手は245万人が必要と算定されていますが、数十万も不足し、安倍政権も目先のことに場当たりに対応するだけで、なすすべも知らず、てんやわんや右往左往するだけです。海外から数十万の“人材”を導入し、依存するしかないと大騒ぎですが、これも確実な見通しのあってのことではありません。

 

 私たちはそんなときに、参院選に向けての闘いの中で、この問題に対する一つの解決策を提出し、労働者・働く者にその信を問うことにしました。

 2019年3月6日 林 紘義(参院選比例区候補)

困難な介護問題の解決に向けて

【目次】

一、困難な介護問題の解決――共同体原理の適用以外にない

二、問題だらけの見切り発車――2004年実施の介護保険制度

三、カネと賃労働で解決可能か――資本の下での〝高齢者介護〟の限界

四、破綻する現行介護制度――苦悩する介護労働者たち

五、介護問題の真の解決のために――〝介護の社会化〟を超えて

六、社会保障制度の真の解決の前提――労働の解放とその合理的、全般的な再組織、再編成

 

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黒田日銀の破綻を示す長期金利引き上げ

「『資本論』を読む会」を主宰している仲間からの投稿を紹介します。

研究会終了後に、黒田日銀の20日の政策変更、長期金利の引き上げが論議となり、論議をもとにまとめて整理展開したものということです。

 

黒田日銀の破綻を示す長期金利引き上げ

――財政を劣化させ経済の腐朽、頽廃を招いた黒田日銀の「異次元」金融緩和

 

日銀は12月20日に事実上の長期金利の引き上げを発表した。黒田日銀総裁は、これは日銀がこれまで進めてきた金融緩和政策の「出口戦略の一歩ではない」と強調するが、これまでの金融政策とは異なる大きな転換点となる政策変更である。

 

日銀は金融緩和策として長期金利の上昇を0.25%以下に抑える政策をとってきた。だが、この政策は日米の金利差の拡大もあり大幅な円安を招き、この円安が引き金となってエネルギー高、資源高の中で物価は高騰し、家計、企業財務を直撃し、圧迫することとなった。

 

欧米の中央銀行が相次いで利上げを進めたため、日本でも長期金利が上昇していた。海外ファンドも、今春以降「日銀が金利を抑える政策はいずれ行きつまる」とみて猛烈な日本の国債売りを仕掛けてきていた。

 

「指し値オペ」による国債無制限買い入れの破綻

――金融緩和政策、事実上の国債日銀引き受けの限界が露呈

 

日銀は、海外ファンドなどの動きを阻止して、長期金利を低く抑えるため、今年の4月以降、0.25%程度を越えないよう、国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」を異例の毎営業日に行ってきた。その結果、日銀の国債買い入れ長期金利の指標となる10年物国債の利回りだけが下がり、ほかの年度の国債に比べて極端に低下することとなった。

 

国債は発行されるといったん民間金融機関などが買い、それを日銀が市場で買い入れる仕組みだが、この国債売買がなかなか成立しなく滞る事態が生じたことが報道されていた。低金利のもとで財政規律の緩みや市場のゆがみも指摘されてきていた。

 

日銀は声明文の中で「長期金利は、企業が資金調達のために発行する社債の金利を左右する。長期金利の低下で社債のリスクが分かりづらくなるなど、企業の資金調達に悪影響が生じる懸念などが高まり修正する必要があった」との趣旨を述べている。(12/21、朝日)。日銀の政策は行き詰っていたのである。

 

今回の日銀の具体的な政策変更は、国債を無制限に買う「指し値オペ」を0.25%から0.5%に変更するというものである。迫られての、追い込まれた結果としての日銀の政策変更である。黒田は「利上げではない」と強弁するが、マスコミが「長期金利 上限0.5%に引き上げ」と報道するとおりの利上げである。

 

日銀は長期金利の上限をこれまでの「0.25%」から「0.5%」に引き上げたのである。事実、この政策発表の20日には即座に債券市場では0.25%だった長期金利が0.46%の0.5%近くまで直ちに跳ね上がった。

 

今回の政策変更は黒田日銀の「異次元」の金融緩和政策の破綻を示している。日銀が「指し値オペ」で無制限に国債を買い支えるという事実上の日銀による国債引き受けの限界は明らかなものになっている。

 

12年末には国債の日銀保有の占める割合は1割だったものが現在は5割まで増加している。民間金融機関などがまだ保有する低金利の国債の多くが、今回の長期金利の引き上げを受けて、いつ投げ売りに出されたとしても不思議ではない。低金利の国債には買い手がいなくなり、更なる国債の売り圧力が強まれば、国債は暴落し、金利は更に上昇というドロ沼に陥るのではないか。

 

資産の多くを国債が占める日銀の資産の劣化は日本銀行券である日銀発行の「円」の信用失墜にもつながりかねない。黒田の異次元の金融緩和にも見られるカネばら撒きのアベノミクスは財政を劣化させ、経済の腐朽化、頽廃をもたらし、日本の破綻を深化させてきている。

 

国家破綻を準備する「永久国債」

――そのつけは国民の犠牲に、無責任を極める萩生田、自民党議員連盟、国民民主

 

国の国債の利払い費は、低金利のもとではなんとかしのいでいけたが、今後の金利の上昇で国債の利払い費も増加する。利払い費だけ支払う「永久国債」も取りざたされている。国債は、借り替えるとしても、短期であろうと長期であろうと満期で償還期限がきたものは返さなくてはならない。そこでの償還期限のない「永久国債」である。国民民主は「永久国債」を唱え国会で質問すらしている。すでに財政は破綻しているから「永久国債」にして利払いだけで済まそうとの魂胆である。

 

だが、これまでの国債も「借り替え」で債券・債務の関係の継続が繰り返しされてきた。2020年には、借換債を合わせると250兆円を超える国債が発行されている。満期を迎えた国債の98.4%は借り換えされている。このことはこれまで発行の国債の多くは事実上の「永久国債」であったことを示している。それをより野放図に露骨に行おうというのである。結局は国債という名の借金を膨ませるだけである。

 

建設国債及び特例国債の償還については、借換債を含め、全体として60年で 償還し終えるという、いわゆる「60年償還ルール」がある。元本の返済がわずかといえ1.6%でもあるのは60年ルールのためでもある。

 

自民党の「責任ある積極財政を推進する議員連盟自民党議員連盟」(国会議員85名)はこの60年ルールの撤廃を言い、萩生田もそれを受けている。だが、今後は、この国債の利子の支払いさえ困難になるのではないか。国債利払いのための国債発行の累進的拡大という悪循環にさえいきつかねない。まさに、本末転倒の自転車操業さえも予測される。

 

こんな国債を一時的としても引き受ける民間金融機関などは今後なくなるかもしれない、ましてや「永久国債」など償還期限もなく返されるあてもないものを民間金融機関などが持つメリットはない。民間の引き受け手がなければ、戦前と同じの直接の国債の日銀引き受けしかうつ手がなくなるだろう。

 

行きつく先はハイパーインフレか、恐慌、スタグフレーション、はたまた戦争か、借金まみれの国家に未来はなく、破滅、破綻の道を歩んでいる。このことはいずれも労働者、人民、国民に塗炭の苦しみを味あわせことになる。

 

日銀の有害無益な「マイナス金利」政策、株買い「上場投資信託」(ETF)

――経済の停滞、腐朽、頽廃と格差の拡大をもたらす

 

日銀は、労働者、国民にとって無益な全くナンセンスな「2%の物価上昇の達成」を目的として掲げてきた。今、物価上昇率は3%台半ばで「物価上昇は達成」できたというのに、日銀は、賃上げを伴う物価上昇ではないと、まだ今後とも金融緩和を取り続ける姿勢を見せている。

 

日銀は2016年1月にはマイナス金利政策をとった。これは金融機関が企業への貸し出しや投資に資金を回すように促進することを名目としてきた。マイナス金利とは、民間の金融機関が日銀に預ける当座預金残高の一部にマイナス0.1%の金利が適用され、金融機関は日銀に利子を支払うというものであった。

 

このときには市場は混乱し、金利は急低下し、長期金利もマイナスになり、利ザヤを稼ぐことが難しくなった金融機関は日銀の政策の批判をすることになる。追い込まれた日銀は16年9月、下がり過ぎた長期金利を調整し操作する政策に踏み切らざるをえなかった。

 

日銀のこのマイナス金利政策などは金融機関の経営体力を奪い弱体化させてきている。日銀の政策は経済を活性化させるどころか腐朽、停滞、衰弱を招いてきた。この政策は企業、資本が競争せずとも、新たな分野への挑戦、工夫、新技術の開発をせずとも、生きながらえることを可能にした。

 

経済実態を反映しないカネ余り中での株高は一部のブルジョア層、プチブルを富ませただけであり、格差は拡大する一方である。富めるものは一層富み、貧しいものは一層の貧困におちいる。

 

株高には、日銀の幅広い株に投資する上場投資信託(ETF)も一役かっている。ETFのような、値下がりして損失を被るリスクの大きい資産を中央銀行が買い入れることは「禁じ手」とされてきた。

 

日銀が保有するETFの時価は今年3月末時点で51兆円3109億円、時価総額の7%を占める。巨大な資金力から「クジラ」とも呼ばれる年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も巨額の株を保有している。

 

このETFを日銀が処分しようすれば、株価の大幅下落につながっていく。株価が下がれば。日銀も損失をこうむり、ひいては実質的に国民負担につながる。日銀は国民にひいては犠牲をしいる政策を多々行ってきたのだ。

 

一般予算案で国債頼みの軍事費膨張      

――亡国への道へひた走り

 

世界でも最悪の借金地獄にある日本政府が第2次補正予算で23兆円に近い国債増発を伴う総合経済対策が立てられるのも、「防衛力の抜本的強化」のため防衛費を5年間で43兆円増額しようとするのも、日銀という「打ち出の小づち」があってこそのことである。

 

黒田日銀の低金利の政策は、国債の利払い費を少なくして、政府の巨額の財政赤字を支えるための政策だったともいえる。だが、当初は「黒田バズーカ砲」ともてはやされた日銀の政策の限界が今日ではより露わとなっている。

 

こうした状況のもとで、またもや、国債を財源の多くのあてにした過去最大の巨額の114兆円の一般予算案が閣議決定された。特に「防衛費」、軍事費の財源は「『実質的に赤字国債と変わらない』(政府関係者)……戦前に軍事費をまかなうために戦時国債の発行を続け、敗戦時に超インフレを招いて、国債が紙切れ同然となった歴史を踏まえ、戦後は認めてこなかったものだ」(12/24、朝日)というものである。国債頼みの巨額予算を組みながらも岸田らには危機意識のひとかけらもない。まさに亡国への道である。

 

ウルトラ右派反動派の月刊誌「Will」2月号で安倍派御用達のブルジョア経済学者高橋洋一は「増税? 防衛国債をなぜ出さない!」のタイトルでの対談を行っている。1,000兆円を超える国債借金で首が回らないというのに、自民党、右派反動派、支配者達はいつかきた奈落の道を再び歩もうとしている。

(M)

これこそ正に「表現の不自由展」――会場使用許可取り消し

エル大阪で行われる予定だった「表現の不自由展」の会場使用許可が取り消されたことについて、「よく考え、行動していこう」という呼びかけがありましたので紹介します。

 

 

これこそ正に「表現の不自由展」

――「表現の不自由展」の会場使用許可取り消し

 

 

問題は、エル大阪で行われる予定だった「表現の不自由展」の会場使用許可が取り消されたことである。吉村府知事は「取り消しに賛成だ」と述べている。名古屋でも同様の事例が起きていたし、東京でも開催が延期に追い込まれている。

 

何とも胸の痛くなる事案で、今の日本社会の存在を如実に実感させられ、何をどうすればいいのかが問われている。

 

問題になっているのは「天皇に対する冒瀆」や「従軍慰安婦」などである。さらには「原発事故」も話題に上っているが、天皇の戦争責任などを考えるなら、いずれも先の戦争に日本が参戦し、敗北したことと関連し、更には、電力資本の不備によって、多くの人が移住せざるを得なくされたことと関連している。

 

それにしても、かつてなら、こうした問題はそれほど深刻化しただろうか。確かに、長崎の市長が「天皇には戦争責任がある」と発言し、右翼が襲った事例がある。しかし、他方では、河野談話や、村山総理の振る舞いなど、むしろ「過去の誤りを認める」という姿勢があった。天皇自ら、自己反省していた位であった。

 

考えられる客観的な問題は、今、現在の日本社会が陥っている深刻な資本主義の矛盾である。コロナ禍をキッカケにして広がっている格差拡大、そこに見られる労資の対立が深刻化しているのである。実際に展示に反対している人の意見を聞くと、展示の内容は「日本人」として許せないと云った声がある。それ程、何かに縋(スガ)りつきたい気分を醸成する程、階級対立は深刻化していると言わざるを得ない。

 

自らが生まれ育った「日本」に愛着を抱き、それを傷つけるかの展示物に反発心を抱くのは自然な感情ではあるが、しかし冷静に考えるべきは、その人は日本の何に愛着を抱いているのか?である。一から十まですべてにわたって、日本を無批判に肯定しているのか、という問題がある。

 

例えば、山口県生まれで22歳まで山口育ちの者にとって、吉田松陰は我が誇りであり、それを傷つけるかの言動には「腹が立つ」とは、よく言われる話である。しかし、いくら松下村塾が明治維新の立役者であったとしても、明治維新は(依然として、封建的な土地所有を伴った)ブルジョア革命以上ではなく、社会主義革命ではなかった。したがって、現在から見れば、あれこれと「難癖」を付ける人がおり、それが気になるとしても、それはそれと認めざるを得ない。

 

もし、その難癖にいたたまれないとするなら、歴史を前向きに考え、未来社会を変革していく必要があるのではないか。そして国際紛争が、戦争に発展する事態や、儲けだけの為に電力炉利用する資本の支配を克服していくことが必要である。

 

今の日本は、未だ、ブルジョア社会を克服できてはいない。戦前も、戦後も、資本の支配の下で歴史を歩んできたのであって、それに伴ういろいろな矛盾は避けられなかったのである。問題は戦争責任だけに止まらないで、公害・バブル経済など、挙げればきりがない。そうした問題は問題として、見つめ考えて行くことが必要である。

 

確かに「嫌なものは見たくない」と言う気持ちはある。しかし、コロナ禍の経験は、そんな子供っぽいことに対する反省を、逆に教えてくれたのではないか。同じ日本人だとしても、その日本が抱える問題は問題として認めた上で、冷静に考えるべきではないのか。

 

税金の使い道についても批判は出ているが、公金を担う政治にあれこれ意見するのは大賛成だ。しかし政治は一筋縄ではいかないのであって、意見の相違はつきものである。違った人の意見は聞かないと言うのでは、独裁に陥ってしまうのではないか。

 

それとも今の日本社会は、独裁体制を引かざるを得ないほど、深刻な危機に直面していることを、この事案は示しているのだろうか。いずれにせよ、今回の事案こそ、表現の不自由展を、身を以て体現する、日本の歴史的事案と言えないか。

 

十分観察し、よく考え、行動していこう。 (大阪 Sg)

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