労働の解放をめざす労働者党ブログ

2017年4月結成された『労働の解放をめざす労働者党』のブログです。

苦悩し闘う労働者

ルポ べトナム技能実習生の実態(一)

静岡で活動しているKさんから、日本に出稼ぎに来ているベトナム技能実習生の「ルポ」が送られてきました。興味深い内容ですので紹介します。


ルポ べトナム技能実習生の実態(一)

 昨年10月、イギリスで起きたベトナム人の〝コンテナ大量死〟は、日本にも大きな衝撃を与えた。ロンドン郊外で大型トラックのコンテナ内から39人のベトナム人の遺体が発見された。死因は窒息死であった。ヨーロッパでの高賃金を夢見て渡航した若い労働者たちが、悪徳ブローカーによって、輸送手段としてコンテナ内に詰め込まれたものと思われた。日本への技能実習生という名の出稼ぎ労働者の数は日増しに増えている。日本で語学研修を受けているというベトナム人労働者へのルポを試みた。

 

生活苦と100万円の借金

 フンさん(36歳)は、ベトナム中部の出身で、昨12月の末に妻子をベトナムに残して技能実習生として来日した。現在、日本語の研修に励む。

 フンさんの出身地である中部ゲアン省はベトナムの中でも最も経済発展が遅れ、平均収入は北部のハノイや南部ホーチミンの半分以下というから、月収1.5~2万円程であろうか。ベトナムでも北・中・南部の経済格差が広がっており、フンさんは、ベトナムではトビ職の労働者として働いてきたが、長時間のきつい労働の割には低賃金で、また毎日仕事があるわけではなく、家族を養うのが苦しく、一大決意をして来日したという。「ベトナムでの賃金はいくらでしたか?」と尋ねると、たどたどしい日本語で、「1日ハタライテ、40万ドン(約2千円)デス」と答えてくれた。(※1万ドン=約50円)。

 ベトナムでは、1986年の改革・解放路線(ドイモイ(刷新))にともない、貧困の克服や国内の失業対策の名のもとに、海外への労働者派遣を積極的に進めてきた。その結果、2019年度で日本への技能実習生は40万人(全体の24.2%)を超え、中国の41万人(全体の25.2%)に迫る勢いで増加している。その増加率は前年同期の26.7%で、国内の賃金上昇に伴う中国人労働者の相対的減少に対して、ベトナム人は年々増加の傾向にある。ちなみに第3位はフィリピンで17万人であり、外国人労働者全体では165万人をはるかに超えている。

 フンさんは、来日する前の約6か月間、ベトナムの日本語学校で学んだ。そこは全寮制で、19~30歳代の若者たちが学ぶ。授業は朝7時~夜9時過ぎまでの詰め込み教育で、日本式?の礼儀もたたき込まれたらしい。その礼儀とは、正しいお辞儀の仕方や言葉遣い、面接の作法、「ほうれんそう」など、日本で賃金労働者として会社に忠誠を尽くし、会社に従順に従う訓練であったようだ。費用は多額で、日本への渡航費を含めると、ゆうに百万円はかかったとフンさんは言う。「そのお金はどうしたか?」と聞くと、親戚に借りたり、借金をして何とか工面したらしい。


日本は安全で、便利な国 お金ももらえる

フンさんに、「どうして日本を選んだのか?」と聞くと、「日本ハ、アンゼン、キレイ、オ金タカーイ」と答える。出稼ぎ先は、日本が断然トップで過半数を超え、続いて台湾、シンガポールなどが続く。

 日本企業への採用面接は、ベトナム当地で行われ、日本の仲介業者または雇い主の社長が直々に出向いて行われる。採用はかなりの倍率で、彼らには職種を選択する権利はない。仲介業者の話によると、「ベトナム北部や中部の農村に住む若い労働者や妻帯者が好ましい」と言う。理由は当地での賃金が低く、低賃金でも従順に働く労働者が多いこと、また近年問題となっている技能実習生の「失踪」が、妻帯者の場合、比較的少ないという理由によるらしい。日本での実習生の在日期間は3年と決められているが。最低賃金ギリギリや差別待遇などに我慢できず「失踪」する者が増加している。

 フンさんは、何度も面接で落ち、ようやく採用数3人の内のひとりに採用された。採用先は、G県の小さな建設会社で、トビ職の経験者であったことが評価されたようだ。

 内戦やテロ、貧困や劣悪な社会環境からくる治安の悪化に苦しむ人々に比較すれば、なるほど日本は「安全」な国かもしれない。かつてベトナムは、フランスの植民地として苦しめられ、またベトナム戦争により国土や人命が徹底的に破壊された。まだその傷跡が各地に残っていると言われ、社会資本の整備も遅々として進んでいない。例えば、交通面で言えば、ハノイからホーチミン間には旧式の線路は引かれているが、電車は週に1、2便しか走っていない。だから、フンさんは電車に乗ったことがなく、また駅というものを知らない。フンさんの交通手段はどこへ行くにも中古の日本製バイクで、家族3人を前後に乗せて買い物に行くのだという。しかし、考えてみれば、日本も戦後すぐ、1950年代は同じようなものであった。アパートの水道の蛇口から「オ湯ガデル!トテモベンリ」とフンさんは言うが、筆者が幼い頃は水道は冬でも冷たいポンプ式井戸水であった。

 実習生の賃金は、一部月給制もあるが、ほとんどが時間給である。フンさんの場合も時間給で、およそ平均月収11万円程になるという(何と言う低賃金か!)。確かにベトナムでの賃金の5倍ではあるが、その半分を家族に仕送りし、残りを生活費に充てたとしても、5倍をはるかに超える「日本ノ物価タカイネ!」(ちなみに国民食のインスタント・フォーが一袋20円、煙草50円程)という生活の中で、いかに切り詰めたとしても、いくらも残らないであろう。フンさんはまだ働いていないのでその現実がわかっていないようだが、1か月後には厳しい現実に向き合うことになるだろう。
                                   (続く)

                                   静岡・K

野党が賛美する「オール沖縄」戦術ーー19参院選でも勝利の展望が見えたと浮かれる

17総選挙の二の舞にーー野党が賛美する「オール沖縄」戦術は災いの元

 沖縄知事選で圧勝した野党は、野党共闘戦術は成功した、参院選でも勝利の展望が見えたと浮かれている(とりわけ共産党が)。しかし沖縄知事選と国政選挙とでは問題が全く別である。
 そもそも「オール沖縄」の課題は階級対立の問題ではなく、それ以上に「オール沖縄」の利害関係であり、その限りでは〝超階級的な〟課題であって、それと厳しい階級的政治的闘いである国政選挙と混同することは基本的に間違いである。
 普天間基地を辺野古に移す云々の問題は、沖縄の市街地に腰を据えていて、その限り危険な普天間基地をよそに移すという、22年前の日米合意に基づく政治の枠内の話であって、辺野古案が否定されたとしても、その課題は残るのである。
 共産党をふくめたオール沖縄の勢力は辺野古移転を避けたいのなら、県外もしくは国外移転を要求して闘うべきであろう。
 そしてそもそも民主党(現在の立憲や国民)や市民派やリベラルは、09年に成立した民主党政権において、市民主義者の鳩山首相の口を借りて、普天間基地を「少なくとも県外に移す」と公約したのではなかったのか。
 政権を握った野党や市民派が、あの時「県外移転」を実現していれば、9年も前に〝解決〟したはずの問題である。
 そんな連中が、かつての自分たちの裏切りを忘れたかに、今さら辺野古移転反対をわめくのは笑止千万である (鳩山政権のこの時の裏切りについては、民主党政権を暴露した『まさに《民主党らしさ》そのものだった──鳩山政権の9ヶ月』234頁以下参照)。
 かつての民主政権の裏切りを反省するなら、沖縄の基地問題もまた、国政の段階でのみ、そして民主政権といったえせ政権──共産党のいう野党共闘政権等々──を勝ち取ることによってではなく、労働者・働く者の政権を獲得することによってのみ、いくらかでも根本的な解決が可能になるという真実を教えている。
 しかし共産党などはオール沖縄の勝利に浮かれ、参院選でも同じやり方でやれば勝つと大浮かれである。
 要するに社民党や立憲民主党だけでなく、国民民主党や保守勢力や自民党の一部を取り込んで、あるいは取り込めれば勝利は確実だというのである。玉城デニー自身、保守を自称する政治家であり、ただ「オール沖縄」──沖縄と〝本土〟の対立──という図式で行動する政治家にすぎない。つまり〝沖縄民族主義〟の限界内の活動家である。
 「米国の血を引く僕の意見を米国は聞かない訳はない」と本気で思っているとするなら、安倍並みの甘ったるい、独りよがりの玉城の挫折は最初から明らかである。
 もちろん「オール沖縄」の路線が、国政での闘いの「モデル」などと志位らがはやし立てるのは、彼らの愚鈍を暴露するだけである。階級的立場が貫徹する国政では、国民の玉木が仮に野党共闘を重視するとしても、それはただ「単に今の野党にとどまらない無党派・保守層」をどう結集するかという立場からに過ぎない。
 さらに共産党の頼みとする立憲の立場も、共産党との〝本物の〟共闘で得票を減らすことを恐れ、共産党が勝手に、表に出ないで立憲民主党のために働くなら、共闘に反対しないという程度の手前味噌にすぎない。
 共産党の小池晃は沖縄知事選の勝利の後、「旗印を明確に本気の共闘をやれば、自民党を追い詰めることができる結果だ」などと語っているが、そんな観点で参院選に臨むなら、昨年の総選挙と同様のみじめな敗北を喫するだけだろう。(『海つばめ』1337号の「主張」欄より)

『海つばめ』沖縄の米軍基地をめぐる政治闘争

『海つばめ』第1262号(2015.10.18発行)


【主張】沖縄の米軍基地をめぐる政治闘争

――帝国主義の発展は国民全体の反乱を惹起する


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 沖縄の基地移転問題をめぐって、沖縄の翁長知事と、安倍政権の間で、抜き差しならない対立と闘争が生まれ、深化している。翁長は辺野古の埋め立て承認を正式に取り消し、他方、安倍政権は国土交通相に、不服審査と、取り消し措置の効力の一時停止の申し立てを行おうとしている。

 

 両者が譲らなければ法廷で争うということになるが、その間も、政権は埋め立て工事を強行し、継続する構えを崩していない。

 

 沖縄の基地問題の根底は、自民党政権が、そしてまた安倍政権が、軍国主義と祖国防衛の立場に立ちながら、それを米国に依存し、米国の力を借りて貫こうとしているところにある。

 

 もちろん一般的には、沖縄の基地はブルジョア大国の帝国主義の存在と発展の結果であり、その意味では、日本の、沖縄の基地問題の解決も、ブルジョア大国の帝国主義の粉砕と一掃なくてはあり得ない。しかし他方では、日本に、とりわけ沖縄に米国の基地が集中する現実は、特殊的に日本と沖縄の関係であり、また自民政権が、安倍政権が、米国に対する、徹底的な迎合政策を採用し、またそんな立場によって、自らの軍国主義的発展や「祖国防衛」を実現しようとしてきたこと、今もしようとしていることの結果でもある。

 

 彼らは新安保法でも明らかになったように、自らの国家主義的、帝国主義的野望のためにも、米国の支えを必要と考えるのであり、そのためには自ら米国に媚を売り、迎合するのである。

 

 安倍政権は米軍基地を日本からすべて無くすことによっても、米国との同盟関係を維持することはいくらでもできるだろう、しかし彼はこうした主体的で、尊厳のある、相互的な同盟関係にふさわしい態度を決して取らないのであり、取ろうともしないのである。

 

 米国の海兵隊が、日本の防衛のために沖縄に駐留しているのではないという事実は、第二次世界大戦後のアジアと世界の多くの戦争や戦闘によって、そのたびごとに、すでに完全に明らかになっている。

 

 世界の覇権を求め、維持しようとする米国の帝国主義のお先棒を担ぎ、基地まで提供することによって、そんな迎合外交によって、日本の「安全」を買おうと考えるとは、何という情けない、さもしい商人根性であろうか。

 

 それにしても、米国に媚を売り、迎合することで保持される同盟関係とは何であろうか、そんなものは、信頼に値する、本当の同盟関係でないのは明らかではないのか、歪んだ、いびつな、不健全な同盟関係、“主従の”関係ともいえる、不実の同盟関係ではないのか。

 

 尖閣諸島問題一つとっても、日中で、その帰属をめぐって、仮に武力衝突が起こったとしても、米国の軍隊が無条件で駆けつける保障さえない、というのは、米国は、領土問題は当事者同士で解決すべしという立場を取り、それをしばしば公言しているから、米国にとっては尖閣諸島問題は「極東における些事」でしかないからである。

 

 そしてまた、沖縄県民と翁長は、もし日本防衛のために米国の基地が本当に必要だというなら、なぜ基地負担を沖縄県だけに負わせるのか、普天間基地の移設先を基地の集積していて、適切な場所のない沖縄に国家権力の力で押しつけるのか、それは沖縄県民に対する“差別”ではないのか、という問題も突きつけている。

 

 安倍政権は、この問いに何ら答えることができないばかりか――できないからこそ――、権力の力で反対の声や運動を弾圧し、強引につっ走るしかないのである。

 

 帝国主義、軍国主義の発展は、労働者だけではなく、国民の全体にさえその抑圧と野蛮を押しつけるのであり、従ってまた国民の多くの層の反発や抵抗を呼び覚ますのである。

 

 だからこそ、帝国主義、軍国主義の発展は、同時に専制主義の発展やファシズム勢力の台頭であり、そうでなくてはならないのである、あるいは専制政治やファシズム勢力の台頭や力なくして、帝国主義や軍国主義も十分に発展することはできないのである。

名護市長選の敗北(3)

一歩後退迫られる辺野古新基地建設反対の闘い

     ――名護市長選の敗北――(3)

 

とにもかくにも、今度の名護市の市長選の敗北は、辺野古の新基地建設反対の闘いが一歩後退を迫られた、という事である。そして、11月に予定される県知事選までに態勢の立て直しができるかという事が問われているが、それこそが問題である。

 

だが、「オール沖縄」という寄せ集めの勢力では的確な選挙戦略を期待するのはかなり困難であろう。すでに、選挙前から「オール沖縄」のほころびは明らかでもあった。

 

それは、副知事の教員人事への介入から辞職に追い込まれた問題においてもそうであった。この人物は元自民党那覇市議の粗野な人物であるが、保守系をまとめるという駆け引きと、押しがあるとして副知事に引き上げられた人物である。しかし、こうした人事を推し進めたこと自体が翁長知事の間違いであったろう。この件が翁長県政に与えたダメージも決して軽くはなかったのである。

 

また、先日「オール沖縄会議」の共同代表を務める金秀グループ会長の呉屋氏の辞任が明らかとなった。名護市長選の敗北の責任をとったとか、自身の新たな県民投票の提案が拒否されたからだと言っているが、企業経営者として潮目の変化を嗅ぎ取り、後方へ退いたという方が妥当なところであろう。いずれにせよ「オール沖縄会議」の弱体化が表面化してきたという事ではある。

 

県民投票に関して言えば、前回の県民投票の成果を軽視することになり、県民投票自体を弄ぶことにもなりかねないであろう。自衛隊配備をめぐる与那国島の住民投票の敗北を見ても、闘いに勝つためには、その実施は戦略的な判断を要するものであり、むやみにやればよいというものでもない。

 

一方、沖縄の我が労働者階級はと言えば、組織労働者が大きく数を減らして、未組織の非正規労働者が5割を超えるまでになり、「貧困問題」が深刻化して久しい。この「非正規の労働者の組織化」という課題は、連合や全労連といった労働者の組織の存立をかけた地を這うような取り組みが要求されるにもかかわらず、これらの組合指導部は、官公労や民間大手の金融・電力等の労使協調の労組の上に胡坐をかき、自らの組織率が低下する一方にもかかわらず、この非正規労働者の組織化をサボタージュして、貧困問題をも対岸のこととして事実上看做しているのが現状である。当然かつてのような選挙闘争への動員も期待すべくもない。こうした堕落した幹部は糺さねばならないだろう。

 

労働者階級が組織力を減らし、闘争力を後退させている限り、熱気が冷めれば分断された個だけとなり、反軍事基地等の運動も後退するのは避けられない。労働者の責任はそれだけ重いのである。

 

沖縄の労働者も現今の苦境を突破するためには、この非正規労働者の急拡大と貧困化という事態を深刻に受け止め、労働運動の強化に向けて能力を最大限に発揮し、あらゆる方策でもって何度でも挑戦しなければならないのだ!

 

まさに、力強い労働者階級の勢力の登場こそが資本の政府に譲歩を迫ることもできるのであり、労働者の未来を切り開く事もできるのである。

 

危険な軍拡政策を強引に推進して火遊びにふける安倍自公政権を退場させるためにも、労働運動の再建と団結の回復に取り組み、力強い労働者階級の政治勢力の登場をも目指す必要があろう!! (沖縄 K

名護市長選の敗北(2)

一歩後退迫られる辺野古新基地建設反対の闘い

      ――名護市長選の敗北――(2)

 

長期に亘る辺野古新基地建設反対の闘いの疲労感も漂う中、4年前までの反基地の熱気が冷めてきたことは否めない。そうしたことを背景に、前回自主投票だった公明・維新への安倍自民党の強力な取り込み工作と、また、公明党・創価学会が捻じれなく中央と同じ勝ち馬に乗って学会員の現世利益を図ろうと渡具知支持に回ったことも敗北の一要因となったことは否定できない。名護市には二千~二千五百人程の創価学会員がいるといわれるが、今回中央から多くの公明党員が入り、これら学会員へのテコ入れをしたといわれている。

 

また、防衛省が基地建設を強行する中で、一兆円近くの基地建設費に多くの建設業者が群がり、これまでは委縮させられていた土建屋政治がまたぞろ横行しだしてきてもいる。自民党の国場衆議員は、辺野古埋め立ての石材を、所有する鉱山から大量に搬入している沖縄最大手の国場組の経営者一族であり、維新の下地議員も家業の大米建設が選出母体である。「経済の停滞を招いた」などと言いながら、税金を使った軍事基地建設という「公共」事業にたかるために政治を歪める輩たちである。

 

ネット上では、右翼と産経新聞が呼応してデマをまき散らした。ひとつには、昨年12月に沖縄自動車道で起こった多重衝突事故で、米軍人が人身事故にあったニュースに関して、札付きの右翼が発した「沖縄自動車道で起きた大事故において事故に遭った方を救出中の海兵隊員が後続車にはねられ重体となっています。この勇敢なる彼とご家族のために 一刻も早い回復を願い共に祈って頂けませんか。」とのデマ情報に呼応して、右翼政治新聞である産経新聞が、「『米軍=悪』なる思想に凝り固まる沖縄メディアは冷淡を決め込み、その真実に触れようとはしないようだ」、と地元2紙の琉球新報と沖縄タイムスを攻撃して、「報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ」などと悪罵を投げつけ、かくして選挙戦中、沖縄メディアの「偏向報道の実態」としてネット上を騒がしたのだ。このことは、後に海兵隊が否定し、県警も「救助の事実は確認されていない」として、産経の那覇支局長が県警への取材さえしていないことが明らかとなり、選挙終了後、「偏向報道の実態」が暴かれた産経新聞は地元2紙に謝罪をして、この那覇支局長を処分することになったが、その時はすでに事は終わっていたのである。こうした記事が、新聞を読まずネット上で情報を仕入れる若者層に一定の影響を与えたことも否めないだろう。

 

また、昨今の沖縄経済は、労働者の地位の低迷とは裏腹に、観光業等の好調を背景に上昇傾向にあり、国が沖縄から徴収した国税が3500億円を超えるようになっている。それに引き換え内閣府沖縄関係予算は約3000億円でしかない。近年は、国から沖縄に入る予算よりも沖縄から国に納める税金が上回る「支払い超過」である。

 

「アメとムチ」の政策は自民党政権の常とう手段であるが、新基地建設に反対する翁長県政への見せしめとして、安倍政権は、18年度の沖縄県への交付金をこれ見よがしにカットして見せたが、これは卑劣な財政の私物化に外ならない。こうしたことに対しては、それは沖縄への「差別」であるとともに「搾取と抑圧」であるとして反撃することも可能であったろう。

 

ところが、社共から一部保守勢力までの寄せ集めの「オール沖縄」の陣営はこうしたデマ攻撃や政府の権力を利用した攻撃に的確に鋭く反撃することができなかった。また、新しく選挙権を得た高校生など若者対策、ネット対策をも怠り、悪意あるデマにさらしてきたと言わざるを得ない。
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