労働の解放をめざす労働者党ブログ

2017年4月結成された『労働の解放をめざす労働者党』のブログです。

安倍政権との闘い

茶番の自民党新総裁選び

茶番の自民党新総裁選び

──災厄継続の菅〝新総裁〟

 

安部の首相辞任に伴う自民党の新総裁選の準備が進められています。候補者は菅官房長官、岸田政調会長、石破元幹事長の3人ですが、正式の選挙を待たずに、菅の新総裁が事実上決まったも同然です。

 

というのは、最大派閥の細田派をはじめ、麻生、竹下、二階、石原の5派閥が無派閥の菅支持を決め、総裁選挙についても全国の党員・党友による選挙を行わず、両院の議員及び都道府県連代表者による投票によるという方式で決めることを党総務会で決定したからです。

 

党員・党友の投票する権利を無視して、さらにまだ総裁選に向けての政策を発表もしていない菅を新総裁として推しだすことを決めた理由について、総務会長の二階は「緊急を要する時」であり「政治の空白、停滞は一刻も許されない」と言っています。しかし、安倍は首相辞職を表明しましたが、今月半ばに次期首相が決まるまでは首相であり続け、政府がなくなったわけではありません。「政治的空白」云々は、まったくのでたらめです。

 

菅支持の各派閥は、安倍に批判的であり、地方の党員に人気のあった石破派を排除してこれまで通り自分たちで政治を切り盛りするために党友・党員選挙を省いたのです。彼らが恐れていたのは総裁選での投票が党主流派に批判的な石破へ流れることです。

 

石破は、総裁選にあたり,森友・加計・桜を見る会問題について、政権に入った後、「どういう問題かの解明をまずやり、必要ならば(再調査を)当然やる」と抱負を語っています。石破が実際にどの程度行うかは別にして、こうした石破が地方で多くの票を獲得することは、たとえ石破が総裁選で勝たなくても、安倍政治を支えてきた主流派にとって都合が悪いからです。

 

菅は、立候補にあたっての記者会見で、森友学園問題等についての質問に対して「(再調査を求める声がある)森友学園問題は処分や捜査も行われ、すでに結論が出ている」解決済みのことだと述べています。

 

森友・加計学園・桜を見る会問題は、官邸が官僚幹部の人事権を掌握し、政治を私物化する安倍の専制的政治、腐敗と反動を象徴しています。官房長官として安倍政治の中枢を担っていた菅を総裁に担ぎ出したことは、自民党が権力の地位を利用して政治を私物化してきたことについて何の反省もなく、開き直っていることを明らかにしています。

 

菅は立候補にあたって、「安倍政治の継承」を謳う以外にこれと言った新たな政策を打ち出していません。

 

安倍政治の看板政策であった「異次元の金融緩和」と積極的な財政支出、経済成長戦略の「三本の矢」による「アベノミクス」は破綻しました。13年3月には黒田を日銀総裁に任命し、「異次元の金融緩和」を実行させました。日銀が市場に大量のカネを供給し、物価を引き上げれば、日本経済は「デフレ」から脱却し、「好循環」になるというのがその理屈です。

 

金融緩和で2012年の安倍第二次政権発足前に9千円台であった株価は15年4月には15年ぶりに2万円台になり、製造業などを中心に業績は好転しました。しかし、それは金融緩和により市場に大量のカネを投入し、円安になることで輸出が増加したことや世界的な景気回復に助けられた結果でした。

 

アベノミクスによる株価上昇で利益を得たのは大企業や資産家たちです。安倍は400万人の雇用を増やしたと言いましたが、そのほとんどは賃金も低く、生活も不安定な非正規の労働者です。

 

政府はアベノミクスの成果を大々的に宣伝しましたが、実際には政府が強調したほどの経済成長は実現されてはいません。

 

安倍政権の下での景気回復期の実質経済成長率は平均年1・1%程度、実質賃金はむしろマイナス0・5%と低下しました。景気回復期間も「戦後最長」と政府は言いはやしましたが、すでに18年10月に終わっていることが明らかになり、「戦後最長の経済回復」は全くの幻に終わりました。

 

政府は、景気を押し上げるために金融緩和と財政出動を続けました。毎年、経済対策として借金頼みの巨額の補正予算を計上し、財政規模はますます大きくなり、そして国家の借金は膨張し続けました。さらに新型コロナの感染拡大で、国家の借金は約1100兆円と国内総生産の2倍以上にも膨らんでいます。

 

しかも、世界的に景気が悪化したのに加えコロナ感染が広まる中で、雇用も悪化、安倍はさんざん自慢してきた「アベノミクス」については口にしなくなってきていました。

 

 また安倍は「暮らしの向上」や「社会保障の充実」を訴える政策を次々と打ち出してきました。2013年には「5年間で待機児童ゼロ」をめざす、15年のアベノミクス「新3本の矢」では、「20年代半ばに希望出生率1・8人」、「20年代初頭に介護離職ゼロ」を実現すると約束しましました。

 

 しかし、待機児童数は19年でも1・6万人を超え、後に20年に繰り延べされましたが、とても待機児童解消を実現する見通しはありません。

 

出生率改善の問題についても、昨年の出生数は統計史上最低の80万人台に落ち込みました。一人の女性が生涯生むと見込まれる特殊出生率も1・8と安倍政権発足前の水準に戻りました。これは政府が若い世代が子どもを産み育てることが出来るように真剣に取り組んでこなかった結果です。

 

「介護職離職ゼロ」についても、介護職員の離職者は17年9月までの1年間で9・9万人に上り、「離職者ゼロ」は絵にかいた餅に終わりました。もともと政府が実現のために取り組む意思などなく、人気取りのスローガンでしかありませんでした。

 

「異次元の金融緩和」と財政出動の「アベノミクス」で経済は再生・強化されるどころか、ますます衰退し、労働者・働く者の生活も悪化してきました。菅は「安倍総裁の取り組みをしっかり継承。アベノミクスを責任をもって引継ぎ、先に進める」といいますが、安倍自身口にしなくなった破綻した「アベノミクス」をどうやって「先に進める」のか、奇怪千万というしかありません。

 

また菅は、「『戦後外交の総決算』をはじめとする外交・安全保障、拉致問題の解決、憲法改正などの課題にも挑戦」すると述べています。

 

 これらはいずれも、安倍が述べてきたものばかりです。安倍は、戦後の「民主主義・平和憲法」を米国に押し付けられたものとして否定し、「自主憲法」という名で国家主義的な憲法にかえることを悲願としていたが、それに手を付けることが出来ず辞任しました。

 

しかし、安倍は戦後歴代の政府がタブーとしてきた、集団自衛権の承認、自衛隊の海外派兵、防衛庁の省への昇格、愛国主義の道徳教育の導入など国家主義、軍国主義を一挙に推し進めました。安倍内閣の番頭(官房長官)として安倍に忠勤した菅は、安倍なき後も安倍の敷いたレールに沿って反動政治を推し進めようというのです。

 

安倍の国家主義的政治、行き詰まり破綻した「アベノミクス」継承を謳う菅政権の誕生は、労働者・働く者にとっては災厄をもたらすばかりです。(T)

 

(労働者党HP『巻頭言』「八方塞がりの末に首相を辞任――安倍政治の〝成果〟と罪歴」を参照してください)


何と国交省がマスクの転売を斡旋!

マスク不足にかこつけたネット等での高価転売が、罰則付きで禁止されたというのに、国交省は禁止されたマスク転売を助長するような文書を所轄業界団体に送付した。一体この国の官僚たちは何を考えているのか。

文書送付先は、日本倉庫協会、日本冷蔵倉庫協会、全国通運連盟など多数に及び、愛知県の輸入業者が手に入れた大量のマスク1250万枚を1カートン(18箱900枚)を単位に購入を斡旋するという内容である。ちなみに、通常なら薬局で1箱50枚入り500円で買えるものを、1箱3000円で斡旋するというものだ。但し、千箱まとめて購入すれば1箱1800円にまけるという。これが転売の斡旋でなくてなんであろう。最近、中国や東南アジアの過剰なマスクが高価で取引きされ、世界の奪い合いとなっているが、日本の輸入業者が高利益を目的に買い占めたものを、国交省が転売と暴利を手助けするとはなんたる堕落であろうか。

労働者や市民、あるいは医療関係者が使い捨てマスクを捨てられず何日も使い続けているというのに、かたや国が高価なマスクを大量に資本へ斡旋するという恥知らずな行為をしているのである。おまけに、国交省は他の省庁の各所管団体にも情報を流すよう要求したという。まさに国家的犯罪であろう。

アベノマスク(顔を覆うには小さすぎる隙間だらけの布マスク)が不評で、その費用466億円は無駄遣いだと非難される中で、あくまで「適切な方策だと思う」(国会答弁)と居直る安倍に感化されたのか、この国の官僚たちはすっかり腐りきっている。さらに、当該大臣たる赤井は、安倍内閣の自粛要請中になんと地元の温泉地で選挙後援会を開いていたということも付け加えておこう。この危機意識のなさ、開いた口が塞がらないとはこういうことを言うのだろう。()

労働者を危険にさらすな!

  安倍は接触機会を最低70%に減らし、テレワークや在宅勤務を奨励要請したが、大企業のデスクワークで働く者はともかく、生産や流通、医療、運輸、建築等のいわゆる現場で働く生産的労働者にとっては、それは全くもって無理というものだ。安倍の頭の中には、社会のもっとも根幹的な生産的労働者に対する思いというものはない。


確かに、東京や大阪の主要駅前や繁華街は、安倍や各首長の自粛要請によってかなり人出が減少しているように見えるのだが、しかし、朝晩の通勤時や帰宅時には未だ多くの労働者が群れをなして駅構内を行き来し大混雑している。コロナの市中感染が急速に拡大する中、生産現場で働く労働者をはじめ、多くの多種多様な労働者は、まさに命の危険にさらされている。自らの労働力を資本に切り売りする以外に生き、そして家族を養う術をもたない労働者は、安倍のように、家で背もたれ椅子に座ってペットを抱いたり、コーヒーを飲んで過ごすわけにはいかないのである。労働者は危険を承知でも、労働に従事せねばならない。


安倍らが、本気でコロナ感染を封じ込めようとするなら、生活必需品や生命維持に必要な物資の生産と流通を除いて、「全ての資本に、しばらく操業を停止せよ!」全ての労働者・働く者の命を守れ!」「その間の労働者の賃金は全て保証する!」と呼びかけるべきである。

しかし、安倍はただダラダラと様子をうかがい、感染数の増減に一喜一憂し、このまま早く収まりますようにと神頼みをするのである。科学的な根拠も方策も、将来の見通しや計画性もなく、ただおろおろするばかりである。

岸田と打ち上げた一世帯30万円の補償も、話が煮詰まってくると、様々な複雑な制限や証明書が必要となり、不評を買って、一世帯を一人当たりとあらためてみたり、マスク配布(顔を覆うには小さすぎるアべノマスク)を始め、対策が場当たり的で、後手後手だと批判され、安倍の支持率(40%)が低下し、不支持(47%)が上回ったとみるや、今度はあんなにも拒否していた公明党の一人10万円の一律補償案に飛びついたりするのである。一世帯30万円の補償という、国民の歓心を買うためのアドバルーンは一体どこへいってしまったのか。何と場当たりな心変わりか。マスクで466億、10万円配布で12兆円をばらまくのである。

都道府県に出されていた「緊急事態宣言」を今度は全国に発するという。例えば、静岡県は感染者が急増する東京、神奈川と愛知に挟まれた地域であるが、県内在住の現感染者(48人、4、16現在)の内の半数以上は東京や神奈川からの帰省者から、または両県への出張や用事で出かけた者からの感染ルートが明らかになっている。また神奈川に隣接する伊豆や富士市に患者が多く出始め、また東京、神奈川のナンバーの車が目立って増えている(買い物?避難?)。こうした例は、7都道府県の近隣県(大阪近隣、指定県ではないが愛知近隣など)に見られるであろう。つまり、感染の拡大と伝搬は、火山の噴火のように火口から巨大な噴火雲となって近隣へと注がれるのである。こうしたことは、予想されたことで、移動人口や物資の移動状況等の調査を見れば、より科学的に把握できることであった。今更「5月のゴールデンウイークの移動を阻止する」もないものだ。これまた全く場当たり的な「アベノセンゲン」ではある。()

日本の「男女格差」が一層拡大と――女性の社会進出を阻み差別を強いるのは誰か

 世界経済フォーラム(WEF)が12月17日に発表した「男女格差報告書」によると、日本は男女平等の評価が、対象153カ国のうち121位で過去最低だったようだ。

 

マスコミは女性の政治分野への参画の遅れが順位に影響したとして、衆院の女性比率がわずか1割とか、国政選挙の女性候補の割合が少ないとか言い、経済分野でも企業の管理職に就く女性の割合が少ないとか嘆いている。

 

 こんなことよりも、マスコミはもっと現実の女性差別に目を向け報道すべきではないのか。例えば、大学入試で、女性の合格割合を意図的に男性より低くしていたことが大きなニュースになったが、企業・職場入試においても同様の扱いをしているケースが多々あることは公然の秘密になっている。こうした差別的な扱いで就業機会が男性より低くなり、その上、就業しても妊娠・出産による就業中断後の復帰が簡単ではなく、従来の仕事に就けることは少なく、別の仕事に、しかも、意に反して正規から非正規雇用を強いられるケースがまだまだ多く、女性にとって、差別を受けることなく働き続けて行くことが困難な状況にある。

 

学校を出て就職した時に、既に賃金差別があり(女性は男性の8割)、就業年数が経つにつれて、その差は広がる。その理由の主なものは、女性の妊娠・出産における一時のリタイヤを口実に、仕事の「貢献度」「実績」「成果」などで昇給差別が公然と行われているからである。また、今まで正規雇用で働いていた女性が妊娠・出産で退職を余儀なくされ、その後に再就職ができたとしても、低賃金で不安定な非正規になって働かざるをえなくなっている(正規だった女性の7割が非正規になる)という大きな問題もある。

 

 このような女性差別がまかりとおっている現実が、女性の社会進出(女性は労働力人口全体の5割を超えた状態)の遅れや地位の低さとして表れている。その元凶は、資本の労働者搾取の体制にあるが、口先では「差別労働の一掃」や「女性活躍社会」を唱え、女性に媚びを売り、仕事をしているふりをする安倍政権にこそあることをまず書くべきではないのか。

核廃棄や戦争状態の終了などどうでもいいこと――日韓の、そして世界の労働者が米朝首脳に期待するものは何もない

 二日後に〝歴史的な〟米朝会談(トランプ・金正恩のトップ会談)がシンガポールで開催されようとしている。トランプも金正恩もともに、その〝成功〟を心から願っているのだから、まさか大逆転の喧嘩別れは無いだろうし、2人はそれぞれの〝成果〟を誇り、大安売りするだろう。


 しかし一体どんな〝成果〟か。

 トランプや安倍は北朝鮮の核廃棄を要求し、大声で叫んできた。断固たる制裁を謳い、全世界を巻き込んで実行に移してきた。安倍もトランプも、品性のかけらもなく「不可逆的な」核廃棄だとか、「最大限の制裁」だとか、大げさな言葉をわめき散らしてきた。


 文在寅は盛んに「金正恩の核廃棄の意思は本物だ」と請け合うが、しかし金正恩が一筋縄でいかない人間であるのは周知の通りで、トランプに対しても、核廃棄の確かで、強固な意思を伝えているかは確認されていない。

他方、トランプも金正恩の核廃棄の意思がはっきりしないのなら、あるいはそれが短期間の間に行われるということでなければ「席を立って」帰るとほのめかしていたが、ここまで来たら、2人とも簡単に「席を立って」帰るといったことはできそうにもないし、やるつもりもなさそうだ。

トランプがどこまで妥協するつもりかはっきりしないが、1、2年で核廃棄を実行させると言っていたことをひっこめ、「段階的な」やり方を認めるかの発言をし、「時間をかけても構わない」とも明言し始めている。トランプの首脳会談に託す目的は、北朝鮮半島における、今なお継続している戦争状態――南北朝鮮の、中国やアメリカまで巻き込んできた――を止めさせるといった歴史的な〝偉業〟を成し遂げ、「歴史に残る大統領」、平和の使徒としての名を残すこと、11月の中間選挙で勝ち、大統領の再選につなげること、つまり個人的なことであって、北朝鮮や朝鮮全体の労働者、勤労者のことでも、まして日本のらち問題でもなく、〝友人〟である安倍の立場に配慮することでさえない(何しろ、アメリカ第一主義に凝り固まったトランプのことだから)


 他方、金正恩がさらに駆け引きをして、結局は核保有国の仲間入れを果たそうと野望を膨らませているのか、本気で核廃棄をするつもりか、あるいは朝鮮の国民的統一に情熱を燃やしているのかも不明である
(しかし祖父の金日成に倣って、再度〝朝鮮戦争〟を挑発し、武力侵攻などの暴力的な手段によって国民的な統一を成し遂げようというのでなければ、金正恩には自らの専制主義に終止符を打つこと以外、どんな手段も無いことを自覚しているようにも見えない)が、しかしいずれにせよ、2人の会議を成功させようという強い意思だけは確かなようである。


 トランプの意思は政権の維持であり、2期目の大統領の地位であり、金正恩は「体制の保証」であり、それが実質的なものとして与えられることである。


 しかし「金体制の保証」はいかにトランプといえども、口から出任せの空文句以外に与えることはできないであろう、というのは、北朝鮮の労働者・働く者はトランプがどんな「保証」を約束しようとも、金の〝前近代的な〟専制体制が続くなら、金体制の動揺に乗じて、今や自分たちの明確な意思と闘いによって金王朝を一掃するだろうし、たちまちしてしまうだろうからである。


 とはいえ、トランプと金正恩の首脳会談が矛盾も闘争もなく、スムーズに進むとも思われない。トランプは北朝鮮の核廃棄を考えるが、同じ核廃棄でも、金正恩は南の核廃棄も同時に求めるだろうが、トランプはそれに簡単に応じられるだろうか。トランプはそんなことは容易だと考えるかも知れないが、トランプの意思や大統領再選というトランプの優先意思とさせて、朝鮮問題から、これを最後に手を引く、当面、自分の権力維持だけが問題だといって交渉に臨んでも、もしアメリカ大資本が、国家や議会がトランプの意思と違うなら、ことはそんなに簡単に進まないだろう。アメリカが国家として、日本や韓国から軍隊を引き上げ、軍事基地も撤収するかどうか、そんなことが簡単に可能かどうかを考えてみれば、それがトランプの考えるほど安易な問題でないことが明らかになる。問題は中国やロシアとの関係という、より大きな問題が、世界的な大国相互の覇権争いが、世界的な帝国主義体制の問題が絡んでくるのであって、単なる北朝鮮だけの、切り離された、孤立した問題ではなくなってくるのである。


 北の核の問題は安倍政権にとって、トランプにとってよりはるかに重要であり、トランプのように容易に妥協し得ないのである、というのは北朝鮮の核は、北朝鮮の方が軍事的に日本よりも強大な国家として現れることであり、到底容認できないからである。北の核はアメリカや中国やロシアにとっても、どうでもいいようなものである、しかし安倍にとってはそうではなく、どうしても許容できないもの、がまんできないものである。


 北の核は安倍政権にとってはまさに目の上のたんこぶ、煮ても焼いても食えない、鬱陶しく、腹立たしいものである。核を有しない北朝鮮なら、安倍がいくらでも鼻先で対応できる、極東の無力な、そして貧しい小国の一つにすぎない。もし核兵器がなければ、通常兵器における、日本の優位は圧倒的であって、北は日本と対等に、あるいはそれ以上にまともに張り合い、軍事強国を誇り、居丈だけに日本を恫喝することもできない。


 他方、核兵器さえあれば、金正恩は日本に対して、憎たらしい、傲慢な安倍に対して、いくらでも優越的に振る舞うことができるのである。


 だからこそ安倍はトランプ以上に北の核について非妥協的であり、その廃棄の立場に固執し、最後まで〝最大限の〟制裁をやれと向きになって叫んできたのである
(他方、トランプは最近「最大限の制裁」などと今はいいたくないと、安倍と手を切るような発言まで口にしていて、安倍を困惑させた)

 

安倍はこれまで、「最大限の制裁」の強硬路線をわめき、そんなものを自らの外交防衛政策の一つの根底として、〝売り〟として珍重し、「国難」だなどとわめき、日本の固有の利益とか立場とか、〝国益〟等々の言葉に簡単に乗せられ、誘惑されるプチブルや遅れた労働者、勤労者や、反動派や国家主義者らの支持を集め、それをひとつのテコとして権力を掌握し、維持してきたが、いまや突然に風向きが変わって、急にそんな安倍政権の伝家の宝刀が役に立たなくなってしまった。


 かくして孤立した安倍にとって問題なのは、転向したトランプの北朝鮮〝宥和策動〟に乗っかって、せめてらち問題解決のとっかかりを見出すことである。名前のすでに分かっている拉致被害者だけでも日本に〝取りもどす〟ことであり、その手柄によってトランプと同様に、秋の自民党総裁選で3選を果たし――せっかく、3選は許されないという党の決まりを、自らの手でひっくり返したのだから――、安倍政権の延命を可能にすることである。


 彼にとっては今や北朝鮮の核廃棄すらどうでもよくなるのであり、北朝鮮がトランプの〝お友達〟だということになれば、安倍にとってそうなっても少しもおかしくないのである。そんな安倍にとっては、北朝鮮の労働者・働く者の、〝前近代的な〟専制王政からの解放――ブルジョア的、〝民主主義的な〟解放や、分断された南北朝鮮の国民的な再統一――さえどうでもよく、ほとんど関心の外である。


 他方労働者の国際主義に立脚する日本の労働者・働く者は、金王政の専制主義のもとで苦悩する北朝鮮の、そして朝鮮半島全体の労働者・働く者の同胞として連帯と共同の立場を表明し、何よりも北朝鮮の労働者・働く者の解放を願い、連帯するのであり、共に地球上のどんな搾取や抑圧の体制も永久に一掃するため共に闘おうと呼びかけるのである。


 他方、安倍は徹底した〝自国ファースト〟の国家エゴイストであり、国家主義に凝り固まる利己主義者に留まるのである。その点では安倍は終始一貫しているのであり、いるからこそ、日本の労働者・働く者にとって百害をもたらす、最悪最低の首相なのである。(林)


『海つばめ』の「 米朝の〝歴史的〟融和」の記事を参照ください。

http://wpll-j.org/japan/petrel/petrel.html#1 米朝の〝歴史的〟融和

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