世界経済フォーラム(WEF)が12月17日に発表した「男女格差報告書」によると、日本は男女平等の評価が、対象153カ国のうち121位で過去最低だったようだ。
マスコミは女性の政治分野への参画の遅れが順位に影響したとして、衆院の女性比率がわずか1割とか、国政選挙の女性候補の割合が少ないとか言い、経済分野でも企業の管理職に就く女性の割合が少ないとか嘆いている。
こんなことよりも、マスコミはもっと現実の女性差別に目を向け報道すべきではないのか。例えば、大学入試で、女性の合格割合を意図的に男性より低くしていたことが大きなニュースになったが、企業・職場入試においても同様の扱いをしているケースが多々あることは公然の秘密になっている。こうした差別的な扱いで就業機会が男性より低くなり、その上、就業しても妊娠・出産による就業中断後の復帰が簡単ではなく、従来の仕事に就けることは少なく、別の仕事に、しかも、意に反して正規から非正規雇用を強いられるケースがまだまだ多く、女性にとって、差別を受けることなく働き続けて行くことが困難な状況にある。
学校を出て就職した時に、既に賃金差別があり(女性は男性の8割)、就業年数が経つにつれて、その差は広がる。その理由の主なものは、女性の妊娠・出産における一時のリタイヤを口実に、仕事の「貢献度」「実績」「成果」などで昇給差別が公然と行われているからである。また、今まで正規雇用で働いていた女性が妊娠・出産で退職を余儀なくされ、その後に再就職ができたとしても、低賃金で不安定な非正規になって働かざるをえなくなっている(正規だった女性の7割が非正規になる)という大きな問題もある。
このような女性差別がまかりとおっている現実が、女性の社会進出(女性は労働力人口全体の5割を超えた状態)の遅れや地位の低さとして表れている。その元凶は、資本の労働者搾取の体制にあるが、口先では「差別労働の一掃」や「女性活躍社会」を唱え、女性に媚びを売り、仕事をしているふりをする安倍政権にこそあることをまず書くべきではないのか。