労働の解放をめざす労働者党ブログ

2017年4月結成された『労働の解放をめざす労働者党』のブログです。

コロナ禍

貧困の実態に想う

今は児童クラブで働く仲間から、コロナ禍の中で「貧困」について想ったことを書かれたメールが送られてきましたので、紹介します。

 

貧困の実態に想う

 

私、退職後の嘱託を含め、11年間にわたって滞納国民健康保険料の仕事していました。相手は国民健康保険料も支払えない貧困家庭が圧倒的です。いかに、非常勤の貧困家庭が増大しており、いかに無収入の家庭が多いことかと実感していました。本来生活保護受けられる世帯が受けていない、生活保護の補足率も少ないと思っていました。

 

シングルマザーの家庭も多く対応してきました。年収は200万程度でも、国民健康保険料は20万円近くかかります、家賃、光熱水費など考慮すれば、食費などに回せる可処分所得はほんのわずかです。国民年金保険料は当然支払いできません、父親から養育費が送られている世帯はほとんどなく、収入補填のため、あまり金にはなりませんが、一部では売春は横行しているのはわかっていました。売春はデリヘルなどで、事実上合法化しています。ただ、たいしたお金にはなりません。

 

ほとんどは親の扶養なのですが、たまに、保険証交付のため、国民健康保険料の納付相談に見える大学生もいました。今の女子大生なども、大学を出なければ、就職口少ない、巨額の学費と、奨学金という名の、有利子の巨額の借金を抱え、家庭も仕送りの余裕はない。今の大学の授業は役にたたないものばかりで、単に卒業のための資格をうるため手段とは思いますが、授業も結構忙しい、ここでも、学費、生活費填のため一部の女子学生は風俗に行かざるをえない子も多いかなとは思っていました。

 

一部の男子学生は、収入を得るため犯罪的行為に加担しています。ただ、バブル世代で「青春を謳歌」した親たちは、今の子どもの学生の困窮の実態はほとんどしりません。多くの学生は、卒業後も多額の有利子の奨学金という名の多額の借金を抱えて、社会に旅立つことになります。まともな就職口なく、返せなければたちまちブラックリストにのります。

 

「東洋経済オンライン 貧困」で検索すれば出てくる実態、ルポライターの中村敦彦氏などの著書に書かれていることは決して嘘でも、過大でもないと思っていました。

 

コロナで彼女らがいっそうおいつめられているのは事実です。普通の飲食店などのバイトの収入も激減している。風俗への支援は論外としても、彼女らへの支援は必要かと思います。本当の解決は社会主義しかないかもしれませんが。 

 

私は今、〇〇市の児童クラブ(学童保育)で小学生相手の支援員の仕事をしていて、フルタイムで働いています。児童クラブは共働き、シングルマザーなど世帯の小学生を、放課後、夏休みなどに預かりますが、小学校休みでも保護者に、医療従事保護者もいて、児童クラブは開いていました。こうした子供たち、将来の世代に、(借金返済を先送りして)巨額の負担を押しつけるのはどうかといつも思っています。

 

また、作日に話をした、小学生の女の子は、「小学生はもういやや、よいことない、宿題多い、家では習い事させられる」と。今の小学生、英語、プログラミングの授業もあり、過大な負担を押しつけられていて、小学生らしいのびのびとした時間が奪われていると感じています。 (M)

コロナ関連記事をもっと掲載すべし

『海つばめ(ホームページ含む)の「コロナ関連記事」についての意見・要望を紹介します。

 

コロナ関連記事をもっと掲載すべし

 

 いまや、全労働者、「全国民」の最関心事とも言ってよい、コロナについての政府の対策批判、各野党のコロナ対策の批判記事が『海つばめ(ホームページ含む)にあまりありません。コロナについては、毎回、掲載されても良いくらいです。

 

共産党は「自粛と補償は一体で」とか言っていますが、これは政府自民党、各野党にも共通する立場だと思います。これは、頽廃した現存の日本資本主義をそのまま存続させろということです。日本資本主義は、生産的労働の部門は縮小し、寄生的な不生産的産業が肥大化した資本主義です。共産党は頽廃した現状の日本資本主義そっくりそのまま擁護し、その継続を図っているのです。こうした立場の破綻は必至です。

 

前に労働者党代表の林さんが書かれた『海つばめ』の記事にあったように、コロナ対策と経済対策が混同され、政府自民党も各野党も実際はバラマキ路線に走っています。

 

共産党的な「自粛と補償は一体で」は寄生的、不生産的分野・産業、本来資本主義のもとでも時代遅れになり、淘汰されるべき分野・産業を存続させ、財政で巨額の赤字だけを残し、安倍と同じく、破滅への道をうたっているのでしかないと思っています。結果は、戦後のインフレと同じく労働者に塗炭の苦しみをもたらすことになりかねません。

 

今、本当に必要な融資かもわからないものも含め、無利子の融資申し込みが銀行に殺到しています。(無利子でも自治体ひいては政府が保証する)。極め付けは、「風俗にも保証を」であり、風俗に従事する者にも支援・保障しないのは職業差別だとの自由主義者の声です。いかにももっともらしく聞こえますが、風俗が不生産的産業であることは自明であり、問題は生活苦にあえぐ、彼女、彼らをそうした仕事にしかつけなくした資本主義の問題です。

 

これまでも、風俗に従事していても、稼げる女性は一握りで、最低の困窮生活にあえぐ女性が大半でした。風俗は彼女らの最後の「セイフテイネット」でしたが、「濃厚接触」でしか生きられない彼女らは餓死寸前に近い生活困窮に現在追いこまれています。だが必要なのは、多くの人は生産的労働への再配置・再編成でしょう。

 

コロナ下で労働者の首切り、近年急増した、非常勤労働者・パート・派遣労働者の雇い止めに会い収入減に見舞われ、生活苦にあえぎ、生存の危機に瀕しています。これもコロナ自体の問題というより資本主義の問題です。

 

8月8日の朝日に、小5の男の子から「コロナでさらに国の借金が増えて、この国は大丈夫ですか」との質問が掲載されていました。この問いに大人、政府自民党、各野党は答えることができない。今、アベノミクスの破綻、黒田日銀の超金融緩和政策の破綻も明らかになっています。そうした政策の破綻の暴露、徹底的批判が是非とも必要です。

 

れいわ新選組は「カネを刷れ、皆に配れ 」などと言っています。こうした「金を刷る」政策は、近年では、アフリカのジンバブエで行われたことですが、200811月には、前月比で見ても796億%というすさまじいインフレを起こしています。アルゼンチンでは2019年の年間インフレ率は53.8%ですが、1989年には、12,000パーセントに及ぶハイパーインフレーションがおこっています。こうしたインフレがいつどういう形であらあわれらか、予想はできませんが、発生してもおかしくはないと思っています。

 

アメリカでGDPが30%程度低下したという報道がありましたが、世界が1920年代的な恐慌、他の形で危機に陥ったとしても、それは、断じてコロナが原因ではなく、累積した資本主義の矛盾の爆発です。1920年代の恐慌は、ブロック化経済、ファッシズムの代台頭世界戦争にいきつきました。コロナに端を発するこうした資本主義の危機の問題をもっと掘り下げ、深く論じられるべきです。

 

コロナの経済対策については、10万円の支給にもみられるように、野放図な財政膨張、バラマキで自民党、共産党、各野党、既成政党はまさに一致しており、挙国一致の体制となっています。共産党を含め、彼らは、皆ケインズ主義者です。MMT(現代貨幣理論)、薔薇マーク運動の路線がまさに現実に実行されていると言っても過言ではありません。

 

コロナそれ自体については、徹底した検査を行い、隔離するなど本来のコロナ対策を充実させることが必要かと思います。だが、コロナの死亡者は8月9日現在で1,045人、インフルエンザの死亡者は2018年で3、325人です。ちなみに、2018年の日本の溺死者8、876人、交通事故死亡者は4,595人です。マラリアによる死亡 2018 年には、世界で推定 40 5000 人です。インフルエンザによる年間死亡者数は、世界で約2550万人と推計されています。

 

コロナの世界の死亡者数は74.5万と推計されています。この数字からしても、コロナを正しく恐れ、対策し、注意することは必要でも、やみくもに不安をあおることではないと思います。人が長期にわたり生産的労働をしなければ、人類社会自体が存続しません。

 

資本の陣営が主に行っているのはコロナ対策ではなく、経済危機、経済崩壊を怖れての対策であり、それも信用膨張、過剰生産が覆う現代資本主義においては、効果の疑わしいものばかりです。

 

そもそも、合理的社会(社会主義社会)では、コロナにしても、いかなる感染症にしてもその流行が働く者の首切りとか、生活苦、生活不安につながることは一切ないでしょう。今、コロナについても労働者の疑問、不安思っていることを明確に語ることができなければ、何のための労働者党かということになります。

 

コロナを契機として資本主義の矛盾が全面的に噴出する事態になり、資本主義の危機が訪れれば、なおさらです。今、コロナを契機資本主義は歴史的転換の時代をむかえているのかもしれません。労働者の勝利がなければ、それはファッシズムにいきつくかも知れません。わが労働者党も危機の時代にそなえ多く語ることが必要かと思います。  (M)

 

安倍の巣ごもり

安倍の巣ごもり

――権力の維持こそ全て

 

未曾有の洪水被害とコロナの感染拡大を受けて、野党が臨時国会を要求しているが、安倍はもう1ヶ月以上国民 の前に姿を見せず、巣ごもりを決め込んでいる。自分にとって有利だと思う時は、のこのこ出てくるが、不利だ 批判にさらされ、支持率が下がると思うとひっこむ。

 

この男は、権力の維持がまず第一で、感染者が全国で急増しようが、「 Go To キャンペーン」が感染を全国に広げようが、首相としての責任や舵取りは二の 次なのだ。まさか、慰安婦像の前で土下座する男があまりにも自分に似ていて(笑)ショックを受けたわけではないだろうが、巣ごもりの本当の理由は、「打つ手がない」「お手上げだ」ということだろう。

 

資本主義の下では、感染防止と経済活動との両立には大きな矛盾があると言うことだ。片方を強めれば片方が弱まり、その逆もまたそうである。経済活動が私的資本によって個々バラバラに営まれ、私的利潤によって個々が成り立っている限り、「自粛要請」すれば生産や売り上げが減少し、利潤が低下すれば、今日は飲食業、明日は観光業と個々への資本への補償が付きまとい、強いては資本の弱体化が進む。だから、どちらも徹底することができず、小池都知事のように「感染しない、感染させない」「特別警戒警報」などとマスコミを通じて、都民に哀願したり、脅したりするしか打つ手がない のである。ワクチンや治療薬が出来るまで、この両天秤は続くであろう。たとえ薬が開発されたとしても、また新たなウイルスが蔓延すれば同じことが歴史的に繰り返される。

 

とは言え、感染の拡大防止に緊急に必要なことは、①政府から完全に独立した専門会議の下での長期防止対策の策定(オリンピックは中止)迅速な大胆な規制措置全て無料の大規模なPCR検査の実施(一日2万件以上)隔離施設(最低10万人) の確保と全ての感染者の隔離(入院、無料)医療体制の充実と医療関連物資の確保感染者およびその家族と失業者の救済 ・生活保障といったことか。

 

しかし、安倍政権の下ではその一つも実現しないだろう。現専門分科会は政府の言いなり、その補完物であるし、なにせ「アベノマスク」を300億円もかけてまだ配ろうとしたり、否定されたはずの「 37 ,5度発熱4日以上、濃厚接触者」という基準で、保健所が相変わらず PCR検査を拒否したり、自主検査は保険が効かず3万2千円もしたり、行き場のない感染 者の自宅待機者が東京だけでも何百人もいたりと、全くどうしようもない状態だ。こんなことは安倍のリーダーシップですぐにでも改善できるだろうに、一向に指を 動かそうとしない。

 

来年にはオリンピックを開催して来9月まではとにかく権力を維持したい、それまでは大きなミスを犯して(既に犯しているのであるが)さらに支持率を下げ、国民の大きな批判の的 にならぬようにというのが本音であろう。コバンザメのような安倍の取り巻き 連中も(麻生、管、二階、西村ら)その地位保全のために同調するのである。こんな死に体の安倍政権に、怒りを持って糾弾の声を上げよう。
(是)

コロナ禍犠牲をしわ寄せされる医療労働者

コロナ禍犠牲をしわ寄せされる医療労働者

──東京女子医大病院、ボーナスゼロで看護師400人が退職意向

 

コロナ禍のなか、看護師ら医療の最前線で奮闘する医療労働者への犠牲しわ寄せが広がっている。その典型的例が東京女子医大病院の看護師たちである。

 

同病院の看護師たちは、6月、コロナ禍で病院の利用者が減り、経営が悪化したことを理由に夏のボーナスを支給しないことが通告された。看護師の昨年の実績は、一人当たり平均約55万円だったという。

 

労組は病院側に対して再検討を要求しているが回答はなし、このため系列病院も含めて看護師全体の2割に相当する約400人が退職の意向を示しているという。看護師たちは、コロナ禍の中で、感染の危険にさらされながら、苛酷な労働を頑張ってきた。ところがその結果が、4月の賃金を減らすための「一時帰休」(週2日休暇)に続いての夏のボーナスゼロ回答ある。この酷い仕打ちに対して退職の意向を示した看護労働者に対して、病院側は「看護師が足らなければ補充する」とうそぶいている。これに対して、看護労働者は次のように怒りを訴えている。

 

「毎日毎日苦しい思いをしながら必死に働いて、コロナエリアにも駆り出されることになったにもかかわらず、ボーナスは1円も支給なしだと言われました。それに関する説明も紙切れ一枚で済まされ、ボーナス支給がないことが当然であるかのように言われ、納得できません」。

 

「今回のボーナスカットが決定打となり、辞めることを決めたという人か大半です。私の周囲でも就職サイトに登録したり、次の病院を探していたりする動きは実際にあります。ところが、6月25日に開かれた団体交渉の場で、病院側の弁護士は『深刻だとは思うが、足りなければ補充するしかない。現在はベッド稼働率が落ち込んでいるので、仮に400名が辞めても何とかなるのでは。最終的にベッド数に見合った看護師を補充すればいいこと』と発言したそうです。でも今、ようやく患者さんが戻ってきている状態なので、もし本当に看護師が大量に辞めたら、第2波がきたらとき対応できないかもしれません」(文芸春秋ライン)。

 

病院経営者は、看護師が辞めても新たに看護師を雇えばいいという。しかし、コロナ感染治療のためには相当の経験、チームワークが必要であり、看護師の数をそろえれば済むということではない。経営者の態度は恐るべき無責任というしかない。

 

今、東京では、緊急事態宣言解除後、感染者は連日100名超し、最近では300名近くに急増、神奈川、埼玉、千葉など東京周辺の地域や大阪など大都市でも感染者が増え、第2波感染到来の危機が言われている。

 

これに対して、国は「圧倒的に東京都問題」として対応を都に押し付け、一方、都知事の小池もこうした国の対応を批判、警戒レベルを最高に引き上げ、「不要不急の外出を避けて欲しい」というだけで、具体的な対策はなしで、積極的に動こうとしない。国も都も感染拡大を防ぐために対応を進めるのではなく、お互いに責任を相手に押し付けあっているだけの無責任を決め込んでいるのである。感染拡大に備えて賃金カットや人員削減などで苦しんでいる医療労働者のことなど真剣に考え、その改善に取り組むことなく、政府は「経済活動」が大切とばかりに、計画を前倒しして22日から1・7兆円もの観光や飲食業者のための「GoToトラベル」キャンペーン(東京発着は除く)に突入しようとしている。だが、コロナ感染が拡大したら「GoToトラベル」キャンペーンなど吹き飛んでしまうだろう。

 

東京女子医大病院は、1千を超す病床をもつ大規模病院であり、都の指定する救急搬送先の一つである。コロナ感染に限らず、緊急医療のための都にとって重要な拠点である病院で行われている看護労働者への犠牲転嫁については、「現時点では状況を確認できていない」と他人事のような態度をとっている。

 

コロナ感染拡大で、患者受診を控えるようになったり、コロナ患者を受け入れて感染を恐れて他の患者の受診が減ったりして経営が悪化し、夏のボーナスを昨年に比べ減額する病院、介護施設は、約3割に上るという。東京女子医大の看護婦大量退職は、コロナ感染犠牲がしわ寄せされる医療労働者の現状を象徴している。(T)

コロナ禍が明らかにした資本主義の危機

コロナ禍が明らかにした資本主義の危機

 

 安倍政権に退陣を迫り、
     新しい社会主義の時代を切り開こう

 

新型コロナウイルスCOVID19感染の蔓延は、新規感染者の数が4月11日に700人近く確認され、それをピークに徐々に減少し、5月25日には緊急事態宣言が解除され、ようやく終息に向かいつつあるかである。安倍首相はコロナ収束に胸を張って、「全面解除後の次のステージへ、力強い一歩を踏み出す」というが、その後も新規感染者数が20~40人が続いており、収束する状態にはなっていない。この間のコロナ禍の社会経済的影響を明らかにし、社会の根底を支えている労働者・働く者が、これからの社会を如何に展望するかを検討してみたい。

 

コロナ禍が生み出した恐慌の実態

 

コロナ禍、コロナ危機は、まず、新型コロナウイルの感染と感染拡大、そして感染した患者の治療が追い付かない医療崩壊である。そして感染を回避・予防するための人々の外出自粛と、政府の外出及び営業自粛要請などの政策によって、社会経済活動が停滞し、企業は経営難に陥り倒産・休業し、労働者が失業、休業などで生活困難に陥る恐慌状態になっている。

 

利益の低迷

 コロナ禍が企業に与える影響は深刻であり、1~3月期の法人統計企業調査によると、金融機関を除く全産業の経常利益は前年同期比32%減少した。リーマン・ショック後の2009年7~9月期(32.4%減)以来の下落幅であり、再び恐慌が資本主義経済を襲っているのである。宿泊・飲食などのサービス業、卸売業、小売業などの非製造業が32.9%減と減益幅が大きく、自動車とその関連部門の製造業が29.5%減である。

 

売上高の減少

 売上高については、上場企業の1~3月期は前年同期比で7%減、その内情報・通信、空運は同期比20%台、ゴム製品、輸送用機械(自動車など)が10%台の大きな落ち込みであった。4、5月のバス事業(路線バス、高速バス、観光バス)は前年比99%減、4月の空港の旅客数は関空で97.3%減、大手百貨店4社の5月の売上高は6~8割減、外食産業の4月の売上高は39.6%減、工作機械の4月の受注額は48.3%減、国内自動車大手8社の4月の世界生産は6割減、鉄道では乗客が激減しJR西日本では4月の在来線特急や山陽新幹線利用者は90%減、空運ではJALANAの3月の旅客数は国内線で6割減、国際線で7割減、3月の全国のホテルの稼働率は31.9%などであった。

 

 これら上場企業から仕事を受ける中小零細企業は、「売上が激減し、先が見えない」状況にある。売上が蒸発し経営難に陥った宿泊、飲食、アパレル関連、路線バス、農園、派遣会社などのサービス業では、コロナ関連で倒産している。

 

GDPでみると1~3月期は年率換算で3.4%減であり、4~6月期は20%超の減の予則である。事態は深刻化している。

 

倒産210件、完全失業者178万人

コロナ関連倒産(負債1千万円以上)が6月3日時点で210件を超えた。上場企業はアパレル大手レナウンのみで、従業員10人未満がほぼ半数である。倒産企業の従業員は少なくとも7700人にのぼり、アルバイトなども含めると数倍の雇用が失われている。

 

宿泊、飲食、アパレル関連などが約4割を占め、路線バス、農園、派遣会社などにも広がっている。4月末で廃業したバス事業者は19社である。2008年のリーマン・ショック時は、大企業への影響が大きかったが、このコロナ禍では大半が中小で、特に中小のサービス業のコロナ禍関連倒産が目立っている。

 

4月の完全失業者は178万人(完全失業率2.6%)、前月から6万人増えた。解雇によって多くの労働者が街頭に放り出されている。

 

コロナ禍前から進んでいた危機

1990年代のバブル崩壊以降、鉄鋼、家電などの生産的産業はすでに次第に衰退していたのであり、観光・宿泊、娯楽産業、小売などの消費的な非生産的サービス産業に資本が生き残りとして求めたのである。

 

その中で生産的産業では、自動車産業が日本を牽引してきたのであるが、過剰生産能力を抱えた日産自動車は、2020年3月期は純損失が1千億円近くの見通しから6712億円に膨らんでいる。ソフトバンクは投資ファンド事業が大きく足を引っ張り純損益9615億円の巨大赤字を出した。パナソニックは減収減益、地方銀行(上場76社)も純利益が前年比1割減である。

 

鉄鋼もコロナ禍以前に過剰な生産能力を露呈し、日本製鉄は呉と和歌山の高炉休止、JFEも京浜地区の高炉休止などを決めている。コロナ禍による鉄鋼の需要減が進めば、さらなる生産能力の削減に追い込まれ、人員削減も避けられないことになる。

 

解雇・雇止め1万6723人

コロナの影響で解雇や雇止めにあった従業員は、5月29日時点で1万6723人である。宿泊、タクシー・観光バスなどの旅客運送業、製造業、飲食業、小売業などで働く人、そして介護労働者、学童保育の指導員、英語塾などの教育関連従事者などに失職は広がっている。

企業は倒産に至らないとしても経営を守るために、労働者を解雇する。25日~29日の新たな4811人の失職者のうち、非正規労働者は2366人であり、非正規労働者で失職の割合が高い。非正規労働者は前年同月より97万人減り、このうち女性労働者が71万人である。正規労働者も容赦なく解雇の憂き目に合っているが、失業のしわ寄せは、非正規労働者、女性労働者に多く寄せられている。

 

休業597万人

会社から仕事を休まされ休業を余儀なくされている人は、4月で597万人にのぼる。2008年リーマン・ショック直後のピーク時には153万人であり、今回はより深刻である。日雇い労働者、派遣会社に登録して日雇いの仕事をしている労働者、登録型派遣労働者(例えばツアー添乗員)など非正規労働者は、仕事がなくなれば生活費が稼げなくなり困窮する。特にネットカフェなどに寝泊まりする人は、さらに住いの困難が襲い掛かっている。

 

雇用統計に入らない、上記の業種や文化スポーツ関連のフリーランスなどの自営業者もイベントや公演などが中止になり休業に追い込まれている。

 

就職難・新規求人数前月比22.9%減

4月の雇用統計では、新規求人数は前月比22.9%減で、主要産業別でみると宿泊・飲食サービスが47.9%、製造が40.3%であり、生活関連サービス・娯楽、教育・学習支援、学術研究・専門・技術サービス、情報通信、卸売・小売、運輸・郵便、医療・福祉などで新規求人数が激減している。仕事がしたくても仕事がないのである。

 

生活保護206万人

 これらの倒産、解雇・雇止め、休業などで生活費を得ることが困難となり、生活保護に向かわざるを得ない状況にある。特定警戒13都道府県では、生活保護申請が前年と比べて3割増え、感染予防で窓口職員を減らしているなかで、申請相談が急増している。2020年2月時点の生活保護利用者は206万人であるが、労働者が働く場所が失われているのであり、生活困窮に陥って生活保護を求めざるを得ない人が爆発的に増える事態なのである。

 

資本主義が生産力を発展させるという歴史的な使命をとっくに終え、社会の根底を支える労働者に、生活困難をもたらす状態に追い込むようになっていることを、再び三度明らかにしている。

 

本当の解決は資本主義社会の根本的な社会主義的変革しかない

 

コロナ禍は飲食、観光、宿泊・ホテル、スポーツ、娯楽関連、小売、医療、介護、教育などのサービス業や、タクシー、観光バス、航空、鉄道などの運輸業、自動車産業及びその周辺の製造業を直撃し、そこに働く労働者が、失業、解雇、雇止め、休業、就職難の厳しい状況に置かれ、生活困難に追いやられている。我々は如何にこの状況を解決すべきか。

 

資本主義の危機が汎世界的に広がっている

 IMFは2020年の世界経済見通しによるGDPの年間増減率は、全世界で-3.0%(2019年2.9%)、先進国で-6.1%(同1.7%)、新興市場国と発展途上国で-1.0%(同3.7%)、それに含めている中国を取り出すと1.0%(同5.5%)と、総ての国で経済成長率が前年より低下し、中国、インド等を除くと、マイナスになると予測している。

 

ILOの分析(5月27日)では、勤務先の休業などで世界の6人に1人の若者(すなわち働く世代)が働けない状態に陥っているとし、その要因として、感染拡大の影響を最も受けた、小売、宿泊、製造、飲食の業種で若年層の労働力の割合が高いことをあげている。これは、将にここに述べた日本の状況であり、世界共通である。

 

安倍政権の緊急経済対策

この資本主義の世界的な危機に対して、日本では102兆円を越える戦後最大の膨張予算となる2020年度の当初予算に加え、コロナ禍に対する緊急経済対策のための総額25兆円6914億円の第一次補正予算と31兆9114億円の第二次補正予算が成立した。

 

労働者を救済するものとしては、雇用調整助成金の企業に対する支援が、一次補では690億円、二次補正で4519億円に積み上げられ、そのなかでようやく労働者が直接申請して給付されるようになった。ひとり親世帯の支援は1365億円である。労働者の救済になるものはこれだけであり、全く不十分である。

 

肝心の医療体制の強化では、コロナ禍による医療崩壊の最中にこそ、緊急の必要があった重症者の隔離病棟の配置やPCR検査体制の整備が、全く遅れたのである。

 

安倍政権が補正予算で重点が置いたのは、経営難に陥った企業への給付金や融資である。企業を守り、景気を刺激する消費を喚起しようとするもので、資本の体制の維持を図るものに重点が置かれている。

 

観光などによる人の移動、そして人と人との接触・接近は感染を広げることになり、観光などの消費は、いくら観光振興策(「Go Toキャンペーン」など)で消費(観光)を刺激しようとしても、そもそもコロナ禍によって消費ができない状況にあり、消費したくても消費できないのである。資本にとってはこれらの産業を救うことは、資本の体制を守るために必要であり、そのための救済策であるが、それは救済にもならないその場限りの弥縫策である。これらの産業は、人が集まってこそ成り立つ産業であり、政府が推奨する「新しい生活様式」では、その集まる人が半分になって経営が成り立つかは難しいのである。補正予算に盛り込まれた給付や融資で企業が救われるとは限らず、このままコロナ禍が続けば、さらに支援が必要になるかも知れないのである。

 

これらは公的債務を増やすだけで本当の解決にならない。アベノミクスで既に破綻している日本社会の経済をさらに破滅に導くものである。コロナ禍と闘うためにも、安倍政権を倒すことが焦眉の課題である。

 

これからの社会の展望と労働者の闘い

 

1990年代以降の不況の深化とともに、資本が生き残りとして求めた資本を移行していったのが、観光・宿泊、娯楽産業、小売などの消費的な非生産的サービス産業である。それらと共に航空、鉄道、バス、タクシーなどの運輸産業が発展した。そして、高齢化社会の到来とともに必要性が増してきた介護・医療など社会福祉関連のサービス産業が勃興した。生産的産業では、自動車産業が日本を牽引してきたのである。

 

観光や宿泊、飲食業、娯楽などのサービス業は、衰退する国内の需要だけでは発展することができず、東京ディズニーランドやUSJ、さらにはオリンピック、万博、そしてIR誘致などで外国人観光客を呼び込むことで起死回生を図ろうとした。これらが今回のコロナ禍で打撃を受けたのである。年3千万人を越えた訪日外国人観光客は現在皆無になっている。資本の危機を根源として成長したこれらのサービス産業は、資本の危機を救うことはできないことをコロナ禍は明らかにした。

 

介護・医療も費用の増大と人手不足をコロナ禍がさらに助長し、介護崩壊、医療崩壊の徴候を呈したのである。介護・医療も私的資本の経営では行き詰まりをみせている。生産手段を社会の共有とし、社会の働くことができる全成員が共同体の一員として、介護・医療を担わなければ解決の道はないのである。

 

金融緩和政策もうまくいかず、財政政策では公的債務を際限なく膨張させるだけで、打つ手を失くしてきた資本主義、それを支える安倍政権は、コロナ禍によって非生産的なサービス産業でも行き詰り、そして今や自動車などの製造業も販売数が減少し過剰生産を露呈し、危機を深めている。

 

労働者は雇用の確保や生活の保障を求めて、資本家や政府と闘わなくてはならない。それは私的資本が利潤を上げる経営を基礎とする資本主義社会において、労働者は常に厳しい状況に置かれ、解雇・雇止めにあい、休業を余儀なくされ、収入を絶たれ生活困難に直面するからである。しかし解雇、人員削減となった生産の縮小は、利潤のさらなる獲得をめざした資本が、抱えることになった過剰生産がもたらしたものであり、本当の解決のために、私的経営で営まれている資本主義的生産の変革に進み、生産手段の私的所有から社会的共有に移し、生産を真に社会的なものにする、資本主義を乗り越える闘いに進まなければならない。

 

今こそ労働者は労働者党に結集し、野党に頼るのではなく独自の闘いを組織し、資本の維持に汲々とする安倍政権に退陣を迫り、新しい社会主義の時代を切り開かなくてはならない。

 

先進20カ国は世界で900兆円の資金を投入することにしている。世界の公的債務は昨年末で7500兆円に達しており、新たな公的債務はこれに上乗せされる。世界的なインフレでしか解決できないような時限爆弾を抱え込む、汎世界的な資本主義の危機を呈しているのである。

 

世界の労働者は連帯して資本主義社会の根本的変革を志すべきときがきている。

 

(大阪・佐々木)

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