オリンピック強行で "爆発的"感染拡大
―それは予想されたことだが―
コロナ感染者が全国で1万人を超え、まさに未曾有の状況となっている。このまま為す術もなく行けば、8月には2万人を超え、東京も一日で7、8千人にもなろうかとしている。これは"オリンピック強行感染"と名付けても良いだろう。
まず7月の22~25日の4連休は東京都に緊急事態宣言が出され、不要不急の外出を控えるよう呼びかけられていたが、東京や関東圏を脱出する人が後を絶たず、高速道は渋滞し、羽田空港は昨年比12%増、新幹線も混み合い、緊急事態宣言などどこ吹く風といった具合だ。都内だけでも昨年比で、浅草で28%増、新宿37%増、お台場で35パーセント増と人出が増え、オリンピックメイン会場周辺から湾岸にかけて、無観客ならせめて会場付近まで出かけてみようという人々で溢れかえった。
筆者の住む静岡県で言うと、最大の観光地伊豆半島の各温泉地のホテルの駐車場は90%以上が東京や関東圏ナンバーの車で占められ、県内の車はほとんど見当たらないといった具合だ。中には同じホテルに4連泊して伊豆を満喫したいという東京からの夫婦もいた。その結果、伊豆半島や沼津では感染者が急増している。これらは無理からぬ一面もある。自粛、自粛で疲れ果てた人々が、さあ4連休だというわけで一気に閉塞感からの解放を求めて北へ南へと移動したのである。
この4連休はオリンピックの開会式に合わせた祭日の変更によってもたらされたものだ。菅政権としては、開会式前後に休日を集めて国民の意識をオリンピツクに向けさせ、自らの批判をかわしたい狙いがあった。それはオリンピツク強行の目的でもある。
TVは連休から今日に至るまでずっと競技の中継を垂れ流している。マスコミもマスコミだが、彼等は金メダルを過度に賞賛し、さらにメダルを追い求めるよう選手を鼓舞し、国民の意識をもそれに駆り出してオリンピツク漬けにし、現実の政治から目をそらさせている。それは菅政権にとっては微笑ましいことではある。マスコミは菅らを助け救援していることを自覚すべきなのだが、所詮ブルジョアマスコミはとはこんなもので、いざとなれば営利主義に走るのである。
またもや東京近県や大阪などに緊急事態宣言が、北海道、福岡、京都等5道府県にまん防が出されたが、オリンピック浮かれは、宣言もまん防もその意義や効力の無さをさらに一層明らかにした。安倍の最初の発令時(昨年4月)の緊張さと比べれば、その効力は一目瞭然、今やそんなものは何の役にも立たないことを国民は知っている。しかし、これしか対策を考えてこなかった所に菅らの怠慢さや限界がある。
オリンピックの強行と祭典ムードは、自粛に辟易した人々を街々に吐き出し、より感染力の強いデルタ株を全国に拡大させた。オリンピツクの強行が爆発的感染の引き金となった。
菅は今でも「オリンピツク選手や関係者が感染を広げることはない。水際対策をきちんとやっている。人流も減ってきている。」などとピンボケしたことを言っているが、選手や関係者の感染は既に170人を超え、関係者の酒の路上飲みも出るなど、当初の行動規制はいい加減になってきている。菅が描いたように、選手や関係者から国内感染が広がるなどとは誰しも思ってはいない。
そうではなくて、オリンピックが契機となって自粛の糸が切れ、人々が街や都県外へ繰り出す事の方が何倍も予想されたことなのだ。まさに菅らの見通しの甘さや対策のいい加減さを著わすものだ。
8月になれば学校は夏休み、盆帰省、夏祭り、家族の外出も増え、またこのうだるような暑さを避けて海へ山へと出かける機会も増えることだろう。それが何を意味するかはもう語ることもないだろう。東京をはじめとする感染拡大地域の病床はまさに逼迫、ワクチンの供給も止まり、65歳以下や職域接種、若い世代の接種も大幅に滞っている。
直ちにオリンピックを閉会し、菅らは今日までの無為無策を素直に認め、この爆発的感染拡大の責任を認めて直ちに総辞職せよ! (是)