労働の解放をめざす労働者党ブログ

2017年4月結成された『労働の解放をめざす労働者党』のブログです。

ロシアの侵略

帝国主義の存在から目そらした空論 ─豊氷郁子の停戦論

帝国主義の存在から目そらした空論

─豊氷郁子のウクライナ停戦論

 

ロシアのウクライナ侵略戦争は早くも半年が過ぎた。一気に小国ウクライナを併合できるとプーチンの予想はウクライナ人民の抵抗によって挫折、今なお戦争は続いている。こうした中で、平和主義者から、ロシアへとの戦争を継続することは犠牲をさらに拡大することであり、ウクライナは即刻停戦すべきだという議論が行われている。

 

「朝日新聞・オピニオン&フォーラム欄」(812日)に掲載された「犠牲を問わぬ地上戦 /国際秩序のため容認/正義はそこにあるか」と題する政治学者豊永郁子早大教授の寄稿はその典型である。

 

ウクライナの戦争と日本軍国主義の戦争の同一視

 

豊永は、ロシアのウクライナ侵攻に対して、ウクライナが総動員令を発して、大統領自らも海外への退避の勧めを退け、国内に残り闘うことを決定したことに関して次のように言う。

 

「ウクライナ戦争に関しては、……わからなかったのがウクライナ側の行動だ。まず(ロシアが)侵攻した日にウクライナのゼレンスキー大統領が、一般市民への武器提供を表明し、総動員令によって18歳から60歳までのウクライナ男性の出国を原則禁止したことに驚いた」「市民に銃を配り、全ての成人男性を戦力とし、さらに自ら英雄的な勇敢さを示して徹底抗戦を遂行しようと言うのだから、ロシアの勝利は遠のく。だがどれだけのウクライナ人が死に、心身に傷を負い、家族がバラバラとなり、どれだけの家や村や都市が破壊されるのだろう。」

 

豊永は、ロシアへの抗戦は多くの人々の生命を奪い、傷つけ、生活を破壊する、政府は何よりも戦争を避けることを第一とすべきであって、ロシアへの徹底抗戦を決定したことは「信念だけで行動し結果を顧みない」無謀なことだというのである。

 

そして豊永はウクライナ政府がロシアへの徹底抗戦を打ち出したことは、かつての日本軍部が敗北を認めず国民に米国への抗戦を強い、多大な犠牲を強いたことと同じだと言う。

 

「政府と軍が無益な犠牲を国民に強い、一億総玉砕さえ強いた第2次世界大戦の体験……と同じ懸念を今、ウクライナを見て覚える」と。

 

だが、かつての日米の戦争と現在のウクライナ戦争は同じではない。日米戦争はアジア太平洋の覇権をめぐっての帝国主義国同士の戦争であった。日本の軍部ファシストはブルジョア国家、大資本の利益のために国民を戦争に動員し、敗北が決定的になった後も徹底抗戦を唱えて多大な犠牲を強いた。

 

これに対して現在ウクライナの戦争は、ロシアから分離独立したウクライナが、それを認めず軍事攻撃を行ってきたロシアに対して、自立した国家を歩む民族自決擁護のための闘争であって、かつての日本のファシスト軍部の戦争と同じにみなすことは決定的に間違っている。

 

そもそも戦争を引き起こしたのはロシアであって、ウクライナではない。ウクライナは1991年のソ連邦解体を契機に独立し、その後、2004年のオレンジ革命、2014年のマイダン革命を経てロシアからの自立を強め独立した国家の道を歩んできた。しかし、プーチンは、ウクライナはロシアの一部であるとして独立を認めず、14年にはクリミアを支配下に置き、東部では親ロシア派による共和国をデッチあげ、ウクライナ政府と対立してきた。そして今年2月には、ウクライナ全土をロシアの支配下に置くために大規模な軍事侵攻を行ったのである。ウクライナの抗戦は、民族自決権を否定するロシアの帝国主義に対する戦争であって、ウクライナが戦争を仕掛けたものではない。

 

戦争が人民にとって悲惨な結果をもたらすからそれに反対するというなら、軍事侵略を行ったプーチンのロシアこそ非難されるべきであって、これに反対するウクライナのゼレンスキー政権が非難されるべきことではない。

 

絶対「平和主義」の妄想

 

ところが豊永は、ウクライナ戦争が、プーチンがかつての大ロシア復活のためにウクライナ併合を目指して行った戦争であることを事実上不問にして、ロシアの軍事侵攻に反対して闘うことを決定したゼレンスキー政権を悲惨な戦争に国民を巻き込んだと言って批判するのである。

 

豊永は、ウクライナ戦争は「日本憲法9条の平和主義の意義」を明らかにしたと述べている。

 

ウクライナはロシアの軍事侵攻に対してさらなる犠牲をいとわず徹底抗戦を唱えているが、9条の平和主義は、戦争による人命をはじめ一切の戦争による犠牲を否定する立場を明らかにしている、ウクライナも戦争継続によって大きな犠牲が生まれることがはっきりしているのであり、抗戦はやめて人命の尊重の政策をとるべきだ、「白旗」を掲げることも「平和主義の核心だ」と言うのである。

 

だが、例えウクライナ政府が抵抗を放棄してロシアの軍事侵攻を受け入れたとしても、戦争の危機はなくならないだろう。プーチンは、「核兵器を使用」をちらつかせてウクラナを威嚇してきたが、ウクライナが抵抗を放棄して軍事侵攻を受け入れれば、ますます増長し、現在も係争中のかつてロシアに属したアルメリア、ジョージア、チェチェンをはじめリトアニアなどバルト3国に対する軍事的圧力を強め、欧米諸国との軋轢を激化させるだろう。かつてナチス・ドイツの軍事的膨張を抑えるとして、チェコスロバキアへのナチス侵攻を認めるチェンバレンの宥和政策がさらなるナチス・ドイツの軍事侵略拡大を招いたことを思い起こさせる。

 

民族独立を認めず自国の支配下にとつなぎ止めておくための帝国主義国家の戦争もそれに反対する戦争も一緒にして、戦争そのものに反対する豊永は、かつてのベトナム戦争をどのように評価するのだろうか。

 

1955年11月から1975年4月まで19年余にわたって続けられたベトナム戦争は、ベトナム統一をめぐる南、北ベトナム戦争であり、米国はソ連を後ろ盾とする北ベトナムに反対し南ベトナムを支援して大量の軍隊を送りこんだ。ハノイの公式統計によると、米軍の軍事介入によって北ベトナム側の兵士の死亡者は120万、民間人の死者は200万~300万に上ったとされている。多くの犠牲を被りながら北ベトナムは勝利し、米国はベトナムから撤退し、南北ベトナムは統一を成し遂げた。

 

当時ベトナム戦争に対しては日本を含め世界中でベトナム「反戦」を掲げた運動が広がった。それは南、北米ベトナム双方の戦争行為に反対したのではなく、南ベトナムとそれに加担する帝国主義国家米国の軍事介入に反対する運動であった。ベトナム「反戦」運動の意義は、帝国主義に反対する闘いとして歴史的意義があったのである。

 

帝国主義の一掃こそ平和の実現

戦争は多くの労働大衆の犠牲を生み出す。労働者、働く者にとって戦争のない社会は理想である。資本の支配が克服され、搾取のない社会、階級のない、社会の成員が協同社会には戦争はない。しかし、現在の国際社会は帝国主義の支配する社会である。帝国主義が存在する限り、民族の併合、圧迫、市場や利権をめぐっての帝国主義同士の戦争は避けられないし、また、民族の支配、抑圧から帝国主義に反対し、解放をめざす被抑圧民族の闘争は否定されるべきではない。

 

労働者は戦争一般に反対することは出来ない。帝国主義国家による労働者・人民抑圧のための戦争に抗する戦争は、帝国主義が存在する限り避けられない。戦争は悲惨だからいかなる戦争にも反対する、戦争を回避し、生命の保護を第一とすることが本当の「平和主義」だという豊永の議論は、ブルジョア学者の無責任な戯言である。 (T)

軍事力強化の岸田政権と闘えない共産党

 労働の解放をめざす労働者党愛知支部発行の『海つばめ』号外6月号の訴えを紹介します。(一部編集しています)


★米国と一体化しロシア制裁に酔いしれ、対中〝抑止″から〝対処″に舵を切った岸田政権!

★共産党は「民主主義対専制主義の戦い」を掲げるバイデン大統領をいかに批判するのか?

★自衛隊〝活用″から〝合憲″に踏み込んだ共産党その先に待ち受けるのは?

 

★岸田自民党は、ロシアや中国、北朝鮮の核の脅威や不気味さを醸し出し、〝日本の安全保障〟に対する国民的な不安を背景に軍事力強化、自衛隊の戦える軍隊化、米国との軍事的一体化、NATOとの緊密化を岸田政権は推し進めている

朝のニュースから昼のワイドショー、夜のニュース解説まで一日中、ウクライナにおける戦局を伝え、ロシアや中国の脅威、非道さを繰り返し報道することによって、軍事力増強に対する抵抗を和らげ(5/8朝日新聞の朝日東大共同調査によれば03年の調査開始以来、初めて防衛力強化賛成が6割を超えた)、挙国一致の体制が大きな反対を受けることなく作られようとしている。

 

岸田首相の支持率は各種世論調査で軒並み発足以来最高を記録している。


ロシアに対する制裁の支持も高く、岸田が推し進める対中国の日米軍事同盟強化=自衛隊の戦う軍隊化や、バイデン大統領の訪日時に行われたクワッド(日米豪印)の4カ国首脳会合など対中関係が新たな段階に突入した。


それは日本が西側帝国主義陣営の一員として中国、ロシアに対峙していくという決意にほかならない。「抑止」から「対処」へ、岸田はその決意を防衛費の大幅増額で明示しようとしている。


★ロシア非難決議に棄権35ヵ国の意味するもの


ウクライナに対するプーチンの野蛮で理不尽な軍事侵略に世界各国が、プーチン許すまじで一致していないことは、国連で米国が主導して採決にかけられたロシア非難決議が32日に賛成多数で採択されたが、棄権が中国やインドなど35カ国だった事からも明らかである。


棄権した国の多くはアフリカや南米、中近東の国々である。これらの国々の多くが、かつて米国が世界中に張り巡らしていた権益を拡張維持するための帝国主義的、軍事的侵略の矢面に立っていた。


すなわちロシアのウクライナ侵略と同様の〝力による現状変更〟を米国から受けていたのである。


★南太平洋島嶼国をめぐる米豪日と中国の激しいせめぎあい


中国は、ロシアのウクライナ侵攻に対して公然と支持を表明していないし、反対もしていない。


習近平はプーチンの専制政治に限りないシンパシーを抱き、自らを毛沢東と並び凌駕する歴史上の人物にまで祭り上げようとしている、習近平とプーチンは同類である。


プーチンはウクライナを併合しNATOに対抗する勢力圏、覇権の確立を目論見、帝国主義的、冒険主義的な軍事侵略を行っている。


一方、中国・習近平は、南シナ海に点在する島々に軍事基地を建設し、軍事的な制圧を目指している。


中国の王毅国務委員兼外相が26日から64日までの10日間の日程でソロモン諸島など南太平洋島嶼国7ヵ国と東ティモールを歴訪した。


フィジーで行われた10カ国の会合で、中国がこの歴訪の最大の目的であった「安全保障分野での連携合意」は、中国に警戒する国の反対でなされなかった。


南太平洋島嶼国はこれまで、米国やオーストラリアとの関係(日本も)が深かったが、経済力を背景に中国が急速に影響力を深めてきた。


中国の狙いは、南シナ海同様にこれら南太平洋島嶼国との経済的、軍事的な関係を構築することで、米豪に対する牽制を行うことであり、「台湾有事」において米軍を封じ込めることにある。


中国の攻勢に対して、米国は2月に国務長官が約37年ぶりにフィジーを訪問し、中国の影響力の増大に対抗し新しい戦略を発表した。これらが「安全保障分野での連携合意」に至らなかった理由である。


米中のせめぎあいは、外交においても軍事面でも経済分野でも熾烈である。


★労働者はロシア制裁を支持しない


岸田はアジア唯一のG7を強調し、ロシア制裁を強め、制裁への参加をアジア各国に呼びかけているが、振り返れば後ろに誰もいなかったということでは、洒落にもならない。


労働者は米国やEUにおだてられ、喜々として行う日本などが進めるロシア制裁は支持しない。


それは二枚舌のご都合主義(ブルジョア的平和のための戦争協力)であるばかりか、西側帝国主義国による直接軍事力を行使しない対ロシア戦にほかならないからである。


我々はウクライナの労働者人民と連帯し、呼びかける。


〝ロシアはウクライナから直ちに撤退せよ!ロシア軍によって繰り返される虐殺を徹底的に糾弾する!欧米は軍事介入をやめよ!ウクライナの未来はウクライナ人民が決定する!我々はそれを尊重する!〟


★共産党はバイデンの「民主主義対専制主義のたたかい」をどのように批判しているのか?瓦解する共産党


共産党志位委員長429日に行われた「大学人と日本共産党のつどい」で、ウクライナに軍事侵略したプーチンを批判してプーチンロシアとの戦いは「民主主義対専制主義のたたかい」と規定したバイデン大統領を「プーチン政権は専制主義的な政権であることは間違いないとしつつ、いま問われているのは、あれこれの『価値観』ではない」、「あれこれの『価値観』で世界を二分したら、解決の力も解決の方向も見えなくなる」と批判し、「『国連憲章を守れ』の一点で世界が団結することですと強調し」た。


米露の核大国にとっては紙切れでしかない「国連憲章」を守れと共産党が繰り返すのは、バイデンの「民主主義対専制主義のたたかい」と認めると、プーチンの専制主義と戦う民主主義陣営=NATOの軍事同盟を容認することになり、日米安保破棄、対米従属からの脱却を目的とする共産党の根本的な立場が瓦解するからである。


★ウクライナにおける戦争の本質


バイデンは「民主主義対専制主義のたたかい」と規定することによって、暗黒の強権的な専制主義国家(プーチンのロシア)のウクライナ侵略と戦う進歩的で開かれた民主主義国家の戦いであるかに描こうとしている、嘘っぱちである。ウクライナにおける戦争の本質は、プーチン・ロシア(中国も)の専制的国家資本主義と西側帝国主義の覇権をかけた対立抗争である。


それは、直接的な利害対立と世界支配の覇権をかけた全面的な戦争に発展する可能性をも含んでいる(核兵器が飛び交うような戦争がどんな結果をもたらすかは明白である)深刻な対立である。


★憲法9条と国連憲章、平和外交のバラ色の世界を夢想した共産党は破綻した


憲法を絶対視し、憲法9条や国連憲章の世界に閉じこもり日本が平和外交に徹すれば、帝国主義的対立の世界から、バラ色の善隣友好の世界が訪れるかに夢想した共産党の世界観は、プーチンのウクライナ侵略によって破たんした。


ロシア軍の蛮行が相次いで暴露されるや、共産党は判断停止に陥った。国連憲章にもとづく平和秩序回復を掲げる共産党が判断停止に至った理由は、共産党が支配階級との対決を放棄し彼らとなれ合い、ブルジョア民主主義や議会選挙による政権交代を絶対的目的とする日和見主義政党になることを自ら選択したからである。


★政権に加われば自衛隊は合憲!解体した社会党の後を追う共産党


共産党志位委員長は朝日新聞のインタビューに対して、政権に加われば「自衛隊、合憲の立場とる」(朝日新聞5月28日)ことを明らかにした。遠ざかる「野党連合政権」にすがるしかない共産党は、「現実路線」「その道を絶対捨てるつもりはない」と強調した。「現実路線」の先に政権参加、入閣があるが、政権参加を待たずに自衛隊合憲が出てきた。


タガが外れた共産党を押しとめる力は共産党の内部にはない。彼らの行き着く先の見本を我々は知っている。


自民党、社会党の連立政権が発足(1994年)したとき連立政権の総理大臣に社会党の村山が首相になり、国会答弁で自衛隊は合憲と答弁し以後、社会党は解体した。


共産党も同じ運命をたどるだろう。政権与党だろうが現在の野党の立場だろうが「合憲」と判断した以上「二枚舌」の批判を免れることはでない。


参院選を前に政権担当能力をアッピールしたがったのだろうが、逆効果しか生まないと断言できる。


★共産党に幻滅し、進むべき道を模索している皆さん!労働者党綱領は共産党を以下のように規定している。共に闘おう!


『共産党は「民主連合政府」などの幻想を振りまいて来たが、しかし今では、自衛隊を容認し(国家には「固有の自衛権がある」などと主張して)、日米安保条約にも妥協的になり、さらには天皇制まで容認し、あるいは国旗・国歌法を自ら求めるなど、際限のないブルジョア的堕落の道を歩んでおり、大資本の勢力との公然たる協調路線に移りつつある。


今ではとっくの昔に破綻し、労働者、勤労者の支持を失った民進党(旧民主党)との統一戦線や連合を最優先の「戦術」――野党共闘だ、国民連合政府だ、そしてこれらは「自共対決」からの政治闘争の偉大な進化だ等々――として美化し、それに「賭ける」などしてきた。


労働者、勤労者の階級闘争の原則や、労働者党の自主的で、独自の闘いという、世界の労働者、勤労者の闘いの、そしてまた革命的な社会主義派の闘いの伝統を投げ捨てるのだが、そんな“超”日和見主義的な「戦術」は共産党をブルジョア改良政治と何ら変わらないものに堕落させるか、みじめな解体にまで追い詰めるだけであろう。』(労働の解放をめざす労働者党綱領2017年4月採択)


 

第24・25回「資本論を読む会」のご案内

★6月19日(日)13時15分~15時

★7月24日(日)13時15分~15時

★会場 昭和生涯学習センター

★地下鉄「御器所」桜通線・鶴舞線、下車6分駅周辺地図参照

★連絡先 労働の解放をめざす労働者党 愛知支部

 070-8959-1147

 

DSA(アメリカ民主社会主義者)の声明

DSA(アメリカ民主社会主義者)の声明

アメリカの社会主義的左翼のDSA(アメリカ民主社会主義者)がロシアのウクライナ侵攻直後に出した声明を紹介します。長野のYSさんの訳です。

特徴は、ロシアだけではなくNATOやアメリカの拡張主義も非難しているところ。日本の野党がほとんどアメリカの肩に乗ってロシア非難をしているのと比べ、アメリカ本国の左翼政党が当のアメリカ自身を非難しているのは心強い。

 

【ロシアのウクライナ侵略について】

 DSA 声明、2022.2.26

 

DSA はロシアのウクライナ侵略を糾弾し、この危機を解決するために早急な外交的・非拡大措置を要求する。我々は、この戦争の攻撃の鉾先を担うことになるウクライナとロシアの労働者階級との連帯と外交的解決を求めている両国及び世界の反戦抗議者との連帯を表明する。

 

この極端で非対称なエスカレーションは国連憲章の下では不法行為であり、ウクライナやロシアの、また両地域にまたがる地区の労働者人民の生活と安寧を深刻に脅かすものである。我々は速やかな停戦とロシア軍のウクライナからの全面撤退を強く主張する。

 

戦争やさらなる干渉によってはいかなる解決もない。この危機は、非拡大を求める国際的な反戦対応や国際的協力を必要としている。また、この対立の犠牲を拡大させる一方的で強引な手段や軍事化、その他の経済的軍事的な瀬戸際外交に対する反対を必要としている。

 

我々は、アメリカがNATO から手を引き、この対立の舞台を準備した帝国主義的拡張主義を終わらせることを要求する我々の立場を再確認する。我々はアメリカ及び世界の反戦活動家に暴力的拡大に反対し、永続的な外交的解決を要求し、この危機に由来するすべての難民を受け入れる決定的な必要性を強調するよう求める。この攻撃を通して、次の10 年間の大部分が視野に入ってくる。新自由主義的秩序の失敗が誰の目にも明らかであるにもかかわらず、支配階級は軍国主義や帝国主義、戦争に基づく暗黒郷的転換によって新しい世界を作ろうと試みている。社会主義者はその反対の世界を築く義務を負っている。

 

戦争反対、むしろ階級戦を!

 

(長野のYSさんの日本語訳です)

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※アメリカ民主社会主義者(DSA)は、アメリカ社会党(1901 年結成)の流れをくむ「民主社会主義者組織委員会(DSOC)」とニューレフト知識人らが合同して1982 年に結成された。結成当初は6千人程度の会員しかいなかったが、トランプ政権の誕生による若者らの危機感とサンダース旋風の中で勢力を拡大し、2021 6 月現在9.5 万人の会員を持つまでになっている。

プーチンだけが悪者か?

神奈川で『資本論』学習会を行っている「横浜労働者くらぶ」の会報で、「プーチンだけが悪者か?」と論じられています。「労働者くらぶ 第15 号」から紹介します。

 

プーチンだけが悪者か?


ブルジョア世論は、プーチンが核兵器の使用をほのめかし、実際にザポリージャ原発を攻撃したことから、核兵器使用が現実になったと大騒ぎである。「プーチンは狂った」「プーチンの性格は常軌を逸している」等々、ウクライナ侵攻や原発攻撃の責任をプーチン個人に帰せようとしているのだ。

 

しかしプーチンが核兵器の使用をチラつかせ始めたのは今回が初めてではない。すでにクリミア侵攻の時から核の準備に言及していた。そもそも大国が、なぜ核兵器を保有するかといえば、核の抑止力によって相手の戦意をくじき、力関係で優位に立つためである。核の抑止力は、核使用の可能性があるからこそ威力がある。プーチンのウクライナ侵略によって、それが現実味を帯びてきたというに過ぎない。

 

プーチンの核使用の言及は、彼が追い詰められてきた結果である。ロシアに限らず、欧米や中国などの核大国も窮地に陥れば核使用は現実のものとなる。これは指導者の性格の問題ではない。バイデンにしても習近平にしても、追い詰められればプーチンと同じ行動をとるだろう。これら指導者は帝国主義の人格化である。仮に、彼らではなく他の人間が指導者であっても同じである。

 

核兵器の威嚇を、プーチン個人の性格や資質に帰せようとするのは、ウクライナ侵攻の本質を隠蔽するものである。ブルジョアマスコミは、連日のようにウクライナの惨状を報じて、あたかもプーチンやロシアだけを悪者に仕立てている。問題は、この世界を大小の帝国主義国家が牛耳っていることである。ロシアのウクライナ侵攻は、ウクライナを盾にした欧米の帝国主義(ウクライナに多大の武器援助をしている)とロシアの帝国主義の覇権争いであり、どちらが悪いと言った問題ではない(両方とも悪党だ)。

 

ブルジョア国家同士の争いに決まって登場してくるのは、民族主義や国家主義の愛国イデオロギーである。日本でもここぞとばかりに安倍や高市などの国家主義者がしゃしゃり出てきて、米国との核兵器の共同使用を主張し始めた。ブルジョア支配がなくならない限り、世界から戦争をなくすことはできない。労働者は、プーチンの侵略と果敢に戦っているウクライナ人民と連帯すると同時に、自国のブルジョア支配の打倒のために立ち上がらなければならない。 (K)

ロシアのウクライナ侵攻と労働者の立場

『海つばめ』読者からの投稿がありました。「ロシアのウクライナ侵攻と労働者の立場」について論じていますので、紹介します。

 

 ロシアのウクライナ侵攻と労働者の立場 

 

「プーチン氏の本音反映か ウクライナめぐり一方的歴史観―国営通信社が誤配信の論説」【モスクワ時事】ロシアの国営通信社がロシア軍のウクライナ侵攻開始の2日後に誤って配信した、戦勝を前提に準備されたとみられる論説記事が、プーチン大統領の本音を反映していると内外で話題になっている。記事は直ちに削除されたが、プーチン氏が安全保障上の理由からではなく、ウクライナはロシアの一部になるべきだという一方的な歴史観に基づいて侵攻に踏み切ったことを示唆する内容だった。

時事ドットコムニュース 202203050710

https://www.jiji.com/jc/article?k=2022030400844&g=int

 

『ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について』wikipediaより引用

「この論文はロシア連邦軍が学ぶ義務のある作品のリストに掲載されている」「プーチンは、ロシア人とウクライナ人は、ベラルーシ人と共に、歴史的に三位一体のロシア民族として知られている民族の一つであると主張」

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プーチンの帝国主義的野望はこの記事を待つまでもなく明らかだろう。「歴史的根拠」なんて、日本の天皇制やら「大東亜戦争史観」と同様、権力者が自分の支配の根拠を歴史的に拡張するもの、ためにするものでしかない。

 

wikipediaによると「ゼレンスキーは、この論文を批判し、プーチンの国家間の兄弟愛に関する見解をカインとアベルの物語と比較した。元大統領のペトロ・ポロシェンコもこの論文を強く批判し、アドルフ・ヒトラーのズデーテン地方の演説に対応するものだ」とのことだが、こういう反発が出るのも当然のことだ。

 

こうしたプーチンの帝国主義的野望は当然ながら、ロシアの資本主義的発展の帰結でもある。ロシア封じ込めが、ヨーロッパを筆頭に世界のエネルギー需要に大きな影響となってはね返り、ウクライナ、ロシアという穀倉地帯の紛争は、今後の穀物需要に多大な影響を及ぼす。プーチンの野望は世界のエネルギーと食料に対する重要な位置を占め、揺さぶることだろう。

 

プーチンの帝国主義策動が、ロシア国家資本主義の発展に位置づけられるなら、それに対する反撃は何よりもロシア労働者階級の歴史的課題、任務となる。プーチンはロシア国内の反戦行動に対し、強圧的な弾圧を実行している。

 

すでにプーチンのよき「三位一体」論すら消え失せ、その侵略の意図はあからさまである。

 

アメリカやEUは経済制裁を呼号するが、その声高な割には、効果は遅く不徹底なものに見える。バイデンは経済封鎖を「長期的戦略」といい、現在、目の前での武力侵攻には手を出しかねている。

 

労働者階級の反政府運動はニュース画面では大きく報じられても、勢力としてはまだまだ足りない。ロシア国内での情報統制も執拗に行われ、海外メディアも一斉に国外に追い出されている。しかし、政権の強権的弾圧や支配統制は、これからも、ロシア国内に真実を伝え、広がり、大きな反発を呼ぶだろう。それはプーチンにとって危険な火種となって、ロシア労働者の階級的覚醒を生まずにはいられない。ロシア支配階級の中にも動揺が生まれ、エリツィン・ファミリーの反発を呼んでおり、新興財閥たるオリガルヒの中の一部には離反の動きもみられる。プーチンの強面な支配もまた、その権力基盤自体が盤石な一枚岩とは言えないが故のものなのだ。

 

ロシアの階級闘争を率いる労働者政党の存在の有無はわからないが、いずれにしてもその闘いの中から、必然的に生まれ出ることを信じたい。歴史的必要は必ずその任を担う中心的結晶を生み出すだろう。

 

プーチン・ロシアの帝国主義的策動は、アメリカを頂点とする西側「自由資本主義」勢力にも強い危機感を生んでいる。ロシアの武力侵攻を目の前にして、彼らは自ら掲げてきた「自由、民主主義」をいまのところ投げ捨てることはできないし、「世界大戦の愚行」は彼らの「西側資本主義」すら焼き尽くすのは明らかなのだ。

 

ロシア(中国・印度)以外の諸国家は、ロシアの不法に憤り、世界的規模での経済的制裁を呼号し、世界的世論もそれに同調している。また当事者のウクライナもまた米国に連なる諸国家に期待をかけている。

 

国連は感動的な各国の演説と非難決議を行っているが、プーチンは一向にウクライナ侵攻を止めないし、挑発するかのように原子力関連施設への攻撃と占拠まで行って見せる。また、ウクライナからの避難路の交渉にも誠意を見せない。邪魔者を出ていかせたいのか、否か、まさか殲滅するつもりなのか。

 

見かねたゼレンスキーは国外から義勇軍を募り、徹底抗戦に突き進みたいようだ。自国民男性の国内残留を求めてもいる。こうした動きは国際的にも、ロシアの不法に怒る声の中では、同情的に受け止められている。

 

確かに2万人ともいわれる応募者数とのことだが、現代に国際旅団式の戦闘が有効とも思われず、ウクライナ本土で、地理にも不案内な急ごしらえの部隊がはたしてどれだけ有利に戦えるのか心もとない。ロシアは他国が手を出さないのをいいことに、全戦力をウクライナに侵攻させているのだから。

 

プーチンのロシア国家資本主義打倒の課題は、今、ロシア労働者階級の前に立ち現れているように、西側各国の労働者階級もまた、その課題に正面から向き合うときが来ている。西側の労働者階級もまた、ウクライナ問題は単なる「人道」の問題ではないことを見据えなければならない。

 

第三次世界大戦を避けるという名目のもと「経済封鎖」などが呼号されていても、その実態はエネルギーそして食料問題への波及を恐れる西側資本主義は、徹底したロシア封じ込めはできずにいる。武力に訴えることは自らの「人道」をかなぐり捨てることでもあり、後で自国民の反発を呼ぶことにもなりかねない。

 

西側資本主義もまた安泰なわけではない。ロシアに対し徹底した態度を取れないことからも分かるように、GAFAのような情報関連産業にシフトした産業構造の基盤は脆弱なものとなっている。また、長年の新自由主義的政策により国内に抱える格差拡大の修復も、かつての福祉国家のような幻想すら生みだせていない。

 

目前のコロナ感染対応により留保されていた、格差と貧困の問題が世界的に問題となってくるだろう。トランプのような陰謀論、ポピュリズムの扇動でしか国民的統合を見いだせない資本主義の退廃こそが、プーチンのような「エネルギーと食料」という頑固なリアリズムに足をすくわれるのだ。

 

立ちすくむ西側諸国の支配階級を前に、労働者階級は悲嘆にくれる必要はない。階級的視点に立てばその視界は明瞭である。帝国主義者たちの闘いに労働者が引き回される必要はない。自国の帝国主義者、資本家階級を打倒し乗り越え、労働者の政権、権力樹立に向けて進むべきなのである。それこそが労働者階級としての「人道」を勝ち取る道である。

 

こういった課題は一朝一夕に成し遂げられるものではないだろう。しかし、遠い道のりに見えるとしても、ブルジョアジーの良心や善意に期待することこそ、問題の解決をいっそう遅らせるものであることを自覚しよう。21世紀に入り、資本の抱える矛盾は噴出し課題はいっそう明らかになり、期は熟してきているのである。

 

(そもそも考えてもみよ、いったい今の資本主義社会にどんな「人道」があるというのだ。昨年2月に軍事クーデターが起きたミャンマーを見よ。国内、国外からのミャンマー人民からの「人道的」救援の叫びもむなしく、国軍によるむき出しの武力支配が続き、日々自国民を弾圧し、強奪し、殺し続けているではないか。空爆を行い、民家を焼き払い続けるこの軍事政権に対し、どんな断固たる国際的制裁が行われ、どんな救済の手が差し伸べられているというのか。いったいこの1年もの間、「人道」はどこに行っていたというのか。他にも長引く紛争はパレスチナ、シリア、枚挙に遑がない。日本国内を見ても、外国人技能実習生の問題をはじめ、おびただしい人権侵害が数えられるだろう。) (N)

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