労働の解放をめざす労働者党ブログ

2017年4月結成された『労働の解放をめざす労働者党』のブログです。

岸田政権との闘い

『海つばめ』2023年メーデー号配布に協力を

メーデーに結集する労働者の仲間への宣伝活動を行います。多くの皆さんの協力をお願いします。地域での配布に取り組んでいただける方は、党員や党本部(tel:03-6795-2822mail:webmaster@wpll-j.org)に、ご連絡ください。
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『海つばめ』号外 2023年メーデー号

労働の解放をめざす労働者党(労働者党)HP=https://wpll-j.org/


2023メーデービラHP用表小

 

(表面)

大軍備増強の岸田政権糾弾

団結して岸田政権打倒に立ち上がろう!

 

軍事費2倍化へ、大規模軍備謳う「安保3文書」

 

 「安保3文書」は、中国、ロシア、北朝鮮について日本および国際社会にとって安全保障上「重大な脅威」と批判。ロシアのウクライナ侵攻や台湾をめぐる米・中緊張の激化を口実に、軍事費をGDP1%からNATO並みに2%に引き上げること、自国「防衛」のために「反撃能力」として敵基地(含む指揮系統機能)への攻撃能力を保持することを明記。「安保3文書」は日本が武器輸出国家となることも謳っている。

 岸田政権は、軍事費を今後5年間に43兆円の増額を企んでいる。今年度当初予算の軍事費は6・8兆円で22年度の5・4兆円から一気に1・4兆円も増加。軍事費の一部4千億円は建設国債で賄う。軍事費のための国債発行は「禁じ手」だったにもかかわらず、岸田政権はこれを破り、借金による軍拡を推し進めようとしている。

 政府は軍事費増額の財源確保において増税については、与野党の反対にあって実施時期を曖昧にし、防衛力強化基金については、継続性の無い「税外収入」を当てにし、さらに予算を恣意的に増やして決算で〝余剰を創造〟するという(「決算剰余金」)与太話まで披露している。

歳出改革にしても、1兆円程を確保すると言うが、毎年1兆円を弾き出すことができるのか、岸田は何一つ国会で説明できなかった。

 軍事費の財源の見通しもないままに岸田政権が軍備増強に走るのは、日本の国家の利権、大資本の利益のためである。

 

国家の利権、大資本の利益のための岸田大軍拡は問題だらけ

 

 日本は海外に資本を投下し、工場を進出させ、数百万の労働者を搾取している帝国主義国家だ。海外における市場、利権を維持、確保するため、ブルジョア〝自由主義的〟な国際秩序を維持するため、米国と同盟を強化して軍備増強をめざしている。共産党やれいわ新選組らが言うような米国の圧力に屈したからでも、米国の犬になり下がったからでもない。総資本の利益(国家利益)のために、軍事費2倍化という数字ありきを優先させてでも、先制攻撃用ミサイルを含む高度軍事力を早期に手にしたいのである。

 しかし、財政がひっ迫している(財源が見つからない)となれば、増税出来ないなら国債発行に頼るしかない。しかし普通国債残高は1000兆円を超え対GDP比で約260%である。

 超低金利政策は金融機関の体力を弱め、国債や社債が売れ残る事態を発生させるなど混乱を引き起こしてきた。それに、国内物価上昇も相まって、市場における金利上昇圧力が高まっている。金利が上がると政府の国債償還費(元金と利子の返済)が増え、国債残高の半分を保有する日銀も国債価格低落で財務が悪化する。  さらに日銀の持つ国債を償還する段階になれば、発行価格より高く買った損失を計上することになる。つまりインフレに対処するために金利を上げることが難しくなっているのだ。

 政府は市場の金利上昇圧力をかわし、かつ物価上昇もインフレ発生も抑えなければならないという、矛盾した事態に突入しようとしている。日本資本主義の退廃は極まっている。

 

岸田政権に追随する野党は無力、労働者の国際主義的闘いを

 

 闇雲に軍備大拡張を進める岸田政権に対して野党は追随するか免罪府を与えている!

 維新は「他国がたくさんの装備を持っていたらこちらも持たないと安全にならない。日本の比較優位を保つことが必要」と岸田政権に同調。国民民主も、「必要な防衛装備は準備する必要がある。増額もやむを得ない」と、破滅への道である軍備増強を認め、自民同様の悪党だ。

 立憲民主も「必要な防衛装備は準備する必要がある。増額もやむを得ない」と言い、れいわも「必要な防衛装備ならば増額が必要というのは分かる」としつつ、「一方でこれまで装備が適正価格で購入されてきたかというチェックは必要」と、立憲民主と同様な立場だ。

 立憲民主はじめ野党が自民党に追随する中で共産党は、日本の軍備増強は「対米従属」のためで、米国の引き起こす戦争に巻き込まれる危険があると主張する。日本は米国の「従属国」であり、岸田政権が軍備増強を進めるのは米国の言いなりだからだと言うのだ。

 共産党は、日本がれっきとした帝国主義国家であるという事実を見ようとせず、岸田政権と正面から闘うことを避けている。また、「話し合いで世界平和」を願っているが、帝国主義が世界に存在する限り「世界平和」は訪れない。

 岸田政権が軍事強国化を進め日中覇権争いに勝利せんとするのは、資本の権益と国家の利益のためである。

 岸田政権は、破綻状態の国家財政をさらに膨張させようとしている。だが、そのツケは、戦前と同様に、大増税やインフレの爆発となって労働者を襲い、生活を破壊することに帰着する。

 岸田政権と正面から闘うこと無しに、労働者の生活と未来は守れない。まして「世界平和」も勝ち取れない。労働者は団結し、岸田政権打倒のために断固として立ち上がろう。


2023メーデービラHP用裏小

 

(裏面)

「満額回答」は物価高騰で吹き飛ぶ

 

 今春闘は、高騰する物価に追いつかず、全く不十分な結果であった。大手企業では「満額回答で早期妥結」や「初任給や時給の大幅な引き上げ」が「続出」し、〝異例〟と報道はされた。しかしそれは、これまでが低賃金だったからであるにすぎない。さらに人手不足でもあり、外国との賃金比較で日本の賃金の低さもあったし、賃上げ要求も低かったからではなかったか。

 総務省が4月に発表した今年3月分の消費者物価の総合指数は前年同月比で3・2%とはいえ、10大費目指数の「食料」では7・8%、「家具・家事用品」は9・4%などであり、生活実感では二ケタの物価上昇ではないか。賃上げされても生活を切り縮めているのが現実だろうし、未組織の仲間の困窮は一層深刻である。

 世界的にインフレや物価高が労働者の生活を苦しめている中で、フランスでは年金受給の先送りに抗議する闘いが、ドイツやイギリスでは大幅な賃上げを要求するストライキが闘われている。日本でも断固とした闘いで、「管理春闘」を打ち破り、経営側から譲歩を引き出していこう。

 現在も闘争中の仲間もいる。未組織の働く仲間にも団結した闘いを呼びかけ、労働組合に結集して共に闘い、生活を守ることで、労働者の階級的な団結の輪を広げられるし、労働者の更なる前進を勝ち取れるのである。

 

おためごかしの「構造的賃上げ」の岸田に心酔する連合芳野

 

 大企業での第1回賃上げ交渉結果発表のその日に、8年ぶりという政労使会議がもたれた。関係閣僚、経団連会長、商工会議所会頭、そして連合芳野会長らが参加し、マスコミは「出席者は中小企業の賃上げへ労務費の取引価格転嫁ができる環境を整えると基本合意した」と伝えた。労働者の賃上げのために政労使で協力するという「有難いことだ」と考えたら、まんまと策にハマったのである。

 政労使会議で岸田首相が最賃全国加重平均を2023年に1000円へ上げる目標を示したり、非正規雇用も含めた幅広い賃上げを訴えたりと、労働者の味方を装ったのは、統一地方選や衆参補欠選に向けて点数を稼ごうとしたのである。岸田は「構造的な賃上げ」実現のため、労務費の取引価格への転嫁について「業界ごとに実態調査したうえで指針をまとめていく。業界団体にも自主行動計画の改定・徹底を求める」と語ったが、これは、産業構造における中小企業の実態、大企業の支配的な状況にはメスを入れず、「自主行動計画改定」でお茶を濁すということだ。

 芳野連合会長は岸田に心酔して、全国中小企業団体中央会という経営者団体との懇談会で、「政労使会議の中で総理から労務費を含めた価格転嫁の話があった。今後は労務費を含めた価格転嫁という言葉で発信したい」と、労働者の立場を投げ出し、中小企業の経営者になったかの発言をして、岸田政権への追随姿勢を露わにした。

 政労使会議での議論は、中小企業が大企業に売る製品価格を「適正」にしようというもので、とりわけ中小企業労働者の賃金上昇分を製品に価格転嫁できるようにすれば、労働者のためになるという主観的な理屈でしかない。

 経営者は生産手段(工場機械や原材料など)と一緒に労働者から労働力商品を買い、労働過程に労働力を投げ入れ、労働力の価値以上に働かせることで剰余労働を生み出す。剰余労働分は企業に搾取されて製品価格にのせられて販売されるというのが、つまり、経営者が利潤のために生産するというのが資本主義経済の現実である。

 賃金を経営者が賃上げした結果、企業が自分の利潤を確保するために製品価格を上昇させるなら、物価上昇に繋がり労働者の賃金は目減りする。反対に、価格に転嫁しないならば、企業の利潤は減ることになる。

 つまり、労働者の賃上げと企業=資本の利潤確保は一致しないということこそ真実である。資本と賃労働の対立的な関係こそ資本主義の根底である。

 

労働者の生活向上のために真剣に闘う態勢を構築しよう

 

 こうした資本と賃労働の対立的な現実を労働者の指導者を気取っている芳野は何も分かっておらず、それゆえ、労働者を常に裏切り続けるしかない。経営者やその政府におもねって、奴隷根性丸出しの階級協調主義では労働者に未来はない。資本によって搾り取られ、ボロ雑巾のように捨てられるだけだ。ブルジョア的な指導部を刷新して、労働者の生活向上のために真剣に闘う態勢を構築していこう。

 労働者の社会的な生産的労働が正当に評価される社会、資本による搾取のない社会の建設は労働者の理想である。労働者の共同した事業として、その達成を目指して団結を固めていこうではありませんか。

 私たち労働の解放をめざす労働者党は、闘う仲間の労働者の皆さんに依拠して、資本の支配に断固反対して労働者の闘いを発展させていく決意です。共に闘いましょう。

 

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大軍拡策動に反撃しよう!労働者党の宣伝戦に協力を!

労働者党の宣伝戦に協力を!

 

 岸田政権による大軍拡策動が強まっています。労働者は断固として反撃しよう。労働者党は全国で【反軍拡ビラ】の配布に取り組んでいます。協力していただける方は、党員や党本部(tel:03-6795-2822mail:webmaster@wpll-j.org)に、ご連絡ください。

2023冬季ビラブログ用表面

 
『海つばめ』号外(2023年2月号)
    
労働の解放をめざす労働者党

 

【表面】

軍事大国化策す岸田政権を倒そう

大資本の利益のための軍拡を許すな!

 

 岸田首相は今国会の施政方針演説で、「外交には、裏付けとなる防衛力が必要」と、防衛力=軍事力なしには外交は出来ないという立場を押し出しました。

 しかし、これは軍事力を背景に自国の利益を押し通そうとする帝国主義的な反動的主張そのものに他なりません。

 「抜本的な軍事力強化」を掲げる岸田政権による軍事費の大増額の企みを断じて許してはなりません。

 昨年12月、岸田政権は「安保3文書」を閣議決定し、23年度から27年度までの5年間の防衛費を43兆円程度にするとしました。この「安保3文書」では、中国、ロシア、北朝鮮を日本および国際社会にとって安全保障上の「重大な脅威」とし、軍事費をGDP1%から2%に引き上げること、自国「防衛」のために「反撃能力」としての敵基地への攻撃能力(「先制攻撃」を意味します)の保持を臆面もなく明記しました。

 

「安全保障政策の大きな転換」という大軍拡の動き

 

 これまで戦後歴代の日本政府は、近隣諸国に対して軍事大国にならないこと、「専守防衛」、自衛のための「最小限の軍備」を唱えてきました。軍事費GDP1%はそのための〝証〟でした。今や、これまでの〝公約〟をかなぐり捨て、「防衛」という名で相手基地への先制攻撃までも含めた攻撃能力を保有する大規模な軍備拡大に乗り出すというのです。戦後日本における反動的な「安全保障政策の大きな転換」です。

 中国、ロシア、北朝鮮の軍事的な圧迫が強まり、自国の「防衛」のためには軍備を拡大し、米国など〝自由主義〟国家との軍事協力を強化することで、日本の「安全と平和」を守ると言っていますが、資本の利益のための「安全と平和」を守るだけです。

 

帝国主義的な対立激化をもたらすブルジョアの利害

 

 ロシアのウクライナ侵攻や米・中の対立の激化に象徴されるように世界は激動の時代を迎えています。ロシアのウクライナ侵攻は、汎ユーラシア主義を唱え、旧ソ連邦の版図回復を目指すプーチン・ロシアの大国主義の表れであり、米・中対立の激化は、軍事的・経済的に急速な発展を遂げた中国の資本主義(国家資本主義)と欧米の資本主義(国家独占資本主義)との覇権争いです。

 そうした中で、岸田政権は、米軍との共同軍事行動への道を開いた安倍政治を引き継ぎ、更なる軍備を増強して、軍事強国への道を突き進もうとしています。

 安倍ら自民党のブルジョア政治家が軍事拡大に血道を上げてきたのは、中国の軍事力増強に対抗するためですが、同時に、日本資本主義が5百万人もの海外の労働者を搾取する帝国主義国家になり、海外に巨額な資本権益を築いてきたからです。岸田政権が軍備増強に走るのも、日本の国家の利権や大資本の利益を守るためなのです。

 

労働者の闘いを発展させ、岸田政権打倒を勝ち取ろう!

 

 台湾は日本の国益だと安倍政権以来、ずっと自民党は言ってきました。そして「安保3文書」の中では、米国と並んで台湾を防衛する責務がある国であるかに述べました。

 岸田政権は、中国による台湾有事の危機感を煽り、防衛力増強の必要性を正当化し、軍事大国化を進めようとしています。それは中国との帝国主義的対立を激化させます。

 だからこそ、労働者は有事を煽る政府に反撃して、帝国主義の根底である資本主義を変革するため、労働者の国際的、階級的な闘いを発展させなければならないのです。

 軍事費増大を図る岸田政権ですが、軍事費増額を賄う財源はどこにもありません。国内経済は停滞し、「アベノミクス」によって政府は一千兆円を超える莫大な借金をかかえています。コロナ対策や「不況脱出」のため、国債発行額は2022年度の3年で211兆円にのぼります。軍事費増額優先によって財政が増々悪化することは必至です。

 悪政で「後は野となれ山となれ」の無責任な岸田政権は打倒するしかありません。

 

 2023冬季ビラブログ用裏面

【裏面】

労働者の階級的闘いを発展させよう!

帝国主義国家としての自立化を強める動きとの闘いを構築しよう

 

 労働者にとって、現在の焦眉の課題は日本の軍事大国化・軍国主義化と闘うことです。

 政府与党側が「安全保障環境の悪化」を大騒ぎして大幅な軍備拡張を推し進めようとしていることに対して、野党側は国民民主党がすでに与党化し、立憲民主党や日本維新の会にしても、軍国主義強化への危機意識など微塵もありません。

 防衛費の財源問題をめぐって与野党の攻防が繰り広げられていますが、「歳出削減や法人税・所得税引上げが必要だ」といったことは、すでに政府や政府が世論操作のためにでっち上げた「有識者会議」が言ってきたことです。立憲民主党や日本維新の会も国民民主党と同じく軍備増強に賛成しており、翼賛化した立場で政府に対して注文しているにすぎません。

 共産党やれいわ新選組などは、防衛費増強に対して反対の立場ですが、軍拡は「アメリカの言いなりだ」と非難しています。果たしてそれは正しいでしょうか。

 特に共産党は、今なお、日本を米国の「従属国」に位置付けており、日本が自立した帝国主義大国になった現実に対して、目を覆い、逸らしています。共産党は米国からの独立や自立を要求する「民族主義」の立場に立ち、労働者の国際主義を放棄しています。

 大軍拡に対して「憲法を守れ」という平和主義的な立場からの反対運動もあります。共産党などはそうした運動と共闘して運動を広げようとしています(リベラル派や新左翼急進派の一部も同様です)。

 

平和主義的な闘いでは、資本の支配による攻撃と闘えない

 

 しかし、平和主義者の憲法や法律を盾にした形式的な、本質を衝かない批判は、世界の帝国主義的な対立が激化する今日、全く通用しません。

 かつて第一次安倍政権時代、国家による教育現場に対する「日の丸・君が代」強制の嵐が吹き荒れました。 共産党や日教組と共に市民主義者らは「(「日の丸・君が代」の)法律が無く憲法違反」と批判しました、その後、「国旗・国歌法(日の丸・君が代法)」が国会を通過するや、彼らの論理は破綻し、彼らの〝闘い〟は大幅に後退してしまいました。

 彼らは自民党政治のブルジョア的本性を理解せず、資本主義の本質も理解していません。

 安倍元首相がそうであったように、岸田首相や自民党の反動的な議員らは、トランプやバイデンと一緒になって経済的に中国と競い、そして軍事的に対峙するように策動するのです。

 例えば、世界への資本輸出と資本の権益獲得競争、市場囲い込み競争、関税引上げによる中国輸入製品の制限、先端技術の中国への流出防止などです。これらの対立の激化が軍事的対立になるのです。

 それゆえに、岸田らは「台湾有事は日本の有事」と考えるのです。つまり、台湾にも日本の権益がたくさんあるのです。

 平和主義を美化する共産党は、安倍や岸田らを突き動かす帝国主義的な動機を理解できず、上っ面の批判しかできません。そんな対米従属論と平和主義運動に依存しても、最後まで闘うことはできないのです。

 挙げ句には、共産党の志位委員長が「自衛隊活用論」を打ち出したように、岸田や資本の反動的な立場に、犯罪的に急接近して行くのです。

 

自民党政権の軍拡政治と断固闘おう

 

 岸田政権が策動する軍事体制は、確実に徴税や国家の借金を増やし経済的困難を招くこと、労働者(将来の労働者も)の犠牲において行われること、国家間の対立の拡大と愛国主義や国家主義を醸成すること、ひいては労働者同士を敵対させることに繋がるのです(「国家安全保障戦略」でも愛国心を強調しています)。

 労働者は、野党や平和主義の無力な政治ではなく、岸田政権の大軍拡の策動とその背後にある〝真実〟を見抜き、岸田政権の軍拡政治と断固闘うのみです。

 帝国主義化を強める資本の支配に反対して、欺瞞的な「平和」ではなく、真実の平和を勝ち取ると共に、労働の解放に向かって、労働者党と共に闘いましょう。

 

労働の解放をめざす労働者党

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岸田政権を追い詰める闘いの前進を!――労働者党アピール――

労働者党は「安倍国葬」をごり押しする岸田政権との闘いを訴え、全国で活動を行っています。全国で配布しているビラを紹介します。こちらは2面です。
2022夏季宣伝ビラ裏

















岸田政権を追い詰める闘いの前進を!

 

 第2次岸田政権が発足し、今秋には今年度の補正予算編成の議論が行われます。コロナ禍に対する対応の遅れや物価高による生活の困窮、そして「安倍国葬」強行で支持率が低下する中、岸田政権を追い詰める闘いを強めなければなりません。参院選では、自民が非改選議員を含め単独過半数を獲得、自民をはじめ憲法改悪勢力が32を占める結果でした。参院選は、野党(立憲、共産ら)の無力さを明らかにし、労働者の階級的な政党の建設と労働の解放をめざす闘いの発展なしには、労働者・働く者の生活を根本から改善できないことをあらためて明らかにしました。

 

場当たり的な岸田の物価対策、それと闘えない野党の「消費税減税」

 

 参院選でも第一の争点は物価対策でしたが、岸田首相は、ロシアのウクライナ侵略による「有事の物価高」だとして、ガソリン価格に補助金を支出して値上げを抑制する「トリガー方式」設定や補助金の延長、小麦価格の据え置き、家庭向けに節電世帯に2千円相当のポイントを支給する「ポイント」制の導入、そして生活困窮者に対して補助金を支給するなどで「態勢は万全」と述べていましたが、これらは一時的なその場しのぎの対応策でしかありません。

 

 「有事物価高」論は、政府の責任を逃れる欺瞞です。物価騰貴はコロナ禍やウクライナ戦争だけではなく、「アベノミクス」による金融緩和策やバラまき政策がもたらしたインフレや「円安」によって加速されてきました。大企業のための経済政策のツケが回ってきたのです。

 

 立憲、共産、社民など野党は物価対策として消費税の引き下げを強調していました。しかし、1千兆円を超える借金を抱えている国家財政の下で、消費税減税を実施すればますます借金は膨らむばかりです。消費税は貧しい者ほど重い負担がかかる逆進性の強い税金であるとしても、租税の約3分の1を占めており、「社会保障費の財源であり、社会保障をなりたたなくさせる」と一蹴されるだけです。

 

 賃上げなど労働者の生活防衛のためにも、資本の支配に反対し、搾取からの解放を目指す労働者の階級的な闘いを発展させていかなければなりません。労働者の階級的な団結を強め、闘いを前進させていきましょう。

 

「最小限の軍備」の公約をかなぐり捨てる大軍拡の動きと闘おう

 

 ロシアのウクライナ侵略、繰り返される北朝鮮のミサイル発射、中国の軍事的・経済的な進出が進む中で、岸田政権は国民の危機意識を煽りたて、日米安保体制強化や日本の軍事力を高めるべきだと強調しています。軍事力の「抜本的な強化」のために、これまでGDP比1%を目安にしてきた軍事費を5年以内に2%に引き上げるとか、「敵基地攻撃のための弾道ミサイル攻撃を含む日本への武力攻撃に対する反撃能力を保有する」と、軍備増強を押し出しています。維新は自民反動派の先兵として「核共有」を俎上に挙げ、「積極防衛能力」の構築を訴えています

 

 これまで「専守防衛」のもとで、「最小限の軍備」(GDP比1%)で、外国に対する攻撃的力を持たないとの内外への公約をかなぐり捨てて、憲法9条を改定して、大軍拡に乗り出す動きです。

 

 岸田政権が進めようとする軍事力の一層の強化は、日本がアジアの軍事大国として、外国からの権益、大資本の利益を維持、拡大していこうとする帝国主義化を強めようという意図の現れです。

 

 自国の帝国主義との闘いが課題になっています。労働者は、暴虐なプーチンロシアの軍事侵略に反対して闘っているウクライナ人民の闘いを支持すると同時に、ロシア、欧米及び日本、中国の帝国主義、覇権主義に反対し、国際主義の立場で闘い、全世界の労働者と連帯していきましょう。

 

労働者・働く者は労働者政党に結集して、階級的な闘いで展望を切り開こう

 

 立憲や国民民主らが自民党の軍事大国化の策動に対して真剣に闘おうと訴えない中で、共産党は「軍拡で平和は守れない。日本が軍拡で構えれば、相手も軍拡を加速する。軍事対軍事の悪循環に陥る」と批判し、話し合いによる平和外交こそ大切だ、と主張しました。

 

 しかし、日本が軍備を増強し、軍事大国の道を歩むのは日本の国家権益と大資本の利益のためであるように、帝国主義を世界から一掃することなしに真の平和を実現することは出来ません。共産党のような、日本が外国によって「侵略された場合には自衛隊を活用する」という「自衛隊活用論」は、結局は、軍事力を強化して「国民の生命と財産を守る」という自民党の主張と同じです。

 労働者・働く者は労働者政党に結集し、労働の解放をめざして闘いましょう! 

「安倍国葬」に断固反対――労働者党アピール――

労働者党は「安倍国葬」をごり押しする岸田政権との闘いを訴え、全国で活動を行っています。配布しているビラを紹介します。まず1面から。
2022夏季宣伝ビラ表












「安倍国葬」に断固反対

 

強権・反動の安倍政治礼賛を許さない

 

 岸田首相は先月8日に安倍元首相が選挙応援演説中に銃撃で亡くなったことに対して、早々と「国葬」を決定しました。しかし狙撃犯は旧統一教会(現「世界平和統一家庭連合」)への恨みからの行動だと報道され、安倍元首相をはじめ自民党議員の多くがカルト宗教団体と密接な関係があったことへの批判が強まりました。岸田首相は内閣改造で旧統一教会との関係は正すとしながら、大臣・副大臣・政務官に、なお関係のあった者が多く含まれており、自民党と旧統一教会の関係の深さを示しました。

 

安倍元首相が銃殺されたのは旧統一教会と密接な関係のため

 

 世論調査では「国葬」に反対という声が多数にもかかわらず、岸田政権はごり押ししようとしています。安倍元首相の政治は国会の議席多数を頼みにした強権・反動の政治でしたが、岸田政権も同類です。

 

 戦前には、天皇らの他にも「国家に功績のあった」者に対して、「特旨」(天皇の思し召し)による「国葬」があり、国民に服喪が義務付けられ、太平洋戦争中には米軍機に撃墜され死亡した山本五十六連合艦隊司令官が国葬されるなど、国民の戦意高揚に利用されました。しかし、戦後の〝民主化〟により、1947年に国葬令は廃止になりました。

 

 「国葬」の法律がないにもかかわらず、国費(国民の税金)を投じて「国葬」を行うのは、政治的基盤の弱い岸田首相が安倍支持派を取り込み、自身の基盤を強めるためであり、また世界の要人を招き点数を稼ごうということでしかありません。安倍元首相が銃殺されたことは岸田首相が言うような〝言論の自由〟とは直接関係ありません。

 

 銃殺事件は安倍元首相を先頭とする自民党と「反共産主義」を掲げる統一教会との癒着こそ問題です。自民党は霊感商法など反社会的行為を続けている統一教会の名称変更を認めるなど統一教会をかばいだてする一方、選挙では統一教会からビラ配布、街頭演説の聴衆の動員、電話での働きかけ、票の提供等の支援を受けるなど密接な関係があったのです。

 

ウソでごまかし、政治を私物化し、「民主主義」にそむく

 

 岸田首相は「民主主義を守り抜く」ために安倍元首相の「国葬」を行うと言うのですが、安倍政治はウソまみれの政治でした。

 

 「桜を見る会」問題で安倍事務所の関与はないと国会でウソをつきとおし、森友学園問題では、「私や妻が関与していたということになれば首相も国会議員もやめる」と国会で約束したにも関わらず、ウソが発覚しても首相・議員に居座り続け、加計学園問題では便宜をはかった公文書の書き換えを隠蔽したり、その他働き方改革ではデーター改竄、オリンピック誘致では、IOC会議で、汚染水が垂れ流しにもかかわらず「福島(原発)は国の完全なコントロールの下にある」と、世界を欺いて誘致に導いたのは安倍元首相でした。

 

 「桜を見る会」、森・加計事件は、安倍政治を象徴しています。首相という権力の座を利用して、自分の後援会のために国費を使ったり、〝お友達〟に国有財産を格安で売り渡す便宜を図り、国家財産を私物化したのです。

 

 ウソを並べ立て国民を愚弄し続けた人物を「立派な政治家」であるかのように美化することは、次代を担う子供たちへの教育を歪め、健全な精神を腐らせることになります。

 

軍拡・反動政治、国家の財政破綻をもたらした安倍政治

 

 安倍元首相は、慰安婦問題でも見られたように歴史修正主義を唱え、戦前の日本帝国主義の戦争を弁護、正当化しました。さらに国会での多数を頼りに安保法制を強行成立させ、憲法が禁止する外国との集団的自衛、自衛隊の海外派兵を可能にし、安保関連法によって〝平和憲法〟の下での戦後日本の自衛隊の行動を一変させ、軍事大国化の道を進めました。

 

 安倍政治の最大の「功績」として持ち上げられている、「異次元の金融緩和」策を柱とする「アベノミクス」ですが、2012年から21年の間のGDPでは、ドル表示で67兆ドルから51兆ドルと216%縮小し、世界経済で83%占めていた日本経済は47%に低下しました。実質賃金(39万ドル)は、OECDの平均賃金(49万ドル)からさらに引き離されました。潤ったのは大企業や金持ち階級だけで、政府の借金は財務省資料で、932兆円(12年度末)から1166兆円(20年度末)に12倍も増え、経済は停滞したまま、労働者の生活は一向に改善されていません。

 

 岸田首相は、日本資本主義の軍国主義を正当化、軍拡・反動政治を進めた安倍元首相を「功績があった」として「国葬」を強行しようとしています。それは岸田政権もまた、憲法改悪、軍拡を推し進めようということです。

 安倍元首相の「国葬」に反対し、労働者党と共に闘いを前進させていきましょう。

日銀はなぜ超低金利策に固執するのか――能天気な黒田日銀と岸田政権

「金融緩和を続ける」と、能天気な黒田日銀と岸田政権

――日銀はなぜかくも超低金利策に固執するのか

 

7月21日、欧州中銀(ECB)は11年ぶりに、政策金利を予告より2倍の0・5%引上げを決めた。理由はユーロ圏の消費者物価が昨年初めから上がり始め、その勢いは増し、今年5月の対前年比消費者物価上昇率は8・1%となり、6月には8・6%と前月を上回る事態になったからだ。

 

欧米各国の金利引上げで日本との金利差は一層拡大している。

 

同日の21日、日銀の黒田は日銀会合後の記者会見で、22年度の消費者物価上昇率の見通しを2・3%(年度の上昇率が2%を超えるのは03年度以降では初めて)としたが、「経済を支えるため、金融緩和を続ける」と述べた。この黒田の理屈は「金利を少しばかり上げても円安は止まらない、大幅に上げるなら経済にダメージを与える」というものだ。

 

円安が137~9円まで進み、この夏以降、さらに物価が急騰するかも知れないと言われているのに、日銀は超低金利政策に固執し国債を買い続けている。しかも、海外投資ファンドを中心に、日銀の動きや為替変動をにらんで各種取引(国債や為替の先物取引など)を仕掛けられている始末だ(注)。

 

(注)日銀の「金融政策決定会合」(6月16日~17日)を前に、投資家による国債の売り圧力が高まり、13日には国債価格が下落し、長期金利(新発10年物国債利回り)が日銀の許容する上限を突破し、0.255%まで上昇した。続いて、15日には、国債の先物価格が前日に比べて2円以上も急落し、13年以来9年ぶりの下げ幅を記録し、「注意喚起」を名目に「日本取引所」は先物取引を一時中断した。

 

では、日銀はなぜかくも超低金利策に固執するのか。

 

その第一は、景気回復が実現しておらず、また円安が日本経済に有利だと言って来た手前、今ここで金融緩和策を止めて金利引上げに応じたなら、この間の「アベノミクス」が失敗だったと日銀が認めることになる。そうなれば、「アベノミクス」を長年にわたって賛美して来たブルジョア全体の、またケインズ経済学の面子が丸つぶれになるからだ。

 

だが、低金利政策で、1年で2%を超える物価上昇を景気回復の証(指標)にしていたのだから、黒田らの経済学が全くもっていい加減であったことを、今更ながら暴露している。我々は、13年に始まった「アベノミクス」に対して、直ちに、「カネをばらまくだけの国家主義者の〝国家破綻〟政策」だと批判した(全国社研社刊『「アベノミクス」を撃つ――カネをバラまくことで国も経済も救えない』林紘義著、13年11月発行)が、現にそうなりつつある。

 

第二は、金融緩和を是正し長期金利を上げるなら、1千兆円を超える既発行の国債に評価損が発生し、日銀はその内の約550兆円を日銀勘定の「資産」として持ち、1%の金利が上げるなら単純計算で約5・5兆円の評価損を被るからである。

 

もちろん、日銀が持つ国債は満期まで保有されるので、時価評価する必要がなく、実際に日銀勘定は簿価方式で算出されている。だから帳簿上で損失が出るわけではないが、内外の「金融機関」は時価で日銀勘定を評価し、金利上昇は日銀資産の評価損として捉えるのである。これが正しい評価なのは言うまでもない。

 

同時に、民間銀行なども評価損を避けようと、手持ちの国債を売りに出すなら、国債価格は下落し、国債の流通利回りは上昇する。日銀はそれを放っておくことができず、流通利回りの上昇を阻止するために、大量の市中の国債を買わなければならなくなる。

 

そうなれば、日銀券の新規発行は一気に増え、日銀券発行残高もうなぎ上りとなり、それらは当面、「日銀当座預金」(日銀が民間銀行から買った国債の代金を支払うなどに使われる決済用口座で、この預金残高は日銀の負債となり、国債は日銀の資産となる)に積まれるが、金利引上げ時に一層の負担になっていく。

 

そこで、第三の理由に進む前に、金利引上げが日銀・政府に与える影響や国債の大量発行の矛盾を先に紹介する。

 

長期金利引き上げは、新発国債と借換債の金利上昇圧力にもなり、政府の金利負担は莫大なものになる。今でさえ、「国債費」が増えている(後述する)のだから、日銀としては、金利引上げ策を講じる場合には、短期政策金利の引上げが一番やり易いと考えるだろう。

 

だが、約540兆円もの巨額な「日銀当座預金残高」の付利(現在、マイナス0・1%)を仮に1%引上げるなら、約5・4兆円もの金利払い増となる。ところが、日銀の純利益は約1・5兆円で、損失に備えるための引当金勘定は11兆円程しかなく、政策金利を引上げるなら、「赤字決算」となる。それが現在の日銀の危うい姿なのである。

 

日銀の〝倉庫に〟政府発行の国債が「ブタ積み」(利用されないでただ積まれている)され、その代金が「日銀当座預金」に積まれている。それは、日本経済に好循環が起こらず、当座預金の「付利」をマイナスにしても、民間企業に対する銀行貸出は大して起こらず、当座預金の出番がなかったからだ。

 

しかし、「日銀当座預金」に積まれたカネが今後の景気上昇局面などを契機にして、流通部面に必要以上に入り込むなら、この国家紙幣化したカネの価格標準は切り下げられるのである。つまり「インフレ」を引き起こすのである。

 

「インフレ」とは、単なるあれこれの(高くなった資源輸入、国内生産力の低下による商品価格の上昇、需給ギャップ、為替相場の円安など)物価上昇を指すのではなく、流通部面に入った紙幣の価格標準の切り下げが行われ(「貨幣価値」の下落として現れ)、その結果、物価が上昇することを言うのである。「インフレ」とは、自国発行の紙幣(紙幣化した中央銀行券も)が国内流通部面に必要以上に入り込むことで発生する現象なのである。インフレは日本でも発生したが、ドイツインフレは典型的であった。

 

ここで、脇道にそれるが重要なことなので、簡単にドイツのインフレを振り返る。

第一次大戦開始直前に、「金本位制」から離脱したドイツは、戦費を大量の国債発行によって賄い、その国債を主に、ドイツ帝国銀行に直接に引受させ、大量の通貨を発行し続けた。戦後においても、経済的担保のない(裏付けのない)無価値なマルク紙幣や緊急通貨・ノートゲルトを大量に発行したので、ドイツではハイパーインフレが発生した。

 

「ドイツ政府は第一次世界大戦において、戦費のための膨大な財政需要を国民に対する増税ではなく、主に国債の発行によって賄った。その際に国民に国債を購入させて民間の通貨を吸収するのではなく、主に帝国銀行に購入させて(帝国銀行の直接引受け――筆者)紙幣を増発したため、通貨流通量の急増を招いた。

 

戦争終結後は、まず現物による賠償を連合国によって迫られたが、連合国に対する現物引き渡しは無償であっても、その元の所有者または生産者に対してはドイツ政府が代金を払わなければならず、引き続き大きな財政需要となった。そして賠償委員会によって決定された賠償金の支払いはさらに巨大な財政負担となった。ルール占領に対する消極的抵抗(賠償を果たせないドイツに対して、フランスがルール地方を占領したことに対する労働者のストライキ闘争のこと――筆者)では、労働者に対する経済的支援をしなければならないのに対し、ルール地方からの税収はまったく得られなくなったため、財政赤字をさらに拡大することになり、これらがすべて通貨増発へとつながった。マルクの供給量が増加した結果、その価値は急激に下がり、マルク安をもたらした。

 

それにより、ドイツにおける財の価格が急騰するとともに、ドイツ政府の運営費用が増大し、税の支払い通貨であるマルク安が続いたために増税によっては財政を賄うことができなくなった。結果的に生じた赤字を国債の発行や単純な紙幣増発の組み合わせで賄い、これらの影響でマルク建て資産の市場供給量が増加し、一層の通貨価値の下落を招いた。ドイツ市民は、通貨価値が急激に目減りしていくことに気づくと、早く消費しようとした。  

 

これにより高まった貨幣の流通速度は、かつてない速度で価格を上昇させ、悪循環を形成した」(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)。

 

このようにドイツでは、政府が発行した国債を中央銀行が直接に買い、市中の通貨を吸収せずにマルク紙幣を発行し、さらに事実上紙幣と変わらない緊急通貨を発行してインフレを準備していった。ドイツの生産設備は大戦によって破壊されずに残り、戦後の急速な生産拡大に伴い、大量の紙幣化したマルクが流通部面に入り、無価値な通貨として現出したのである。つまり、経済法則が貫徹しマルクの価格標準は引下げられたのである。労働者はこの経済法則をドイツの歴史から学ぶべきであろう。

 

現在の日本の場合、日銀による国債の直接引受けは行われておらず、国債の対価は、国家紙幣ではなく信用貨幣で支払われている。だが、日本の場合には、信用貨幣の国家紙幣化が止めどもなく進んでいる。

 

日銀券は国家紙幣化していると言ったが、それは以下のような理由による。

 

日銀券は元来信用貨幣であり、法定の「支払い手段」である。だが、その信用貨幣は次第に本来の役割を果たさなくなっている。政府は借用証書である国債を民間銀行などに買わせて財源をつくり、その後に、日銀が民間にある国債を指値で、また流通利回りが上がっていれば低くなるように誘導し、ゼロ金利維持のために買い取っている。

 

つまり、日銀券は政府の財政運営のために、政府の借金を支えるために発行されている。

 

しかも、政府の国債は、労働生産物や〝商業〟土地や金銀(つまり価値を持つ有用物)を担保にした借用証書ではなく、単に政府の信用をバックにしているに過ぎない。だから、経済的な裏付けのない、無価値な国債を買うために日銀券は発行されているのであり、日銀券は国家紙幣に転化していく。日銀券が事実上、何ら価値の無い紙幣であるにも関わらず、国家の通貨として流通するのは、国家信用・日銀信用による国家の強制力によってである。

 

従って、日銀が大量な国債を買い続けるなら、既に説明したように、一方で、金融緩和策を終了して金利を引上げすることが極めて困難になり、他方で、日銀勘定は悪化し日銀信用が毀損し、日銀券は単なる紙幣になったことを満天下に知らしめる。日銀信用の毀損が現実化するなら、内外投資家による国債の投げ売りが始まり、国債の暴落は避けられない。

 

だから、多額の国債残高を抱える日銀に対しては、日銀の「債務超過」が以前から問題にされ続け、同時に日銀信用の毀損による国債の暴落が言われ続けて来たのである。さらに、紙幣化した日銀券が必要以上に流通部面に入り込むなら「インフレ」の発生は避けられないのである。

 

日銀が金利引上げを避ける第三は、政府が組む一般会計予算の中に、歳出に必要な「国債費」(国債償還費と国債利払費で、22年度は24兆円)があり、日銀が金利を上げるなら、この「国債費」が上昇し、予算計上に大きな影響を与え、その後の国債発行に大きな影響を及ぼすからである。

 

以上のような理由により、日銀は短期国債の金利をマイナス0・1%に、長期国債である10年物の金利を0±0・25%に抑え込もうと躍起になっているのである。だが、そうすればそうする程、当面は、円安と物価高騰として現れ、労働者の生活を破壊する。

 

また、円安が続き物価が高騰し続けるなら、金利政策引上げ圧力が内外から加わる。日銀がそれらの圧力を無視し続けて国債を買い続けるなら、日銀信用破綻・「国家破綻」に行きつくことになる。それほどに大きな矛盾を深めているが、日銀は金利引上げを実行することがますます困難になっている。

 

それは「アベノミクス」という国家主義者の妄想、インチキ理論の行きつく先であった。

 

しかし、問題なのは、その矛盾の全てが労働者に皺寄せさせられることにある。

 

ドイツインフレの場合でもそうだったが、インフレによる価格標準の引下げは、国家と資本家階級の借金を帳消しにしたが、反対に、労働者階級に対しては物価高騰が襲い、預金もあっという間に何千分の一、何万分の一になったのである。

 

我々は「アベノミクス」が発表された当初から、ケインズ経済学(リフレ派)の屁理屈を批判し、カネのバラまきがもたらすインフレや「国家破綻」などの矛盾を指摘したが、次第にそれらが現実味を帯びつつある。

 

労働者は、金融や通貨政策なるものは資本主義経済特有の小道具であり、未来の共同体では無用な長物であることを確認し、資本主義の矛盾の一切を解決すべく、「労働の解放」に向かって確信をもって断固として闘っていかなければならない。  (W) 

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