労働の解放をめざす労働者党ブログ

2017年4月結成された『労働の解放をめざす労働者党』のブログです。

岸田政権との闘い

岸田政権を追い詰める闘いの前進を!――労働者党アピール――

労働者党は「安倍国葬」をごり押しする岸田政権との闘いを訴え、全国で活動を行っています。全国で配布しているビラを紹介します。こちらは2面です。
2022夏季宣伝ビラ裏

















岸田政権を追い詰める闘いの前進を!

 

 第2次岸田政権が発足し、今秋には今年度の補正予算編成の議論が行われます。コロナ禍に対する対応の遅れや物価高による生活の困窮、そして「安倍国葬」強行で支持率が低下する中、岸田政権を追い詰める闘いを強めなければなりません。参院選では、自民が非改選議員を含め単独過半数を獲得、自民をはじめ憲法改悪勢力が32を占める結果でした。参院選は、野党(立憲、共産ら)の無力さを明らかにし、労働者の階級的な政党の建設と労働の解放をめざす闘いの発展なしには、労働者・働く者の生活を根本から改善できないことをあらためて明らかにしました。

 

場当たり的な岸田の物価対策、それと闘えない野党の「消費税減税」

 

 参院選でも第一の争点は物価対策でしたが、岸田首相は、ロシアのウクライナ侵略による「有事の物価高」だとして、ガソリン価格に補助金を支出して値上げを抑制する「トリガー方式」設定や補助金の延長、小麦価格の据え置き、家庭向けに節電世帯に2千円相当のポイントを支給する「ポイント」制の導入、そして生活困窮者に対して補助金を支給するなどで「態勢は万全」と述べていましたが、これらは一時的なその場しのぎの対応策でしかありません。

 

 「有事物価高」論は、政府の責任を逃れる欺瞞です。物価騰貴はコロナ禍やウクライナ戦争だけではなく、「アベノミクス」による金融緩和策やバラまき政策がもたらしたインフレや「円安」によって加速されてきました。大企業のための経済政策のツケが回ってきたのです。

 

 立憲、共産、社民など野党は物価対策として消費税の引き下げを強調していました。しかし、1千兆円を超える借金を抱えている国家財政の下で、消費税減税を実施すればますます借金は膨らむばかりです。消費税は貧しい者ほど重い負担がかかる逆進性の強い税金であるとしても、租税の約3分の1を占めており、「社会保障費の財源であり、社会保障をなりたたなくさせる」と一蹴されるだけです。

 

 賃上げなど労働者の生活防衛のためにも、資本の支配に反対し、搾取からの解放を目指す労働者の階級的な闘いを発展させていかなければなりません。労働者の階級的な団結を強め、闘いを前進させていきましょう。

 

「最小限の軍備」の公約をかなぐり捨てる大軍拡の動きと闘おう

 

 ロシアのウクライナ侵略、繰り返される北朝鮮のミサイル発射、中国の軍事的・経済的な進出が進む中で、岸田政権は国民の危機意識を煽りたて、日米安保体制強化や日本の軍事力を高めるべきだと強調しています。軍事力の「抜本的な強化」のために、これまでGDP比1%を目安にしてきた軍事費を5年以内に2%に引き上げるとか、「敵基地攻撃のための弾道ミサイル攻撃を含む日本への武力攻撃に対する反撃能力を保有する」と、軍備増強を押し出しています。維新は自民反動派の先兵として「核共有」を俎上に挙げ、「積極防衛能力」の構築を訴えています

 

 これまで「専守防衛」のもとで、「最小限の軍備」(GDP比1%)で、外国に対する攻撃的力を持たないとの内外への公約をかなぐり捨てて、憲法9条を改定して、大軍拡に乗り出す動きです。

 

 岸田政権が進めようとする軍事力の一層の強化は、日本がアジアの軍事大国として、外国からの権益、大資本の利益を維持、拡大していこうとする帝国主義化を強めようという意図の現れです。

 

 自国の帝国主義との闘いが課題になっています。労働者は、暴虐なプーチンロシアの軍事侵略に反対して闘っているウクライナ人民の闘いを支持すると同時に、ロシア、欧米及び日本、中国の帝国主義、覇権主義に反対し、国際主義の立場で闘い、全世界の労働者と連帯していきましょう。

 

労働者・働く者は労働者政党に結集して、階級的な闘いで展望を切り開こう

 

 立憲や国民民主らが自民党の軍事大国化の策動に対して真剣に闘おうと訴えない中で、共産党は「軍拡で平和は守れない。日本が軍拡で構えれば、相手も軍拡を加速する。軍事対軍事の悪循環に陥る」と批判し、話し合いによる平和外交こそ大切だ、と主張しました。

 

 しかし、日本が軍備を増強し、軍事大国の道を歩むのは日本の国家権益と大資本の利益のためであるように、帝国主義を世界から一掃することなしに真の平和を実現することは出来ません。共産党のような、日本が外国によって「侵略された場合には自衛隊を活用する」という「自衛隊活用論」は、結局は、軍事力を強化して「国民の生命と財産を守る」という自民党の主張と同じです。

 労働者・働く者は労働者政党に結集し、労働の解放をめざして闘いましょう! 

「安倍国葬」に断固反対――労働者党アピール――

労働者党は「安倍国葬」をごり押しする岸田政権との闘いを訴え、全国で活動を行っています。配布しているビラを紹介します。まず1面から。
2022夏季宣伝ビラ表












「安倍国葬」に断固反対

 

強権・反動の安倍政治礼賛を許さない

 

 岸田首相は先月8日に安倍元首相が選挙応援演説中に銃撃で亡くなったことに対して、早々と「国葬」を決定しました。しかし狙撃犯は旧統一教会(現「世界平和統一家庭連合」)への恨みからの行動だと報道され、安倍元首相をはじめ自民党議員の多くがカルト宗教団体と密接な関係があったことへの批判が強まりました。岸田首相は内閣改造で旧統一教会との関係は正すとしながら、大臣・副大臣・政務官に、なお関係のあった者が多く含まれており、自民党と旧統一教会の関係の深さを示しました。

 

安倍元首相が銃殺されたのは旧統一教会と密接な関係のため

 

 世論調査では「国葬」に反対という声が多数にもかかわらず、岸田政権はごり押ししようとしています。安倍元首相の政治は国会の議席多数を頼みにした強権・反動の政治でしたが、岸田政権も同類です。

 

 戦前には、天皇らの他にも「国家に功績のあった」者に対して、「特旨」(天皇の思し召し)による「国葬」があり、国民に服喪が義務付けられ、太平洋戦争中には米軍機に撃墜され死亡した山本五十六連合艦隊司令官が国葬されるなど、国民の戦意高揚に利用されました。しかし、戦後の〝民主化〟により、1947年に国葬令は廃止になりました。

 

 「国葬」の法律がないにもかかわらず、国費(国民の税金)を投じて「国葬」を行うのは、政治的基盤の弱い岸田首相が安倍支持派を取り込み、自身の基盤を強めるためであり、また世界の要人を招き点数を稼ごうということでしかありません。安倍元首相が銃殺されたことは岸田首相が言うような〝言論の自由〟とは直接関係ありません。

 

 銃殺事件は安倍元首相を先頭とする自民党と「反共産主義」を掲げる統一教会との癒着こそ問題です。自民党は霊感商法など反社会的行為を続けている統一教会の名称変更を認めるなど統一教会をかばいだてする一方、選挙では統一教会からビラ配布、街頭演説の聴衆の動員、電話での働きかけ、票の提供等の支援を受けるなど密接な関係があったのです。

 

ウソでごまかし、政治を私物化し、「民主主義」にそむく

 

 岸田首相は「民主主義を守り抜く」ために安倍元首相の「国葬」を行うと言うのですが、安倍政治はウソまみれの政治でした。

 

 「桜を見る会」問題で安倍事務所の関与はないと国会でウソをつきとおし、森友学園問題では、「私や妻が関与していたということになれば首相も国会議員もやめる」と国会で約束したにも関わらず、ウソが発覚しても首相・議員に居座り続け、加計学園問題では便宜をはかった公文書の書き換えを隠蔽したり、その他働き方改革ではデーター改竄、オリンピック誘致では、IOC会議で、汚染水が垂れ流しにもかかわらず「福島(原発)は国の完全なコントロールの下にある」と、世界を欺いて誘致に導いたのは安倍元首相でした。

 

 「桜を見る会」、森・加計事件は、安倍政治を象徴しています。首相という権力の座を利用して、自分の後援会のために国費を使ったり、〝お友達〟に国有財産を格安で売り渡す便宜を図り、国家財産を私物化したのです。

 

 ウソを並べ立て国民を愚弄し続けた人物を「立派な政治家」であるかのように美化することは、次代を担う子供たちへの教育を歪め、健全な精神を腐らせることになります。

 

軍拡・反動政治、国家の財政破綻をもたらした安倍政治

 

 安倍元首相は、慰安婦問題でも見られたように歴史修正主義を唱え、戦前の日本帝国主義の戦争を弁護、正当化しました。さらに国会での多数を頼りに安保法制を強行成立させ、憲法が禁止する外国との集団的自衛、自衛隊の海外派兵を可能にし、安保関連法によって〝平和憲法〟の下での戦後日本の自衛隊の行動を一変させ、軍事大国化の道を進めました。

 

 安倍政治の最大の「功績」として持ち上げられている、「異次元の金融緩和」策を柱とする「アベノミクス」ですが、2012年から21年の間のGDPでは、ドル表示で67兆ドルから51兆ドルと216%縮小し、世界経済で83%占めていた日本経済は47%に低下しました。実質賃金(39万ドル)は、OECDの平均賃金(49万ドル)からさらに引き離されました。潤ったのは大企業や金持ち階級だけで、政府の借金は財務省資料で、932兆円(12年度末)から1166兆円(20年度末)に12倍も増え、経済は停滞したまま、労働者の生活は一向に改善されていません。

 

 岸田首相は、日本資本主義の軍国主義を正当化、軍拡・反動政治を進めた安倍元首相を「功績があった」として「国葬」を強行しようとしています。それは岸田政権もまた、憲法改悪、軍拡を推し進めようということです。

 安倍元首相の「国葬」に反対し、労働者党と共に闘いを前進させていきましょう。

日銀はなぜ超低金利策に固執するのか――能天気な黒田日銀と岸田政権

「金融緩和を続ける」と、能天気な黒田日銀と岸田政権

――日銀はなぜかくも超低金利策に固執するのか

 

7月21日、欧州中銀(ECB)は11年ぶりに、政策金利を予告より2倍の0・5%引上げを決めた。理由はユーロ圏の消費者物価が昨年初めから上がり始め、その勢いは増し、今年5月の対前年比消費者物価上昇率は8・1%となり、6月には8・6%と前月を上回る事態になったからだ。

 

欧米各国の金利引上げで日本との金利差は一層拡大している。

 

同日の21日、日銀の黒田は日銀会合後の記者会見で、22年度の消費者物価上昇率の見通しを2・3%(年度の上昇率が2%を超えるのは03年度以降では初めて)としたが、「経済を支えるため、金融緩和を続ける」と述べた。この黒田の理屈は「金利を少しばかり上げても円安は止まらない、大幅に上げるなら経済にダメージを与える」というものだ。

 

円安が137~9円まで進み、この夏以降、さらに物価が急騰するかも知れないと言われているのに、日銀は超低金利政策に固執し国債を買い続けている。しかも、海外投資ファンドを中心に、日銀の動きや為替変動をにらんで各種取引(国債や為替の先物取引など)を仕掛けられている始末だ(注)。

 

(注)日銀の「金融政策決定会合」(6月16日~17日)を前に、投資家による国債の売り圧力が高まり、13日には国債価格が下落し、長期金利(新発10年物国債利回り)が日銀の許容する上限を突破し、0.255%まで上昇した。続いて、15日には、国債の先物価格が前日に比べて2円以上も急落し、13年以来9年ぶりの下げ幅を記録し、「注意喚起」を名目に「日本取引所」は先物取引を一時中断した。

 

では、日銀はなぜかくも超低金利策に固執するのか。

 

その第一は、景気回復が実現しておらず、また円安が日本経済に有利だと言って来た手前、今ここで金融緩和策を止めて金利引上げに応じたなら、この間の「アベノミクス」が失敗だったと日銀が認めることになる。そうなれば、「アベノミクス」を長年にわたって賛美して来たブルジョア全体の、またケインズ経済学の面子が丸つぶれになるからだ。

 

だが、低金利政策で、1年で2%を超える物価上昇を景気回復の証(指標)にしていたのだから、黒田らの経済学が全くもっていい加減であったことを、今更ながら暴露している。我々は、13年に始まった「アベノミクス」に対して、直ちに、「カネをばらまくだけの国家主義者の〝国家破綻〟政策」だと批判した(全国社研社刊『「アベノミクス」を撃つ――カネをバラまくことで国も経済も救えない』林紘義著、13年11月発行)が、現にそうなりつつある。

 

第二は、金融緩和を是正し長期金利を上げるなら、1千兆円を超える既発行の国債に評価損が発生し、日銀はその内の約550兆円を日銀勘定の「資産」として持ち、1%の金利が上げるなら単純計算で約5・5兆円の評価損を被るからである。

 

もちろん、日銀が持つ国債は満期まで保有されるので、時価評価する必要がなく、実際に日銀勘定は簿価方式で算出されている。だから帳簿上で損失が出るわけではないが、内外の「金融機関」は時価で日銀勘定を評価し、金利上昇は日銀資産の評価損として捉えるのである。これが正しい評価なのは言うまでもない。

 

同時に、民間銀行なども評価損を避けようと、手持ちの国債を売りに出すなら、国債価格は下落し、国債の流通利回りは上昇する。日銀はそれを放っておくことができず、流通利回りの上昇を阻止するために、大量の市中の国債を買わなければならなくなる。

 

そうなれば、日銀券の新規発行は一気に増え、日銀券発行残高もうなぎ上りとなり、それらは当面、「日銀当座預金」(日銀が民間銀行から買った国債の代金を支払うなどに使われる決済用口座で、この預金残高は日銀の負債となり、国債は日銀の資産となる)に積まれるが、金利引上げ時に一層の負担になっていく。

 

そこで、第三の理由に進む前に、金利引上げが日銀・政府に与える影響や国債の大量発行の矛盾を先に紹介する。

 

長期金利引き上げは、新発国債と借換債の金利上昇圧力にもなり、政府の金利負担は莫大なものになる。今でさえ、「国債費」が増えている(後述する)のだから、日銀としては、金利引上げ策を講じる場合には、短期政策金利の引上げが一番やり易いと考えるだろう。

 

だが、約540兆円もの巨額な「日銀当座預金残高」の付利(現在、マイナス0・1%)を仮に1%引上げるなら、約5・4兆円もの金利払い増となる。ところが、日銀の純利益は約1・5兆円で、損失に備えるための引当金勘定は11兆円程しかなく、政策金利を引上げるなら、「赤字決算」となる。それが現在の日銀の危うい姿なのである。

 

日銀の〝倉庫に〟政府発行の国債が「ブタ積み」(利用されないでただ積まれている)され、その代金が「日銀当座預金」に積まれている。それは、日本経済に好循環が起こらず、当座預金の「付利」をマイナスにしても、民間企業に対する銀行貸出は大して起こらず、当座預金の出番がなかったからだ。

 

しかし、「日銀当座預金」に積まれたカネが今後の景気上昇局面などを契機にして、流通部面に必要以上に入り込むなら、この国家紙幣化したカネの価格標準は切り下げられるのである。つまり「インフレ」を引き起こすのである。

 

「インフレ」とは、単なるあれこれの(高くなった資源輸入、国内生産力の低下による商品価格の上昇、需給ギャップ、為替相場の円安など)物価上昇を指すのではなく、流通部面に入った紙幣の価格標準の切り下げが行われ(「貨幣価値」の下落として現れ)、その結果、物価が上昇することを言うのである。「インフレ」とは、自国発行の紙幣(紙幣化した中央銀行券も)が国内流通部面に必要以上に入り込むことで発生する現象なのである。インフレは日本でも発生したが、ドイツインフレは典型的であった。

 

ここで、脇道にそれるが重要なことなので、簡単にドイツのインフレを振り返る。

第一次大戦開始直前に、「金本位制」から離脱したドイツは、戦費を大量の国債発行によって賄い、その国債を主に、ドイツ帝国銀行に直接に引受させ、大量の通貨を発行し続けた。戦後においても、経済的担保のない(裏付けのない)無価値なマルク紙幣や緊急通貨・ノートゲルトを大量に発行したので、ドイツではハイパーインフレが発生した。

 

「ドイツ政府は第一次世界大戦において、戦費のための膨大な財政需要を国民に対する増税ではなく、主に国債の発行によって賄った。その際に国民に国債を購入させて民間の通貨を吸収するのではなく、主に帝国銀行に購入させて(帝国銀行の直接引受け――筆者)紙幣を増発したため、通貨流通量の急増を招いた。

 

戦争終結後は、まず現物による賠償を連合国によって迫られたが、連合国に対する現物引き渡しは無償であっても、その元の所有者または生産者に対してはドイツ政府が代金を払わなければならず、引き続き大きな財政需要となった。そして賠償委員会によって決定された賠償金の支払いはさらに巨大な財政負担となった。ルール占領に対する消極的抵抗(賠償を果たせないドイツに対して、フランスがルール地方を占領したことに対する労働者のストライキ闘争のこと――筆者)では、労働者に対する経済的支援をしなければならないのに対し、ルール地方からの税収はまったく得られなくなったため、財政赤字をさらに拡大することになり、これらがすべて通貨増発へとつながった。マルクの供給量が増加した結果、その価値は急激に下がり、マルク安をもたらした。

 

それにより、ドイツにおける財の価格が急騰するとともに、ドイツ政府の運営費用が増大し、税の支払い通貨であるマルク安が続いたために増税によっては財政を賄うことができなくなった。結果的に生じた赤字を国債の発行や単純な紙幣増発の組み合わせで賄い、これらの影響でマルク建て資産の市場供給量が増加し、一層の通貨価値の下落を招いた。ドイツ市民は、通貨価値が急激に目減りしていくことに気づくと、早く消費しようとした。  

 

これにより高まった貨幣の流通速度は、かつてない速度で価格を上昇させ、悪循環を形成した」(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)。

 

このようにドイツでは、政府が発行した国債を中央銀行が直接に買い、市中の通貨を吸収せずにマルク紙幣を発行し、さらに事実上紙幣と変わらない緊急通貨を発行してインフレを準備していった。ドイツの生産設備は大戦によって破壊されずに残り、戦後の急速な生産拡大に伴い、大量の紙幣化したマルクが流通部面に入り、無価値な通貨として現出したのである。つまり、経済法則が貫徹しマルクの価格標準は引下げられたのである。労働者はこの経済法則をドイツの歴史から学ぶべきであろう。

 

現在の日本の場合、日銀による国債の直接引受けは行われておらず、国債の対価は、国家紙幣ではなく信用貨幣で支払われている。だが、日本の場合には、信用貨幣の国家紙幣化が止めどもなく進んでいる。

 

日銀券は国家紙幣化していると言ったが、それは以下のような理由による。

 

日銀券は元来信用貨幣であり、法定の「支払い手段」である。だが、その信用貨幣は次第に本来の役割を果たさなくなっている。政府は借用証書である国債を民間銀行などに買わせて財源をつくり、その後に、日銀が民間にある国債を指値で、また流通利回りが上がっていれば低くなるように誘導し、ゼロ金利維持のために買い取っている。

 

つまり、日銀券は政府の財政運営のために、政府の借金を支えるために発行されている。

 

しかも、政府の国債は、労働生産物や〝商業〟土地や金銀(つまり価値を持つ有用物)を担保にした借用証書ではなく、単に政府の信用をバックにしているに過ぎない。だから、経済的な裏付けのない、無価値な国債を買うために日銀券は発行されているのであり、日銀券は国家紙幣に転化していく。日銀券が事実上、何ら価値の無い紙幣であるにも関わらず、国家の通貨として流通するのは、国家信用・日銀信用による国家の強制力によってである。

 

従って、日銀が大量な国債を買い続けるなら、既に説明したように、一方で、金融緩和策を終了して金利を引上げすることが極めて困難になり、他方で、日銀勘定は悪化し日銀信用が毀損し、日銀券は単なる紙幣になったことを満天下に知らしめる。日銀信用の毀損が現実化するなら、内外投資家による国債の投げ売りが始まり、国債の暴落は避けられない。

 

だから、多額の国債残高を抱える日銀に対しては、日銀の「債務超過」が以前から問題にされ続け、同時に日銀信用の毀損による国債の暴落が言われ続けて来たのである。さらに、紙幣化した日銀券が必要以上に流通部面に入り込むなら「インフレ」の発生は避けられないのである。

 

日銀が金利引上げを避ける第三は、政府が組む一般会計予算の中に、歳出に必要な「国債費」(国債償還費と国債利払費で、22年度は24兆円)があり、日銀が金利を上げるなら、この「国債費」が上昇し、予算計上に大きな影響を与え、その後の国債発行に大きな影響を及ぼすからである。

 

以上のような理由により、日銀は短期国債の金利をマイナス0・1%に、長期国債である10年物の金利を0±0・25%に抑え込もうと躍起になっているのである。だが、そうすればそうする程、当面は、円安と物価高騰として現れ、労働者の生活を破壊する。

 

また、円安が続き物価が高騰し続けるなら、金利政策引上げ圧力が内外から加わる。日銀がそれらの圧力を無視し続けて国債を買い続けるなら、日銀信用破綻・「国家破綻」に行きつくことになる。それほどに大きな矛盾を深めているが、日銀は金利引上げを実行することがますます困難になっている。

 

それは「アベノミクス」という国家主義者の妄想、インチキ理論の行きつく先であった。

 

しかし、問題なのは、その矛盾の全てが労働者に皺寄せさせられることにある。

 

ドイツインフレの場合でもそうだったが、インフレによる価格標準の引下げは、国家と資本家階級の借金を帳消しにしたが、反対に、労働者階級に対しては物価高騰が襲い、預金もあっという間に何千分の一、何万分の一になったのである。

 

我々は「アベノミクス」が発表された当初から、ケインズ経済学(リフレ派)の屁理屈を批判し、カネのバラまきがもたらすインフレや「国家破綻」などの矛盾を指摘したが、次第にそれらが現実味を帯びつつある。

 

労働者は、金融や通貨政策なるものは資本主義経済特有の小道具であり、未来の共同体では無用な長物であることを確認し、資本主義の矛盾の一切を解決すべく、「労働の解放」に向かって確信をもって断固として闘っていかなければならない。  (W) 

投機は何も生産しない ――「資産所得倍増計画」のまやかし

投機は何も生産しない

「資産所得倍増計画」のまやかし

 

 岸田の「新しい資本主義」は、「成長による企業収益と歳入増を原資に分配する」好循環の資本主義だと言う。その実行計画案が5月に発表された、その一つが「資産所得倍増計画」だ。

 

計画の言う資産所得とは、株と投資信託への投資による配当金のことで、要するに、国民はチマチマと貯蓄に励むのではなく、すべからく金融商品にカネを注ぎ込め、これが「新しい資本主義」の下で暮らす国民の望ましい姿だと言わんばかりだ。

 

 この計画は、3年前の「老後30年間で2千万円が不足」と同様、年金を始めとする社会保障制度の破綻を個人の責任で解決しろと迫るものでしかない。「新しい資本主義」が目指す成長のためだけでなく、そこから国民が分配してもらおうとするなら、株や投資信託に投資しろというのだ。

 

 NISAの少額投資非課税制度を使えば、年間120万円の投資で得る配当は非課税、iDeCo(イデコ=確定拠出年金)なら全額非課税になると、投資欲をかき立てるのだ。

 

 岸田が目を付けたのは、2千兆円あるという個人の金融資産だ。この半分が預貯金と現金で、投資経験のある人は10%に過ぎない。つまり、投資経験のない国民が90%もいるのだから、「眠り続けてきた1000兆円単位の預貯金を叩き起こし、市場を活性化するための仕事をしてもらう」とぶち上げたのだ。1000兆円の投資で経済成長をはかり、国民への分配も増えるという好循環が生まれると期待するのだ。だが、株も投資信託も元本保証はない。元本保証ができないという意味が、岸田は分かっていない。

 

 株の配当が景気や企業業績に左右され、売買益は買った人の分が安く買った人の利益になるだけで、何かを生産して富を増やしたわけではない。投資信託も中身は株や債券への投資で、ここ10年間で元本割れの信託は8%、3年間ではなんと90%にもなる。優勝劣敗の競争原理が支配する資本主義の歴史を見れば、好循環は幻想に過ぎないのだ。

 

 現実の日本は、異次元の金融緩和でも利潤が見込める投資先が見つからず、成長が果たせないままだ。消費増税で庶民の税負担は重くなっているのに、法人税は、かつては20兆円前後あったのが10兆円を割り込んでいる。物価の急上昇に苦しむ労働者の実質賃金はマイナス、雇用者の4割は社会保険の加入が困難な2千万の非正規労働者だ。どこに投資の原資があると言うのか!  (Y)

 

★ 自民党と反動の改憲策動、軍国主義路線を断固粉砕しよう!
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