労働の解放をめざす労働者党ブログ

2017年4月結成された『労働の解放をめざす労働者党』のブログです。

軍国主義との闘い

日米軍事訓練に対する与那国島住民の反発

728日~87日に実施された日米軍事訓練「レゾリュート・ドラゴン(不屈の龍)24について、沖縄で闘う仲間から投稿がありました。紹介します。

 

日米軍事訓練に対する与那国島住民の反発

 

南西諸島で実施されている日米軍事訓練は、年ごとに濃密に密接にどこまでも高まる気配を見せつつある。海つばめ(第1480号)は「加速する日米軍事同盟の一体化」、2+2「統合軍司令部」を新設という一面トップを掲げた。その内容は新たに「統合軍司令部」を新設し、米軍・自衛隊の連携強化を図り、米の核に依存した「拡大抑止」を推進することを明らかにした。

 

そのことの一端が離島防衛を想定した訓練「レゾリュート・ドラゴン(RD24」であり、728日~87日に実施された。89日の沖縄タイムス記事(「だまされた」 住民反発 与那国 軍備増強 目の当たり)で示された、人口約1700人の与那国町での訓練に対する住民大衆の反発から、いかなる教訓を得ることができるかを確認していこう。

 

どこまで行くか日米訓練 

 

報道の記事では、陸海空の従来領域に宇宙、サイバー、電磁波の新領域を加えた陸自の「領域横断作戦(CDO)」と小規模部隊を島嶼部に分散させる海兵隊の「遠征前方基地作戦(EABO)」との連携が確認されたとしている。

 

大分県の日出生台(ひじゅうだい)演習場では、日米の共同調整所を開設した机上訓練、輸送機からの物資投下などの訓練、対着上陸作戦では、島嶼部への侵攻を試みる敵に対処する想定で、敵の航空機、艦艇を撃破する訓練を行ったとしている。

 

沖縄県内の訓練では、各駐屯地などでのミサイル発射機の展開、物資や患者の輸送訓練を実施し、与那国町に初めて海兵隊の最新型の対空レーダーを空自のC輸送機で搬入し、台湾に近い関係上、中国軍の無人偵察機にたいする警戒・監視体制の強化を図る訓練を行った。

 

 それらの訓練に留まらず、これからも米陸軍のミサイル部隊や電子戦能力を統合した「マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)」を前線に機動展開して、ミサイルで戦う作戦構想であり、22年に奄美大島での日米共同訓練で使用した高機動ロケット砲システム「ハイマース」も、南西諸島でも展開されるとタイムスは予想している。

 

 日米訓練から見えてくるものは、巨大な軍事力を持つ中国軍隊に対し最大限の抑止力を持つとするならば、日本国家・自衛隊が米国等の同盟国との連携を謳うとしても、さらなる日米の連携とともに、日本独自の軍事力を強める方向に突き進むことは避けられないであろう。

 

そのことは、日本において巨大な軍需産業を育成することに繋がり、それは軍需独占企業の利益に繋がり、それはまた戦争体制の維持強化に繫がり、まさに軍事体制の国家に成り上がるかも知れない。とするなら、沖縄の元大学教授の知識階級が好む「素晴らしき憲法」「素晴らしき民主主義」の説教も現実の動きによって、木っ端みじんに砕かれるということになるであろう。

 

住民の「だまされた思いだ」という言葉から導かれることは何か

 

 沖縄タイムス記事での与那国の住民が発した「だまされた」との声を紹介しよう(前掲の沖縄タイムス記事参照)。沖縄の方言で言う「わじわじ」(恐怖や怒りで震えるさま)しながら、「信じられない」という言葉として発せられたのだ。

 

 最初に米軍・自衛隊の訓練に対する〝考え〟を明らかにしておこう。

 

米軍広報担当に対する記者の「訓練は中国の現状を踏まえたものか」の問いに対する回答を自衛隊側はさえぎり、「共同連携の要領を確立するためで、特定の事態を念頭に実施しているものではない」と述べた。

 

しかし、そのあとの日米幹部の会見で在沖海兵隊トップのロジャー・ターナー中将は、中国は尖閣諸島の領有権の主張を強めていると非難し、「日本や他の地域の同盟国に対する侵略に迅速に対応する準備ができている」と、言明したとのことである。

 

それはまさにすべての離島住民を九州各県に避難させる計画の意味が、中国に対する戦争を想定し、日米軍隊は奄美を含めた南西諸島の住民の犠牲を完璧に防ぐためということになり、縦横無尽に南西諸島で攻撃防御に動き回り、焼け野原にしたあとに住民は返って来ることを想像することを余儀なくさせられる、「偽りの夢か」「本当の夢か」と、うなされるようなものである。住民は想像力なく盲従する「ふりむん」(「愚か者」のこと)ではないのだ。

 

 今度の共同訓練に与那国の住民は何と答えたか。与那国防衛教会会員の76歳の女性は、「いくら中国が乱暴でも、刺激して住民にいいことは一つもない」。彼女は、「災害時のことも考えて配備に賛成した。まさか台湾有事と騒ぎ立て、ミサイル部隊や米軍が入ってくることになるとは思っていなかった。だまされた思いだ」と話した。町民有志の会見では、「軍備があるから安心というのは大間違いで迷惑だ」、「想定外のことばかり起きている」との声が出た。

 

先の米軍広報担当の回答を自衛隊側がさえぎったのは、ここに原因があるのではないか。住民が与那国に米軍までやってくるとは思っていないこと、自衛隊はそのことを熟知していて、米軍が本当のこと、与那国も含めて南西諸島での展開訓練をするという真実を語ることを恐れたのだ。

 

自衛隊が災害救助を餌に宣伝するのは今に始まったことではないが、日米軍隊が何故そこまで訓練するのかを住民が理解することができないのは、立憲民主党・社民党・社大党・共産党などの、民族主義的だったり、観念的な平和主義的な闘いしか提起してこなかったこと、そして狭い視野に留まる市民主義者・市民運動家たちの責任でもあるのだ。

 

さきの女性は言った、「いくら中国が乱暴でも」と。単に聞けば誰でも言うことであると思うかもしれないが、だが「習近平」権力はまさに「乱暴」ではないのか。

 

国境の島に生きる住民の知識の中に、いくらかの「中間項」を広げて理解して行けば、中国が経済的に急速に発展したこと、その結果として強大な国家・軍事国家であることを知るだろう。そうなら、中国は「国家資本主義」という、日中労働者が連帯して闘うべき体制という認識に行きつくだろう。

 

だが、既成政党・市民主義者は何一つ科学的に説明することはないのであり、軍事情勢に対する正しい認識を与えていない。住民の「いくら中国が乱暴でも」という素朴な認識のままである。既成政党の住民啓発における無能さは明らかである。

 

 同じ記事のなかに、防衛ジャーナリストの半田滋は、有事回避を「例えば中国と大臣級同士での話し合いの場をより多くつくるべきだ。信頼関係を構築し、万が一にも有事に発展することがないよう最大限の努力をしないといけない」と、腹黒い国家、腹黒い大臣同士が対話するのは相手を出し抜き、誰が世界を支配するかを競っている時に、このような言葉を吐くとは、「いくら中国が乱暴でも」と、記者に語った素朴な彼女にも劣っている。

 

世論調査からは自民党支持率が20数%に下がるのに、野党は全く上がらないのはどうしてか、それは労働者階級から見放されたことを如実に物語るのである。

 

階級的な立場を省みない既成の政党に期待するのでなく、中国が国家資本主義であることを知り、日中ともに帝国主義であることを知り、資本主義を克服した将来の社会のことを知り、これから伸びしろのある「労働の解放をめざす労働者党」とともに、闘いの道に参加しよう。 (K

 

 

《参照》

沖縄タイムス記事 202489

「だまされた」 住民反発 与那国 軍備増強 目の当たり

 

 【与那国】大規模実動訓練「レゾリュート・ドラゴン24」で、与那国町には民間港や空港から自衛隊と米軍が次々に物資などを運び込んだ。米軍は最新型の対空レーダーを島内で初めて展開。「台湾有事」や「抑止力」を名目に進む軍備増強を目の当たりにし、自衛隊誘致に賛成した住民からも「だまされた」との声が上がっている。

 

 陸自与那国駐屯地で訓練を報道関係者に公開した4日、1人の記者が米軍の広報担当者に「訓練は中国の現状を踏まえたものか」と質問した。すかさず「それはこちらから回答します」と自衛隊側の担当者がさえぎり、「共同連携の要領を確立するためで、特定の事態を念頭に実施しているものではない」と続けた。

 

 その直後にあった日米幹部の共同会見では米側の本音が透けた。在沖海兵隊トップのロジャー・ターナー中将は中国を4回名指しし、尖閣諸島で領有権の主張を強めていることを非難。与那国での訓練の意義を強調した上で「日本や他の地域の同盟国に対する侵略に迅速に対応する準備ができている」と、台湾有事などを念頭に中国をけん制した。

 

 これには、かつて自衛隊誘致に携わった住民も反発する。与那国防衛協会会員の前楚美津子さん(76)は「いくら中国が乱暴でも、刺激して住民にいいことは一つもない」と考える。

 

 与那国に配備の自衛隊は沿岸監視隊だから実際に戦闘することはないと聞いたという前楚さん。「災害時のことも考えて配備に賛成した。まさか台湾有事と騒ぎ立て、ミサイル部隊や米軍が入ってくることになるとは思っていなかった。だまされた思いだ」と憤る。

 

 4日に町民有志が開いた会見では「軍備があるから安心というのは大間違いで迷惑だ」「想定外のことばかり起きている」と抗議や懸念が広がった。

 

 安全保障政策に詳しい防衛ジャーナリストの半田滋氏は「米側からすれば東洋の島国の、さらに最西端の島を足がかりにして中国に圧力をかけたい狙いがある。でもそこには住民がいる。いざ抑止が破れた場合、戦場になるのは沖縄の島々だ」と問題視する。

 

 有事を回避するための本質は外交と指摘し、「例えば中国と大臣級同士での話し合いの場をより多くつくるべきだ。信頼関係を構築し、万が一にも有事に発展することがないよう最大限の努力をしないといけない」と話した。(八重山支局・矢野悠希)

地方自治体の自衛隊への個人情報提供

神奈川県で、『資本論』やマルクス主義の学習会を行っている『横浜労働者くらぶ』が発行している『労働者くらぶ第32号』で、地方自治体が行っている「自衛隊への個人情報提供」の問題を論じています。軍事強国化が強まっている中、自衛隊の隊員募集を注視している内容ですので、紹介します。

 

地方自治体の自衛隊への個人情報提供

――徴兵制に近いところへ踏み込む危険性

 

2007年から自衛隊の応募人数は減っている。イラク戦争への派遣、集団自衛権の行使容認、安保法制の成立など、自衛隊の変質があるため若者の自衛隊離れが進んでいる。自衛隊が22歳と18歳を対象に募集DMを送っている事を高校生に話すと「僕らを戦争に行かせるためでしょ」という答えが返ってきたと聞いた。2018年、防衛省は打開策として一般候補生、自衛官候補生の採用年齢を18.26歳の上限を32歳へと引き上げた。

 

 安倍当時首相は「閲覧は協力ではない」との認識から2019年の自民党大会で「6割以上が協力を拒否している」と非難、自民党は所属議員に地元自治体の対応を確認するように指示し、従来は、多くの地方自治体は住民基本台帳を閲覧や書き写しを認める形にとどめていたが、政権からの圧力で協力に応じる自治体が増えた。

 

電子・紙媒体での提出が19年度は719市区町村(41%)であったが、21年度は962市区町村(55%)に増え、22年度については60%以上になる見込みと防衛庁は説明している。このことは、国と地方を対等な協力関係と定める地方分権一括法の趣旨に反する。

 

地方自治体が自衛隊に18歳と22歳の住民基本台帳の情報を提供していることを知っている人は少ない。地方自治体が市民に黙っているからである。個人情報を本人の同意なしに提供するには法令の定めが必要とされている。しかし、自衛隊員募集のための個人情報の提供に関して法令の定めがあるのかどうかは疑わしい。情報提供の根拠とされたのが自衛隊法97条と施行令120条である。

 

97条 都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官及び自衛官候補生の募集に 関する事務の一部を行う。

 

97条は募集事務の内容を具体的に定めるものではなく、例えばポスターの掲示や、資料の備置等いろいろ考えられるが、プライバシーや個人情報保護に抵触するおそれのある情報を提供する根拠にはならない。

 

120条 防衛大臣は、自衛官又は自衛官候補生の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事及び市町村長に、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。

 

120条は防衛大臣が都道府県知事及び市町村長に対し資料の提出を求める事ができると定めている。しかし、120条は防衛大臣の協力要請を根拠づけるものに過ぎず、都道府県知事及び市町村長が何をすべきかは規定していない。

 

120条は自治体が行う募集業務(自衛官募集期間の告示、応募資格調査、受験票交付、試験期日・会場の告示、募集の広告・宣伝等)に関する114.119条を受けて規定されているものである。したがって同条の報告・資料提供要請は自治体が行う募集業務が円滑に行われているか確認する目的と解するのが素直であり、個人情報の提供の根拠にはならない。

 

120条による資料提出要請について2003423日、衆議院・個人情報の保護に関する特別委員会において、宇田川政府参考人は「市町村長に対しまして適齢者情報の提供を依頼しているところでありまして、あくまで依頼でございます」、石破国務大臣(当時)も「市町村は法定受託業務として、これを行っておるわけでございます。私どもが依頼をしても、こたえる義務というのは必ずしもございません」と答弁しており、あくまで依頼に過ぎず市町村長に答える義務がないことは確立した政府解釈である。

 

住基4情報(氏名、生年月日、性別、住所)は憲法13条で保障された人格権のうちのプライバシー権によって保護の対象とされている。つまり、憲法13条は国民の私生活上の自由が公権力に対しても保護されるべきと規定しており、何人も、個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を有すると規定している。

 

しかし、令和21218日の閣議で「自衛官または自衛官候補生の募集に関し必要な資料の提出を防衛大臣から求められた場合(自衛隊法971項及び同法施行令120条)については、市区町村長が住民基本台帳法の一部の写しを提出することが可能であることを明確化し、地方公共団体に令和2年度中に通知する。」と決定し、令和325日に防衛省と総務省の連名で各都道府県市区町村担当部長宛に通知した。

憲法は国家の基本法であり、憲法に規定されているプライバシー保護を、自衛隊法の根拠でもって覆していいというものではない。また、ご丁寧にも「なお、本通知は地方自治体法第245条の41項に基づく技術的助言であることを申し添えます」と付け加えている。提出を強制しておいて、助言であるから各自治体の判断に任せる、というのだからやり方が汚いにも程がある。

 

横浜市の場合(市民団体からの質問に対する市の回答)

 

質問 横浜市では住民基本台帳のデータを自衛隊へ情報提供しているのでしょうか。

 

回答 自衛隊法第97条第1項で定められている国からの法定受託事務であり、自衛隊法施行令120条の規定に基づき実施します。本市では、自衛隊神奈川地方協力本部からの依頼に基づき、自衛隊が自衛官及び自衛官候補生の募集事務に利用するために必要な対象者(18歳及び22歳)の情報(住所、氏名、郵便番号)を自衛隊に提供しています。情報提供の方法としては、令和2年度以前は、募集対象者の住所、氏名を住民基本台帳から抽出した名簿の閲覧により情報提供を行っていましたが、法の目的を達成するための必要最低限の対応とし、募集案内送付の際に1回限りしか使用できず、かつ、使用した後にその情報が提供先である自衛隊に残らないよう、令和3年度からは、住民基本台帳の一部の写しを用いた宛名シールにより提供しています。

 

質問 自衛隊法97条、施行令120条はあくまで依頼であり、これに答える義務はないと政府解釈があり、また、自衛隊法は自治体の判断を縛るものではないにもかかわらず、部署内では提供する事に疑問の声がでなかったのですか。

 

回答 なし(無言)

 

質問 除外申請はできるでしょうか。

 

回答 市長などへ情報提供を求める法令はあっても、情報提供を望まない人を対象から除くことを定めた法令がない為、除外していません。自衛官募集事務に関する市民への広報については、今後に向けた貴重な意見として承ります。

歯切れの悪い回答である。「自衛隊法で定められている」の一点張りである。法令の定めがないから除外申請できないとはどういう事だろう。住基4情報はプライバシー権として憲法で守られている。市も住基情報を提出することを疑問に思っているのだろう。しかし国にさからえば交付金などを盾に脅されるだろう。建前は国と地方自治体は対等なのに、国が金で地方を支配している。

 

自衛隊の任務が拡大する一方で自衛官応募者が減少しているからと言って、地方自治体に名簿提出を求め、かたっぱしから募集DMを送るやり方は、隊員の確保に行き詰った時に徴兵制に近いところまで足を踏み込みかねない。(Y

 

横浜労働者くらぶ学習会案内―9月の予定

 

◆『資本論』第1巻前半学習会

96日(水)19時~21時・県民センター701号室

927日(水)19時~21時・県民センター704号室

・両日ともに第1篇「商品と貨幣」の第1章「商品」を行います。

 

◆『資本論』第1巻前半学習会

913日(水)18時半~20時半・県民センター702号室

・第7篇「資本の蓄積過程」の第23章「資本主義的蓄積の一般的法則」を行います。

 

◆レーニン「カール・マルクス」学習会

920日(水)18時半~20時半・県民センター702号室

・「カール・マルクス他18編」のうち主要論文「カール・マルクス」を行います。

 

連絡先:横浜労働者くらぶ Tel080-4406-1941(菊池)

 Mailkikuchi.satoshi@jcom.home.ne.jp

★ 自民党と反動の改憲策動、軍国主義路線を断固粉砕しよう!
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