『資本論』学習会を行っているMさんから、投稿がありました。紹介します。


無条件で是認されるものではない

――「キエフ」を「キーウ」に呼称変更

 

 「『資本論』を読む会」終了後、ロシアのウクライナ侵攻を受け、自民党などの要望を受け、ロシア語由来の「キエフ」を「キーウ」に呼称変更したことが話題に。

 

少しおかしいのではないか、違和感ある。「キーウ」とウクライナ語にするすること自体は良いかもしれないが、それならウクライナが独立した時にすべきだった、悪いのはプーチン政権であって、ロシア語自体が罪で悪いわけではない。

 

ゼレンスキー大統領はNATO加盟を掲げ、ロシア語を抑圧し、ウクライナ民族主義を煽ってきた。だが、世界では国名ですらすべて自国語で呼ばれているわけではない。

 

2015年には、日本で「ジョージア」がロシア語由来の「グルジア」から、英語の「ジョージア」に呼称変更になった。これも変である。「ジョージア」は自国では「サカルトヴェロ」と呼ばれている。この呼称変更は「ジョージア」の反ロシア感情、民族主義を受けてのことである。アメリカにはジョージア州もあり紛らわしい。

 

日本は、海外では「二ホン」ではなく「ジャパン」と呼ばれるのが多い「イギリス」が「イギリス」と通用するのは日本のみ、「グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国」、英語での略称は「United Kingdom(英語の直訳は「連合王国」)、「UK」。ウクライナ民族主義を受けての今回の呼称変更は無条件で是認されるものではない。

 

「利己主義があるから共産主義実現不可能」説について

――利己心は決して永遠不変の人間性ではない

 

直接ではないが「『資本論』を読む会」参加者のNさんが、人間は「利己主義」があるから共産主義の実現が不可能であると言われていたことを間接的に聞く。

 

最近の朝日にも共産党に「共産主義」の放棄を勧めるブルジョア学者の忠告が掲載されていたが、「利己主義」による「共産主義」不可能論もよく聞く話ではある。

 

「利己主義」について亡くなられた林さんは書いている。

 

「利己心は決して永遠不変の人間性ではなく、人間社会の発達史の一段階における一つの人間性であるにすぎないからである。あらゆる動物と同じく、人間にも生きて行くという本能、自己保存の本能がある。しかしこの本能が社会的協力(共労)という形ではなく、利己心として、つまり他の人々の犠牲における、自己のヨリ良い生活への欲求としてあらわれるということ、これはもはや単なる欲求としては説明しえないことであろう。なぜなら万人の社会的共労によって、人間は、生きて行こうという本能、自己保存の本能を十全に充足しうるからである。~利己心はブルジョア的社会と切り離しえないものであり、まさにこの社会の産物である。」(栗木伸一〔労働者党元党代表の林紘義のペンネーム〕評論集、「我々の闘いの軌跡」193ページ以降参照)。機会があればNさんにこうしたことを話してみたいと思っています。

 

ロシアによる真実・事実の隠蔽について

――「自虐史観」非難で、散々真相・事実・歴史を隠蔽

 

 自民党、産経新聞などはウクライナ侵攻を受けロシアによる真実・事実の隠蔽を言っています。よく言うなと思います。彼らは日中戦争、南京大虐殺、従軍慰安婦など今のロシア以上の残虐行為を暴く者に対し「自虐史観」とか言って散々真相・事実・歴史を隠蔽しようとしてきました。産経新聞はこの「歴史戦」の先頭にたってきました。彼らに今のロシアを批判する資格はありません。

 

ロシア革命の性格

――全体としてはブルジョア革命

 

 「革命家、思想家、人間としてのレーニン」という労働者党の亡くなられた林元代表が書かれた論文の中で、ロシア革命は全体としてはブルジョア革命であった、社会主義革命の客観的条件を欠く国において、労働者の階級闘争を最後まで推し進めるという立場は矛盾であったが、それは理論の矛盾というより、現実の矛盾であった、等々記されています。今のロシアやレーニン主義を理解する上で多くの示唆があります。多くの方に読まれていないのはもったいないと思います。