不正統計のツケ

「雇用保険の追加給付」に思う

 

半年ほど前に厚生労働省から「雇用保険の追加給付に関するお知らせとお願い(口座確認)」という通知が届いた。何だろうと内容を確認すると、20165月に一括雇用保険の給付額が少なかったというもので、この度、追加給付することとなった、ついては「払渡希望金融機関指定届」を返信封筒で提出してもらいたいということであった。金額的には平均で千四百四十円という少額であったが、一応提出しておいた。ところが、いまだに振り込まれた様子がない。通知には昨年の十一月から順次手続きを進めているという。通知が来たのは、その日付より一か月以上もあとのことである。

 

通知に問い合わせ先、「雇用保険給付相談窓口」の電話番号が記されていたので、電話したところ、最初は「只今、大変込み合っています。後ほどおかけください」ということで、しばらくしてからかけなおしてみた。そうすると「そのまましばらくお待ちください」というアナウスが何度かあり、女性の担当者がでて対応してくれたので、その旨を伝えて、どうなっているのかと質問すると「申し訳ありません」の連発。私のはいくら戻ってくるのか?「それは担当のハローワークでないとわかりません」。通知には私の「お客様番号」が記されていたがそれを訪ねようともしない。ではいつ頃、振り込まれるのでしょうか?「わかりません」。コロナの影響で遅れているのですか、厚労省の職員の少なさが言われて久しいが?「それもあると思いますが、ともかく決定通知が行きますので、待ってください」。しかしそれがいつになるかも分からないという。全く埒が明かないのだ。上司から、あやふやな対応をしろとしか言われていないのだろう。本来ならまず、私が当事者かどうか確認するのが普通だと思うがそれもなかった。つまり応えられる資料がそこにないことを物語っている。

 

 なぜ「雇用保険の追加給付」が必要になったかといえば、あの「毎月勤労統計」調査の改竄・捏造であった。通知には、「毎月勤労統計調査の不適切な取扱いの影響により、多くの方の雇用保険に影響が出ておりますことに重ねてお詫び申し上げます」と記してあった。調査の方法を変え、間違った賃金統計を知らん顔して公表していた事件で、国会でも議論され、社会に大きな波紋を放ったのだが、当時の根本厚労相大臣はその責任をとることはなかった。

 

そのつけが今頃になって処理されているのだ。「毎月勤労統計」調査を今まで通りにして居れば、こんな事態にはならないし、これを行う多くの労力と時間、税金を費やすこともなかったと考えると怒りがこみあげてくる。それに追加給付が少額であるということで、申請書を提出しなかった人も多いのではないかと推測する。

 安倍政権の下、腐敗しきっている国家行政の一端をあらためて垣間見る思いである。

 (神奈川 T・A)