大阪維新の会を立ち上げ、未だに話題の橋下や、府知事を今、務める吉村洋文らが、現下の新型コロナウイルスに対し「国は出口戦略がない」と非難しています。「国が出口戦略を作らないなら、大阪モデルと作ろうと決めた」とさえ言います。

 

政府自民党の下でコロナ対策が確かに長期戦になっています。これには初動対応の遅れがあったというべきで、それはPCR検査が徹底されなかったことです。ポリメラス・チェイン・リアクションは、病原菌をいわば加速度的に増やすことによって、その検査に役立てるものです。その検査体制を早期に確立し、陽性者の把握を先ずは優先すべきでした。医者なら誰でもわかりそうなことですが、何が邪魔して政府に強く提言しなかったのでしょうか。考えられるのは、やはり資本家階級の力です。医者に限らず、科学者、法律家、それに音楽家でさえ、資本家に雇われた賃金労働者に甘んじています。国会でも学歴差別の話題には事欠きませんが、学歴だけでなく、しっかりとブルジョア的な立場に立っている人が尊重され、むしろその人のために、学歴はお飾りとして利用されています。

 

それを批判するかに見える維新ですが、大した違いはありません。229日に出演した「胸いっぱいサミット」で、橋下は「全員PCRなんか、やらなくていいのですよ」と言っていました。その後、本人の体調不良もあって検査を受け、前言をひっくり返したのです。後で他の出演者から、その件で揶揄されていました。

 

吉村知事が挙げている深刻な問題は、倒産、失業、そしてそこで失われる命です。具体的には、カラオケボックスやスポーツクラブ、ナイトクラブなどの業種から休業を解除すると言います。しかし、問題になっているのは中小零細業者や、個人事業主であって、そこで実際に働いている人々ではありません。さらに、どの業種から解除を始めるかは、患者の入院ベッドの利用状況などを指標とする「独自の基準を策定」するというのです。大阪府だけの問題ならいざ知らず、全国で、むしろ全世界で問題になっている問題に、独自の基準と云うのです。事態をより悪化させる可能性が広がります。(大阪・杉)