安倍は接触機会を最低70%に減らし、テレワークや在宅勤務を奨励要請したが、大企業のデスクワークで働く者はともかく、生産や流通、医療、運輸、建築等のいわゆる現場で働く生産的労働者にとっては、それは全くもって無理というものだ。安倍の頭の中には、社会のもっとも根幹的な生産的労働者に対する思いというものはない。
確かに、東京や大阪の主要駅前や繁華街は、安倍や各首長の自粛要請によってかなり人出が減少しているように見えるのだが、しかし、朝晩の通勤時や帰宅時には未だ多くの労働者が群れをなして駅構内を行き来し大混雑している。コロナの市中感染が急速に拡大する中、生産現場で働く労働者をはじめ、多くの多種多様な労働者は、まさに命の危険にさらされている。自らの労働力を資本に切り売りする以外に生き、そして家族を養う術をもたない労働者は、安倍のように、家で背もたれ椅子に座ってペットを抱いたり、コーヒーを飲んで過ごすわけにはいかないのである。労働者は危険を承知でも、労働に従事せねばならない。
安倍らが、本気でコロナ感染を封じ込めようとするなら、生活必需品や生命維持に必要な物資の生産と流通を除いて、「全ての資本に、しばらく操業を停止せよ!」全ての労働者・働く者の命を守れ!」「その間の労働者の賃金は全て保証する!」と呼びかけるべきである。
しかし、安倍はただダラダラと様子をうかがい、感染数の増減に一喜一憂し、このまま早く収まりますようにと神頼みをするのである。科学的な根拠も方策も、将来の見通しや計画性もなく、ただおろおろするばかりである。
岸田と打ち上げた一世帯30万円の補償も、話が煮詰まってくると、様々な複雑な制限や証明書が必要となり、不評を買って、一世帯を一人当たりとあらためてみたり、マスク配布(顔を覆うには小さすぎるアべノマスク)を始め、対策が場当たり的で、後手後手だと批判され、安倍の支持率(40%)が低下し、不支持(47%)が上回ったとみるや、今度はあんなにも拒否していた公明党の一人10万円の一律補償案に飛びついたりするのである。一世帯30万円の補償という、国民の歓心を買うためのアドバルーンは一体どこへいってしまったのか。何と場当たりな心変わりか。マスクで466億、10万円配布で12兆円をばらまくのである。
都道府県に出されていた「緊急事態宣言」を今度は全国に発するという。例えば、静岡県は感染者が急増する東京、神奈川と愛知に挟まれた地域であるが、県内在住の現感染者(48人、4、16現在)の内の半数以上は東京や神奈川からの帰省者から、または両県への出張や用事で出かけた者からの感染ルートが明らかになっている。また神奈川に隣接する伊豆や富士市に患者が多く出始め、また東京、神奈川のナンバーの車が目立って増えている(買い物?避難?)。こうした例は、7都道府県の近隣県(大阪近隣、指定県ではないが愛知近隣など)に見られるであろう。つまり、感染の拡大と伝搬は、火山の噴火のように火口から巨大な噴火雲となって近隣へと注がれるのである。こうしたことは、予想されたことで、移動人口や物資の移動状況等の調査を見れば、より科学的に把握できることであった。今更「5月のゴールデンウイークの移動を阻止する」もないものだ。これまた全く場当たり的な「アベノセンゲン」ではある。(是)