2025春闘継続中
――医療・介護職場の労働組合からの報告 1/3
低賃金にもほどがある
時給6.9円(月1200円)アップでは生活維持できない!
2025春闘において労組は、愛媛県N市の医療生活協同組合理事側に対し①賃上げ月給者月20,500円以上(定昇分、生活維持向上分、格差是正分等を基に労組春闘アンケー等勘案し、全国一般労組と同基準)、時給者1時間80円以上 ②夏一時金2カ月分以上、嘱託者(60歳定年後一年契約で、全職員500名の4割を占める200名)にも労働時間に比例し職員と同率とせよ、寸志で済ますな! ③勤務評定廃止 ④60歳定年制を65歳まで引き上げる要求等 を申し入れ5回の団体交渉を重ねてきた。
N市の医療生協は、病棟併設診療所1,外来診療所2,デイケア、グループホーム、居宅介護支援センター、サービス付き高齢者向き住宅、訪問看護ステーション、定期巡回訪問介護等合計30事業所を運営し、全職員500名、うち200名は60歳以上で一年契約の嘱託者、また500名中週32時間労働以下パート者は270名だ。
賃上げ要求①への回答は1200円だった。基本給に対するアップ率はわずか0.6%の超低額。月1200円は米価に象徴される物価高騰に全く対抗できない。もともと賃金水準が高いわけでもなく、東京や大阪など大都市に比べ住宅費が安い以外は、物価はたいして変わらない。基本給は②の一時金回答から計算できる。
例えば60歳以下の正職員127名の2025年夏一時金は0.8カ月で平均157,709円の回答であった。157,709円を0.8で割れば197,136円となり、平均基本給は約197,100円と計算できる。
厚生労働省昨年6月発表の高卒者初任給は199,800円だ。生協の専門職達は高校卒業後に専門学校等や実地研修後に資格を取ったりしたうえ、何年も経験を積んできており、かつ医療・介護の専門職(設置基準で事業所形態に応じ、看護師、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士等の定員数が定まっている)の存在なしでは事業所運営が許可されない。
生協職員の平均年齢は56歳であり、2000年4月に始まった介護保険事業や、それ以前の医療保険に組み込まれていた老人デイケア担当以来のベテラン職員は多い。介護職員改善手当が増額されてきたとはいえ、彼女・彼達の基本給が高卒者初任給と変わらないのは極めて不当だ。
このような低賃金で離職者が全体(500人)で昨年48人いたのも頷ける。約1割近くが辞めていくのである。なお今年の年末一時金も0.8カ月なら2025年度の平均的職員の年収はわずか16,320円増加に止まる【1200×(12+0.8+0.8)】。これで物価高騰に対応できるわけがない。数回の団体交渉を経て開催の、組員3人に1人の割で構成される職場委員会では、「上積なしでは妥結しない」との条件で、妥結は執行委員を中心とする交渉団一任となった。
しかしながら具体的な前進回答がなく、夏一時金のみ妥結し、賃上げや嘱託者差別(60歳以下には基本給の0.8カ月分に対し、嘱託者には週40時間労働者に寸志4万円)、新賃金表等は継続協議となった。回答は容認しがたい超低額であったが、昨年度8千万円を超える赤字決算を理由とする理事側の強硬姿勢と「夏期一時金」の性格から、早期支給を考慮し総額39万円の上積で収拾せざるを得なかった。なお、賃上げは妥結しておらず、妥結後の新基本給で算出した一時金額との差額や上積分は、年末一時金時に支給されることになる。
(2/3に続く)