沖縄で闘う仲間からの投稿です。

米トランプ政権 国際刑事裁判所を制裁

――アメリカの「自由と民主主義」とは何なのか

 

アメリカのトランプ政権は、アメリカ軍の兵士がアフガニスタンで拷問を行った疑いがあるとして、国際刑事裁判所(ICC)が捜査をしていることへの対抗処置として、9月3日、主任検察官ら二人に制裁を科すと発表した。

国際刑事裁判所(ICC)は戦争犯罪、ジェノサイド、人道に対する罪等を裁く常設の国際裁判所である。

ICCは、東西冷戦終結後の民族紛争等が頻発する中で準備されてきたが、2002年7月、ローマ規程が発効し、オランダのハーグに設置された。

世界中で戦争を繰り返してきたアメリカは、当初からアメリカ兵の訴追の可能性が言われる中、終始批判的で、当時の民主党のクリントン大統領はしぶしぶ署名をしたのであるが、民主党内にも反対派がおり、批准は見込めず議会には上げられなかった。そして、アフガニスタン侵攻、イラク戦争を起こした次の共和党のブッシュ大統領によって署名は撤回された、という経緯がある。

6月にトランプが大統領令(行政命令)に署名した後、ポンペイオ国務長官は、国防長官と司法長官との共同会見で、アメリカ軍や連合軍兵士を捜査しようとするICCの動きに、直接協力及び物的支援した外国人に経済制裁を科すことを表明していた。

これには経済制裁のほか、責任者らとその家族のアメリカへの入国禁止処置も含まれるというものだった。曰く、彼らはアメリカの自由を守っている者を裁いているときに、アメリカに来てその自由を楽しむことは許せない、というのである。

また、エスパー国防長官は、アメリカは国際刑事裁判所の設置に関するローマ規定への署名を撤回している。(だから関係ない?)

アメリカは国に尽くした国民が正当性のない捜査の対象になることを許さない、などと述べている。

 他方、バー司法長官は、「ロシアのような外国勢力が・・・
ICCを操り、自国の利益を追求している」と、証拠を示さずに主張して、国外に矛先を向けることで国内の引き締めを図るという常套手段を使い、アメリカのICC批判を増大させた。


だが、これらは単に、アメリカ兵は裁かせない、アメリカの国益を損なうものは容認しない、と言っているに過ぎない。

アメリカは世界中に8百余もの軍事基地を要する帝国主義国家である。そんな国家が、超大国としての力を振りかざして、アメリカ軍は特別扱いしろ!と怒鳴っているのである。利己主義の極みであり、恥ずかしい限りである!

 アメリカはこれまで「自由と民主主義」の守護者であるかに振舞ってきたが、しかし、アメリカの言う「自由と民主主義」とは、いわば人類にとっての普遍的価値といった御大層なものではなく、アメリカにとっての「自由」であり、アメリカという国家の利益に沿う限りのものであり、それはケチ臭いアメリカン ナショナリズムの代名詞に他ならない、ということが再び三たび明らかになっただけである。


これは、アメリカ ファーストを掲げる、粗野なトランプ政権に特徴的な事では決してない、以前からそうだったのをトランプ政権が明け透けに表現したに過ぎない。

 そもそもアメリカは、その国家の誕生時から戦争犯罪とは無縁ではなかった。奴隷制度以来現在に至るまで黒人差別を温存している事を別にしても、先住民との戦争では虐殺を繰り返し、差別と貧困とともに、彼らを荒野の保留地に押し込めてきたことはアメリカ史の中に深く刻まれている。そして、朝鮮戦争時の
老斤里事件、ベトナム戦争時のソンミ村虐殺事件、あるいは焦土化を意図した無差別爆撃、あるいはイラク戦争におけるアブグレイブ刑務所の捕虜虐待等々、多くの戦争犯罪を繰り返してきた国家なのである。当然、これらの作戦に関わった米軍人は告発され裁かれるべきなのだ。


それができるには、巨大な軍需産業と軍が融合した強大な軍産複合体との闘いが避けられない。それにはアメリカの労働者階級が主体となるも、全世界の労働者の団結した力の高揚が不可欠となろう。

(沖縄 S