安倍・菅政権の戦犯者の権力争い
──始まった自民党総裁選
自民党総裁選の立補者が決まった。立候補者に名乗りを上げたのは、河野行政改革、ワクチン接種担当相、岸田前政調会長、高市前総務相、野田幹事長代行の4人である。いずれも安部・菅政権の閣僚として政権を支えてきたメンバーである。
河野は「実行力・突破力」を看板にアピールしているが、菅政権の下での新型コロナ準備・接種の立ち遅れ、混乱についての責任については口を閉ざしている。かつて、「脱原発」や「女性天皇制」容認など「改革」派を名乗ったことはあるが、保守派の反発を意識してか、「女性天皇」については封印、「日本の一番の礎になっているものが、長い伝統と歴史と文化に裏付けられている皇室」と天皇の意義を強調、原発についても「安全が確認された原発を当面は再稼働させていく」と方向転換した。その一方では、安倍への批判派である石破の協力をとりつけるなど、自民党の〝新しい顔〟をアピール、総裁の座を獲得しようとしている。
こうした河野の行動は、小泉純一郎(小泉進次郎の父親)を思い起させる。
かつて金権腐敗で自民党が世論の激しい批判にあっている中、小泉は「自民党をぶっ壊す」と言って首相となったが、「自民党をぶっ壊す」どころか、非正規労働者の容認など新自由主義政策の導入、日米安保体制を強化し、米国の中東への軍事介入への協力などを行ったのである。
河野は、防衛相の時には沖縄辺野古基地建設を推進したし、岸田、高市も軍拡路線では皆同じだ。岸田は、自衛隊の憲法への明文化、緊急事態事条項など4項目の憲法改定、敵地攻撃能力の保持を掲げ、高市に至ってはミサイル攻撃などを受ける前に敵地攻撃を無力化する能力を持つことは必要と先制攻撃のための軍事力整備を謳っている。
安倍政権の下で内閣人事局がつくられ、官僚の人事権を官邸が一手に握るなど権力の集中が行われたが、森友・加計学園問題、「桜を見る会」問題など権力の私物化、それにかかわる公文書の改竄など安倍・菅による権力犯罪の未解決問題については、いずれの候補も「再調査」は不要とのとの態度だ。
安倍・菅政権よる強権政治の下で、政治腐敗、軍備増強が進んだ。そしてまた労働者・働く者の生活もますます酷くなった。「格差社会」と言われるように、富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなった。新型コロナが「格差」をもたらしたのではなく、それをさらに拡大したのである。
いま問われているのは、破綻した自民党政治を根底から打倒していく労働者の階級的な闘いである。
(T)